とある世界の天使の騎士の物語 作:天使の騎士
暫くはチラシ裏で投稿しようと思います。
ーとある世界でのお話ー
「はぁ…はぁ…いい加減そろそろ……」
一人の少年が全身傷だらけになっている。
そのわけは目の前にいる漆黒の翼を生やした男との戦いが原因である。
「ふはは…まさかここまでやるとは思わなかったぞ小僧。だがっ!」
男は漆黒の真球を取り出し、それに膨大なエネルギーを集約し、鋭利な槍の様な形状に変えていく。
「異なる世界から紛れ込んだこの遺物を使えば、天使の力を宿した神器など相手にならん」
「だから…なんだよ。俺が諦める道理にはならない」
少年は手に持っていた剣を構えると、背中に生えていた四色の四枚羽が淡く光り始め、その光が剣に集約されていく。
「ここまでつないでくれた皆のためにも―――力を貸してくれるルシファーやサンダルフォンの為にも―――」
少年は剣を握る力を強めると、全身から凄まじい力が放出され、男の放つ莫大な気と衝突し、衝撃波となって周囲の空間が振動する。
「いいぞ小僧!もっとだ!もっと力を上げて見せろぉぉぉ!」
歓喜に満ちた雄たけびを上げながらエネルギーをさらに膨大なものに仕上げていく男。
それに対抗するように、少年も剣に力を集約していく。
「これで終わらせる。お前達悪魔との戦いも。俺達騎士の役目も」
「終わらなんぞ小僧。現に我らの戦いは悠久の時を超えて再度起きている。たとえ異なる時空に行こうとも我々は争う運命なのだ。特に貴様はな」
「それはどういう―――」
「それを貴様が知る必要ない。ルシファーにでも聞けばよかろう。貴様の相棒は知っていたようだがな」
「雫が…?っ―――!」
強大な力の衝突の影響か、周囲の空間にヒビが入って少しずつ割れていく。
このままだとこの場が持たないと思った少年は、ゆっくりと剣を振り上げた。
「行くぞ皆!これで―――」
「来るか―――!」
両者が動いたのは同時だった。
男は膨大なエネルギーと共に突進し、少年は剣を振り下ろす。
「ソード・オブ・シンフォニー!」
「ユニゾン・ブレイクゥゥ!」
二人の大技が正面から激突する。
両者の力は互角、互いに押しに押されを繰り返して一歩も譲らない展開が続く。
しかしこのままだと自分の方が押し切られると感じた少年は、最後の手段を取ることに。
(ルシファー…サンダルフォン。そしてメタトロンも。もう後には戻れないから、ここで全部出すよ!)
右手に嵌めている三つの指輪に祈りを込めると、背中に生えている羽がさらに増えて八枚となり、剣に込められた力が一気に膨れ上がる。
「これは―――まさか保有している全ての天使と生命エネルギーをッ!」
「その通り。もう俺達には帰る場所はないからな。世界だって再興も出来ない状況だ。だから…すべて出して、いつか遠い未来に生まれ出てくる新たな命と天界にいる天使達に掛ける。その世界に―――俺やお前は不要だ!」
「ぬぉ!お、押され―――」
少年の気迫に押される男。
そこを少年は見逃さず、力を全て出して剣を振り下ろした瞬間だった。
―パキンッ!
「「!!!」」
周囲の空間が砕け散り、二人の目の前には空間の歪みが現れた。
「っぅ!こ、これは―――」
「力の衝突で空間割れて歪んだのかッ!」
それだけならよかったが、その歪みは周囲のあらゆるものを吸い込んでいる。
二人の膨大なエネルギーと、周囲に存在してた建造物など、ありとあらゆるものを。
「えぇい。この程度で!」
「や、やばい。このままだと―――」
吸い込む力が強くなっていき、少年と男も飲み込もうとしているが、男には余力があるのか逃れようとしている。
それに対して少年は、力のほぼ全てを出し切っているので逃れることが出来ない。
(くっ。ここまで来て―――)
「どうやら運は俺の方にあるようだな。さらばだ最後の天使の騎士・雨宮沙月。こことは違う時空に飛ばされるだろうが、せいぜい足掻くと言い」
漆黒の翼を羽ばたかせて離脱しようとする男だが、当然少年が逃すはずもなく、魔法陣を展開して、そこから光の鎖を放って男の四肢を拘束する。
「ぬぅ!貴様―――」
「行くなら一緒だベルゼブブ。この先がどこに繋がってるかは分からないけど、比較的お前が苦しむ世界である事を祈ってる」
少年は鎖を掴み、そのまま歪みに吸い込まれていくのであった。