「うわぁああ──!」
「推進ユニットがやられたか」
「だが、全てではない。ユニットを完全に破壊するには会場そのものを吹き飛ばす規模の爆薬が必要になるはずだ」
「となると、破壊されたのはユニットの一部だけ、或いは出力が落ちているだけか。まだ全員助かる目はあるな」
「ああ、出力が落ちてもプログラムが会場全体の水平を保とうとする。しかし……」
「ハッ……! そのお尻は、ナラカなのかい……!?」
((((……お尻?))))
(お兄ちゃん、ガウタマにも気づかずに……!)
(流石はお尻ソムリエのアキラね……!)
スターループ全体が立っていられないほど傾き、振動で揺れる中、イヴリンは膝をついてアストラとテッサを支える。
対するナラカはワイヤーを用いて倒れたアキラを引き留め、自らは図抜けた体幹で立ったままリンの肩を掴んでその場に縫い付けられたように動かない。
推進ユニットの仕様を把握しているイヴリンはあくまでも冷静さを保っていたが、焦りがないわけではなかった。
ユニットの制御プログラムは会場内の安全を保つために水平維持を優先、その後浮上・高度維持と続くため、どうしても全体の出力を落とさざるを得ない。
つまり、会場自体の高度低下は約束されている。
更には────
「な、何あれ……!」
「自立制御ユニット、あんなものまで持ち込んでいたか……!」
「帝高のセキュリティガバガバ過ぎんだろ…………いや待て、今のエーテル波動か!?」
「ンンナァッ!!(まずい、今の波長は……エーテルエネルギー由来の機械が緊急停止しかねない……!)」
「ンナワタァ……!(あわわ、それじゃあ協律コアが……!)」
讃頌会、フーガと“組織”が入り乱れるステージ上へと、大型の機械が落下してくる。
独特な二脚のシルエットに、取り付けられた重火器の数々。
テラー・ラプトルと呼ばれ、反乱軍が好んで使用する自立制御ユニット。
如何にフーガのような大資本でも兵器を買うなど不可能に近い。用意したのは“組織”と見て間違いないだろう。
ナラカが感じ取った何かを、イヴリンは感じ取れなかったが、その結果は体感できた。
「落下速度が上がった……」
「即落下でなかっただけマシだな。予備のサブユニットが作動した。だが、会場全体を支えるだけの出力はない。どの道、協律コアがなければ……!」
「リン、アキラ、帰還不能点まで何分あるか計算。ガウタマ、お前は協律コアの状態がどうなってるか調べろ」
「えーっと、ちょっと待って……!」
「イアス、こっちへ来てくれ! 落下速度と現在の高度が知りたい……!」
「ンナッ(分かったよっ、アキラ)」
「ンナナァッ!(了解ッ! ガウタマァアァイ!!)」
あくまでも冷静に、アキラ達に支持を飛ばすナラカ。
あまりの落ち着きように、イヴリンは思わず笑ってしまう。
ナラカが修羅場を潜ってきているのは察していたが、ここまで肝が据わっていると頼もしさよりも、笑えて来るほどだ。
「あー、えー、落下加速度も入れてー…………分かったぁ!」
「あと五分だ! それ以上はいくら推進ユニットが回復しても間に合わない……!」
「ンナッ、ワタワタッ!(スキャン終了。協律コアの回路は無事だ。でも、緊急停止状態になっている。三機とも再起動が必要だ!)」
「よし、作戦会議だ。まずは落ち着こう」
「「「今ァ……ッ!?」」」
「焦ったってどうにもならねえよ、こんなもん。深呼吸だ、深呼吸」
アキラとリンの計算、ガウタマによる協律コアのスキャン結果を耳にしたナラカの提案に、イヴリンを除いた三人は悲鳴のような声を上げる。
タイムリミットが迫る状況で作戦会議など呑気以外のなにものでもなかったが、イヴリンに不満はない。
自らや周囲の命が失われる瀬戸際に対処しなければならない経験がない三人を落ち着かせた上で、それぞれの役割と物事の優先順位を決める。
焦りのままそれぞれの考える最善に動き、バラバラのまま事態に当たっては無駄が生まれる。この状況下で無駄は致命的、意思統一は必要だ。
ナラカが兜の凶悪な歯並びの意匠を上下に開け、煙草を咥えて火を付け始めるさまを目にした時は、流石のイヴリンも呆れ返ってしまったが。
全員で貴賓席のステージ側、開けた腰壁に全員で背中を預け、まずは深呼吸。ナラカだけは紫煙を
「よし、プラン①。オレ達だけで逃げる」
「「「却下ァ……!」」」
「………………」
「私を見るな。多数決でも覆らないぞ」
本音を言えば、イヴリンも賛同はしたかった。
アストラの身の安全だけを考えれば、それが最善と疑う余地はないが、彼女が望まないのであれば致し方なし。
自らの命に指がかかる状況であったとしても、三人に無辜の人々を見捨てるという選択肢はない。
「じゃあプラン②。讃頌会がやられるのを待ってから動く」
「え? なんで讃頌会が?」
「ああ、そうかお兄ちゃんはまだ知らないんだっけ……なんか、ナラカを狙ってるらしくて」
「………………なんでだい???」
「さあ、オレにも分からん」
「でも、確かに讃頌会はサクリファイスだけど三人しかいないし、ブリンガーほどじゃないみたい……」
「自立制御ユニットも追加で現れた。いくら讃頌会と言えども、寡兵では……」
「問題は時間、よね……」
讃頌会が現れたなど初耳だったアキラの困惑は気の毒になるほどで、思わずイヴリンは首を振っていた。
確かに、三つ巴になるよりかは、フーガと“組織”のみを相手取れれば、意識を向ける相手が少なくて済む。守るにも攻めるにも、そちらの方がやりやすくはなるが……。
五人で背中の腰壁から鼻より上だけを出し、ステージの様子を確認する。
協律コアが停止した影響でステージもまた浮力を失い、会場の最下層に落ちており、あらゆる射線を遮られて皮肉にも客の安全を確保していた。
其処では、フーガ及び“組織”による数の暴力の前に、讃頌会が徐々に追い詰められている様子が見てとれる。
歩兵は持てる火器により、テラー・ラプトルは4門のガトリング砲で集中砲火を浴びせていた。
サクリファイスがどれほどの性能かまでイヴリンは知らなかったが、これならば────
「な、なんだっ! 奴等、同士討ちを……!」
「いや、喰っている、のか……?!」
フーガと“組織”の構成員の狼狽は明らかであった。
無数の銃弾を浴びせられ、劣勢へと追い詰められた讃頌会の信徒の一人が、事もあろうに仲間へと襲い掛かる。
仮面のように変化した顔。その口元が大きく開き、無数に並ぶ乱杭歯を突き立てると、歓喜とも絶望とも取れる絶叫が響き渡った。
「何を、してるの……」
「マジか。アイツ、仲間のエーテルを吸収してやがる」
「吸収だって……? いや、ブリンガーも確かに同じ真似をしていた。でも、あの時はエーテル燃料だったのに……」
仲間の捕食という行為に、リンとアキラも嫌悪を示す。
捕食もといエーテルの吸収はすぐに終わった。
ステージに声もなく倒れた二人の信徒は、エーテリアスと同じく塵も残さずに消え去り、最後の一人は咆哮をあげる。
「■■■■■■■■──────ッッ!!」
変異に次ぐ変異。
その咆哮は、人のそれからは程遠く。
肉体の体積は増し、大きさはテラー・ラプトルを凌ぐほど。
両脚は伸びて関節が一つ増え、上腕と前腕が歪なほどにねじくれながら長くなり、鼻と耳が突き出て口は耳元まで裂け、腰からは先端が三つに分かれた尻尾に、頭部に10の角が生える。
完全に人の形を捨て去り、巨大な獣に変じたのは、信徒が夢想していた“終末の獣”に対抗するためか。
いずれにせよ、不安定な変異体が行きつく先など、讃頌会の幹部でも予想は出来ない。
「デカブツが2体になったんだが……」
「駄目だな。あのサクリファイス、下手をすればフーガや“組織”の連中のエーテルまで吸収するかもしれない」
「そうなれば、もっと巨大になりかねないね。これ以上の静観は危険だ」
「あーもうメチャクチャだよ……!」
「じゃあもう最後の手段しかないな。プラン③、全員ぶっ飛ばす」
「「「「賛成」」」」
どんどん悪化していく状況に、ナラカが重苦しい溜め息と共に紫煙を吐いて提案した内容に、イヴリンを始めとした4人は一も二もなく同意した。
テラー・ラプトルが発したエーテル波動を利用した協律コアの緊急停止させた装置も、一般人に過ぎないテッサが入手、作成できるはずもなく。恐らくはフーガと“組織”の上層部が目的を確実に成就させるため、現場には通達せずに組み込んだのだろう。
フーガと“組織”側の構成員は讃頌会の乱入も相俟って完全に恐慌状態。とても話し合いで解決などしている暇がなく、聞く耳を持つかも定かではない。
力尽くで押し通り、協律コアを再起動させ、スターループの推進力を回復させることだけが全員で助かる術であり、アストラとアキラ、リンの決断でもあった。
「よし、デカブツはオレが倒す。イヴは露払いだ、協律コアを再起動させろ。アキラとリンは協律コアに異常があった場合に備えておけ」
「大将一人でアレの相手をするの……!? 危険よ……!」
「そうは言ってもな。イヴでも倒せんわけじゃないだろうが、時間がかかるだろうよ」
「…………任せても、いいんだな?」
「問題ない。どちらも一撃で終わらせてやる」
「分かった、頼んだぞ」
「……イヴ!」
「お嬢様、彼の言う通りだ。私では時間がかかり過ぎるし、君達の身を守る者がいなければ協律コアにさえ辿り着けない。二人も、それで構わないな……?」
「ああ。ナラカができると言った以上、それはできることさ」
「ナラカ、死んじゃったら、私達泣くからね……!」
「アホか、オレが死んだらお前等は泣いてる暇もなく死ぬだろうに…………だがまあ、お前らに泣かれるのはゴメンだな。泣き止ませるのも面倒だ」
アストラの気遣いを余所に、イヴリンはナラカの提案を受け入れる。
彼女にもテラー・ラプトルやサクリファイスにも通用するであろう切り札はあるが、確実に倒し切れるとは限らない。信を置くナラカが“問題ない”と口にした以上、イヴリンに疑う選択肢はなかった。
アキラとリンも、彼女と同様の心境らしく、不安こそあれど疑いは絶無。
己を家族と呼ぶ二人の表情と言葉に、ナラカは煙草を吸いながら、薄く笑って見せるだけ。
その全てを見て、アストラはようやく折れた。
「…………もう、分かった! 分かったわよ! それで、私は全力で歌えばいいのね!」
「ああ、それでいい…………しかし、歌……歌か。念には念を入れておこう。歌なら、弁天さんでいいか……」
「ベンテンサン……?」
「
ナラカは何を思ったか。
呪いなどまるで信じていない人種であろうに、そんなことを言い出した。
煙草を咥え、両手を開けるとイヴリンも見たことのない形を作る。
左手の指を伸ばして手の平を天に向け、その上に右手の親指と人差し指で輪を作って翳すと、何事かを唱え始めた。
「──
「
「
「
イヴリンも、残る三人も、下手をすれば新エリー都の誰一人として知らぬ、失われた言語による詠唱。
聞き慣れぬ言葉の羅列と奇妙な発音は、奇異にして奇怪。ともすれば、讃頌会以上に怪しげなカルトが唱えるものと感じてしまうほど。
しかし、讃頌会の信徒が神に捧げる祈りとは一線を画していたのは、ある種の神聖さを纏っていたことか。
「ええっと、今のは……?」
「お前の歌に、エーテルが反応しやすくした」
「は? いや、エーテル波動を出したり、感じ取れるのは知ってるけど、そんなことまで出来るのかい……?」
「────と、思う。恐らく、或いは、多分、もしくは……」
「急に自信なくしたーーー! あんなに格好よく唱えてたのに……!?」
「いや、オレもこういう使い方したことなくて。欲しくもなかったし、何ならこんな胡乱な
「……能力?」
「ンナナッ、ンナァ(普通じゃ考えられない特異な能力を生まれ持ったり、目覚めたりする人間がいるだろう? ナラカのは“繋ぐ力”だ。敢えて名付けるならエーテルリンク、かな?)」
「確か、トリガーもエーテル波動が見えるらしいよね。そういう能力なの……?」
「ンナンナッ(ボクも知ってはいるけど説明しきれないんだ、専門家じゃないからね。何にせよ、ナラカを語る上ではおまけ程度のものさ)」
イヴリンも、奇異な能力を持つ者は聞いたことがあった。
TOPSの保有する戦力の中には、死者の声を聴くことができる者がいるとか。
恐らく、リンが漏らしたトリガーとやらも似たようなもので、常人とは違う感覚を持っているのだろう。
エーテルを研究する専門家曰く、エーテル適応体質の延長線上に存在するもの、エーテルに適応していく過渡期故の変異だとも。
いずれにせよ、知識の不足しているイヴリンに測れるものではなく、効果を目にしていない以上は実感もなかった。
「もしや、讃頌会は君のその能力を……?」
「その可能性が一番高いとは思うんだが、讃頌会が知ってるわけも、知れるわけもない。ほとんど説明したことはないし、やってること自体は術法の延長線上にあるもんだ」
「躍起になって確保する理由がない、ってコト……?」
「そのはずなんだがな…………あ、バレた。離れろ離れろ」
「えっ……? きゃあぁあ……!」
気配を感じ取ったであろうナラカを、平時と変わらない態度で立ち上がり、ゆっくりと腰壁から離れていく。
慌てて後を追うと、貴賓室全体が揺れた。
腰壁の向こうからぬるりと現れたのは、変異したサクリファイス。
何をどう察したのか、外の壁に取り付いて全員を舐めるように見回し、標的の姿を見つけると、その腕を伸ばしてきた。
「讃頌会の信徒であることは、オレも否定はしない。何を信仰しようがお前達の勝手だしな。だが、こちらに手を出すというのなら容赦はしない。誰も逃れられない原初の
「────■■ッッ!!?!」
携帯灰皿で煙草を揉み消し、吸い殻を詰め込みながらナラカは吐き捨てた。
顔を覆い隠す仮面の口元が閉じると、彼の怒りが滲むように、カメラアイが輝く。
コートが翻り、ナラカの身体が反転する。
自身の背後から伸ばされるサクリファイスの巨大な手を、痛烈無比な回り蹴りで弾き飛す。
「
無論、それだけでは止まらない。
そこから更に一歩踏み込むと、下から掬い上げるような鉄拳を無防備な顎へと叩き込む──!
あまりの威力に跳ね上がったサクリファイスの頭部は貴賓室の天井へと叩き付けられ、思考も肉体の制御も奪われたのか落下していく。
空気を震わせるほどの衝撃を生む一撃一撃は、鬼神の如き力と確かな技量に支えられていた。
「細かいことは後で考えるか。そっちは任せたぞ」
「…………死ぬなよ。君を呼んだのは私だ、死なれたら寝覚めが悪くなる」
「ハッ、死ぬつもりなんて
「……ふっ」
「ただでさえ仕事で睡眠不足の女の頼みだ。隈でもできたら折角の良い面も台無しだからなぁ……!」
イヴリンに向き直ったナラカは軽口を叩きながら後ろ歩きで進み、その肩にガウタマが飛び乗る。
そのまま止まることなく腰壁の向こう側へと消えた。
間を置かずに会場の天井に伸びたワイヤーと躍動する彼の身体が現れ、ステージの中央へと降り立つ。
前門には、新たな標的に照準を合わせるテラー・ラプトル。後門には、打撃と落下の衝撃に首を振るサクリファイス。
どちらか一方でも一人で相手取るには苦戦は免れないだろうに、ナラカは仁王立ちのまま戦意だけを漲らせていた。
「我々も行こう。リン、残り時間は……?」
「あと三分ちょっと。イヴリンさんとアストラさんもいるから大丈夫だね……!」
「よぉーし……! 私の歌で皆を助けてみせるんだから……!」
「…………ところで、その、彼は……」
「僕達の
「はいはい、お兄ちゃんもう行くよー! 心の中の少年は一旦仕舞っちゃおうねー!」
「…………はあ、君達は。彼もそうだが、本当に締まらないな」
ズボンを両手で握り締め、下唇を噛んでぶるぶると震えながら一筋の涙を流すアキラ。
普段アンニュイで優しいながらも物憂げな彼からは想像できない、感極まった少年のような表情だ。
あまりにも場違いな、緊張感のない三人の態度と陽気な声に、イヴリンは溜め息をつきながらも笑みを零すのだった。
サクリファイス変異体“テリオン”
サクリファイスと化した信徒が、同胞のエーテルを取り込んで更に変異した姿。今回限りの変異と見られ、再現性はない。相変わらず自我もなく、暴れまわる。
見た目は真っ白で毛皮のない四足歩行獣。形は狼や獅子に似ているが、大きさはテラー・ラプトルを上回るほど。
遠距離攻撃手段は持たないが、巨体から生み出される速度と勢いは脅威。爪と牙、10本もの角、更には先端が三叉に別れた尻尾を使って掴み攻撃をしかけてくる。
この形となったのは信徒が“終末の獣”と聞いたことで、黙示録の獣を連想し、対抗するためと思われる。名前も勿論、黙示録の獣の異名から。
詠唱。
別に唱える必要はない。ナラカが集中しやすいから唱えただけ。掌印は
内容は要約すると『いえーい! 神仏の皆見てるー? これからアストラが迷える衆生に歌を届けるよーん! 見とけよ見とけよー!』。
元ネタは光明真言、弁財天真言、神道九字など。着想は勿論某シリーズ。意味合いは現実のものとぜーんぜん違うので注意。
ナラカが生まれた集団、或いは組織は、仏教、密教、修験道などを取り込んだ思想を有していた。
エーテルリンク
詳細不明。レベル1。ナラカ曰く“胡乱な能力”、ガウタマ曰く“繋ぐ力、ナラカを語る上ではおまけ程度”。
エーテル波動の拡散なども、この力を応用したもの。今回は、会場全体のエーテルに、アストラの歌が利きやすいように干渉した。
トリガー、ダイアリンなどエーテルが原因と思われる異能を有する者は存在するが、基本的に受動的。能動的にエーテルへと干渉するのは雲嶽山の術法の以外には──
ナラカはこんな能力、別にいらねー、とのこと。
讃頌会はこの能力を狙ってきた────とでも思ったかい? 違います。だって讃頌会には知りようがないからね。いや、君達本当になんなの?
原初の理。
やったらやりかえされる。殴ったら殴られる。単純な理屈。
どんな聖者も、どんな悪党も、例え神であろうとも、この理の外にはでられない。
新エリー都の住人のほとんどがそれに気づいていない。立場や法に守ってもらっていて、安全圏から一方的に殴れると勘違いしている。
市政も、ヘーリオス研究所も、TOPSも、讃頌会も、始まりの主ですらも。やられた相手、犠牲にされた相手は、やりかえす前に死んだだけ。その在り方を、ナラカは侮蔑する。
「見ものだぞ? 殴ったのに自分が殴られるわけがないと信じてる奴がぶん殴られるさまは。痛快ですらある。笑えるね」
アキラ
小説の視点はどちらが読みやすい?
-
一人称
-
三人称