半人半魔(兄)、鬼殺隊に入る   作:日向陰陽

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バージルのスペックはDMC3~5とUMVC3のいいとこどりだと解釈していただけると幸いです。


第1話 「未知との遭遇」

―――妙な場所に着いた。見渡す限り山、山、山。辺りがやたらと暗い。人が住んでいるらしき家屋を発見するがやけに時代がかっている。もう1度閻魔刀で空間を裂く。闇に包まれどこに通じているのかもわからない。そして―――さっきから自分の周囲をウロウロしている、悪魔とは異なる禍々しい気配を放つ化物。正体は不明だが悪魔以外にも化物がいることに興味が湧いた。わざと背中を見せて隙を作る。化物が背後から襲い掛かってくる。振り向き様に居合斬りで頸を撥ね―――ようとしたが閻魔刀が頸に食い込んだまま止まる。特殊な殻でも纏っているのかと思い無防備な両腕両脚を斬りつけるが容易に刃が通った。達磨にするが、すぐに再生する。急襲幻影剣で木に磔にして夜が明けるのを待つ。夜に活発に行動するということはこいつらは吸血鬼の類かと辺りを付けた。他の化物も木に、あるいは地面に磔にして木に寄りかかって瞑想する。その内化物とは異なる気配をふたつ感知した。人間らしいがその移動速度は人間とは程遠い異常な速さでこちらに接近してくる。俺は静かに奴らが来るのを待った。やがて女がふたり現れた。

 

「もしもーし、そこの銀髪の西洋人さん。突然ですが貴方何者ですか?」

 

バージル「……道に迷った。ここはどこだ?」

 

「ここは東京府内の笠取山ですよ。」

 

バージル「東京『府』? 東京『都』ではないのか?」

 

「いいえ、東京府で間違いないですよ。」

 

バージル「……今は西暦何年だ?」

 

「ええと…1910年です。」

 

バージル「……もう1度聞いていいか?」

 

「1910年です。」

 

ため息をついた。参った。まさか100年以上も昔に戻るとは思ってもいなかった。

 

バージル「ところでこいつらは何者だ? どうすれば殺せる?」

 

「彼らは鬼です。人間以外は食べられず人間を食べて空腹をしのぎ強くなる人間の敵です。残念ながら。退治の仕方はこの日輪刀という特殊な材質で出来た刀で頸を斬り落とすか日光に当てれば大丈夫です。ところで…最初の質問に戻りますが貴方何者ですか?」

 

バージル「この世界に悪魔はいるのか?」

 

「悪魔…ですか。今のところ目撃情報はありません。この鬼たちだけです。」

 

無造作に閻魔刀で空間を十字に斬り裂く。相変わらず闇に包まれた空間が出現する。「まあ…⁉」と女たちが驚く。

 

バージル「本来なら俺が望む場所へ行けるはずだったが何故か時代も世界も違うこの場所に着いた。だから考えた。この世界に来た意味を。鬼を皆殺しにすることが俺の運命かもしれん。」

 

「申し訳ありませんが貴方からは人間と同時にとてつもなく恐ろしい気配を感じます。信用できません。」

 

バージル「悪魔と人間の女が結ばれて双子の赤子が生まれた。その片割れが俺だ。」

 

「つまり…悪魔と人間の合いの子ということですか…?」

 

バージル「ああ。」

 

「……なるほど、わかりました。とりあえず腕試しさせていただきますね。」

 

そう言って女は刀を抜いて襲い掛かってきた。斬り払い、薙ぎ払い、斬り上げ、斬り下ろし、刺突、どれもギリギリまで引き付けて避けた。刺突の連撃、閻魔刀の鞘で弾いた。

 

「しのぶ! 手を貸して!」

 

「わかった!」

 

後ろに控えていた女も飛び掛かってくる。トリックドッジ、トリックダウン、トリックアップ、エアトリックを駆使して避けまくる。樹木を挟んでふたりと相対する。居合斬りで樹木を切断し姉らしき女の背後をトリックダウンで回り込み足払いで宙に浮かせ、倒れる木を避けるのに気を取られている妹らしき女目掛けて蹴り飛ばす。ふたりまとめて倒れる。エアトリックで接近し抜いた閻魔刀の刃先を女の喉元に突き付ける。

 

バージル「気は済んだか?」

 

「……貴方、何者ですか? 異常な身体能力、身のこなし、刀捌き、只者ではないですね?」

 

バージル「さっき言った通りだ。悪魔と人間の間に生まれひたすら力を追い求めた成れの果てが今の俺だ。」

 

「人間の敵ではないとどうやって証明するのですか?」

 

バージル「理由がない。後は…行動で証明するしかないだろう。今すぐ信じてほしいなどとは言わん。後は…あいつらのあのザマを見ても俺が同類に見えるのか。」

 

顎でしゃくって磔にされている鬼共を指す。日が昇る。陽光に照らされた鬼共は残らず消滅する。

 

「……わかりました。とりあえず貴方の存在は認めます。鬼殺隊…鬼狩りの組織に入るための試験を受けていただくかもしれません。私はお館様に貴方の情報を詳細に報告し指示を仰ぎます。しのぶ、貴女は彼を念のために藤襲山へご案内して。」

 

「わかった。付いて来てください。」

 

常人を超える脚力を持ちあっという間に離れていく小娘の後をひたすら走る。

 

バージル「まだ小娘だというのに、しかも女の身で鬼と戦うとは鬼殺隊とやらはそんなに人手不足なのか?」

 

「……そうですね。人手はいくらあっても足りません。鬼とはそれ程厄介な存在なので。それに年齢も性別も関係ありません。戦力になるなら喜んで鬼狩りに参加します。」

 

バージル「……そうか。ならばこれ以上何も聞かん。」

 

「……名前を聞いてもいいですか?」

 

バージル「名はバージルだ。姓は無い。」

 

俺の前に現れた時からしかめっ面をしていたが今もその表情だ。性分なのか俺を警戒しているのか謎だがそれっきり言葉を交わさなかった。何時間走ったか不明だがこの小娘の身体能力も異常だった。1回も休むことなく疲れた様子も見せず藤襲山とやらに到着した。紫の花が生い茂る不気味な山だった。奥に初めて遭遇した鬼共と似たような気配を持つ者たちがいくつか蠢いているのを感知した。それからは魔界にいた時から不眠不休だったのを思い出し木に寄りかかって眠ることにした。

 

「――さん。バージルさん。姉さんが戻ってきましたよ。」

 

覚えのある気配に目を向ける。

 

「お館様から許可が下りました。只今から入隊試験…『最終選別』が行われます。」

 

入口から瓜二つのふたりの小さな子供が向かってくる。ひとりは真っ白な髪、もうひとりは真っ黒な髪、顔はそっくり、俺とダンテを見ているようで何やら形容しがたい気分に襲われる。ふたり揃って俺の前に立つ。

 

「「名も知らぬ西洋からのお客様。今宵は鬼殺隊最終選別にお越しくださってありがとうございます。」」

 

「この藤襲山には鬼殺の剣士様が生け捕りにした鬼が閉じ込められており外に出ることはできません。」

 

「山のふもとから中腹にかけて鬼どもの嫌う藤の花が一年中狂い咲いているからでございます。」

 

「しかしここから先には藤の花は咲いておりませんから鬼どもがおります。」

 

「この中で7日間生き抜く。それが最終選別の合格条件でございます。」

 

「「ではいってらっしゃいませ。」」

 

バージル「……わかった。7日だな。鬼共は皆殺しにしていいのか?」

 

「「はい。」」

 

山の奥へ突き進む。ベオウルフを装着する。鬼が上から飛び掛かってくる。

 

「ギャハッ!」

 

カウンターで日輪脚を叩きこむ。悪魔なら頸から上が千切れて吹っ飛んで死ぬところだがやはり日輪刀とやらで斬り落とさないと殺せないらしい。エアトリックで追いかけて足を掴んで地面に向かって思いっきり投げて叩きつける。急襲幻影剣で磔にする。

 

「ギヤアア!」

 

地上からもうひとりの鬼が襲い掛かってくる。月輪脚で叩き落す。同じく幻影剣で磔にする。更に奥に魔力に似た大きな反応がひとつ。突き進む。やがていくつもの腕を巻き付けた巨体の鬼と遭遇する。

 

「何だお前は? 西洋人の鬼狩りか? ご苦労な事だな。 匂う…匂うぞ…⁉ お前の中に流れる血⁉ 稀血だな⁉ それも特に希少な稀血だ⁉ お前を食うことに決めた⁉ 逃がさん⁉」

 

バージル「『逃がさん』だと? 言ってくれる。舐められたものだ。」

 

五月雨幻影剣で拘束する。頭に乗る。ベオウルフの籠手に魔力を凝縮させる。

 

バージル「Rest in peace!」(安らかに眠れ!)

 

籠手を頭に振り下ろす。『ヘルオンアース』、巨体の鬼が塵になるが凄まじい速度で再生する。これでも駄目かとため息をついた。面倒なので五月雨幻影剣で拘束し続ける。何度でもやり続けるつもりだった。鞘に納めた閻魔刀を正面にクルリと1回転させて腰に構える。魔力が漲る。ずっとずっと同じ姿勢で五月雨幻影剣を定期的に放ち続けた。数時間も経っただろうか。山の中から見上げる。僅かに陽光が差しているのが見える。素早く踏み込んでアッパーを叩きこむ。空中に打ち上げられた巨体の鬼をエアトリックで追いかけ空中で掴んで更に上へ投げ飛ばす。全身に陽光を浴びて消滅した。始めの2人の鬼も同じように投げ飛ばして陽光で始末した。更に奥へ進む。相変わらず単調な動きで襲い掛かってくる鬼共を上空へ投げ飛ばして塵にした。次第に鬼の気配がなくなる。どうやら皆殺しは完了してしまったようだ。時間を持て余したので残りは閻魔刀、ベオウルフ

ミラージュエッジの各スキルの確認をして時間を潰した。7回日が昇るのを確認して山を下りた。ふたりの少女?が待っていた。

 

「「おかえりなさいませ。」」

 

「おめでとうございます。」

 

「ご無事で何よりです。」

 

「まずは隊服を支給させていただきます。体の寸法を測りその後は階級を刻ませていただきます。」

 

「階級は10段階ございます。」

 

「「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸。」」

 

「今現在、バージル様は一番下の癸でございます。」

 

「本日、刀を作る鋼、玉鋼を選んでいただきますが刀が出来上がるまで10日から15日かかります。その前に…。」

 

少女が両手を叩く。

 

鳥の泣き声が響き渡る。デカい鷲?鷹?区別がつかないが謎の鳥が俺の方に留まる。

 

「今からバージル様に鎹鴉をつけさせていただきます。」

 

「鎹鴉は主に連絡用のカラスでございます。」

 

それから少女?が机を覆う布を剥がす。

 

「ではこちらから玉鋼を選んでくださいませ。鬼を滅殺し己の身を守る刀の鋼はご自身で選ぶのです。」

 

バージル「……ひとつ質問してもいいか?」

 

「「どうぞ。」」

 

閻魔刀、ベオウルフ、ミラージュエッジを地面に置く。

 

バージル「見ての通り俺には3つの武器がある。これら全てを模倣出来るのか?」

 

「刀鍛冶様にご相談させていただきます。」

 

少女?が両手を鳴らす。いかにも裏方仕事役といった風体の黒装束に覆面を纏ったふたりの者たちが俺の3つの武器と玉鋼を纏めて布に包んで素早く運んで走り去っていった。

 

「よお! お前名前何ていうんだ?」

 

肩に留まっていた謎の鳥がいきなり喋った。

 

バージル「これは驚いた…。この世界の鳥は喋るんだな。俺の名はバージル。姓はない。」

 

「俺はグリフォンってんだ! よろしくな、バージルちゃん!」

 

バージル「……お前本当に鴉か?」

 

グリフォン「鴉だよ⁉ お館様がそう言ってたんだから間違いねーよ⁉ 変な事言うんじゃねー⁉ よろしくな⁉」

 

バージル「……そうか。よろしくなグリフォン。」

 

「お話は済みましたか?」

 

「ああ。お前のお陰で最終選別とやらに合格したようだ。礼を言う。」

 

「行き場所に心当たりはありますか?」

 

バージル「特には無い。物心ついた時から決まった場所に留まったこともない。そこらで野宿でもする。」

 

「あの…言いにくいことなんですが…物凄く血生臭いですよ…。よろしければ私たちの屋敷へ来ませんか? 衣食住完備ですよ。」

 

バージル「この世界に来たばかりで一文無しだぞ。借りを作りっ放しというのも性に合わん。」

 

「借りならゆっくりと返していただいて結構ですよ。これから貴方は大出世すると思います。その時にお礼をしていただいて構いません。」

 

バージル「そこまで高く買われているなら期待に応えるとしよう。これからよろしく頼む。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。あ、私は胡蝶カナエと申します。それでこちらは妹のしのぶです。ほら、しのぶ。こっち来て挨拶して。」

 

しのぶ「……胡蝶しのぶです。よろしくお願いします。」

 

バージル「カナエ、しのぶと呼んでもいいか?」

 

カナエ「はい、いいですよ。」

 

しのぶ「私も…姉さんがそれでいいならいいです…。」

 

何から何まで対照的なふたりだった。カナエは隙あらば笑顔を絶やさず一方のしのぶは常にしかめっ面で俺を警戒しているように見える。俺とダンテも同じようなものだろうかと思うとそれ以上考えるのは止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広い屋敷で鎹鴉の報告を受けるひとりの青年が佇んでいる。

 

「どこからともなく現れた西洋の剣士…まさか…ね。」

 

青年が握っている書物の表紙にはこう記されていた。

 

『Legendary Dark Knight』と。

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