「悪いんだけどその"七色のうろこ"、オレらに譲ってくんない?」
ミッションに割り込んできたうえに、あろうことかこちらを攻撃してきたガンダムスローネツヴァイのダイバーはそんなことを言ってきた。
こいつは何を言うてるんや…?
「譲ってくれって…。
これをアンタらにか…?」
「そ。大人しく譲ってくれるなら、悪いようにはしないからさ。」
「お姉さん。ハルトくんの言うこと、素直に聞いておいた方が良いと思うな〜。」
今度はスローネツヴァイの後ろについていた、スローネドライのダイバーが口を開く。
どうやら男女のペアらしい。
ここにきて、ようやくこの2人が"七色のうろこ"を横取りしに来たのだと理解した。
「横入りしてきた挙句、いきなり攻撃しといて何を寝ぼけたこと言うてんねん…。
普通に考えて譲るわけないやろ。」
当然、こんな非常識な人間に苦労して手に入れたレアアイテムを譲る道理なんてない。
わたしはきっぱりそう返したが、2人のヘラヘラとした態度は変わらなかった。
「へぇー、オレらにそんなこと言っちゃうんだ?
なら、ちょっと痛い目に遭ってもらうしかないかなー。」
「あ〜あ。
お姉さん、どうなっても知らないよ〜?」
スローネツヴァイとスローネドライのダイバーがそう言うと、2人のガンプラが禍々しい紫色のオーラに包まれる。
「さぁて。
オレらに逆らうとどうなるか、教えてやるよぉ!」
スローネツヴァイのダイバーはGNバスターソードを抜刀すると、真っ直ぐこちらへ突っ込んで来た。
さっきの人魚型デストロイとの戦闘の時にロングブレードライフルを投擲してしまった所為で今のレヴィアタンにはまともな近接武器が無く、スローネツヴァイに接近されるわけにはいかない。
わたしは距離を詰められないように、バックブーストしながら背中と脚部横に装備しているコンテナからミサイルを斉射するが、スローネツヴァイは避ける素振りを見せない。
「ハッ!そんなショボい攻撃、オレのスローネツヴァイには効かないねぇ!!」
「なっ…、無傷…!?」
わたしの放ったミサイルを真正面からほぼ全弾食らったにも関わらず、相手のスローネツヴァイには傷一つついていなかった。
動揺したわたしは攻撃の手を止めてしまい、スローネツヴァイに距離を詰められる。
「そーらよっと!
これでも食らえっ、てね!」
「…っ!?」
レヴィアタンの眼前まで迫ったスローネツヴァイが、GNバスターソードを横薙ぎに振るってくる。
わたしは咄嗟に左腕のシールドでガードしたものの、あっさりシールドごと左腕を叩き斬られてしまった。
「こんのぉぉぉ!!」
「おっとぉ?」
ほぼヤケクソで、残った右腕のシールドでスローネツヴァイを思いっきり殴りつけるが、相手にダメージを与えるどころかシールドの方がバラバラに砕け散ったうえに、右腕も肘関節から折れてしまう。
「…そんな、ウソやろ…。」
明らかにおかしい。
確かにわたしはガンプラバトルが弱いし、愛機のレヴィアタンもそこまで完成度が高い訳じゃない。
でも、相手のスローネツヴァイは見たところ素組みのものを軽く塗装した程度で、とてもわたしのレヴィアタンの攻撃が一切通用しないような完成度には見えない。
わたしはふと、最近ネットでよく見かけるようになった"あるもの"を思い出した。
「まさか…、ブレイクデカール…?」
ブレイクデカール。
近頃、GBNに蔓延しているというチートツールで、なんでも使用するとガンプラのステータスを大幅に強化できるらしい。
対人のガンプラバトルをしないわたしは、正直自分には関係ないと思っていた。
「そういうこと。
まぁ、今更わかったところで遅いけどねぇ!」
「あはっ!
お姉さんよっわ〜。ボコボコじゃん。」
気がつけば、レヴィアタンの機体のあちこちにスローネツヴァイから射出されたGNファングが突き刺さり、コクピットにはアラートが鳴り響いていた。
マスダイバー現る…