灰色兄妹の異世界冒険譚~リアルな異世界は現実(リアル)より厳しいようです~   作:熊澤しょーへい

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灰色兄妹と入学式

◇◇◇

 

人暦1017年牡羊の月中旬

 

 

◇◇◇

 

 

冒険者育成学校

 

ぼうけんしゃの たまごが つどう がっこう

こどもから おとなまで ぜんせかいから にゅうがくきぼうしゃが あつまる

こうちょうは ゆうしゃの なかまだったという ウワサ

 

 

◇◇◇

 

 

はーいどもども、ジンさんです。

俺たちは今、学校の入学式に来てる。

ちょっと前に合格通知が届きまして、教科書とか制服とか色々買ってたら入学式当日になっちまったい。

ひっさしぶりに制服着たわ。なーんか変なカンジ。似合ってる?

 

「もっちろん!ジン(にい)に似合わない服なんてあるわけないじゃん!」

 

あざすあざす。

ユーのお陰で自己肯定感爆上がりよ。

俺の制服は創作の魔法使いが良く着てる、いわゆるローブってやつ。結構気に入ってる。色々仕込めそうだし。初見殺しとか初見殺しとか、初見殺しとか。

夏は暑そうだけどどーでもいいね。外に出ないし。

図書館だので引き籠らせてもらいますよーっと。

 

ちなハイナの制服はズボンに薄手とスポーティーな形。動きやすさ重視!ってカンジ。

いやー、似合ってるね。色合いとかもいいし、作った人はセンスが爆発してる。(岡本太郎的意味合いではなく)

てかここにカメラが無いのがひっじょーに悔やまれる。制服姿の我が妹、永久保存モノでは?

まーいいや。せめてマイメモリーに焼き付けとくとするか。

あとで絵にしてどっかの博物館にでも寄贈したろ。

 

「フゥン、やはり貴様も合格していたか!」

 

うるさっ。

んだよ。急に大声で話しかけてくるのは止めて下さる?こちとら万年寝不足族ぞ?

あ、ハイナはもちろん例外ね。

どんな声でも優しく耳に響き―――え?気持ち悪いからやめろ?スマソスマソ。

 

「だがそれでいい!何故なら貴様は俺様のライバルと成り得る存在だからだ!」

 

実技試験でハイナと一緒になった鬼人族(オーガ)の兄ちゃん。確か名前はコウセイだったか。

うーん。金髪といい、どことなく溢れ出る陽キャ感。日光っぽくてちょっとニガテ。

大人しくハイナの影に隠れとこ。兄の威厳?知らんな。

誰だって苦手なものくらい1つや2つあるものサ。

 

「ライバルって・・・大げさじゃない?あれだってまぐれ勝ちだし」

「ハッハー!謙遜することあるまい。貴様には才能がある、剣を交わした俺様がそう感じたのだからな!」

 

流石は我が妹。あの陽キャパワーにも全く臆してない!

てかこのにーちゃん、中々見る目あるな?我が妹の才能をいち早く察知するとは。1A(アサガミ)ポイント挙げよう。特に交換レートとかはないから注意されたし。

 

「そこに隠れている男、貴様の連れか?」

 

あ、目ぇ付けられてら。まあ本気で隠れるつもりは無かったんですケド。

どーも、ジンです。こいつの兄貴やらせて貰ってます。

 

「フゥン、やはりな。試験の様子を見ていたが、貴様も中々優秀そうだ」

 

へへ、どーもどーも。

まあ適当に殴り書きした式なもんで、美しさのカケラもありゃしませんでしたが。

あんなん専門家に見せたらぶん殴られるわ。

 

てか陽キャオーラパネェな。

誰かサングラス持ってる人ー。・・・いない?そもそもこの世界にサングラスは存在しない?メガネはあるのに?そっかぁ・・・

変なところで元の世界と違うんだよな。

 

「そこの方達。通路の真ん中で立ち止まるのはおよしなさいな。みなさまの迷惑ですわよ」

 

あ、ミス・ツインテドリルじゃん。あんたも受かってたんだ。

てかその髪型どうやってんの?

 

「貴方、わたくしをそう呼んでましたの?わたくしにはエリザベート・カルベルニアという立派な名前がありましてよ」

「ハッハー!貴様がエリザベートか!俺様には分かるぞ、中々の手練れだな?」

「貴方がコウセイ・シロガネ?見る目あるじゃない。どうやら情報に間違いは無かったようね」

 

情報?なんだそりゃ。

・・・ふむふむふむ。受験生の情報を売りつけてる情報屋がいる?万全を期して金を使うのが普通?

ほーん・・・そうなの?

なんだそりゃ。そんなマジになることなの?てか合法なのかよ。

 

おーっとマイシスター、その冷たい視線は止めてもらおうか。

いやマジで。SAN値ゴリゴリ削られるから。

いや異世界の受験事情なんざ知らなんだし。倍率視たら1.5くらいだったし。0.5を蹴落とすだけならいけるだろって思ったんだよ。

つーかこっちは基礎知識すらなかったんだぞ?情報戦仕掛けたって時間と金の無駄だろ。

結果的に入学できたんだからいいだろーが。

結果は全てにおいて優先する、って仮面の人も言ってたやん。

 

「・・・(ムッとした顔)」

 

あー、おやめくださいおやめください。

お客様、ポカポカ殴るのはどうかおやめ下さい。

あーたの想像する5倍は脆いですわよ?アテクシ。

 

あとその顔マジで可愛いな。

博物館だけじゃなくて美術館にも寄贈したろ。

迷惑?そんなわけないだろ!(過激派)

 

「もっと楽な試験になったかもじゃん!」

 

そんなことないって。

絶対。たぶん。メイビー。

 

「情報屋が間違いではないとしたら・・・貴方たち、本当に異世界人でして?」

「フゥン。それは俺様も気になっていたところだ」

 

え?なんすか。そんな目で見られても困るんですケド。

まあ俺『は』純度100%の異世界製ですが?

ホント、ひどいわ!アタシのこと、簡単に嘘をつく人って思っているのねっ!

 

「・・・まあ、そういうことにしておきましょうか」

 

その「・・・」の間に溜息吐いたの見逃さなかったが?

もっかい痛い目見る?

 

「ハッハー!優秀な人間に生まれも種族も関係あるまい!俺様は貴様らと縁ができたという事実だけで十分だ!」

 

お前・・・いい陽キャか?

ちょっと絆されそうになったじゃんね。

でも貴様がハイナを狙うというなら話は変わるゾ?少なくとも俺にタイマンで勝ててもらわないとなぁ!剣士も魔術師も関係ねぇ!そんときはガンメタ張ってボッコボコにしてやんよぉ!

 

「ねえ、そろそろ時間じゃない?」

 

あ、そうじゃん。やべやべ。

今日は入学式と校舎案内と・・・あと寮の説明があったな。

いつ帰れることやら。

 

「あら、貴方たちも入寮しますの?」

「エリザベートも?」

「俺様もだ!旅費と学費で有り金は殆ど使い切ってしまったからな!」

「貴方も他国から?」

「貴様もか?俺様は始竜皇国からだ!」

「わたくしは・・・そうですね、レイブン王国南部からとでも」

 

へえ、2人も寮か。

他国からも一定人数来るって話だし、珍しい話じゃないんだろうな。俺たちもその一部だし。

つーかツインテお嬢様は大丈夫なワケ?

 

「だからエリザベートと―――」

 

だってアンタ吸血人族(ヴァンプ)じゃん?

血とか飲まなくて平気なん?

 

「・・・」

「・・・」

「・・・ジン兄、本当にそういうところだよ」

 

え、何この空気。

止まってないで歩こうよ。時間危ないだろ?

あとマイシスター、どういう意味だその言葉。

 

「わたくし、話してないですわよね?どうして分かったんですの?」

 

え?そんなん見て分からん?

魔力の質?魂の形?まあそれが特徴的なんよね。

で、血とかそこらへん大丈夫なワケ?

 

「大丈夫ですわよ?血液からも魔力を摂取できるというだけで、命の源というわけではありませんもの。というかわたくし、血はニガテですし」

 

ほーんそうなんだ。

血が嫌いな吸血鬼って、ちょっとどうかとも思うケドね。

イメージ戦略的な方向で。

 

「すみません・・・ノンデリな兄で本当にすみません・・・悪い人じゃないんです。ただ、偶に、ほんの少し、人の心が分からないだけで」

「気にしてませんわよ?別に隠していたわけでもありませんし。あと貴女、実の兄に対して辛辣ですわね」

「ハッハー!俺様も気にしていないぞ!言っただろう、『優秀な人間に生まれも種族も関係ない』とな!」

 

えー、何か俺が悪いみたいな雰囲気じゃん。

やべ、ハイナに睨まれた。

エスパーかよ。ま、そういう顔も可愛いけどね。

 

 

 

 

 

ちなみに学長の話は寝過ごした。

すまんね。




エリザベート・カルベルニア
種族:吸血人族(ヴァンプ)
性別:女
魔法適性:黒
スキル:魔法知識4 身体知識2 血液操作3 吸血1 速口2
称号:修行者 
加護:原罪の祝福


◇◇◇


スキル解説
身体知識:人族の身体に関する知識。回復魔法など身体に直接作用する行動に対して上方補正。
血液操作:魔力を通すことで自身の血液を操ることができる。吸血人族(ヴァンプ)の固有スキル。
吸血:血を摂取することで魔力を回復する。吸血人族(ヴァンプ)の固有スキル。
速口:呪文の詠唱速度上昇。成功率が微減。


◇◇◇


加護解説
原罪の祝福:「原罪の加護」の上位互換。始まりの吸血人族(ヴァンプ)から祝福が与えられた証。吸血衝動を激減させる。
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