魔法少女あま☆マギカ〜親戚のお兄さんがヴィランじゃなくて魔女を追っかけていた〜   作:紡縁永遠

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第漆話 契約

Side星夜

 

 「こうなった以上、無関係にしておけないわね。星夜くん、結界を借りていいかしら?図々しいとは思っているんだけど………」

 「かまいませんよ、席を外してほしいというのならそうしますが」

 「大丈夫よ、貴方も聞いて」

 「わかりました。星装神殿」

 

 手を合わせて、結界を展開する。もっと安全な場所で展開すればよかったかな?まぁ、いいか。

 いつもなら温泉を勧めるところだけど、今回は神社内の一室に案内して、甘酒を人数分出す。

 

 「さて、どこから話そうかしらね、まずはキュゥべえについてかしらね、」

 「ボクの名前はキュゥべえ、君たちの願い事を一つだけ叶えてあげる。その代わりに魔法少女となって魔女と戦ってほしいんだ」

 「それが契約の内容?随分とアバウトだけど」

 「そうかい?簡潔に説明したつもりだけど」

 

 簡潔すぎるのが問題なんだよ。

 契約においては、気をつけることは

 

 お金のこと:金額、支払う時期、支払い方法に間違いがないか。

 期間と期限:いつからいつまでか、更新や解約のルールはあるか。

 口頭の約束:話で決めた大切な条件が、契約書にちゃんと書いてあるか。

 解約と違約金: やめたくなったときのお金や、ペナルティの条件を見る。

 不利な条件: 自分だけが重い責任を負うルールがないか隅まで読む。

 

 これらを基本として、即決しないことがトラブルを引き起こさないコツだ。まぁこれは消費者トラブルにおける考え方なのでこの件に関係ないものもあるが、纏めてみよう。

 

 まずはお金、これは契約内容に入っていないので除外。

 次に期間と期限、これについては言及されていないので、契約者の説明不足にあたる。

 次は口頭の約束、すでに俺がメモを取っているので問題はない。

 そして重要な、解約と違約金、これも説明不足。

 不利な条件か、そもそもとしての願いの内容と魔法少女における内容および危険性の説明がないことによる、説明不足。

 

 結論。契約すんな。

 

 「キュゥべえ、お前このままだと説明不足による、契約違反になるぞ、」

 「何のことだい?」

 「まどか、さやか、そしてマミさん、消費者トラブルについてはどこまでの理解が?」

 「え?」

 「えっと…」

 「ある程度はわかるけど…」

 「はぁ、じゃあかいつまんで今回必要なことを言ってくぞ。まずは期間、いつからはじめて、いつに終わるのか、更新などが必要なのか。次に解約について、解約できるのかできないのか。そして、条件。どこまでの範囲なら叶えられるのか、叶えた内容に応じて魔法少女の、今回は仕事とさせてもらうが、仕事、いわゆる対価は増えるのかどうか。これについて全く言及されていないのでこの時点での契約はしないほうがいい」

 

 一通り説明したのだが、マミさんとキュゥべえ以外にはまともに伝わってないようだ。大丈夫かよ、今回契約する2人。

 

 「えっと、確かに危険よ?魔女と戦うからね。それで願いについては基本的に何でも立ったわよね?」

 「そうだよ、ボク達はたった一度だけだけどどんな願いでも叶えてあげられる。その対価に命をかけて戦ってもらうんだ」

 「なるほど、これで一つ条件は及第点だけどクリア。次、」

 

 たった一度、それでも何でも叶う、なら、誰かを生き返らすことも可能なのか?そんな禁忌とも言える奇跡も叶えられるのか?

 

 「あ、そうだ。コレを伝えてなかったわ」

 「宝石?」

 「キレイ………」

 「コレはソウルジェムと言って魔法少女に変身するためのアイテムよ、普段は指輪に変わるから無くすこともないと思うわ」

 「無くした場合の違反は?」

 「一点ものだからなくしたらそれでおしまいだね」

 「そうか、」

 「………変わっているね、君は、自分が契約するわけでもないのにそこまで聞いてくるなんて」

 

 キュゥべえに驚かれたが、逆に何ですんなり契約できると思っているんだこいつは。

 

 「疑問に思うならその、取ってつけたような君の悪い顔をやめろ、胡散臭いぞ。人の第一印象は見た目からだ。俺からのおまえの評価は胡散臭い詐欺師の様な奴、以上だ」

 「随分と誤解してるわね」

 「誤解か、そうだな。でも、誤解を解かないというのは嘘をついているということでもある、それが意図的でも無意識でも、誤解させてしまい、それを正そうとしないなら嘘をついているのと同じだ。俺がよく読む本のセリフにそう、書いてあった」

 

 物語シリーズ、鬼物語、臥煙伊豆湖のセリフより抜粋「誤解を解く努力をしないと言うのは、嘘をついているのと同じなんだよ」いい言葉だよな、奇人変人が多い西尾維新作品だけど、その分、人を見る、評価する言葉はたくさんある。

 

 「ボクは嘘をつかないよ」

 「そうか、なら、ソウルジェムが破壊された場合魔法少女は辞められるのか?そして辞めた場合願いは消えるのか?それとも最低一度は戦ったから、願いは続くのか?」

 「魔法少女には成れないね、願いはどんな状況下でも永続するよ」

 「矛盾することは」

 「矛盾しないように成立するよ」

 「魔法少女にならないという願いは?」

 「願いもか叶わず、魔法少女にならないね」

 「………なら一つ、魔法少女になったから願いが叶えられるのか?それとも、願いが叶ったから魔法少女になるのか?」

 

 有名な卵ニワトリ問題、卵が先か、ニワトリが先か。さぁ、どっちだ。これは今後において大きな分岐点だ。

 

 「前者だよ、魔法少女になるから願いが叶うんだよ」

 「前払いね、それじゃあ………」

 「………」

 「わかりましたよ、これ以上は詮索しません」

 

 マミさんが心配するように見つめてくる。まぁそりゃぁ自分が信じてきたことを否定しているようなものだからな、今の俺は。それでも、契約というのは齟齬が生まれた時点で、契約者に有利に働く、それも、法律の適用がされないこいつにおいては特にそうだ。

 契約期間について聞けなかったが、まぁそこは後でもいいだろう。

 

 「億万長者とか?」

 「努力せずに手に入れた金はすぐに溶けるぞ」

 「うっ…」

 「じゃあ、不老不死は?」

 「周りと流れる時間の差と、娯楽がすぐに亡くなるぞ、俺の呼んだの本に不死者がいたが、ソイツの名前がスーサイドマスター、自殺のプロだ。不老不死にいいことはないぞ」

 「アンタには夢がないのか!」

 「夢はある、でもそんな叶わない前提の夢を叶えてもなぁ、ロマンにかける」

 

 結局はそこだ。自分が楽しめればいいが、さやかが提示したものは、あまり良いものではない、金については、減るだけだし、不老不死については物語シリーズの吸血鬼を見れば一目瞭然だ。スーサイドマスターも、ハートアンダーブレードも、自殺に失敗している。つまりは自殺するだけ、未練がないということだ。

 はぁ…こいつが胡散臭い雰囲気で良かったよ、これが爽やかな契約者だったら騙される自信がある。警戒できるならましか、気をつけないとな、まどかもさやかも案外バカだし。

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