「…さーて。
件の場所はこのエリアのどっかやな。」
救難信号に従って隣の市街地が広がるエリアに入ると、わたしは手近な建物の影にレヴィアタンを滑り込ませる。
周囲の状況を確認すると、少し離れたところに交戦中のガンプラが6機いた。
「おったわ…って、これ5対1やん…。
見た感じ、初心者狩り?がこの黒いザウォート・ヘヴィたちで、襲われてるんがクスィーか。」
救難信号の主らしきダイバーのクスィー・ガンダムは左側のフライトユニットが丸ごと欠損しており、逃げるのもやっとという感じだった。
ビームライフルやシールドは破壊されてしまったのか持っておらず、機体のあちこちが損傷してしまっている。
対して、初心者狩りと思しき5機の黒いザウォート・ヘヴィはほとんど無傷で、今も手持ちのビームライフルや背中の武装で攻撃しながら手負いのクスィーを追い回していた。
側から見ていると甚振っているような攻撃のやり方で、正直見ていて気分が悪い。
相手の数が多いこともあり、気が滅入ってくる。
「ふぅ…。
自分から首突っ込んだんやし、腹括らんとな…。」
多勢に無勢もいいところなうえにわたしは対人戦クソ雑魚勢なので、正面きって戦っても勝ち目はまずない。
幸い、ザウォート・ヘヴィのダイバーたちは目の前の獲物に夢中なのかこちらには気付いていない。
ならば今、この状況で取れる手段は…。
わたしはレヴィアタンの武装のうち、両肩に装備している超高インパルス砲を選択すると、建物の影から跳び出て狙いを定める。
「成功したらラッキー、あかんかったらそれまでってことで…。
何とかなれー!!」
わたしがトリガーを引くと、両肩の左右1門ずつの砲口から赤い光の奔流が吐き出され、真っ直ぐ黒いザウォート・ヘヴィたちのもとへと向かって行く。
「よ、横から砲撃だと…!?」
「いきなり何…おわぁぁぁ!!」
わたしが放ったビームは5機のザウォート・ヘヴィのうち、突出していた2機を飲み込んでテクスチャの塵へと変えた。
どうやら奇襲は成功したらしい。
わたしは間髪入れずに、今度は残った3機目掛けてレヴィアタンの背中と脚部のコンテナからミサイルを斉射する。
「だ、ダメだ!避けきれ…ぐあぁぁ!!」
「おい、03!
クソ、いきなり何だってんだよ!」
「リーダー!
こっちに突っ込んでくる機体が…!」
「どっせぇぇぇぇい!!!」
さっきの砲撃で体勢が崩れていたこともあってか、運良くもう1機撃墜できたので、わたしは勢いに任せてスラスターを全開にし、2機のザウォート・ヘヴィとの距離を詰める。
そして2機のうちの片方、頭部にブレードアンテナが付いてるリーダー格らしき機体に、手持ちのライフルをバレル下のヒートブレードを展開した状態で振り抜く。
「そう簡単にやらせるかよ!」
「ですよねぇー…。」
流石にそう何度も上手くはいかず、わたしのヒートブレードの一撃はビームサーベルを引き抜いたザウォート・ヘヴィに受け止められてしまった。
「人がせっかく気持ち良くスマーフしてたってのに邪魔しやがって!
これでも食らいやがれ!」
「ぶべっ!!」
初心者狩りのリーダー格のザウォート・ヘヴィはわたしとの鍔迫り合いを力づくで解除すると、元の装備から変更されたであろう背中の大型ビームキャノンで攻撃してきた。
わたしは左腕のシールドで咄嗟にガードしたものの、そのまま弾き飛ばされてしまう。
もう1機のザウォート・ヘヴィもなんだかんだ無傷みたいやし、これは終わったかなぁ…。
「…あ〜、ヤメだヤメだ。
テメェの所為で萎えちまったじゃねぇか。
02、他のダイバーが集まってくる前にヅラかるぞ。」
後ろに飛ばされたわたしが体勢を立て直していると、興が削がれたとばかりに2機のザウォート・ヘヴィはそそくさと姿を消してしまった。
「…えっと…。
もしかして、何とかなった…?」
わたしは2機が消えたあとを、ぼーっと見つめるしか出来なかった。
マリンさん頑張ったってよ。