デミウルゴスに憑依した一般読者   作:目ん玉

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ち、違うんです! 本当はもう書くつもり無かったんです……!
でも感想をいただいて、お返事の文面を考えていたら思い浮かんでしまったので。
これはもう書いておかないと、せっかく感想をいただいたのに、失礼かなと。
ネッ? ネッ?

それにしても、UAやお気に入りの数。
オバロのネームバリューすごいなー……(遠い目)と思っております。

あと、よく分からない所は適当に捏造してます。原作なのか二次創作なのか、どこで見たのかハッキリしない部分がありまして、設定が混在しているかもしれません。許してください。
アッ、マッテ! 石ヲ投ゲナイデ……!


ここからちょっと改変させてもらおう

 シャルティアが洗脳イベントを回避して一安心。

 と思ったが、そうなるとホニョペニョコ討伐による冒険者ランク昇格というイベントは消滅する。

 法国がザイトルクワエをさっさと王国にけしかけてくれれば世話はないのだが。

 ツアーがひょっこり現れて横取りしていくだろうか? いや、あいつは何もしないで王国が困るのを黙って見ているだろうな。世界を穢す存在がどうとか……結局は、自分たちが最強の存在として君臨できないと嫌だ、脅威になりそうな相手は排除する、というだけの事に思える。

 世界を改変するのが「世界を穢す」という意味なら、すでに改変された世界で現在のルールに従うだけのアインズ様を警戒する必要がない。「星に願いを」も使ってないし。滅亡するならそれも自然の流れだとのたまうくせに、自分たちドラゴンがそうなるのは嫌だ、とエゴの塊である。生臭坊主か。さもなければワガママなだけのクソガキ厨二病みたいなやつだ。ラキュースあたりと話が合うんじゃなかろうか。

 

「冒険者として高い地位を築き、情報収集を加速する。

 そのための手っ取り早い方法として、こちらで敵を用意して、アインズ様扮する冒険者モモンに討伐していただく、というのはどうでしょうか?」

 

「マッチポンプか」

 

「冒険を楽しんでいただく趣旨からは外れますが、そろそろ現地人の平均的なレベルも分かってきましたので、カッツェ平野あたりにデスナイトでも用意すれば、かなり上のランクに行けるのではないかと愚考いたします」

 

 たしかフールーダが弟子と一緒に、フライで上空からファイヤーボールを撃ちまくって倒したとか捕らえたとかいう話があったはず。帝国魔法省の地下に捕らえてあるデスナイトはそのときのやつだっけ?

 アダマンタイト級冒険者「蒼の薔薇」あたりでも勝てるかもしれないが、チームで勝つのとソロで勝つのとでは意味が違ってくる。

 

「そうして現地人に実力を示した後であれば、訓練相手が欲しいなどの名目で遠方へ出かけ、討伐した魔物の素材を売り出し、冒険者ギルドを通して買い手を探すことや、セバスとソリュシャンの偽装身分に『商人として経験を積ませるために外へ出された』などの設定を追加して買い手を探すといった事も可能ではないかと愚考いたします」

 

 モモンは強すぎて、そこらのモンスターでは訓練にもならない。

 ――などと、実力を示す前に言えば大言壮語と笑われるだけだが、実力を示した後で言うなら評価は変わる。ザイトルクワエはそこで狩っても良いだろう。

 ひとつ厄介なのは、この世界の冒険者は単なる魔物相手の傭兵であり、冒険者ギルドは素材の買取をしていないということだ。漆黒の剣が誘ってきた通り、街道周辺のモンスター討伐が常設依頼になっているが、それはあくまで「倒せば報酬を出す」というだけで、倒したモンスターの素材を買い取るわけではない。

 素材の買取をしてくれるシステムがあるんだったら、アインズ様も「カネがない……!」と宿屋でこっそり頭を抱えることはなかっただろう。デスナイト作って、倒して素材ゲットして、素材を売って、またデスナイト作って……を繰り返せばいい。

 だが、アインズ様がドラゴンを見て素材に思いを馳せたことから分かる通り、素材としての価値はあるのだ。ならば他では得られない素材をこっちから売り込んでしまえばいい。

 

「なるほどな。それで資金を得ようというわけか」

 

「仰る通りです。

 大手を振って冒険に行けて、まとまった資金も得られる見込みがあり、情報収集も加速する。

 いかがでしょう、アインズ様? つまらない傭兵まがいの仕事よりは魅力的ではありませんか?」

 

 んでドワーフ王国やエルフ王国あたりにちょいと出かけたりなんかすればいい。エルフ王国ではデケムのやつがアウラだかマーレだかにちょっかいをかけて、アインズ様がブチギレて段取り無視して殴ってしまうという流れで、ちょっとご不快な思いをさせてしまうわけだが。

 自分のためにアインズ様が怒ってくださった、というのはアウラやマーレにとって嬉しいことだろう。実害もないし。よろしいのではないでしょうか?(裏声)

 とにかく、そんなわけでアニメ第1期の最後、シャルティア戦の代わりになるだろう。

 シャルティアからデスナイトでは、だいぶ格が落ちるが、友人の娘とばかりに大切になさってくださるアインズ様に手を下させたり、ろくな獲得手段もない中で金貨5億枚も消費するよりはマシだろう。

 

「いいだろう。特に損もないし、やってみようではないか」

 

 そういうことになった。

 やはりマッチポンプ。

 マッチポンプこそナザリックのお家芸だ。

 あ、モモン様、アダマンタイト昇格おめでとうございます。

 わざと派手に周辺を壊して激闘を演出した? はっはっはっ。さすがです。幽霊船は? そうですか、出会いませんでしたか。次回の楽しみにしておきましょう。

 

 

 ◇

 

 

 てことで、状況はアニメ第2期に突入する。

 リザードマンの集落を発見し、コキュートス率いるアンデッド軍団による交戦と敗北。

 そしてコキュートス単騎での圧勝。

 結果、リザードマンの集落はアインズ様の支配下に入る。

 以上が、原作の流れだ。

 リザードマンにとっては突然襲われる不幸だが、コキュートスをアインズ様の供回りにする機会はここしかない。となれば、ナザリックの幸福とそれ以外の幸福、天秤にかけるまでもない。

 うーん。デミウルゴスが邪悪じゃなくても避けられない不幸はあるということか。

 

「規模を半分ないし3分の1に縮小してはいかがでしょうか?」

 

 集落発見の報を受け、作戦会議の場で、俺はアインズ様に奏上した。

 

「ふむ? なぜだ?」

 

「いくつか理由がございます。

 まず第1に、コキュートスの成長を期待して、という事であれば回数をこなすほうが効果が高まるでしょう」

 

「ふむ。

 だが規模が縮小することで配下を動かしやすくなり、難易度が下がる。これはコキュートスに与える課題としては学びが少なくなるというデメリットになるが?」

 

「仰る通りです。

 しかし同時に、リザードマン側の戦力を分散させて各個撃破するという意味では戦略的には合理性があるかと。

 リザードマンの集落を分断するに当たっては、シモベで包囲しておく手もありますし、恐れながら山河社稷図の使用をお許しいただければなお良いかと」

 

「ふむ。山河社稷図の使用実験としても悪くはないか……」

 

「御意。

 それと、指導の要領として『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ』という言葉があったかと。

 もちろん我々シモベ一同は言われる前に動くべきと心得ておりますし、言われれば即座に取り組みます。ただ……お手を煩わせるのはシモベとして汗顔の至りですが、手本を示していただくことはコキュートスの成長をより効率化することにつながるでしょう」

 

「なるほど。それゆえ2つに分ける必要があると」

 

「はい。

 また現地の生物が弱すぎる中、アインズ様にとっても新しい冒険の形になるかと愚考いたします」

 

「ふむ……それは冒険というよりボードゲームだな」

 

 アインズ様にもメリットがあるんやで。

 と示すつもりが、玉砕した。

 まあメリットにしては弱いわな。

 

「申し訳ありません。では今のは忘れて下さい。

 ただ、最後にこれだけは伏してお願い申し上げます」

 

 俺はその場に跪いた。

 情に訴えるのはデミウルゴスらしくない行動だが、それでもだ。

 

「なんだ?」

 

「このような望みは不敬かもしれませんが、コキュートス単独ではなく、アインズ様の供回りとして外に出る機会をいただけませんでしょうか」

 

 ぶしゅー。

 コキュートスが冷気を吐いた。

 アインズ様の隣で戦えるという栄誉。特に姿が特徴的すぎるコキュートスは、その機会を得にくい。

 この時期のアインズ様は、ナザリックに利益があるかどうかを重視した発言をされる。それはアインズ様にとって「手を出すべきかどうか」の判断基準であり、シモベたちに問いかけ成長を促すキーワードになっている。一方で福利厚生を充実させたいとも考えているはずなので、「メリットを提示する」と「ワガママを言う」がセットになった場合、おそらく「成長」とみなされて無下にはなさらないだろう。

 

「……そうか。

 コキュートス。お前はどうだ?」

 

 問われてコキュートスが跪く。

 それはもう答えだった。

 

「個人的ナ我儘デアル事ハ承知シテオリマス。

 デスガ、ドウシタイカトオ尋ネデアレバ、恐レナガラ、デミウルゴスニ賛同スル事ヲオ許シクダサイ」

 

「よかろう。では、そのようにしてみようではないか」

 

 そういう事になった。

 そうしてリザードマンの集落を2つに分けての襲撃イベントが始まったわけだが、まあアインズ様のお手並みの鮮やかなこと。スケルトンの動きが「軍隊」を超えて「群体」のように連携していき、リザードマンは泥沼にはまったように満足に動けないまま敗北していった。

 そのあと手本を見せてもらったコキュートスは、アインズ様には及ばぬながらも奮闘し、かろうじてリザードマンに勝利した。

 

「まだ無駄が多いな」

 

 コキュートスの戦いを観戦しながら、アインズ様がつぶやく。

 

「経験の差は歴然ですね。やはりアインズ様は端倪すべからざる手腕でいらっしゃいます。

 しかしアインズ様にお示しいただいた手本から、コキュートスなりにかなり学んでいるかと。

 このように比較する形での観戦を通して、見ている我々シモベにも得るところが多くございました」

 

「うむ。この様子では、いきなりやらせると敗北していたな。

 そして、お前たちの学びになったのなら、何よりだ」

 

「ありがとうございます。

 敗北しても、それはそれで学ぶところが多いかと思いますが、やはり効率の面で申し上げますと……アインズ様にご指導いただけて、コキュートスは幸せ者でございます」

 

 デミウルゴスはコキュートスと仲良しだったはず。

 原作と比べてちょっと口を出しすぎた感はあるが、まあ問題ない範囲だろう。

 こうして第2期の最初のイベントは消化された。

 

 

 ◇

 

 

 さて、ここからはちょっと改変させてもらおう。

 原作だと次に帝国が差し向けたワーカーたちが、ナザリックに侵入するというイベントだったか。フォーサイトが出任せの嘘でアインズ様を怒らせ、戦士としての経験を積むのもそこそこにイベントは強制終了された。

 その次に、セバスがツアレを拾って、八本指を掌握するイベントを挟んで。

 それから当初の予定通り、ジルクニフをナザリックに呼ぶイベントが起きる。謝罪させてナザリックを国家として表舞台に出すためだ。

 アインズ様は侵入者を招き入れる作戦を「不愉快だが必要な作戦」として承認された。今回もこの流れは必要だ。宗教団体としてだが、とにかく表に出る必要がある。

 

「そこで相談なのですが、アインズ様。

 この作戦は、少し延期いたしませんか?」

 

「延期?」

 

「何を言うの、デミウルゴス?」

 

 アインズ様もアルベドも怪訝な様子だ。

 計画を出しておいて、それを延期しようと提案するなど、矛盾している。

 だがこれは必要なこと。特に計画が「アインズ様はいい感じに動いて下さい」ばかりだと嘆いておられた事から鑑みて、この機会にざっくり説明してしまおう。

 

「ナザリックを普遍の伝説に。

 それがアインズ様のご命令です。

 そして、そのために我々はナザリックを宗教団体として、アインズ様を神として崇める思想を広めようと画策しているわけですが――」

 

 ここまでよろしいですね、と2人を見ると、アルベドはうなずき、アインズ様はちょっと無反応になられた。

 え? 宗教って? どういうこと? みたいな考えが頭の中に浮かんでいるのだろう。

 

「直近の計画としては、アインズ様がアンデッドであることは隠したまま、竜王国を救済するのはどうでしょうか。

 パンドラズ・アクターにモモン役をやらせて参加させ、コキュートスとリザードマンたちにも参戦させます。アインズ様はそこで最も大きな戦果を上げていただきつつ、各地の英雄が実はアインズ様の配下であるという姿を見せるのです」

 

「ふむ?」

 

「急に何を言い出すの、デミウルゴス」

 

「まあ、最後まで聞いて下さい、アルベド。

 よろしいですか、アインズ様?」

 

「…………」

 

「うむ」

 

「最終的にアインズ様を神聖な神として崇めさせるための計画なのです。これには順番が大事でして」

 

「……順番……」

 

「帝国に謝罪させてナザリックを表に出すとなると、皇帝は表向きナザリックと友好関係を結ぼうとするでしょう。

 ですがあの皇帝は、その裏でアインズ様を利用し、あるいは打倒するために画策し、たとえば『友好の証に力の程を見せて欲しい』などと持ちかけてくる可能性が高いかと。

 つまりアインズ様の戦力の最大値を見極めたいという狙いです」

 

「見せてやれば良いのではなくて?

 人間ごときでは決して太刀打ちできない遥か高みだと分かるだけでしょう?」

 

「いや……」

 

 俺は少し考える仕草をして、ゆっくり首を横に振った。

 

「無理だと思うよ」

 

「なぜ?」

 

「アルベド。君は、太陽と空、どちらの方が、より高い所にあるのか、地上から見て判別できるかね?」

 

「何の話……いえ、そういうこと……?」

 

「私には無理だ。高すぎて、遠すぎて、私の視力では判別できないからね。

 まさにアインズ様の深謀遠慮を全て理解することなど出来ないのと同じだよ」

 

「人間なら、なおさら……ということね?」

 

「その通り。

 圧倒的に高い実力だ、とは理解できるだろう。

 しかし、空や太陽ほど高いのか、せいぜい雲ほどの高さなのか、判断できないのではないかな。

 そして空や太陽ほどの高さというのは、あまりにも高すぎて人間がそれを直感的に理解するのは無理だと思うんだ。

 雲ならまだ、山にかかっているのを見て理解できるだろうけどね。だからあの皇帝は、山ほど積み上げて足場を築けば、アインズ様や我々に手が届くはず、などと勘違いしてしまうのではないかな」

 

「それは……そうかもしれないわね」

 

「しかもあの皇帝のことだ。絶望的な戦力差を認識しても、それで諦めるような人物ではないだろう。あれは中途半端に賢いからね。大規模な魔法はそう連発できるものではないはずだから、周辺国を巻き込んで波状攻撃を仕掛ければあるいは……などと考えそうではないかね?」

 

「たしかに……」

 

「まあ、そんなものは我ら守護者のうち1人でも居れば簡単に叩き潰せるし、アインズ様であれば絶望のオーラⅤを垂れ流して散歩でもしてくだされば全くの無意味ですがね」

 

 実際、皇帝に謝罪を要求するときに、マーレが杖の一撃で地面を叩き割って(たぶんそういう魔法かスキルなのだろうけど)帝国に大損害を与えているし。

 絶望のオーラⅤで散歩、に至っては、作者の丸山くがね先生がご自身で述べておられた事だったはず。

 

「しかし、信者になるはずの現地人が死に絶えてしまっては宗教として普遍の伝説にしようという計画は台無しです。

 この計画の良いところは、人から人へと病原菌のように勝手に思想が感染して広まっていくところなのですから」

 

 布教活動というのは、ネズミ講のように信者が増えるほど効率が上がる。信者に布教活動をやらせればいいのだから。そして、やらせようとしなくても勝手にやるだろう。

 人の口に戸は立てられぬというやつだ。アインズ様のご活躍を聞けば、誰かに話したくなるはず。そればかりは我々シモベも現地の人間どもも同じだ。

 

「ああ……そうすると、確かに死なせてしまうのではダメね。

 でもアインズ様の御威光を示すために、ある程度大きな力を振るって見せるのは必要ではなくて?」

 

「ちょうど王国と毎年戦争をしていますから、そこがお披露目の場となるでしょう。

 アインズ様がアンデッドたる姿をお見せになるには良い機会ですが、ナザリックを宗教として表に出すにはいささか時期が早すぎます。

 つまり見た者たちの印象が、神聖な神の御業ではなく、邪悪な魔王の所業になってしまうかと」

 

「……ふむ……」

 

 ゲーム脳のアインズ様は、そういう事は考えずにぶっ放したのだろう。わはー! 最高記録だー! と単純に喜んでおられたように記憶している。

 帝国兵はドン引きである。

 今回の計画では、その帝国兵のドン引きを避ける必要がある。アインズ様が「喝采せよ」とお命じにならなくても、自然と喝采が起きるようにしなくては。

 

「そこで、まず竜王国を救い、次に聖王国を救います。これらは正体を隠したままおこなうことで、アインズ様が神聖な存在であることを、まず行動で示すことにします。一方で、その活躍を噂に広め、他国にまで聞こえるようにします」

 

「イメージ作りね」

 

 アルベドが合いの手を入れ、俺はうなずいた。

 

「事実を伴った英雄的活躍。情報網を持つ者なら、そんなバカなと疑い、調べようとするでしょう。そして調べれば調べるほど事実だと分かることになります」

 

「なるほど……」

 

「その調査結果が第二波、第三波の噂として広まる。アインズ様のご活躍が伝説的に語られ、広まっていくのです。アインズ様は国をも救える偉大な御方……と、民衆に浸透していくでしょう」

 

「そのイメージが浸透することが重要、というわけね」

 

「そう。そうして『かの人物は何者で、どこに居を構えているか』というのを謎にしたまま、帝国相手の作戦に移り、実はアインズ様の……と明かすことで、帝国は国際的に非難を浴びることになります」

 

「なるほど」

 

「そうして王国との戦争で正体をお見せになれば、世論はアインズ様を崇拝する方向に動くはずです。恐ろしいアンデッドとして忌避するのではなく、あれほど偉大なことをなさるのだからやっぱり人間ではなかったのだと納得するでしょう。

 ここまですれば、法国を巻き込んで死の神スルシャーナの再来と喧伝させることもできるかと。その方向でいけば法国の掌握も簡単ですしね」

 

 シャルティア洗脳イベントが起きていない以上、法国はナザリックと決定的な敵対はしていない。

 カルネ村での衝突はあったが、アインズ様の心情としては不幸な行き違いとして処理できるはずだ。

 

「このようにすれば、宗教としてナザリックを普遍の伝説に……アインズ様のご命令に、一定の結果を出す段階を迎えられます」

 

 王国大虐殺――現地人の感覚では「あまりに醜悪な姿」としか映らないであろう例の仔山羊たち。そして強欲と無欲に経験値を吸わせる光景。

 あれを目前に控えたタイミングで、ぜひとも進言しなければならない。見た感じのイメージが良い魔法にしてください、と。

 なぜ「失墜する天空」とか「天軍降臨」とかにしておかなかったのか。あるいは「天地改変」で氷河にするとか。イメージが良さそうな魔法は他にいくらでもあったはずなのに。よりによって「黒き豊穣への貢」だなんて。

 普段陰キャのアインズ様が、ここだけはっちゃけてパリピになった結果、なれない事をしてやらかしたようにしか見えない。ここだけデミウルゴスのせいじゃないのだ。

 まあ、原作ではそれがうまいこと転がってモモンを盾に住民の不満を抑えたわけだが。今回はその手は使わないほうがいい。

 

「猛悪極まる邪神として君臨されるのも良いでしょうが、前にも申し上げました通り、他の至高の御方が見つかったときに、反対されたら困ることになります。

 善から悪へ転じることは容易いですが、悪から善に転じることは困難です」

 

 原作みたいなミラクルな展開でいい感じに受け入れられるなんていうのは、期待してやる事ではない。何しろそのミラクルを起こすデミウルゴスが今、中身、俺なのだ。遥かにポンコツな頭脳で、謎の深読みを発揮していい感じに着地させるなんてのは無理である。

 なので、ドラゴンは生け捕りにして剥ぎ取りと再生を繰り返したほうが得られる素材が多い……なんて進言はしないのである。あとで必要になったら、配下にするほうのドラゴンでやればいいし。ヘジンマールくんなんて太ってるから、得られる素材が多そうだよね。クックックッ……。

 

「悪くないが……王国と帝国の戦争の時期に間に合わせるという事だろう? ちょっと忙しくないか?」

 

「アインズ様」

 

「うん?」

 

「頑張って下さい」

 

「おい!?」

 

「至高の御方々を発見できた場合に備えてです」

 

「それを言われると弱いな!」

 

 やればできるんじゃないかな。

 時間停止とか使って、巻けるところは巻いていく感じで。ねっ? ねっ?

 まあでも宗教としてナザリックを広めるには、それしかないだろうと思う。

 竜王国で力を示し、それを知った聖王国から頼られる。

 そして聖王国に介入した結果、ネイア・バラハが超優秀な宣教師として覚醒する。

 宗教団体ナザリックとして世界に名を轟かせるには、覚醒ネイアの獲得が不可欠かつ急務なのだ。それはナザリックを表に出す前にやっておきたい。

 ラナー? んなもん、ほっとけ。

 忙しくなるぞ。




誤字報告をいただきました。
楓流様
ありがとうございます。

~とか~とか→~ことや~など
誤字ではありませんでしたが、デミウルゴスらしい言い回しに近づいたかと思います。
アインズ様に申し上げるという場面では、やはりカチッとした言い回しがいいですね。

誤字報告をいただきました。
珈琲藩士様
ありがとうございます。

神の所業→神の御業
改めて調べてみたら、「所業」は「人間がやったこと」で否定的なニュアンスなのですね。
勉強不足でお恥ずかしい。

作者「目ん玉」に石を投げますか?

  • めっちゃ投げる!ふざけんな!
  • ちょっと1発投げさせろ
  • う~ん……
  • いやいや、投げない投げない
  • チョコラータする。よーしよしよしよし
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