「タクトくん…!
自分が何してんのか、わかっとるんか…!?」
「そんなのわかってるよ…!」
僕は、お姉ちゃんのために強くならなきゃいけない…!
そのためには、このブレイクデカールの力が必要なんだ…!」
タクトくんの、ブレイクデカールの影響で禍々しい紫色のオーラを纏ったライジングフリーダムのビームライフルから、明らかに異常な出力のビームが乱射される。
わたしはそれを、海面をホバリングしながら右に左にと回避する。
ビームが海面に着弾するたびに、大きな水飛沫が上がる。
「それは不正ツール、チートなんやで!?
自分が楽して気持ち良くなることしか考えてへんような、カスみたいなヤツらと一緒になりたいんか!?」
「でも…、でも、このままじゃ、僕はお姉ちゃんに見捨てられちゃう…!
この前のガンプラバトルだって、僕のせいで負けちゃったし…。
だから、僕は…!!」
今度はシールドブーメランが飛んでくる。
ロングブレードライフルのヒートブレードを起動して弾き飛ばすが、あまりの威力に力負けしてしまい、ロングブレードライフルのバレルが折れてしまったうえに後ろ向きに体勢を崩してしまう。
「しもた!ライフルが…!」
「マリンさん、これで終わりだよ…!」
「ぐっ…!
こうなったら…!」
タクトくんは転けそうになったわたしのレヴィアタンに、ハイマットフルバーストを撃ってきた。
わたしは機体が後ろ向きに倒れるのに任せて、そのままスラスターを全開で逆噴射し、間一髪のところで海中へと潜った。
着弾地点には巨大な水柱が上がる。
「はぁ…、はぁ…。
やった…、やったよお姉ちゃん…!
これで、僕は…」
「…まだまだぁぁぁ!!」
「なっ…!?」
海中から勢いよく飛び出したわたしは、油断して動きを止めたタクトくんのライジングフリーダムの目の前に躍り出る。
さっきの一撃で両腕のシールドを失い、機体のあちこちにダメージを負ってしまったが、まだ本体の武装は全て生きている。
わたしは、両肩のインパルス砲と背中、脚部横のミサイルの一斉射をライジングフリーダムに叩き込む。
「痛いの行くでぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁ!!」
レヴィアタンの一斉射をまともに食らわせたにもかかわらず、ブレイクデカールの力で強化されたタクトくんのライジングフリーダムには大したダメージを与えられなかったが、大きく吹き飛ばすことには成功した。
「たっくん…!」
「マリンさん!」
いつの間にか、追いついて来ていたフウカさんのナラティブがタクトくんのライジングフリーダムを受け止める。
その後ろには、カノンのクスィーの姿も見えた。
「急に姿が見えなくなったと思ったら…。
なんて事してるの…!?」
「うっ…、お、お姉ちゃん…?」
「今日はいつも以上に気負ってたからおかしいなとは思っていたけど、いつの間にブレイクデカールなんて…。
お姉ちゃん、前に言ったわよね?
たっくんのペースで良いって。焦らなくても良いって…!」
「でも…!
前も、僕のせいでバトルに負けて…!
このままじゃ僕、お姉ちゃんに見捨てられちゃう…!」
「そんなことしないわ!!」
尚も頑ななタクトくんに、フウカさんはそう言い切った。
「お姉ちゃん、たっくんと一緒に遊びたくてGBNをやってるんですもの!
絶対に見捨てたりなんかするもんですか…!」
「お姉ちゃん…。」
「それに、ブレイクデカールなんか使って強くなっても、お姉ちゃん嬉しくない!
そんな悪い子は嫌いよ…!」
「うぅ…、うわぁぁぁぁん!!
ごめんなさい、お姉ちゃん!」
「もう…、よしよし。
ほら、たっくん?謝るならお姉ちゃんじゃなくて、マリンさんに謝りなさい。」
「うぅぅ、ぐすっ…。
マリンさん、ごめんなさい…!」
「…いや、わかってくれたんやったらもうええよ。」
わたしも、タクトくんの気持ちはすごいわかるから…。
タクトくんが止めたのか、ライジングフリーダムを包んでいた紫色のオーラは消えていた。
わたしはフウカさんとタクトくんの2人を、ただ見守ることしか出来なかった。
…楽して強くなりたい、気持ち良くなりたいだけのカスばっかりやったら、どんだけ楽やったか