「あ、マリンさん!お疲れ様なのだわ!」
「お疲れ、カノンちゃん。
待たせてしもて申し訳ない…。」
そして迎えた、フォースフェス参加当日のお昼。
わたしは約束の時間より少し遅れて、カノンとの集合場所であるセントラルエリアのロビーに来ていた。
わたしが住んでいるアパートの隣の部屋の女性が、いきなりこの世の終わりみたいに騒ぎ出したので何事かと思ったら、部屋にセミが入ってしまったらしく、助けに入っていたらログインするのが遅くなってしまった。
「大丈夫、私も今さっき来たところだから問題ないのだわ!」
「ありがとう、ごめんな…。」
「それよりマリンさん!
早くフォースフェスに向かうのだわ!」
「あらぁ?
マリンちゃんにカノンじゃなぁ〜い!
2人ともお疲れ様〜!」
「あ、マギーさん。お疲れ様です。」
「お疲れ様なのだわ!」
合流するや否や、早速フェスに向かおうとカノンが目を輝かせながらわたしの手を掴んだその時、GBNのみんなのオネエさん、マギーさんが声をかけてきた。
「2人とも聞いたわよ〜!
ついにフォース組んだんですってね!
良かったわね、カノンちゃん!」
「はい!
マギーさんこそ、色々とありがとうなのだわ!」
そう言えば、最初の方にマギーさんに色々と教えてもらってたって言ってたっけ。
マギーさんは基本的に誰とでもフレンドリーな人だが、何となくカノンとの距離感が近めなのはそれもあったからなのかなと思った。
「…マリンちゃんも、良い顔をしてるわ。」
「えっ…?
あははは…。マギーさんはなんでもお見通しですね…。」
「そりゃあ、貴女がGBNに初めて来た時から知ってるもの〜。
何なら、今までで一番良い表情してるわよ〜?」
…確かに、マギーさんに会った時は大体何かあった後で、いつも辛気臭い顔をしてたような気がする。
本当、この人はわたしたちのことを良く見てくれてるんだなと思う。
初見のインパクトは凄いけど。
「それで?
今日はフォース結成のお祝いに何かしに来たってところかしら?」
「はい!
今日は、これからマリンさんとフォースフェスに行ってくるのだわ!」
「あらぁ、素敵じゃな〜い!
限定ミッション以外にも、アトラクションとか色々あるから目一杯楽しんでらっしゃ〜い!」
マギーさんは、ばちこーん☆とわたしたち2人にウィンクをすると、自分もこれからフォースの集まりがあるからと手をひらひらと振りながら何処かへ向かって行った。
「…カノンちゃん、わたしらも行こか。」
「うん!
フォースフェス、『人魚の島の伝説』にレッツゴー、なのだわ!」
ーーー
「…すっご。
場所自体は、普通の期間限定ミッションとおんなじ南の島のビーチみたいなとこやけど…。」
「人もいっぱいだし、アトラクションとか屋台とか、色々あるのだわ…!」
マギーさんと別れた後、フォースフェスのエリアに到着したわたしたちの目に飛び込んできたのは、いかにも"南の島"といったような白い砂浜に大勢のダイバーたちと、その砂浜にズラリと並ぶ屋台やら何やらの光景だった。
ヤシの木などが生えている林の向こう側には、大きなアトラクションの設備も見える。
「開催期間ももう直ぐ終わりだし、夏休みも終わったのに凄い人なのだわ…!」
「わたしもフェスって初めて来たけど、こんな感じなんやなぁ。」
広い砂浜は、屋台に並ぶ人やアトラクションに並んでいる人でいっぱいである。
まるで、ついこの前までのわたしの職場を見ているようだった。
「あっ、マリンさん!
あそこでこのフェスエリアの中限定のダイバールックに着替えられるみたいなのだわ!」
カノンが指差したところを見ると、小さなバンガローの前で水着姿の、おそらくNPDのお姉さんが看板を持って、前を通るダイバーに声をかけていた。
「マリンさん!
せっかくだから、一緒に着替えるのだわ!」
「そうやなぁ、こういうのは気分が大事やし。
ええよ、行こか。」
わたしとカノンは、フェスエリア内限定のダイバールック--周囲にいるダイバーもみんなそうなので、多分水着だろうーーに着替えるべく、砂浜の一角に建っているバンガローへと向かった。
ーーー
「ぐぬぬぬ…。」
無事に水着へと着替え終わったわたしたちは、それぞれ見せ合いっこをしようとバンガローから出て来たわけなのだが…。
「…なんでカノンちゃんは白と黒のシックでちょっと大人っぽいパレオ付きのビキニで、わたしはこのフリフリのついた可愛らしいやつやねん!」
「まあまあ、マリンさん。
すっごく可愛いから大丈夫なのだわ!」
「あ、そう?
って、理由になってへんねんけど!?」
カノンがサムズアップしながらそんなことを言う。
ここのお着替えのシステムは、"自分のイメージに合う水着が自動で選ばれる"というものになっていた。
こんなん、ただでさえも歳のわりにロリ体型なんを気にしてんのに、余計幼く見えるやん…。
「ほーら、マリンさん。
本当に凄く可愛いから、機嫌を直して欲しいのだわ。」
「むぅぅぅ…。
まぁ、カノンちゃんがそう言うなら…。」
カノンに可愛いと言ってもらえること自体は嬉しいので、たまにはこういうのも悪くない、と思うことにした。
「さぁ!準備も出来たし、フェスを思いっきり楽しむのだわ!」
わたしとカノンは、まず屋台から攻めることにした。
フォース"レヴィウス"、フォースフェス参戦!