イベントミッション『人魚の島の伝説』を、カノンと一緒にやってからしばらく経ったある日のこと、GBNにログインしたわたしは、カノンとの待ち合わせのためにセントラルエリアのロビーにいた。
「…もうちょいで来るかな。」
約束の時間より少し早くログインしてしまったので、他のダイバーの邪魔にならないように、端っこの方でロビーに集まっているダイバーたちをぼんやりと眺めたり、こんな感じで待ち合わせするのも久しぶりやなぁなんて考えたりしながら過ごすこと数分。
「ごめんなさい、お待たせしてしまったのだわ!」
カノンがわたしを見つけるなり、ぱたぱたと走ってこちらへやって来た。
「いうてわたしも、今さっき来たとこやから大丈夫よ。
…ていうか、フレンドワープ機能使ったら探さんでも直ぐ来れたのに。」
「えっ?
そんなことが出来るのだわ?」
「あ、知らんかったかぁ…。」
GBNにはフレンドが指定した場所に、一部のエリア除いてワープすることが出来る機能がある。
わたしとカノンはフレンド登録をしているので、使うことが出来るのだが、どうやら知らなかったらしい。
まぁ、事前に言ってなかったわたしも悪いのだが。
「まぁええわ。
さて、とりあえず合流出来たけど、今日は何やろか?」
「うーん、これといって特に考えていなかったのだけど、強いて言うのならダイバーランクを上げたいのだわ。
私、もう少しでダイバーランクがDになるから。」
「そっか。もう結構やってたんやね。」
ダイバーランクは、GBNを始めた時にFからスタートしてE、D、Cと続き、一番上がSSSランクなのだが、Dランクといえばちょうどフォースが組めるようになるランクである。
わたしはDランクに上がるのにそこそこ時間がかかったので、もうそんなところまで進めていたのかとつい感心してしまう。
「ダイバーランクかぁ。
ランク上げということは、ダイバーポイント集めになるんやけど、ミッションをこなしてコツコツ集めるか、あとは…。」
「あとは…?」
「他のダイバーとガンプラバトルして集めるかかな…。」
ダイバーポイントはNPDを倒したり、決められたアイテムを納品したりする、普通にカウンターから受けられるミッションをクリアしても貰えるのだが、他のダイバーとのガンプラバトルの方が一度に貰えるポイント数は多い。
「確かにミッションをいっぱいこなすよりは、バトルするのが手っ取り早いんやけど、勝たんとあかんのよね…。
負けたら相手にポイント取られるし。」
「なるほど、なのだわ…。
ハイリスク、ハイリターンというやつなのね。」
「あとは、一緒にやるわたしがガンプラバトル弱いってことかな…。」
全く、自分で言っていて悲しくなってくる。
まぁ事実なので仕方がないのだが。
そのうえ、ゲッカと疎遠になってからというもの、ガンプラバトルはほとんどやっていないので、このままバトルしてもカノンと対戦相手に申し訳ない。
「ご、ごめんなさい!
別にそこは気にしていないのだわ…!
コツコツとミッションを進めていくのが、今の私たちには現実的かしら。」
「うぅ…、気ぃ遣わせて申し訳ない…。」
「大丈夫、大丈夫だから…!
私は、マリンさんと一緒にGBNが出来ればいいのだわ!」
「…あのぅ、すみません…。
今、お時間よろしいでしょうか…?」
カノンの気遣いが逆に心に刺さって泣きそうになっているのをカノンにあやされていると、ふと後ろから声をかけられた。
「ぐすっ…、はい?」
「あら、ごめんなさい…。
お取り込み中だったかしら…?」
声のした方を振り返ると、そこには白と黒のツートンカラーの髪をサイドテールにした、宇宙世紀作品における地球連邦軍の士官服姿の女性ダイバーと、『ガンダムSEED Destiny』のオーブ軍の制服に身を包んだ、癖っ毛気味の栗色の短髪が特徴の小さな男の子ダイバーが立っていた。
「…いえ、大丈夫です。」
「わ、私たちに何かご用なのだわ?」
「はい…。
実は少し、あなた方お2人にお願いがありまして、お声をかけさせていただいたのです。」
「お願い、ですか?」
「はい。
その…、わたくしたち2人とガンプラバトルをしてくださいませんか…?」
「「えっ…?」」
わたしたちに声をかけてきた女性ダイバーのお願いというのは、なんとガンプラバトルのお誘いだった。
ガンプラバトルのお誘いは突然に…。