「行って!ファンネルミサイル!」
カノンのクスィー・ガンダムが放ったファンネルミサイルが人魚型デストロイに殺到する。
人魚型デストロイは腕の陽電子リフレクターを展開してガードしようとしたが、リフレクターの死角から飛んで来たファンネルミサイルが命中し、体勢を崩す。
「マリンさん!」
「よしっ、悪いけどその腕貰うで!」
その隙に、わたしは人魚型デストロイの両腕に照準を定めて両肩のインパルス砲を発射する。
人魚型デストロイは反応することが出来ず、そのまま両腕に被弾、今更MA形態への変形も間に合わないだろうし、これであの巨体を守るものは無くなったも同然である。
「カノンちゃん、今や!」
「了解なのだわ!
えぇぇいっ!!」
カノンのクスィーが、防御手段を失なった人魚型デストロイの懐へと入る。
人魚型デストロイはそうはさせないとばかりに、胸部のスーパースキュラをクスィーに浴びせようとするが、砲口からビームが吐き出されるより先にクスィーのビームサーベルが人魚型デストロイの胸部を貫いていた。
「カノンちゃん、早よ離れんとそいつの爆発に巻き込まれるで!」
「えっ、あわわわ…!」
カノンが慌ててその場から退避するや否や、胸部を破壊されて行き場を失ったスーパースキュラのエネルギーが暴走した人魚型デストロイは爆散し、そのままテクスチャの塵になった。
「やった…!やったのだわ!」
「お疲れさん。
いや、GBN始めてまだそんな経ってへんはずやのに随分と見違えたなぁ。」
「ありがとうなのだわ、マリンさん!
マギーさんたちに教えてもらいながら、色々と頑張った甲斐があったのだわ!」
人魚型デストロイを撃破し、はしゃぐカノンを見ていると、わたしの気分も少し晴れてきた。
しかし、この間初心者狩りに襲われていたような子が、この短期間でイベントミッションのボスエネミーをほぼ1人で倒せるようになってるなんて。
この調子やったら、わたしなんて直ぐにでも追い抜いてしまうんやろうな。
「…マリンさん!あれって…。」
「えっ…?」
そんなことを考えていると、突然カノンが人魚型デストロイが消えた場所を指差す。
そこには、わたしがマスダイバーに横取りされたこのイベントミッション限定レアアイテム、"七色のうろこ"が確かにドロップしていた。
「ほ、本当に出たのだわ…!」
「マジか…。
ちなみにカノンちゃん、このミッションやるのって何回目…?」
「今日が初めてなのだわ。」
「…そっかぁ。」
カノンへの感謝と、今までのわたしの苦労は何だったのかという思いがごちゃ混ぜになった複雑な気持ちを飲み込みつつ、わたしはカノンと一緒に"七色のうろこ"の回収に向かった。
ーーー
「今日は楽しかったのだわ!」
「こちらこそ。
カノンちゃんのおかげで、久しぶりに楽しかったわ。」
イベントミッション『人魚の島の伝説』をクリアしたわたしとカノンは、セントラルエリアのロビーに戻ってきていた。
時間も時間なので、そろそろお開きにしようというところである。
「マリンさん、また私と一緒に遊んで欲しいのだけど、良いかしら…?」
カノンがふと、別れ際にそんなことを聞いてきた。
確かにわたしとカノンはまだ出会ったばかりだけど、この子がわたしとまた遊びたいと言ってくれるのなら、答えはもう決まっている。
「こんなわたしで良ければ構へんよ。
リアルの都合で曜日は不規則やけど…。夜は大体ログインしてるから。」
「本当!?嬉しいのだわ!
それじゃあ、また!」
「はいよー、またね。」
カノンは嬉しそうに手を振りながらログアウトしていった。
さて、わたしもログアウトしようかとコンソール画面を開こうとした時だった。
「うおっ…!」
「…っ!」
後ろからやって来た、何やら急いでいたダイバーとぶつかってしまった。
「っと…。すいません、ぼーっとしてて…。」
「こっちこそごめんなさい…って、マリン…?」
「…えっ…?ゲッカ…?」
わたしとぶつかったダイバーは、わたしが以前一緒にGBNをやっていたゲッカだった。
…ここに来てかつての友達エンカウント。