ヤマトよ永遠にREBEL2000〜白銀の迷宮〜 作:ノイ・デウスーラ
西暦2000年2月1日午前0時
シベリア バビロン実験室
「ハア、ハア...急げ!あの化物が追いかけてくるぞ!」
息を切らしながら、2人の男が通路を駆けていく
?「アハッ☆」
そして彼らの後ろには、腕や脚の一部に包帯が巻かれた、全身が白く幽霊のような姿の少女がおり、彼らを追いかけていく
「うわああ!」
「っ!?」
わずかに遅れていた片方の男が、突然叫んで倒れた。彼の体には、虹色のもやのようなものが憑りついていた
「あ、足が!足の感覚が...無い!」
彼のすぐ後ろには、先ほどの幽霊のような少女が立っていた
「くっ...!」
「...まっ、待ってくれ!置いて行かないでくれ!!!」
もう1人の男は、やむを得ず、動けなくなった彼を見捨ててシャッターを開け、あの不気味な少女が入って来ないよう、すぐに閉めた
「大丈夫...。大丈夫だ...大丈夫だ...」
彼は自分を落ち着かせるため、シャッターの前で座り込み、大丈夫だと自分に言い聞かせた。しかし...
?「仲間を置いてきたから自分は助かると思ったんだね☆。自分勝手な人間...」
「なっ?!」
少女はシャッターをいとも簡単にすり抜け、彼の体に手を伸ばそうとする
「あああぁぁーー!くっ、来るなあああああぁぁぁーーー!!!」
彼は咄嗟に、腰のホルスターに備え付けてあった銃を取り出し、少女に向けて撃った
パンッ! パンッ!パンッ!パンッ!
しかし、発射された銃弾は全て、少女をすり抜けた。そして反対に、3本の光のようなものが彼の体を貫いた
「あっ...ありえ...ない...」
2000年2月1日午前0時。シベリアにある天命の研究施設【バビロン実験室】において、総勢322名の研究員が一晩にして消失する事件が発生。監視カメラの映像には、研究員が消失する直前、【何か】に怯える様子が残っていた。しかしそこには、白い光以外のものは映っていなかった。この怪事件に対してオットー主教は、徹底的な調査を命じた。
これが、第二次崩壊の幕開けだった...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テレサ「ねえ...。ほんとにこの服で撮るの?」
ジークフリート「照れるなよテレサ~。それにその服、キアナが気に入ってるみたいだぞ~」
2月2日正午。天命本部の浮島において、テレサやジークフリートやセシリアと一緒に、キアナと遊んでいた。テレサは、いわゆる中華風の衣装を着ていた
テレサ「まあ、キアナが喜ぶなら...」
キアナはテレサによく懐いているようで、時々テレサの頬に顔をすりつけたり、手でテレサの顔を触ったりしていた
ジークフリート「じゃあ撮るぞ!1、2、3!」
ジークフリートに写真を撮ってもらったあと、テレサはベンチで休んでいた
「はあ...やっと終わった...」
するとそこへセシリアがやって来て、テレサの横に座った
セシリア「ごめんね、テレサちゃん」
今日のセシリアは、簡易的なドレスのような服を身に着けていた。胸元と左側頭部には青いバラ、首元にはネックレスと、如何にも気品溢れる彼女らしい装いだった
セシリア「キアナと一緒に写真を撮ってくれてありがとう。キアナったら、あなたのことが大好きなのよ~」
テレサ「いいのよ。気にしないで。それより、早く体調が良くなるといいわね」
セシリア「心配ありがとう、テレサちゃん!あっ、そうだ!」
テレサ「えっ?」
セシリア「土曜日にうちにおいで。ジークフリートの新メニューを御馳走するわ!」
テレサ「ええ!?あっ、えっと...。さ、最近はキアナも育ち盛りだし...その...。い、色々と忙しいでしょ?だ、だから...誘ってくれるのは嬉しいけど、遠慮しておくわ(汗)」
セシリア「そう?じゃあ、ある程度落ち着いたら、改めて誘ってあげるわ」
テレサ「え...ええ。そうしてちょうだい...」
テレサが行きたがらないのは当然だ。ジークフリートが作る料理はことごとく石炭になるため、常人にはとても食べられるものではない。もっとも、セシリアはその【石炭】を美味しそうに食べているのだが。
テレサ(セシリアったら、アレを平気で食べちゃうんだもの...。愛の為せる業なのか、それとも人類史上最強の味音痴なのか...)
原っぱの上では、ジークフリートとキアナが遊んでいる。キアナは時々、テレサの方を向いて手を振ってくる。テレサも笑顔で手を振り返す
テレサ「こんな日が少しでも長く続けばいいけど...」
シュイン!
テレサ「えっ?」
突然、端末に表示された EMRGENCY のマーク。それが何なのか、テレサにはすぐに分かった
テレサ「これは...。主教の緊急指令だわ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2月2日正午
アメリカ アリゾナ州軍事基地
多数の戦闘機が並ぶ駐機場に、彼...ヴェルトはいた。
ヴェルト「始めてくれ」
ヴェルトがそう告げると、10メートルほど前に配置されている機甲からミサイルが発射され、彼に向かっていく
ヴェルト「っ!」
彼の目が赤く光る。その瞬間、ミサイルは一瞬で分解され、地面に突き刺さってしまった
ヴェルト「ふう...。無論、これでは力不足...。だが、彼女が現れる前に準備はしておかねば...」
すると、後ろにいたアインシュタインがヴェルトに、ある報告をする
アインシュタイン「彼女が来たようだ。シベリアに彼女の反応を観測した。天命が気付くのも時間の問題だろう」
ヴェルト「分かった。2時間後にタイタン部隊を連れて出撃するよう、テスラに伝えてくれ。私も、追ってシベリアへ向かう。万が一、彼女を説得できないなら...排除するしかない」
そう言ってヴェルトは、左手の拳を握りしめる
ヴェルト「平和とは、長続きしないものだな...」