「わたくしたち2人と、ガンプラバトルをしてくださいませんか?」
わたしとカノンに声をかけてきた女性ダイバーのお願い事というのは、わたしたちとのガンプラバトルだった。
「ガンプラバトル、ですか?」
「はい。この子、わたくしの弟がついこの間GBNを始めたばかりでして。
そろそろ他のダイバーさんとのガンプラバトルの経験をと思っていたのですけど、近頃ブレイクデカールやら何やらで物騒でしょう?」
隣にいる男の子ダイバーの頭を撫でながら、女性ダイバーはそう話す。
ブレイクデカール、かなりGBN内に蔓延しているのだと改めて実感してしまう。
「それで、同じようなレベル帯と思われる方に直接声をかけさせていただいていたのです。」
「なるほど…。」
さて、どうしたものか。
実はこの2人がマスダイバーかもしれないという可能性も含めて、あまり気乗りしないというのが本音ではある。
でも、かと言ってわざわざ直接誘ってもらったのを無下にするのも憚られる。
「…マリンさん。私、やってみたいのだわ。」
「カノンちゃん…。」
わたしが決めかねていると、カノンが口を開く。
カノンにやりたいと言われてしまえば、もう断れないか…。
「わかりました。
バトルのお誘い、受けさせてもらいます。」
「まぁ…!
受けてくださるのですね!嬉しいわ…!」
「マリンさん、ありがとうなのだわ!」
「そういえば、お互いまだ名乗ってませんでしたね…。」
「あら、ごめんなさいね!
初めまして、わたくしはフウカと申します。
そしてこっちはわたくしの弟の…。ほら、たっくん。お2人にご挨拶なさい?」
「た、タクトです!よろしくお願いします…!」
「フウカさんにタクトくんですね。
わたし、マリンって言います。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「私はカノン、よろしくなのだわ!」
こうしてわたしたちはフウカさんとタクトくんとのガンプラバトルを受けることにした。
正直不安しかないが、カノンが楽しそうにしているのなら良いかと自分に言い聞かせながら、ガンプラが格納してあるハンガーへと向かった。
ーーー
「こぉんの…!
高いとこから好き放題やってくれるなぁ…!」
「あらあら、どうしましたマリンさん?
このままでは、穴だらけになってしまいますよ?」
あまり遮蔽物のない、広い荒野のステージ。
わたしはフウカさんのガンプラ、アリュゼウスのカスタムモデルによる空中からのファンネルミサイルによる爆撃から必死に逃げていた。
左右にブーストダッシュしたり、避けきれないものはシールドで防ぐか、ミサイルで迎撃したりして何とか耐える。
「逃げているばかりでは埒が開きませんよ?
さぁ、これは如何かしら?」
フウカさんはアリュゼウスをフライトフォームからMS形態へと変形させると、今度はビームライフルとビームキャノンも織り交ぜて攻撃してくる。
わたしもここぞとばかりに、両肩のインパルス砲とロングブレードライフルで反撃するが、フウカさんはひらりひらりと躱してしまう。
「ふふふ。やはり飛行能力を持ったガンプラを飛べないガンプラで相手をするのは辛いでしょう?」
「…反論できんなぁ…!」
わたしのガンプラ、レヴィアタンは水中で自由に動くことが出来る反面、自力で空を飛ぶことが出来ない。
そこまで作り込めなかった自分が悪いのだが、空を飛ぶ相手に地上から攻撃するしかないのは、なんとも歯痒かった。
「マリンさん!援護するのだわ!」
「ダメ…!フウカお姉ちゃん、避けて!」
「え…?」
何とかしなければと考えていた刹那、タクトくんのストライクガンダムのカスタムモデルを振り切ったカノンのクスィーが、フウカさんのアリュゼウスにビームライフルを放つ。
フウカさんはわたしに注意が向いていたこともあり、避けきれずに左側の背中のシェルフノズルに被弾してしまう。
「くっ…!やってくれましたね…!」
「…ありがとう、カノンちゃん!
今度はこっちから行かせてもらうで!」
カノンの攻撃で出来た隙を突いて、わたしはインパルス砲とミサイルの斉射をフウカさんのアリュゼウスに叩き込む。
しかし、フウカさんは追加装甲を一部犠牲にすることで回避してしまった。
「やっぱり、そう簡単にはやらせてくれへんか…!」
「ふふ…。せっかく面白くなってきたのに、簡単に終わらせてはつまらないじゃありませんか。
まだまだ、バトルはこれからですよ?」
半壊状態になったアリュゼウスのコアユニットたるMSのツインアイが、怪しく光るのが見えた。
アリュゼウスの中の人は誰じゃろなー。