ガンプラバトル・ネクサス・オンライン、略してGBN。
アクティブユーザー2千万人以上を誇るこの流行りのゲームの楽しみ方は人それぞれで、ガンプラバトルに明け暮れる人、ミッションをやり込む人、ディメンション巡りや他のダイバーとの交流を楽しむ人など色々いる。
かく言うわたし、ダイバーネーム"マリン"ことツキシマ・マミもその色々なことが出来るのが良くてこのゲームをやっている。
「ほんま、こうやって海に入るのなんていつぶりやろうか。」
GBNのディメンション内に再現された海で1人、浮き輪に乗っかり、水面から自分のダイバールックの腰から生えてる海竜の尻尾を出した状態でぷかぷかと漂いながらぼそりと呟く。
リアルでの季節は夏、世間では夏休みシーズンということでゲームの中でくらい夏らしいことをしようと、適当にビーチのあるディメンションにやって来ていた。
とはいえ、人の多そうな場所は避けて辺鄙な場所を選んだので、わたし以外には誰もいない貸切り状態だった。
「…あー、気持ちええなぁ…。
まぁでも、そろそろ一旦陸に戻るかな。」
わたしは休憩のため、一度砂浜に上がることにした。
ーーー
「…それにしても、長閑やなぁ。」
わたしは砂浜に駐機させている自身のガンプラ、『鉄血のオルフェンズ ウルズハント』に登場するガンダム・端白星をベースにわたしのダイバールックと同じように海竜をイメージしてカスタムした"ガンダム・レヴィアタン"の足元に設営したビーチパラソルの下で寝そべっていた。
砂浜に打ち寄せる波の音と、時折り吹く潮風がなんとも心地良い。
「最近、仕事やらなんやらでこんな感じでゆっくり外に遊びに行く機会も減ってたしなぁ。
その点、GBNは手軽に旅行みたいなことも出来るからええわ。」
作り込まれたグラフィックと感覚フィードバックのおかげで、ここがゲームの中の世界であることを時々忘れそうになる。
またリアルでもどっか遠くへ出掛けたいなぁ、なんてぼんやり考えていると、寝そべっているわたしの顔の前にいきなりウィンドウがポップアップする。
「いきなり何やねん…って、救難信号…?」
忌々しげに画面を見ると、どうやら誰かからの救難信号を受信したらしい。
場所は直ぐ隣のエリアのようで、わたしが一番近そうだった。
「初心者狩りか何かか…?
まぁでも、誰か強いダイバーが行くやろ。
わたしが行ったとこで、どうせ役に立たんし。
さ、もうひと泳ぎしてこよかな。」
わたしはミッションはそこそこやっているものの、ガンプラバトルの方はからっきしなので殆どやっていない。
強くなれるように努力していないお前が悪いと言われればその通りだけど、そもそもガンプラバトル以外にも自分で作ったガンプラを使って遊べる要素があるからこそ、わたしはGBNをやっている。
他のダイバーとのガンプラバトル、ましてや十中八九厄介事であろうことに自分から首を突っ込むことはない。
開いたウィンドウを見なかったことにして閉じ、起き上がって波打ち際の方へと向かう。
しかし…、
「…あー、もう!
何で他人事やと割り切れへんかなぁ。」
一度気にしてしまうと、ずっと気になってしまうわたしの悪いところである。
「こんな気分ではおちおち遊んでられへんわ…。
まぁ、返り討ちにされたらされたで、失うもんはダイバーポイントだけやしなぁ。」
わたしはビーチパラソルとレジャーシートを片付けると、水着姿のままレヴィアタンのコクピットに乗り込んだ。
マリンさんのダイバールックは半人半竜(水属性)です。