「…みんな、少し静かにしろ」
俺の呟きに、さっきまで俺を奪い合っていた妻たちの動きがピタリと止まる。食事中、巣の外から風に乗って届く、聞き慣れない不快な鉄の音と火薬の匂い、そして大勢の足音。ハンターがうちに来るなんて初めてだな。
「子どもたち、外は危険だから奥に戻りなさい。レイア、ちょっと外の様子を見てくる。子どもたちの防衛を頼んだ。……ゼクス、お前もだ。安心しろ、すぐに戻る」
戦う気満々でトサカを放電させ始めたゼクスを翼で宥め、俺はすべての妻と子どもたちを巣の奥へと残して、崖の縁から眼下を見下ろした。
ほぉ……結構な人数を連れてきたな?
眼下に展開していたのは、数十人は下らないであろうハンターの大部隊だった。大タル爆弾が整然と並べられ、地面には各種の罠が盛り沢山に仕掛けられている。
まさにこの一帯の生態系を更地にするつもりの大総力戦構えだ。だが、俺の視線が彼らの身に纏う防具に固定された瞬間、全身の血液が逆流した。
「……あ ゛?」
……ドクン……あいつらの…ドクン…着ている装備……ドクン……あれは……ドクン……成る程な。俺の目の前であの姿を晒し……ドクン……俺の心を折りたいらしい……ドクン……少し心臓が喧しい。静かにしろ……これでよし。
「――グ、ル、ル、ル……!」
その装備を着るのは……逆効果だ。俺を絶望させるどころか、ただ俺を…かつてないほどに…怒らせるだけだ…!激しい憤怒で視界が真っ赤に染まりかけるのを、残った理性でどうにか押さえつけ、俺は一度巣の奥へと戻った。
「レイア……これ以上は絶対に外に出ず、サクラやみんなと一緒に巣の中に籠もっていろ。ここから先の俺の姿は……子どもたちには見せられん……」
あまりの殺気と心臓の音を響かせていた俺の姿に、レイアは一瞬だけ目を見開いた。けれど、すぐにすべてを察したように深く首を縦に振ってくれた。
「レウス、子ども達は任せてね」
「……うん。ありがとう。お前のその素直な所が、本当に大好きだ。愛しているぞ」
「旦那様、無茶は……」
「バカ旦那、死んだら承知しねぇからな!」
と口々に叫ぶサクラやゼクス、そして陰から心配そうに顔を出すナルガたちに、俺は静かに告げた。
「……無傷で帰る」
そう言って、俺は力強く両翼を広げた。崖の縁から一歩を踏み出し、大空へと躍り出る。
この数年で……俺はあの理不尽に俺を追い出した親父を遥かに超えて成長した。数々の美雌たちを惚れ込ませ、縄張り争いを制し、異種族ハーレムを築き上げた、正真正銘の『王』だ。
……まあ…強くなろうとした本当の理由は、大切な妻たちと可愛い子どもたちを守るため、そして戦いを終えた後、また彼女たちを優しく抱きしめるためだけなんだけどな。
「――グオォォオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」
大気を爆裂させる怒号と共に、俺は口内から溢れんばかりの超高熱の火炎を滾らせ、愚かな人間どもの大部隊へ向けて真っ逆さまに急降下を開始した。
……ドクン……
胸の奥で、太陽が脈打った。
それに呼応するように、黄金の双眼が輝きを増した。
◆
――その報せが届いた瞬間、ギルマスの執務室の空気は完全に凍りついた。
すべてが順調だった。
俺たちの懐は潤い、あの大家族も世界の一部として静かに暮らしていた。
だが…この世にはいつの時代も、人間の底知れない悪意と嫉妬という名の、制御不能な「大馬鹿野郎」が存在する。
ギルドから事実上の永久的な『狩猟禁止個体』に指定され、触れてはならない神域となっていたあのレウス。
陛下は…あいつは…数年前からずっと腹の底でドス黒い怒りを燃やしていたらしい。
「モンスター風情がハーレムを築いてぬくぬくと暮らしているなど許せない…!」
そんな、あまりにも醜く下らない逆恨み。
あいつはギルドの目を盗んで密かに同志を募り、おびただしい数の重火器と牙を揃え、私設の「大討伐部隊」を結成した。
そして、あろうことかレウスの愛する家族が待つあの巣へと、一斉に突撃を敢行したのだ。
だが、報告を聞く俺の背筋を最も凍らせたのは、その部隊の『異様な姿』だった。
「奴らは……全員、あえてレウスの番たちの装備を身に纏って出撃したそうです」
報告する受付嬢の声は…ガタガタと震えていた。
あいつは…レウスの嫁たちの同族を狩り…その剥ぎ取った皮や骨で作られた最凶の武器と防具を金で買い、それをギラギラと輝かせ、敢えてそれを見せつけるようにして巣に踏み込んだのだ……
それは………ただの狩猟ではない…レウスの心を……極限まで破壊するためだけの…最低で…最ッ悪の…あまりにも残虐な挑発だった……!
「そして…その装備の中には……特に陛下が身につけている武器と防具は……『 』の個体の素材で作られた物です…」
「……終わった…な」
俺はガチガチと奥歯を鳴らし、拳を握りしめた……怒りではない…あいつらへの…そしてこの世界への底を突き抜けた………「絶望」だった……
あいつらは何も分かっていない……あのレウスが…どれほど必死に…どれほど深い愛で……!あの狂暴極まりない雌たちを繋ぎ止め、奇跡的な平和を維持していたかを!!
そしてあの嫁たちがどれほどまでにあのレウスを狂信的に愛しているかを!!!
レウスの心を折るために纏ったその『同族の装備』は、レウスにとっては「最も大切な家族への侮辱」であり、嫁たちにとっては「愛する旦那を殺そうとする不届き者の証明」でしかない!!!
これまで人里に牙を向けず、ただひたすらに大人しく引きこもっていた、世界を滅ぼしかねない魔王軍…
その逆鱗を…あいつらは文字通り…最大出力で爆破させたのだ……!
「緊急招集だ……ッ!」
ギルマスが血相を変えて叫ぶ。
「今すぐ近隣のハンターを全員集めろ! 討伐部隊を助けるためではない! あの巣から溢れ出すであろう、『大災厄』から街を死守する防衛線を築くんだ!!」
いま…なんつった?
「防衛するって? ――ハハッ、ハハハハハ!!」
俺の口から…乾いた笑いが、剥き出しの狂気が…漏れ出た。
今日のギルマスはどうやら数年間の平和と小説の印税生活で脳みそがすっかり腐っちまったらしい。
あの狂った報告書を、俺が書いたあの真実を、一体何だと思っていたんだ?
「防衛線を築くだと? 正気かよ……俺たち人間にできることなんて、もう『逃亡すること』だけだ」
俺は冷え切った声で、ギルドマスターを見据えた。
いや、正確に言うなら――『街を差し出すこと』だ。
あの馬鹿どもがやったことは、ただの狩猟じゃない。
家族の絆を、彼らのプライドを、最も最悪な形で蹂躙したんだ。
あのレウスはもう、ただの女誑しの野良火竜じゃない。
俺たち人間を『明確な敵』だと判断し、一族総出で全てを根絶やしにしに来る。
かつてギルドの記録に存在した、天災の如き力を振るった『黒炎王』
あの伝説の二つ名個体すら、今のあいつの足元にも及ばない。
火、毒、水、泡、雷、闇、物理、氷結――そして陸と空。その全てを統べる、人類史上最悪の『魔王』として、世界を焼き尽くしに来るんだ。
「……なぁ、ギルマス。寧ろこう考えるべきじゃないか? 街一つを差し出すだけで、あのレウスの怒りが鎮められるなら…安いもんだろって」
別に、おかしなことを言っているわけじゃない。
モンスターによって人里や都市が滅ぼされるなんてこの過酷な世界じゃよくあることだ。
シュレイド城が一夜にして崩壊したという、あのおとぎ話と同じことが、ただ現実として俺たちの身に降りかかるだけ。
「だから……早く逃げろ。ギルドの人間も、街の住人も、全員今すぐ荷物をまとめてこの地を去るんだ。どうせあの大馬鹿野郎どもが奇跡的に生きて帰ってきたとしても、ギルドの法を破った罪で、裏からギルドナイトに消されるのがオチだ。あいつらのために死ぬ必要なんてねぇ」
俺が静かに防具の紐を締め直し、愛用の大剣の重みを肩で確かめるのを見て、ギルドマスターが顔を青ざめさせた。
「お前は…何をするつもりなんだ…?」
「……何って、決まってるだろ。俺は残る」
俺はフッと口元を歪め、窓の外…不気味に赤黒く染まり始めた遠くの空を見つめた。
「お前たちが逃げる時間を…少しでも稼ぐ。あいつらの怒りの矛先を、この俺が引き受けて誘導してやるよ」
数年間、あいつのプライベートを特等席で覗き見し、それをネタに大富豪になったんだ。一番のファンとして、そしてあいつを世界で最も理解しているハンターとして…最後のケジメくらいはつけさせてくれよ。
遠くの空から大地を、大気を、人間の魂を激しく震わせるような――かつて聞いたこともない激しい『憤怒の咆哮』が地鳴りのように響き渡り始めた。
敢えて発達部位だけ教えますね。
発達部位は…「太陽の心臓」
通常のリオレウスより遥かに巨大かつ強靭な心臓。
莫大な血液を全身へ送り出し、高温・高圧の血流を維持する。(※常時ギアセカンド状態)
それによって筋力、飛翔能力、火炎ブレスなどが異常に強化される。
また、心臓そのものが常に高熱を帯びている。その影響が全身、とりわけ眼球にまで及び、双眼が黄金に輝く。眼球の虹彩自体は通常種のリオレウスと同じく蒼い。
感情が昂ぶったり、生命力に満ち溢れていると黄金の輝きが増す。逆に……嫁たちに絞り取られた翌日は目が死ぬ。
レウスのチ◯コが立派である理由もこの心臓が起因している。
しかし、太陽の心臓の本質はあくまで
「生命を成立させる力」
自身の生命力が非常に高いのと同時に、傷の回復能力も高い(※自動回復)
異常な運動能力を持ち、火炎の出力も高い(※瞬間移動+広範囲超火力)
通常なら、リオレウスの遺伝情報 × 異種族の遺伝情報は生物学的な壁によって成立しない。
ところがレウスの場合、太陽の心臓が生み出す異常な生命力によって、その「種族間の壁」を強引に乗り越えてしまう。
だから生まれてくる子供は単なる「雑種」ではなく、リオレウスと異種族の番の双方の形質を安定して持つハイブリッドになる。その結果、生まれた子供の生命力も非常に高くなる。
※太陽の心臓が生み出す異常な生命力によって、その「種族間の壁」を強引に乗り越えてしまう。
この設定は本作において、ある生物を番にする時に再登場するのでよく覚えてくように。テストに出るぞ!
ではもう一つアンケートを。この中なら次は誰がいいですかね?
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〇欲復活・護龍アルシュベルド
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ジュースにされた・レ・ダウ
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ナニしても起きない・エスピナス
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嫉妬深い・レイギエナ
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体格差・ホロロホルルとトビカガチ