フリーレン「そうだ。社会主義革命を起こそう」 作:あっさーだ
列車は予定より二時間遅れてフルンゼに着いた。
フルンゼは計画的社会主義的都市として建設された、碁盤の目のように道路が引かれた地方中枢都市である。そして、シュタルクがコルホーズを抜けて初めて来る大都市でもあった。
駅舎の天井は高く、正面には収穫の壁画があった。
その下の一時預かり所に、シュタルクが荷物を押し込んだ。番号札を三枚受け取り、一枚をフェルンに渡し、一枚をフリーレンに渡そうとして、フリーレンがすでにどこかへ歩き出しているのに気づく。
「もう、何をしているんですか」
フェルンがフリーレンを捕まえに行った。お母さんである。
「じゃあ、解散。私は街を散策してくる」
「では、私たちは買い出しに行きましょうか」
駅前に地図はなかった。そもそもこの国に、高精度な地図などというものは存在しない。通行人を捕まえて案内してもらうのが文化である。
どこで物を買えばいいか、フェルンが通りがかりの婦人に道を尋ね、返ってきた説明を復唱して確かめた。二つ目の角の、緑の扉のほう。
歩きながら、フェルンが上着の内側から畳んだ網袋を取り出して、手首にかけた。
「フェルン、何を買うか決めているのか?」
シュタルクが疑問を口にする。
「まだ決めておりません。でも、持ってないとなにか売っていた時困りますので」
シュタルクが納得しかねた顔でフェルンを見た。その言い方だと、まるで買いたいものが先にあるのではなく、買えるものが先にあるように聞こえる。
(普通逆じゃないのか?)
シュタルクはそう思ったが、声には出さなかった。決して日和ったわけではない。
角を曲がると、通りの向こう側、食料品店の前に列があった。
三十人ほど。誰も看板を見ていない。列の先頭が店の中へ折れ曲がって見えなくなっているので、何が売られているのかは、並んで、中に入るまで分からない。
フェルンが袋を持ち直して、最後尾へ歩いていく。
◇
「最後の方はあなたですか?」
フェルンは列の末尾に立っている婦人に尋ねた。
婦人はうなずき、それから自分の前の男を指して、この人の前にもう一人、煙草を買いに行った人がいる、と付け加えた。
列は人ではなく、順番でできている。誰がどこに立っているかではなく、誰の次が誰かという関係だけが列を支えていて、その関係さえ引き継いでおけば、人は列を離れることができるし、戻ってくることもできる。
フェルンは自分の後ろに来た老人に同じ引き継ぎをして、シュタルクを店の反対側へやった。
「何を売ってるんだ?」
シュタルクが小声で訊いた。
「まだ分かりません」
とフェルンは答えた。
(なにが売ってるかわからないのに並ぶのか?)
都市にきてからシュタルクの疑問は増えるばかりだった。
十五分ほどして、列の前のほうから言葉が伝わってきた。
「やりました。マヨネーズだそうですよ。三瓶ほどまとめて買いましょうか」
フェルンの声色が明るくなる。シュタルクにはわからなかったが、どうやらあたりの品らしい。
「でも、それ全部使わないだろ? 持ち歩くのも大変だし。どうするんだ?」
「シュタルク様はわかっていませんね。買えるときにすべて買うのは鉄則です」
フェルンが少々あきれた声で言う。
店内は暖かく、白いタイルの壁に声が反響していた。ガラスの陳列棚、真鍮の秤、天井から下がる二つの照明。会計台では女性が珠を弾いている。
「では、私は別の列を見てきますので後はお願いします」
フェルンがいったん離れる。
(まあ、ただの買い物だし何とかなるだろ)
────甘かった。シュタルクの額に汗が浮かぶ。
(列に何回も並んでいるのは一体どういうことだ? 商品を直接受け取るわけではないのか? コルホーズの店では、婆さんに言えば棚から出してきてくれた。金はその場で払うし、無ければ次の分配まで帳面につけてもらえばよかった。婆さんが覚えているんだから、それでよかったんだ)
実は行列の手順は三つに分かれている。
まず売り場で品と量を告げ、重さと値段を言われる。次に会計台に並んで金を払い、伝票を受け取る。最後に売り場へ戻り、伝票と引き換えに品を受け取る。合計三回並ぶ必要があるのだ。
シュタルクは二度目で失敗した。会計台で金を払い、伝票を受け取らずに売り場へ戻り、売り場の女性に何も言われないまま突っ立っていた。
「シュタルク様、何をしているのですか」
フェルンが列を老人に引き継いで、彼を回収しに行った。
「伝票がないと物にならないのか?」
シュタルクは言った。
金は払ったのだから物は買った、というのが彼の理屈だった。フェルンは、払ったことの証明が伝票です、と答えた。伝票がなければ、払ってないのと同じらしい。
村では、覚えている人間が一人いればそれで済んだ。都市では、覚えている人間がいないことを前提に全部が組み立てられている。
シュタルクはその違いを言葉にできなかったが、伝票を受け取るとき、なんとなく婆さんの帳面のことを思い出した。
三人分で、蕎麦の実が二キロ、脂身の多いソーセージが一本、それから缶詰がいくつか。マヨネーズ。缶詰の中身は絵で描いてあり、絵と中身は必ずしも一致しないのだと婦人が教えてくれた。
袋は重くなり、網目のあいだから中身の形が全部見えていた。この町の誰もが、すれ違いざまに他人が今日何を手に入れたかを知ることができる。
◇
広場の角に炭酸水の自動販売機があった。
硬貨を入れると水が出る。シロップを入れると三倍の値段になる。グラスは一つだけ台に伏せてあって、飲んだ人が水を出す口に押しつけて洗い、次の人のために伏せて置く。
シュタルクは洗わずに飲もうとして、後ろに並んでいた男に肩を叩かれた。フェルンが手本を見せた。押しつけて、まわして、伏せる。
空き瓶の回収所には昼休みの札が下がっていた。昼休みが何時までかは書いていなかった。
その隣では、売り子だけが氷点下の広場で働いていた。丸い金属の箱を提げて、ワッフルに挟んだアイスクリームを売っている。
冬にこれを売る理屈は誰にも説明できないが、この国では一年じゅうこれだけは必ず手に入るということを、シュタルクは半日でもう学んでいた。彼は二つ買い、フェルンが一個半食べた。
広場の反対側から、フリーレンが戻ってきた。
網袋も紙包みも持っていない。代わりに、皿くらいの円形の物を一枚、頭より高く掲げている。
「むふー」
「フリーレン様。それは何ですか」
「闇市で買った」
堂々と言うことではなかった。
その円形のものは、写真だった。使用済みのレントゲンフィルムを切り取ったもので、光にかざすと肋骨が透けて見える。
「肋骨レコードっていうんだ。写真に音楽が刻まれてる」
「どうやって聞くのですか?」
「……専用の再生装置があるんだけど、持ってない」
「……お立場を考えてください」
「うん」
フリーレンは返事だけして、肋骨レコードを鞄にしまった。シュタルクは、最後までそれが何かわかっていないらしかった。
外へ出ると、もう日が傾いていた。この緯度では、午後四時にはもう夕方になる。
◇
料理店の扉には、席がありません、という札が下がっていた。
ガラス越しに中を見ると、テーブルの半分以上は空いている。シュタルクが札と店内を三度見比べた。
フェルンは網袋の底からマヨネーズの瓶を一つ取り出し、扉の内側に立っている男に渡した。男は瓶を受け取り、上着の下へ入れて、それから札を裏返した。三名様、奥のお席へ、そう案内される。
「今のは何だ?」
シュタルクが小声でフェルンに訊いた。
「席が空いたそうです」
シュタルクにはさっぱりわからなかった。なぜさっきまで満席の札だったのだろう。
奥の壁際に通された。品書きを見て、料理を注文する。
「じゃあ、俺はこれで。キエフ風のカツレツ」
「ございません」
「……じゃあ、これ。ビーフストロガノフ」
「ございません」
「……これ。ペリメニ」
「ございません」
「あるものを言ってくれ!」
「ソリャンカ、鰊のマリネ、ゼリー寄せ。あとサラダです」
四ページある品書きのうち、意味を持つのは四行だった。
「私は店にまかせようかな」
フリーレンが言った。給仕がわずかに戸惑ってから、かしこまりました、と下がっていく。
シュタルクはソリャンカを、フェルンはゼリー寄せに加えてサラダを頼んだ。
料理は四十分来なかった。
「おい、本当に来るのか? 騙されてるんじゃないのか?」
腹が減ったのか、シュタルクが半泣きになりながら苦情をいう。
「気長に待とう。いつか出てくるよ」
フリーレンが言う。彼女にとって、この待ち時間はそこまで苦痛ではないらしい。いつかっていつだよ、とシュタルクがまた半泣きになった。
杯が三度回された。一度目は再会に、二度目は健康に。
三度目のとき、シュタルクが何か言おうとして立ち上がりかけ、フェルンが袖を引いて座らせた。
三度目は何も言わずに飲む。この国のどこの卓でも、三度目の杯は、いない人のためにある。
「ヒンメルはこういう店では、いつも店の人にお任せしていた」
フリーレンが言った。
「来るまで何が出てくるかわからない。それがレストランの楽しみなんだ、って。ハイターはひたすら酒を飲んでいた。料理より先に酒が来るから、この店は仕事が速いって毎回言ってた」
「師匠は?」
「何を頼んでも、パンを追加で頼む。余ったら包んで持って帰る」
料理はやがて来た。
フリーレンの皿には、何かの魚のゼリー寄せが乗っていた。
フェルンのサラダには、マヨネーズがかかっていた。フェルンは満足そうにうなずいて、やはり買っておいてよかったですね、と言った。
外食である以上、買った物と食べている物のあいだに何の関係もないはずだが、この国の食卓ではそういうことになっている。
シュタルクはソリャンカを二杯おかわりし、皿に残った汁をパンで拭って食べた。
フリーレンがそれを見ていた。
「アイゼンと同じことをする」
「え?」
「なんでもない」
シュタルクは首をかしげて、拭き終えたパンを口に入れた。
◇
ホテルの受付は暗く、卓上の照明だけが灯っていた。
宿泊には身分証と、旅の目的を記した書類がいる。フェルンが三人分を揃えて出した。ただ、カウンターには満室の札が掲げられている。
受付の男が二枚目を開いた。それから姿勢を変えた。椅子から立ち上がりはしなかったが、背中が椅子から離れた。
しばらく前までどの部屋も塞がっていたはずのこのホテルに、二階の、広場に面した続き部屋が二つ現れた。満室に急に空きが出るのは、よくあることである。
各階の踊り場に係の女性がいて、鍵を預かる。出るときに渡し、帰ったら受け取る。誰が何時に出て何時に戻ったかは、その人の頭の中に全部ある。
湯が出るのは七時から十時まで。部屋の受信機は音量を絞ることはできるが、切ることはできない。夜のあいだじゅう、どこか遠くの局の声が、壁の中で低く鳴っている。
シュタルクは廊下で係の女性に叱られた。靴のことか、湯の時間のことか、あるいはその両方だった。
フェルンは机の上に今日の収穫を並べ、手帳を開いて書きつけた。蕎麦の実、二キロ。ソーセージ、一本。缶詰、四つ。マヨネーズ二瓶。
「あれ? マヨネーズ三瓶買ったよな?」
シュタルクが横から言った。
「一瓶使いました」
フェルンが言った。何に使ったかは書かなかった。書かなくても、この手帳を後で読む人間は彼女しかいない。
シュタルクが部屋へ引き上げ、フェルンが手帳を閉じたあとも、フリーレンは窓辺に立っていた。
広場は暗く、街灯は三つおきに灯っている。壁の中では受信機が鳴りつづけていて、遠い局の音楽が、切れかけた電線のように途切れては戻ってくる。
フリーレンは上着から肋骨レコードを取り出して、街灯の光にかざした。
誰の胸かはわからない。もう治ったのかもしれないし、そうでないかもしれない。溝はきちんと刻まれていて、しかしそれを鳴らす道具は彼女の手元にない。
音は出なかった。
今日は何も起こらなかった。列に並び、伝票を受け取り、氷点下でアイスを食べ、四十分待って魚を食べた。フェルンの手帳に載っているのは、蕎麦の実と、ソーセージと、缶詰と、マヨネーズ二瓶だけである。
フリーレンは肋骨レコードを窓枠に立てかけて、灯りを消した。
ソ連小ネタ注釈
■ 街に着く
**碁盤の目の計画都市/駅舎の壁画**
新設都市は中央の設計図に従って建てられ、どこへ行っても同じような大通り、同じような広場、同じような文化会館がある。駅や地下鉄の駅舎には、収穫・労働・宇宙を主題にした壁画やモザイクが必ずと言っていいほど設置された。建物の格が上がるほど天井が高くなるのも定番。
**一時預かり所**
駅の必需品。旅行者は大荷物を抱えて移動するのが常だったので、番号札と引き換えに預ける施設が大きな駅には必ずあった。
**地図がない**
一般向けの地図は縮尺が粗く、しかも意図的に不正確に作られていた。軍事的な理由で、道路や川の位置がずらされ、施設が消され、街の輪郭すら変えられていることがあった。だから道は人に訊く。訊かれた側も慣れているので、丁寧に教えてくれる。
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■ 買い出し
**網袋**
第一話の注釈で触れたアヴォーシカ。「何か売っていたときに困るので、いつも持っている」というフェルンの説明が、この袋の存在理由そのもの。
**「最後の方はあなたですか?」**
列に加わるときの決まり文句。ロシア語で「最後は誰ですか」と訊き、答えた人の後ろにつく。重要なのは物理的な位置ではなく「誰の次か」という関係なので、順番さえ引き継いでおけば列を離れて別の用事を済ませられる。同時に二つ三つの列を掛け持ちする猛者もいた。
**何が売られているか分からないまま並ぶ**
列ができていること自体が「何か入荷した」という情報である。まず並び、それから何が買えるのかを知るという順番は、当時の買い物の基本動作だった。
**マヨネーズ**
ソ連の食卓の絶対王者。サラダにも、肉にも、魚にもかかる。年末年始の定番料理には大量に要るので、手に入るときに確保しておくべき戦略物資である。フェルンが色めき立つのは正しい反応。
**「買えるときにすべて買う」**
必要かどうかは後で考える。今日買えたものが明日も買える保証がないので、備蓄が家計管理の基本になる。押し入れに用途不明の品が積まれるのはこのため。
**三回並ぶ**
第一話の注釈でも触れた購入手順の、実演回。①売り場で品と量を告げて値段を聞く →②会計台で払って伝票をもらう →③売り場で伝票と引き換えに受け取る。シュタルクの失敗(伝票を取らずに戻る)は、この制度に初めて触れた人がまずやる失敗である。
**そろばん**
会計台には計算機ではなくそろばんが置かれていた。玉を弾く音は、店の音風景の一部だった。
**缶詰の絵と中身**
ラベルの絵は必ずしも中身と一致しない。印刷所の在庫の都合であることも、詰めた工場の都合であることもある。
**中身が見える袋**
網袋なので、持っている物が全部見える。「今日は何が出ていたか」が街頭で共有されるわけで、袋を見て人が列を探しに走る、ということも起きた。
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■ 広場
**炭酸水の自動販売機**
街角の定番設備。安いのが素の炭酸水、高いのがシロップ入り。グラスは備え付けが一つだけで、飲み終わったら機械の洗浄口に伏せて押しつけ、水を噴かせて洗い、次の人のために伏せて戻す。洗わずに飲むのは作法違反。グラスは持ち去られることも多く、しばしば補充された。
**空き瓶の回収所**
瓶には預り金が乗っており、返すと現金になる。子供の小遣い稼ぎであり、大人にとっては現金化の手段だった。「昼休み」の札が下がっていて、いつ終わるか書いていないのも含めて日常の風景。
**冬のアイスクリーム**
ソ連のアイスクリームは品質の高さで知られ、真冬の屋外でも売られ、本当に売れた。品不足の国で年間を通じて確実に手に入る数少ない品目のひとつで、外国人が一様に驚いた点でもある。
**闇市**
公認の枠外で物が動く場所。西側の衣類、レコード、輸入品などが、公定価格の何倍かで取引された。終身党中央特命全権代表が堂々と利用してはいけない。
**肋骨レコード**
使用済みのレントゲンフィルムに、禁止された西側の音楽を刻んだ密造レコードで、「骨の上の音楽」「肋骨レコード」と呼ばれた。フィルムは病院から流れてくるので、盤面には見知らぬ誰かの肋骨や骨盤が透けている。円く切り抜き、中心を煙草で焼いて穴を開ける。音質は劣悪で、数十回も再生すれば擦り切れた。一九五〇〜六〇年代に大流行し、製造・販売した者は摘発された。
**午後四時の夕方**
高緯度の冬は日照が極端に短い。出勤時も退勤時も暗い、というのが北方都市の冬の常態である。
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## ■ 外食
**「席がありません」の札**
店内が空いているのに満席の札が出ている、というのは実際によくあった。人手不足、材料不足、単に面倒、あるいは扉番に何かを渡せば席が出るから。
**品書きに載っていてもない**
四ページの品書きのうち実際に作れるのは数品、というのは定番。給仕に「あるものを言ってくれ」と頼むのが最短経路になる。
**料理名**
ソリャンカは酸味の効いた濃いスープ、ゼリー寄せは肉や魚の煮汁を固めた冷菜、鰊のマリネは酒の定番。キエフ風カツレツやビーフストロガノフは品書きの飾りとして載っている高級料理の代表格で、ペリメニは水餃子に近い庶民料理。シュタルクは上から順に、ない物だけを選んでいる。原作にハンバーグ(ハンブルグ)があるのならキエフ風もあるだろう。
**三度目の杯**
宴席では順に乾杯の口上を述べるが、三杯目だけは口上を言わず、黙って飲む。いない人のための杯だからで、グラスを打ち合わせることもしない。軍隊由来の習慣が広く一般化したもの。
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■ 宿
**身分証と旅の目的の書類**
宿泊には身分証明のほか、出張命令書にあたる書類が要った。これは滞在の正当な理由を示す文書で、宿の側にとっては帳簿に記載する根拠になる。第二話でシュタルクが困っていた旅券の問題と、同じ制度の別の側面。
**満室が急に空く**
上級機関の関係者と分かった途端に部屋が出る。ホテルには一定数の予備の部屋が常に確保されており、公式には満室、実際には空いている、という状態が普通だった。
**階の当番**
各階の踊り場に女性職員が常駐し、鍵を預かり、湯の時間や客の出入りを管理した。誰が何時に出て何時に戻ったかを全部把握しているのがこの職の本質で、便利な世話係であり、同時に監視の末端でもある。
実はマハト編もすべて書いているのだが出来が微妙なので封印するか供養するか悩み中。