ネフェルピトーや他キメラ=アントのしている会話が最低な上にほぼ下ネタなので、苦手な人は読み飛ばしでお願いします。あと普通にキメラ=アントに関して捏造しまくってます、土下座します。
「よし。んじゃ行くぞ」
「頼むニャ」
さて。胃の中の物を全て吐き出したネフェルピトーを荷物みたいに背負ったエースは、早速デュースの待つ漁港へと向かう。この島は小さいので宿から港までは五分くらいで着く。お陰でネフェルピトーはあまり休めなかったが、早く島から出なければ嵐に追いつかれてしまうので仕方の無いことである。
「エース、キミ寒くないの?」
「んあ?むしろお前の体温であちぃくらいだぜ?」
「へぇ……」
気温が低い時期なのにアロハシャツ一枚だけというイカレ陽キャお兄さんの背中から降り、港にあるちいちゃな船を見つけた。先に宿を出ていたデュースがその船に座っているのを見るに、これがスペード海賊団の本船なのだろう。
だがあまりにも小さすぎる。こんなのはただのサーフボードだ。ネフェルピトーは礼儀知らずの正直者なので、思っていることをハッキリと口に出した。
「キミらの船これ?ちっさ。こんなんじゃすぐ死んじゃうニャ」
「サイズは小さいが高性能だ…まぁ、詰めれば3人乗れるだろ」
「ピトーの船はどれだ?ストライカーに括り付けて持ってこうぜ」
「ボクの船はね、アレ」
「……サメの死骸じゃん」
ネフェルピトーが指を向けた先にあったのは、白目を向いて倒れているサメであった。心做しか腹の身が齧られており、その歯型から恐らく隣にいる猫がやったんだな……と思ったエースは、ネフェルピトーをジロと睨む。
「……あぁ。あれはね、念糸で操って泳がせて、ボクはその背中に乗って移動してたんだ。ちなみに彼の名前はビームだよ」
しかし何を勘違いしたのか、その蔑みの視線をどうやってサメを従えたのかという疑問の視線だと思ったらしく、ネフェルピトーはふんふん鼻を鳴らしながら流暢に語った。どうでもいいサメの名前はエースの耳に一切入らず、ただ単にネフェルピトーがイカれているという事しか分からない。
「今後はサメの背中に乗って海を渡ることはするな」
そんなものは高波にビート板で突っ込むようなものだ。今生きているのが奇跡と言ってもいいだろう。よってエースは震えた手で猫の肩を掴み、それやっちゃダメなんだよ!!と叱る。
「…は?何、お前。悪魔の実の能力者だろ?死に急ぐな」
「違うよデュース。ボクは念能力者だってば、さっきちゃんと話したでしょ?」
「けど、それだっておれと似たようなもんなんだろ?おれだってメラメラの力を手に入れた代わりに海からは嫌われたんだし」
「ンー、念能力者に欠点はないよ。メモリの使い方ミスると終わるけど、海に嫌われるとかそういうデバフ要素はない」
「おまえはなにを言ってるんだ???」
「なぁデュース、おれが可笑しいのか?ひとつも理解できねぇんだが…」
「ふたりとも頭が悪いんだね。科学者の脳みそと入れ替えてあげようか?」
「お前はイカれてるがな」
「っおい、喧嘩すんなお前ら!!」
彼等はお互いの事をしばらく罵りあっていたが、そのうちに雨が降り始めてしまったので急いでストライカー号に3人ぎゅう詰めになって島を出る。小さな船には屋根なんてないので、全員仲良くびしょ濡れだ。
「なんで屋根ないの?普通付けるよね?」
「そんなもん付けるスペースはねぇし、そもそも沈むだろ」
「じゃあ重量減らそうよ。エンジン捨てる?」
「先にお前を捨てた方が良さそうだ」
そうして沖に出て暫く経った頃。ネフェルピトーとデュースの会話を聞き流していたエースは、良い感じの強さの風が吹いているのを感じたので炎を出すのを辞めて帆を立てようとする。しかし、ちょうどその時に見上げるほどに高い大波を遠くの方に見た。
「……あ」
大きい、あれに飲み込まれたら死ぬだろうな。と分かるほどの巨大さである。人は死ぬ間際に冷静になると言うが、どうやら本当だったらしい。エースは今人生で一番冷静だった。未だに視界の隅でストライがー号の何を捨てるかを言い合っているふたりの会話も聞こえない。
「ねぇ、エースも言ってやってよ。さっきからデュースが……ン?あれ?なんかヤバくない?え?ヤバいよね?」
「あー……おいエース、あれはヤバイな。急いで逃げねぇとヤバい」
「ウン。ヤバい」
恐怖で脳が萎縮してしまったのか、全員でIQ3みたいな会話をする。本当にヤバい時は「ヤバい」しか言えない。
何故ならヤバいからだ。
「ッエース!!」
「クソっ!!」
回避する為に急いでエンジンを吹かせたが間に合わず、飛沫を散らして近付いてきた高波に襲われてストライカー号は大きく揺れる。その衝撃でデュースとの場所取りジャンケンで負け、仕方なく船首にしがみついていたネフェルピトーが「うわっ…!?」という小さな悲鳴を上げて海に落ちた。
「ピトー!?」
「ッエース、お前は能力者だろうが!!」
口からあぶくを零しながら荒波に揉まれて沈んでいく猫を見たエースは咄嗟に海へと飛び込ぶ。それを見たデュースも彼を追って慌てて飛び込んだ。
しかし飛び込んだ片方は悪魔の実の能力者であり、もう片方はただの人間であった。よって荒波に押し負けたふたりはどんどん海底へと沈んでいき、それを酸欠で死にそうな顔をしたネフェルピトーが必死に救出したのである。
「た、助かった……」
「悪ぃな……」
「海賊なのに泳げないのって何とかならないのかニャ…?」
島を出て数時間で危うくスペード海賊団壊滅の危機であったが、猫もたまには役に立つのだ。
■
「うわぁ、作るのにだいぶ金がかかってそうな街だニャ…」
「もう少し別のこと言えねぇのか。綺麗な街だな〜とかでいいだろ」
通称“水の都”と呼ばれ、街の中心部には大きな噴水が鎮座している。世界一の造船所と名高いこの島に無事たどり着いたスペード海賊団一行は、一息付く間もなくとりあえずは船を造る為の金を集めようとしていた。
「よし。お前アレだ、ほら、アレ出せよ」
「え?なに?ちょっ、勝手にボクの荷物漁るのやめてよ」
このメンツの中で金を持っているのはエースの隣を歩いているあしながおじさんことネフェルピトーだけなので、デュースは素早く金を巻き上げる。
「……なんで血が着いてんだよ」
「さぁ?デコってるんじゃない?」
猫の懐に入っていた麻袋の中には、血の着いた金貨も合わせて20枚が入っていた。簡単に換算しても1000万ベリー程の価値があるが、これだけでは船を造ってもらえない。
他にも何か隠してないだろうなと問い詰めると、ネフェルピトーは記憶を思い出すかのように左上へと視線を動かし「…確か机の中にあった変なコインなら持ってるよ。チョコかと思って」と言って腰に付けていた小さなポシェットバックから40枚の記念硬貨を取り出した。
「……あ、これ売れるぞ。宝石が等間隔で埋め込まれてる」
「え?ほんと?」
よーく見てみれば硬貨全体に小さな宝石が散りばめられており、匠の技だというのがハッキリと分かる。ひとつひとつ違ったデザインの上にシリアルナンバーも違うと来た。
これはマニアには高く売れるだろう。
「なんだチョコじゃねぇのかよ。んじゃコレ売っても足りなかったら身体で払おうぜ」
太陽の光に記念硬貨を当てて観察していたエースが、唐突にそんなことを言った。どう考えてもえっちな言葉である。しかしエースに限って下ネタを言うとは思えない。
それなのに「もー、何変なこと言ってんのー?」と言ったら邪な考え方をする奴だとエースに思われてしまう。
それは何としても避けねばならない。
「……」
ネフェルピトーはこの時冷や汗をかいていた。この後に続く言葉をどう選べばいいのか分からなかったからだ。ネフェルピトーがキメラ=アントの巣にいた頃は、下ネタなんて何処を歩いていても耳に入るくらいであった。
「あれ?その女どしたん?」とそこら辺に歩いていた奴に聞けば、「今から喰おうかなって、ふたつの意味で」という言葉が当たり前のように返ってくる世界である。
会話の八割は下ネタであるし、マトモな言葉しか話さないやつは気狂い扱いをされてしまう。故にネフェルピトーも会話をする時には必ず下ネタを混ぜるようになった。
そのお陰でゴンとの会話途中に「てかさ、もうキルアとはヤッたの?キミらのにゃんにゃんって百合とかにカウントされそうだよね笑」と口走ってしまった時は大変だった。
「ねぇピトー!!にゃんにゃんって何?百合って花のこと?オレはキルアと何をやればいいの?」
というようなことを四六時中ゴンから聞かれたのである。しかも彼にはボイス調整機能というものが付いていないので、どんな場所に居ても音量MAXだ。例えば図書館に居ても同じようなことを聞いてくるので、ネフェルピトーは肩身が狭かった。
「……おい、それ以上ゴンとオレに近付いたら殺すからな」
「ハイ、スミマセン」
その上キルアからも殺意を向けられるようになってしまった。あんなに仲が良かったのに少し下手を打っただけでこれだ。まるで売れっ子アイドルとマネージャーのような関係のふたりに「やっぱり裏でまくら営業とかしてんの?笑」と言ってしまった時には次の日になっても落雷が止まなかった。
「カイト、助けて欲しいんだニャ。ボクが変なこと言いそうになったらぶん殴って止めて」
「……なんだそりゃ、気味悪いな。どういう風の吹き回しだ?」
「それがさ、色々とあってキミにはまだ言ってなかったけどボクってレズなんだよね。穴だって両方使ってるし、猫だから乳首4つあるけど見る?……あ、間違えた」
「は?」
ネフェルピトーはごく一般的なJKの会話がしたかったので、未来でTS疑惑のあるカイトと遥か遠い場所にあるファミレスまで行ってお茶をしてみたかった。その為にまずは練習をしようと自分から喋りだしてみたのだが、残念なことに初っ端から最低語録が出てしまう。
「分かった、死にたいんだな?」
「いや違っ、ごめん、ちょっと手違いがあって……」
「
よってその日は一日中ドゥルルルル──!!という
巣に帰ったあとも幻聴でスロットの音が聞こえてしまい、ついに頭がおかしくなってしまったのかとネフェルピトーは泣いていた。しかし耳を澄ませてみればスロットの音の他にジャラジャラという金属音が聞こえ、不思議に思ってその音の発生源を探す。
カイトのせいで満身創痍な身体に鞭を打ち、その部屋へと向かえば何処からか盗んできたらしいジャグラーで遊んでいるユピーが居た。
「……え、何それ。どうしたの?」
「あぁピトーか。いやなに、昨日身体にちんこを6本生やしてお前がオススメしてた風俗店に行ったんだが潰れててな。仕方なく隣のカジノに入って、娼婦とは違う音が鳴る玩具を拾ったんだ。楽しいぞ、コレ」
「…へへ、へへへ!潰れる前にお気に入りの女の子全員誘拐しといて良かったー!ていうちんこ6本生やす前に脳ミソ巨大化させた方がよかったんじゃないかニャ?」
「確かにそうだな。次はそうするか」
ネフェルピトーはユピーとの汚い会話に心の底から安心感を覚えていた。やはりここが自分のうちだ。
人間の会話なんてつまんなくて反吐が出る。
「何か用でもあったのか?暇ならしゃぶれよ」
「変な音が聞こえたから、またニューハーフの女の子たち連れ込んでんのかと思っただけ。遅いからもう寝るニャ」
因みに下ネタは相槌のようなものなので、キメラ=アントの会話内容は殆が嘘である。ユピーはただ単にカジノへ行ってジャグラーを盗んで来ただけだし、ネフェルピトーも風俗店になんて行ったことがない。しかし巣の中では皆このようなテンションで喋るのだ。
平常な人間からすると正しく地獄である。
生まれた瞬間でさえ「おれ生まれたばっかだし、とりあえずセックスするわ」と言うのだ。最早方便であった。
下ネタを使わない会話をする人間の方が変なのだ。
「既に分かっているだろうが、普通会話の中に下品な言葉は混ぜない。何故なら必要ないからな。そんな事せずともコミュニケーションは取れるんだ、安心しろ」
「そっか、やっぱりカイトに聞いてよかったよ。毎晩4Pしてるから女心は丸わかりなんだね、お礼にキミの上に跨ろうか?あ、ごめんキミってゲイだっけ。代わりにボクの腕突っ込む?」
「
「うわっ!?ウソウソ!!いまの全部嘘だから!!ごめんカイト、えっと、ほんとにごめん。……ボクどうすればいい?キミの好きなプレイ教えてくれたら全部やるよ?」
「ドゥルルル───2!!」
みんなが知らないような下ネタを知っている同級生の男子が大人扱いをされるのと同じように、会話の中で素敵な下ネタ構文を言える奴は人気者になれる。そういう世界で生きてきたネフェルピトーを、カイトは辛抱強く粛清してやった。
「じゃあ初めからやるぞ」
「ウン。……今日はお時間ありますか?よければボクと遊びに行きましょう」
「よし、いいぞ。それ以外は喋るな」
「やった!これでもう他のハンターと話してもいいんだよね?ゴンとキルアにも会いに行かなきゃ。お土産に高級コンドームでも買ってや___」
「ドゥルルル___」
「嘘嘘嘘嘘。ジャンプ、ジャンプ買ってくから!!りぼんも買うし!!」
と、マァこの様な努力の甲斐あって普通の会話が出来るようになった。だが先程エースが言った「足りなかったら身体で払おうぜ」という言葉に、ネフェルピトーは巣での記憶を思い出してしまったのである。
もしかしてコイツ……面白いこと言おうとしてる???と。
そのせいでネフェルピトーは背中に冷や汗をかいていた。こういう時は作法として自分も下ネタを言わなければならない。つまり、「え〜?キミ不感症なのに?感度3倍になるように神経弄ってあげようか?笑」と言うべきなのだ。しかし彼は人間だ。
人というのは会話の中に下品な言葉を混ぜないのだとカイトは教えてくれた。
「……」
けれど彼は悪魔の実の能力者でもある。悪魔がする会話なんて全部が地獄だろう。きっと十字架に磔にした女と毎晩fuckしてるに違いないし、聖書の事をえっちな本だとでも思っているに違いない。それはエースだってそうかもしれないだろう。彼だって既に悪魔となっているのだから。
よってネフェルピトーは腹を括って、場を盛り上げようと口を開いた。
「……え〜?キミ不感__」
「臓器でも売る気か、エース」
「違ぇよ!!働いて返すんだ!!」
しかしその時、デュースがそんな事を言ったのだ。それにエースが「働いて返すんだ!!」という答えを言った瞬間、ネフェルピトーは一生デュースについて行こうと思った。下ネタを使わずにここまで短いフレーズで物騒な事を言えるだなんて、彼は天才だ……!!と思ったのだ。
「ボ、ボクも既に腎臓と肺が1個ずつしかないし、売るのは無理かもしれないニャ〜」
その為ネフェルピトーは彼を倣い、同じく物騒なことを言ったのである。しかも臓器がないのは本当の事だった。
ゴンと戦闘した時に負った傷は未だに癒えてない。
「え……?ピトー、お前大丈夫か?肺って1個で足りンの?」
「普通は走ったり出来ないし歩くのも一苦労だが……なんかコイツ元気そうだし、大丈夫だろ」
エースが心配そうにネフェルピトーの背中に手を乗せるが、デュースは呆れたように言った。そもそも身体の中の臓器が足りてない状態の人間はすぐに死んでしまうからだ。
けれどネフェルピトーはその状態でも元気が有り余っているのか常に五月蝿いし、これ以上身体の調子が良くなったらどうなってしまうのだろうか……とデュースは不安がっていた。
「デュースの言う通り心配しなくていいよ、もう直ぐ友達から貰った臓器をボクの免疫細胞と合致するように作り変える作業が終わるから。あ、なんなら余ってる臓器売ろうか?コレは適合手術とかする必要も無いし、病気の金持ちに売れば高くつくよ」
「ほらな、怖いよコイツ」
「今度ちゃんと常識とか教えた方がいいかな…」
倫理観が無さすぎる発言をしたマッドサイエンティストに対し、エースは真剣に人としての在り方を教育をした方がいいかもしれないと考えたが、一先ず優先するのは船だと意識を切り替える。有難いことに手癖の悪いネフェルピトーのお陰で懸念点だった船の資金も無事に稼げそうなので、早速彼等は近くにあった質屋に向かうのだった。
「っなんと、コレは素晴らしい!!安めに見ても1枚200万ベリーです!!」
「え?200万ベリー?コレ1枚でそんなにするの?」
「へぇ!!やったなピトー、大手柄だぜ!!」
気立てのいい質屋の店員は、恍惚とした表情でエースから渡された記念硬貨を眺めてそう言った。どうやらレアものだったらしい。鼻息荒く記念硬貨を舐め回している店員は、続いて言葉を零す。
「いやぁ凄いですねぇ、これは実に古い物ですからマニアには高く売れるんです。しかも絶版したシリーズですし、最低価格でも1枚200万はあるかと。……貴女方、コレを一体何処で?」
「あー、この猫が拾ってきたんだよ。そこら辺で」
「いやしかし、確かこのシリーズはVADファミリーのボスが所持していた筈。持っているとバレるだけで命の危険がある代物ですから、うちでは買い取れません。残念ですが…」
「ンー?別に足が着くとかの心配はしなくていいよ、そいつら全員殺したから。だからマニアに売っても命ごとコインを取り返しに来ることは無いニャ」
「……ハ?」
「おい黙れクソ猫」
「よし、外行って飯食いに行こーぜ。後は頼んだぞデュース」
しかし結局そこでも猫が失言をしてしまったので、エースはデュースの堪忍袋の尾がはち切れてしまう前に猫の首根っこを引っ掴み、屋台で賑わっている商店街へと向かった。
「へぇ、良い所だね。あのヤガラとかいうやつも美味しそうだし、ここって結構なグルメ都市だニャ」
「あれなんかデュースの奴が好きそうだな、交渉任せちまったし買ってやろうぜ」
「うわ、これ凄いよエース。心臓みたいな食感の肉だ」
「……ン?」
「水水肉って言うんだって。人間を踊り食いするのが好きな人にはピッタリの商品だニャ」
エースは屋台で買った水水肉を食べながら、ネフェルピトーに人として持ち得るべき最低限の感情や思いやりを教える事を心に決める。自分は彼女の船長なのだ、クルーの為に色々と考えてやらねば!!……ということを3歩進んで忘れたエースはむちゃむちゃと10個目の水水肉を口に入れ、噴水のある広場の方へと向かう。
するとそこには質屋に居るはずのデュースが立っていた。
「あん?デュース、なんでお前がここに居るんだよ」
「あぁ、実はな…」
近付いて話を聞くと、どうやらあのコインは最終的に2億ベリーの価値が着いたらしい。ファミリーから狙われる危険がないのならば、正規の値段で売れるだろうと質屋の店主が判断したのだ。故にデュースは金を質屋に預けたまま、先にガレーラカンパニーの職人たちに船を作ってもらう交渉をしに来たんだと話す。
デュースの口から飛び出した2億ベリーという言葉にエースは「それだけあれば死ぬほど肉が食えるな!!」と両手を上げて喜び、一方でネフェルピトーは「やっぱり持つべきものは友!!」とご機嫌にしっぽを揺らした。
「それにどうせお前らは飯に夢中だと思ってな」
「……あ、ほらコレお前が好きそうなやつだ。食えよデュース」
「もがっ」
エースとネフェルピトーの手の中にある沢山の食べ物をジロッ、と不機嫌そうに睨みつけたデュースの口に水水肉を突っ込みエースも15個目を口に含む。ネフェルピトーも隣で食べているとガレーラカンパニー本社の方から随分と身なりが綺麗な男と女が並びたって歩いて来た。
チラ、とデュースに目線を向ければ「お忙しい中わざわざすみません」と頭を下げていたのでどうやら偉い人らしい。その男の隣を歩く女はオーラ量が多く、かなりの実力者だと分かる。
護衛役だろうか?アレを喰えば良い栄養になりそうだと、ネフェルピトーは怪しげに舌なめずりをした。
「お前らがスペード海賊団か?船長はどいつだ」
「おれだ」
「…この時期にアロハシャツ一枚だけ?しかも前が全開ですね。セクハラです」
「え?存在が?」
「ふんふん。随分と肉付きが良くて美味しそうな女だニャ、オーラの量も割と高いし食べたら良い栄養補給にな____ぶへっ!?」
「いやぁわりぃな!!こいつはちょっと素行が悪くてよ、まだ教育中なんだ、すまねぇが大目に見てやってくれ」
初っ端から取り引き先との印象を悪くする発言をぶち込んだネフェルピトーの後頭部を掴んで地面に叩きつけ、強制土下座をさせたエース。目の前でアホに教育をしてから相手方に謝罪をし、自分も下手に出る事で相手からの反感を帳消しにするというやり方は少々暴力的だが理にかなっている。
船長として流石の行動であった。
「……ンマー。その気持ちは、おれもよく分かる…」
それに何故だか随分と共感したらしいアイスバーグという名のガレーラカンパニーの社長とエースは、“自分の弟について”という話題のウマが合ったらしく仲良く並んで本社へと入っていった。顔に着いたアスファルトの破片を取りながらそれを見送ったネフェルピトーは、一応な……と言って傷を見てくれたデュースから金貨を1枚渡される。
「ここで膝関節も作って貰え、ガレーラカンパニーには腕利きの職人が豊富にいる。流石に今後もミカンでやってくのは無理があるだろ?」
「お金が余ったらご飯買ってもいい?」
「…まァ、元はお前の金だ。けどエースには言うなよ。おれも食いたいって言い出すからな」
「はーい」
これで重要な話し合いの場から失言量産機を追い出すことに成功したな、と満足そうに笑いながら社長秘書のカリファという名の女を連れてデュースもガレーラカンパニー本社へと向かう。
「とりあえず水水肉はもう1回食べたいニャ」
一方でその場に残された哀れな猫はデュースの考えていたことを露知らず、「何食べよっかな〜」と嬉しそうに屋台がある商店街へと歩いていくのであった。