(前回から引き続き、ヴァイスガードのお三方に登場していただいています)
ステージの空間に出来たひび割れから這い出て来たのは、本来よりも大きく禍々しい姿に変わり果てた、この連戦ミッションのボス機体であるアルヴァトーレだった。
「ブレイクデカールの影響がこんなところにまで出ているとはな。」
「影響って、ブレイクデカールはガンプラのステータスを不正にいじくって、過剰に強化するためのモノなんじゃ…。」
「それが、どうもそれだけじゃなさそうなのさ。」
ブレイクデカール、ガンプラの性能を不正に強化するためのものとばかり思っていたが、クーロウさんとルーニーさんの言葉から察するに、どうやらGBNそのものにも影響を与えているらしい。
「マリンにカノン、すまないが詳しい話はこの化け物を倒してからにさせてもらう。
2人とも、まだ動けるか?」
「はい、移動するだけなら何とか…。」
「同じなのだわ。」
「よし、2人は出来るだけ下がっていてくれ。
ルーニー、ドゥーエ、行くぞ。」
そう言って、クーロウさんたちはアルヴァトーレへと向かって行く。
その間に、わたしたちは3人の邪魔にならないようにこの場を離れる。
「バグの影響で更に堅くなっていると思われるGNフィールドが厄介だ。
奴が攻撃しようして、解除したところを一気に叩く。良いな?」
「了解。」
「さぁて、俺は斬り込ませていただくとしますか!」
ドゥーエさんがデスサイズヘルのハイパージャマーを起動し、姿を消した。
距離を詰めるクーロウさんたちに対して、アルヴァトーレは機首部分に装備されているGNキャノンを放つ。
明らかに通常のものより強力になっているであろう極太の粒子ビームを、クーロウさんたちは難なく躱す。
「これはお返しだ!」
クーロウさんのヘビーガンダムのカスタム機が、すかさず右肩のメガ粒子砲をアルヴァトーレへと発射する。
しかし、放たれたビームは分厚いGNフィードに阻まれ、アルヴァトーレには届かなかった。
そして反撃とばかりに、今度はGNファングを射出してくる。
「やはり堅くなっているが、想定内だ。
ルーニー、ファングを任せられるか?」
「オーケー、任せな!」
クーロウさんはビームライフルや左肩のミサイルランチャーで攻撃しながら、アルヴァトーレへと真っ直ぐ距離を詰める。
アルヴァトーレから射出されたGNファングがクーロウさんの行手を阻もうとするものの、ルーニーさんのデュナメスに次々と墜とされていく。
近づいてくるクーロウさんを迎撃するため、アルヴァトーレがGNキャノンを撃つのにGNフィードを解除したその時だった。
「…この時を待ってたぜ!貰ったぁ!!」
ハイパージャマーを解除し、アルヴァトーレの背後に突然現れたドゥーエさんのデスサイズヘルが、アルヴァトーレの機体後部のコーン型スラスターが並んでいるところを、ツインビームサイズで大きく斬り裂いた。
「よくやってくれた、ドゥーエ!
これで終わりだ…!」
今のダメージで大きく体勢を崩したアルヴァトーレに、クーロウさんがトドメとばかりにメガ粒子砲を叩き込む。
GNフィールドを展開出来ず、クーロウさんの攻撃をまともに食らったアルヴァトーレは機体の大半を消し飛ばされながらも、コアユニットである"金ジム"ことアルヴァアロンを分離した。
しかし…。
「おっと。
アニメ劇中の刹那と違って、もうお前さんの存在は知ってるんでな。」
ルーニーさんのデュナメスが放った、GNスナイパーライフルの一撃にコクピット部分を撃ち抜かれ、アルヴァアロンも爆散してテクスチャの塵になった。
「つっよ…。
あのアルヴァトーレをほぼ一方的に…。」
「本当、凄かったのだわ…。」
わたしとカノンは、クーロウさんたち3人の強さにただただ圧倒されていた。
ーーー
「近頃、下位ランカー向けの連戦ミッションに乱入するマスダイバーがいるって聞いて、もしかしたら自分たちが追いかけている集団かもしれないから調査していた、と…。」
「そうなんだ。
結果的に、君たち2人を囮にするような形になってしまった。」
すまない、とクーロウさんは続ける。
あの様子がおかしくなったアルヴァトーレが撃破されたことで、わたしとカノン、そしてクーロウさんたちフォース"ヴァイスガード"の3人はセントラルエリアのロビーに戻って来ていた。
「そんな、気にせんといてください…!
ちゃんと助けてもらったし、マスダイバーが絶対的に悪いんですから。」
「そ、そうなのだわ…!」
わたしたちを餌にマスダイバーを釣るような形になってしまったのかもしれないが、どうあってもマスダイバーが悪いことに変わりはないので、クーロウさんたちが謝る必要はない。
「それよりも、あのアルヴァトーレは一体…。」
「そうだったな。
最近、マスダイバーたちの影響で、GBN内のあちこちでバグが見られるようになってな。
あのアルヴァトーレがおかしくなっていたのも、そのバグの所為と見て間違いないだろう。」
「なるほど…。」
「現状、運営も表立って取り締まっていないうえに、ブレイクデカールはこのGBNにどんどん広まってきている。
2人とも、くれぐれも気をつけてくれ。」
そういえば、運営が表立った取り締まりをしておらず、クーロウさんたちのような有志の人たちに任せっきりになっているのには何か理由があるのだろうか。
「あと、お詫びと言ってはなんだが…。
また何か困ったことがあったら、連絡してくれ。」
クーロウさんは、コンソールを操作してわたしとカノンに自身のプロフィールを送ってくれた。
「すいません、ありがとうございます。」
「ありがとうなのだわ!」
「さて、俺たちはそろそろ失礼する。」
そう言って、クーロウさんたちは去っていった。
後からクーロウさんのプロフを見ていた時に、個人ランク96位の表記に気づいて、わたしが腰を抜かしたのはまた別の話である。
改めましてランナーの切り屑様、ありがとうございました!