「にしても、本間どこ行ってもマスダイバーがおるなぁ…。」
「もう連続5回は遭遇してるのだわ…。
そろそろ普通にミッションをクリアしたいのだわ…。」
マリモさんと別れた後、カノンとはそんな話題になっていた。
というのもここ数日、ミッションをやる度にマスダイバーに遭遇していて、何事もなくクリア出来たミッションがほとんど無いのである。
今回のように誰かに助けてもらったり、自分たちで対処出来れば良いのだが、当然毎回そうはいかず、2人とも撃墜されてしまったことも何回かある。
「こう毎度毎度遭遇してたら身が保たんなぁ…。
マスダイバーが乱入してくるかもと思うと、ミッションも全然楽しめへんし…。」
「私もそろそろ気が滅入って来たのだわ…。
せっかくマリンさんとGBNで遊んでるのに…。」
「「はぁ…。」」
2人して大きなため息を吐く。
わたしもマギーさんやクーロウさん、さっきのマリモさんみたいにガンプラバトルが強ければこんなことにならずに済んだのだろうかと、ついつい考えてしまう。
「…あかん。
またマスダイバーに邪魔されるかと思うと、ミッションでも受けようかという気にもならん。」
「ディメンション巡りをしようにも、あの人たちはお構い無しに襲ってくるし…。
うーん…。」
この後はどうしたものかと考えるも、特に何も思いつかず時間だけが過ぎていく。
運営に早くこの状況を何とかして欲しいとも思うが、ブレイクデカールの性質上、運営を責めても仕方がない。
「…そうなのだわ!
マリンさん、フォースネストを新しくしない?」
「フォースネスト?」
わたしが頭を抱えていると、カノンがそんな提案をしてきた。
ちなみにフォースネストとは、各フォース専用の集会所のようなもので、作戦会議をしたり集合場所に使ったりできる部屋のことである。
フォース結成時に簡素で手狭なブリーフィングルームのようなものがデフォルトで支給されるのだが、GBN内の通貨であるビルドコインで好きなフォースネストを買うことも可能である。
「私たちのフォース"レヴィウス"も結成してちょっと経ったし、そろそろ新しいのが欲しいなー、なんて思ってたのだわ!」
「まだそんな経ってへん気がするけど…。
まぁでも、他に何にも思いつかんし別にかまへんよ。」
このまま悶々としているよりはマシということで、わたしはカノンの提案に乗ることにした。
ーーー
「マリンさん!
こことかどうなのだわ?」
「うーん。
海辺で良いとこやけど、ちょっとオシャレ過ぎひんか?」
「じゃあ、こっちはどうなのだわ?」
かくしてフォースネストの物件探しをすることになったわたしたちは、今売られている物件の一覧をあれやこれやと眺めていた。
実際にガンダム作品に登場した建物や艦艇から、ファンタジーな物語に出てきそうなお城のようなものまで、色々な物件があった。
「マリンさんはどんなのが良いのだわ?」
「んー?
ええっと…。わたしはガンダムの作品に出てくるやつのほうがええかなぁ。
海に関係するようなもんやったら最高やけど。」
「なるほどなのだわ…。」
カノンは、物件の検索条件のところにわたしが言った条件を入れ、再び検索をかける。
すると検索結果には、『ガンダムUC』や『0083 STARDUST MEMORY』に登場するトリントン基地や、『SEED Destiny』に登場するオーブ軍の大型空母、タケミカズチなどの海辺の基地や海上艦といったものが並んでいた。
「凄いのだわ、ガンダム作品と海に関係するものだけでもこんなに出てきたのだわ。」
「おお、ジュノー級にボズゴロフ級とかもあるんや。
これはええなぁ。」
「あ…!
マリンさん、これ…!」
「これって…。ああ、"ヴァリアント"か。」
わたしがリストに並んでいた海上艦や潜水艦を見ていると、カノンが一隻の船を指差した。
それはカノンが使っているガンプラ、クスィーガンダムと同じ『閃光のハサウェイ』に登場するマフティーの支掩艦"ヴァリアント"だった。
「マリンさん、私これが良いのだわ…!」
「え?
確かにカノンちゃんのガンプラはクスィーやから、作品合わせにはなるけど。
ほとんどタンカーみたいな船やけど、ええの?」
「うん!
ハサウェイたちが乗ってた船だし、これが良いのだわ!」
劇中では、ハサウェイたちの預かり知らないところで連邦軍にあっさり沈められてしまった何とも悲しい最期だったが、カノンはこれが気に入ったらしい。
わたしとしても、一応ガンダム作品に登場する艦艇で、ロケーションが海上なので願ったり叶ったりではある。
あと、戦闘艦では無いところがわたしたちのプレイスタイル的にも、何となくぴったりなように思えた。
「ところでカノンちゃん。
ビルドコインはどんだけ持ってる?」
「…ほえ?」
「そっか…。あんまり持ってへんのやね。」
「…ごめんなさいなのだわ。」
フォースネストを購入するとなると結構な額のビルドコインが必要になるのだが、やはりカノンはビルドコインのことは気にしていなかったらしい。
まぁ、まだGBNを始めてからそんなに経っていないので、あまり持っていなくても当然といえば当然なのだが。
仕方がない、こんな時くらいわたしが良い格好をさせてもらおう。
「ふっふっふ。
これはわたしが貯めに貯めたビルドコインの使い所やな。」
「えっ?
そんな…、良いのだわ…?」
これでもGBNをプレイしている期間だけは長いので、ビルドコインはそこそこ貯まっている。
正直、カノンに出会うまでは使い道に困っていたくらいなので、ちょうど良いだろう。
「こんなん、ずっと貯めとってもしゃーないからな。
…よし、購入完了したで。」
「マリンさん…!
ありがとうなのだわ…!」
「うわっ!ちょっ、カノンちゃん…!」
カノンが勢いよく抱きついてきて、わたしは危うく転びそうになる。
長年貯めたビルドコインはほぼ消し飛んだが、何だかんだ良い気分転換になったし、カノンの喜ぶ顔も見れたので、良しとすることにした。
ヴァリアントの甲板でバカンスするマリカノ…
(本日より、しばらく不定期更新とさせていただきます。
申し訳ありません。)