収納系能力、そう言われて何を想像するだろうか。
ゲームのインベントリ?ドラえもんの四次元ポケット?ハンターハンターのどこぞの風呂敷?少し趣旨からは外れるがカカシやオビトの神威?中にはバイオハザードのアイテムボックスのような物もあるだろう。
では次にどんな印象を持つだろうか。
便利そう、地味、外れ、戦闘においては無力、支援系だとすれば強い、主役にはなれない。
そんな意見も多いだろう、そして一方では。
なろう系筆頭能力、名前詐欺のチート、見飽きた、逆に有名過ぎて弱いというイメージが無くなった。
こんな意見もあるだろう。
収納系能力、なろう系においてもかなり定番となってきている、もしくはなった能力、分かる人にはわかる、知名度のある能力。
だけれど、その世界にはなろう系なんてジャンルがそもそも存在せず、全員の認識が二つの意見の内の前者であったら?
そしてその世界では戦闘能力がかなり重要視されている世界であったら?
更に言えば、その能力を持つ少年が自力でそのチートな使い道を導き出し、超能力や魔術がはびこる世界で使うことができたのなら?
このお話は、そんなありがちな能力を持つ少年が、ただ平穏な日常を過ごしていただけなのに。
とあるたった一人の不幸体質な友人に巻き込まれ、とんでもなくめんどくさいような出来事に巻き込まれていってしまう。
ただの、そんな日常のお話です。
タイトル とある科学の
第一話 とある劣等生たちの夏休みの始まり
某所 7/19
「(あついな~)」
東京の夏は熱い、ん?漢字が違うって?まじで蒸し焼きにされてるから間違ってないんだなぁこれが。
「(呼吸するたび暑い....氷系の能力者の友達作っとけばよかった.....)」
そんななげきなんて知らぬ存ぜぬで太陽は平等に全てを照らしてくる、まぁ、正直一番きついのはこの湿気による蒸し暑さなのだが、湿気のおかげで体感温度がかなり上がっている気がする。
と、夏の暑さに文句を垂れながら登校していると。
「不幸だ~!!!」
そんな聞きなれた、切羽詰まった声と足音が聞こえ振り返る、するとやはり見慣れたツンツン頭が目に入ってくる。
よく見れば大柄な男に追い回されているようである。
「(今日も安定だな.....)」
そんな風に思いながら横目に見ていると、上条当麻が謎のバナナによりすっころび男に追いつかれていた。
男がこぶしを振り上げる、構えからして素人だが体格からして当たれば多少なり怪我はするだろう。
「(助けるか....)」
距離が離れているため、仕方なく能力を使うため演算を速攻で回す。
現実世界のコードを見る、プログラミング画面かのような、この現実に作用する文字や数字の羅列、これが今の俺の
その中から上条と自分自身の間にある空間そのものである部分のコードを抜き取り、自らのストックに加える。
すると、当然この現実においての上条と自分の空間そのものが消失する、そして、その穴埋めをするかの如く、空間は、現実は捻じ曲げられ、結果として瞬間移動したかのように俺は上条との距離が突如としてゼロになる。
これにより位置関係は俺が上条と男の間に割り込んだ形になる、当然このスピードに反応出来る人間はいないため、振り下ろされ始めたこぶしは俺へと一直線に向かってくる。
それに対し俺は再び演算を回す、振り下ろされるこぶしに付随している運動エネルギー、その部分のコードを先ほどの空間と同じく抜き取り、ストックに加える。
するとこぶしは本来のエネルギーを失い、まるで女児のパンチのような威力しかなくなる、こうなれば受け止めるのも簡単である。
「なっ!?」
男が自らのパンチを受け止められ驚き思考が停止している、だがこれも一瞬だろう、そりゃそうだ、だってたかがパンチを一度受け止めただけなのだから、だから....。
「少し、飛んでもらうね」
演算を開始する、抜き取るのではない、貼り付ける、ストックしていた空間という概念を男と自分の間に、そしてそれが現実へと出力される。
現実が歪む、突如として発生したバグを繕うかの如く空間は軋み、次の瞬間、男は遠くへと消えるように飛ばされた。
「はぁ.....」
「( ゚Д゚)」
ひとまず目先の脅威がなくなり深くため息をつき、目の前で尻もちをつきながら呆けている友達兼隣人へと手を差し伸べる。
「上条、学校遅れるよ」
「あ....あぁ、」
上条が俺の手を取ったのを確認し立ち上がらせ、遅刻という二次被害を防ぐためにも上条を急かし俺たちは学校へと向かった。
学校はつまらない、いや、授業はつまらない、座学、そしてこの学園都市のみの暗記術だのなんだのの特殊なカリキュラム、だが結局は人間は慣れて日常となり、退屈となる。
だがそんな学校も行ってしまえば速く時も過ぎるもので。
「明日からはお楽しみの夏休みなのです、学園都市から出る人は申請書の提出をしっかりしてくださいね~」
放課後を告げるHRで、黒板前の壇上で先生がそう告げる、今日は7/19日、夏休み前日であり、今この瞬間が学生達の中で一番夢と希望にあふれているだろう。
「(月詠先生はホントに成人してるのだろうか.....)」
そんな中俺の思考は入学してからずっと囚われてるそんな疑問でいっぱいであった、だってそうだろ...こんな童顔で身長低い人がどうしても俺より年上とは思えない。
「いかがわしい場所に行っては駄目ですよ~、それと、外での『能力の行使』は絶対禁止なのです」
その言葉にクラスメイトが思い思いに返事を返す。
「(外行く用事もなければ能力を使う気もないし関係ないな...)」
能力、この学園都市で研究されている力、俗にいうテレポートだのパイロキネシスだのなんだのである。
そんなものがこの学園都市では科学によって作り出すことが出来ている。
「(外の世界の全男子が憧れる超能力が科学により再現できるとは、なんともまぁ夢のない話だ)」
かくいう自分も今朝といいその恩恵にあずかっているので文句は何も言うまい。
それに、所詮科学で説明できない事象などこの世界には存在しないのだから当たり前とも言える、幽霊とかも電磁波で存在確認できるとかも言うしね。
そんなこんなでそんなHRも終わり。
「お~っす、トア、帰ろうぜ」
「あぁ、上条か、そうだな」
そう声をかけられ、バックを手にして立ち上がる。
今声をかけに来たのは今朝助けた友人兼隣人こと上条当麻である。
何かと不幸体質な男子高校生、関わっていて不幸に巻き込まれることもあるが大体逃げ切れるし当麻本人は至っていい人間なのである、そして何より形がなんであれ彼と居ると退屈をしない、そんなこんなの理由があり仲良くさせてもらっている。
※陰キャな俺に話しかけてくれるかというのもある
俺と当麻はドアに向け歩き、外へと向かう。
「月詠先生さようなら」
「小萌センセーさよーならー」
「は~い如月ちゃん、上条ちゃん」
俺は担任の先生こと生ける学園都市七不思議への挨拶もほどほどにさっさと校門へ向かう、まぁあいさつは大事だからね。
「上条ちゃんはまた明日」
「「......え゛」」
衝撃の言葉に俺と上条の声が重なった。
「ま~た目隠しポーカーとかスプーン曲げとかやるのかよ~、ふこーだーー」
「まぁ、この学園都市にいる限りは仕方がないよ....受け入れるしかない、」
どうやら先生曰く、当麻の超能力開発のカリキュラムの成績がすこぶる悪いらしく、補習を受けなければ留年確定らしい。
「どーせ俺は落ちこぼれのレベル0だよ」
「上条?レベル2の俺にも刺さるからやめようか?」
レベル、この学園都市では超能力によってランク付けがされている、階級はレベル0からレベル5までの六段階で評価されている、彼はレベル0であり能力が限りなく弱い、まぁ落ちこぼれという判定をされている。
「レベル2あるだけいいだろ.....というかお前ならレベル5といかずともレベル4とか3ならなれるだろ......」
「自分の能力は物体を保存することは出来るけどストックがなければ自発的に何かを起こすことはできないからね。
それに、物体の保存、持ち運びなんてこの学園都市の科学ならいくらでもできるからね、妥当だよ。」
「いや....お前明らかに物体以外も....」
「上条?」
「.....なんでもない」
俺が少し圧をかけると黙ってくれた、俺は物体だけでなく概念的なものを含めたあらゆる事象をストックできることは隠している、いや、それは人聞きが悪いな。
自らひけらかすことはしていない、理由は単純、お偉いさん方に不信感があるから、あらゆる事象をストックできる、自分で言うのもなんだが利用価値が高いだろう。
どんな理由であれ子供の脳をいじくって超能力を発現させる連中だ、この方法を思いつくのも、最初に実験を実行したのも正直イカれてると思う、そんな連中に目をつけられるなんていい方向には転ばなそうだからな。
まぁ、理屈をこねてるがめんどくさいのと目立ちまくるのは得意ではないからである、小心者なもので。
実際、最初はレベル2相応の能力だったしね。
※あらゆる事象をストック出来るようになったのは割と最近
「はぁぁ.......」
「(すっごい負のオーラ出してんな....)」
なんか瘴気が見える気がする....周りの人も心なしか避けてるような気が.....。
「わかったわかった、そうだ、なんか昼ご飯奢ってあげるよ、昼ご飯まだでしょ?」
「まじで!!?!」
「(めっちゃ食いつくな....)」
そんなこんなでファミレスに入り。
「まっ!一学期分のさぼりが一週間でチャラになるなら安いもんだよな!!」
「(さぼってたのね....)」
ほんならレベル以前にお前が悪いやんけ....。
「っしゃー!折角の夏休みだ!景気づけにブワーっと食うか!」
「まぁ、うん、それが良いよ」
と、その時
「聞いてんのかオラ!!」
「なんだ?」
「?(なんだろ?)」
突然後ろの方から怒号が聞こえ、後ろを向くと、見慣れた顔が柄の悪い人たちに絡まれていた。
「(御坂?)」
御坂美琴、レベル5の一人でありある日から俺に突っかかってくるようになったなんとも不思議な人間である。
一応、レベル1からレベル5まで努力で上り詰めた正真正銘努力型の天才である。
「あいつらっ...」
俺が何か反応を示す暇も無く、お人よしな上条は立ち上がって行ってしまった、まぁ、助けようとしてるのは御坂か男たちか、まぁ言うまでもないだろう。
そんなこんなで突然のことに呆けていると上条は男のヘイトをとってそのまま店の外へ走っていってしまった.....。
「..... え? (いや、うん、まぁ助けるのは良いけど... 俺放置する!? )」
俺は少し呆然としてしまったが我を取り戻しふと美琴の方を見ると普通にまだ雑誌を読んでいた。
「いや、御坂さん?少しは反応したら?」
「っ!? ってトア! あんたいつからいた!?」
どうやら美琴を驚かせてしまったようだ、とても責任を感じる。
「で、追いかける素振りもないのね....」
「何? 追いかけた方が良いわけ?」
「一応....?」
地味に席と席の距離があるせいで喋りにくい......。
「なんてね、嘘よ嘘、こコーヒーでも飲み終わったら追いかけるわ」
「.... あれ? コーヒー飲めるんだ」
明らかに飲めなそうな見た目をしているのに意外である、俺の勘も鈍ったのかな....。
「いや?」
「......... そうか」
どうやら勘は間違っていなかったようだ。
俺は何か日本語が不自由な女子中学生との会話を諦め、自分の食事に意識を戻すが... 最悪の事実に同時に気づいてしまった....。
「俺..... 二人分食べるん????」
こんな作品をここまで読んで頂きありがとう!!
モチベーションや投稿頻度が上がるので、少しでも良いなと思って頂けたらお気に入り登録や評価!疑問や些細なことで良いので感想よろしくお願いします!!
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