独自解釈ありです。
この雄には、そもそも雄としての魅力など、欠片もありはしなかった。
強大なモンスターとの縄張り争いに勝てるわけでもなく、他の雄を圧倒するような美しい甲殻を持っているわけでもない。当然、彼を選ぶ雌などどこにもおらず、傲慢な自尊心の裏で、彼の心は惨めに擦り切れ、乾ききっていた。
そして、ある日のこと…。
「お前の雌を寄越しやが…!」バキッ!
「おい…てめぇ、今何言おうとしたんだ?」
「ひ、ひぃ…!」
一方的な戦いの末、彼は何よりも大切にしていた自らの兜角を、無残に叩き折られることとなった。
マガイマガドにとって、角の破砕は生物としての敗北を意味する。泥の中に這いつくばり、彼は初めて絶望とともに悟ったのだ。
――俺は、もう雄として終わった。
だが、醜く肥大化した彼の自尊心は、そこで真っ当な反省へと向かうことはなかった。「あの時、無抵抗な雌の角をへし折って傷つけた。彼女に謝らなければ」などという殊勝な後悔は、一瞬たりとも浮かばない。代わりに彼の脳裏を過ったのは、あまりにも卑劣で都合の良い記憶の断片だった。
(待てよ。……そういえば、俺に頭を下げて求愛してきた雌がいたな?)
あの日足蹴にし、文字通り誇りをへし折って捨てた、あの貧相な雌。
「あいつなら……今の俺でも、まだ受け入れてくれるかもしれない」
どこまでも自分本位で、身勝手な生存戦略。彼は自らの惨めさから目を背けるように、かつて拒絶した彼女の影を必死になって追い求め始めた。
それからの月日は、妄執の旅であった。長い、あまりにも長い時間をかけて、彼は彼女の行方を探し続けた。その道中、彼の頭の中では、記憶が恐ろしいほど都合よく改ざんされていく。
『あいつなら、きっと俺を待っているはずだ』
『俺たちは一度、番になりかけた仲なんだから』
『今なら、俺もあの頃とは違う。優しくしてやれる』
積み重ねられた妄想の城は、いつしか彼の中で絶対の真実へとすり替わっていた。 そうして、彼はついに「竜の都」へと辿り着いた。
彼は近くにいた小さな飛竜の子供を見つけると、激しく威嚇して追い散らした。そうして都へと進んだ彼の目に、求めていた「それ」が飛び込んでくる。
半分、失われた頭部の角。
雄は確信し、歓喜に身体を震わせた。あの折れた角こそが、あの時の雌であるという何よりの証拠。自分の妄想を完成させるための、最後のピース。
「やっと見つけた……! 俺だよ、俺! 覚えてるだろ? あの日お前を……!」
だが、この雄の目には、何一つとして見えていなかった。
彼女の折れた角から、かつての灰青色の煙ではなく、気高き紫の炎が堂々と立ち上っていることも。
彼女がすでに、この都を統べる王の番になっていることも。
そして何より、そのお腹に、新しい小さな命を、大切に、大切に身籠っているという現実すらも。
哀れな亡霊の瞳には、自らが作り上げた都合の良い幻影しか、映ってはいなかったのである。
◆
本来、マガイマガドという種族は、自らの命であり誇りそのものである兜角を叩き折られた瞬間、世界への絶望と怨念に身を焦がし、異形なる『怨嗟響めくマガイマガド』へと変異を遂げる。すべてを失った者が至る、文字通り命を削り狂い咲く、最後の輝きという名の圧倒的な戦闘力。
しかし――この雄は、そうならなかった。
いや、なれなかった。
絶望の淵に立たされた瞬間、彼の脳裏を過ったのは、かつて自分が惨めに蹴り飛ばした、一頭の不器用な雌の記憶だった。
『……そうだ。あいつがいた』
『あいつなら……俺のことを、まだ……』
皮肉にも、過去に一度だけ自分を無条件に求めてくれた彼女の存在が、たったひとつの「希望」となって彼を繋ぎ止め、怨嗟の深淵に堕ちることを防いでしまったのである。
だが、それこそが彼にとって最大の悲劇の始まりだった。
怨嗟に至らなかった彼は、当然、最後の爆発的な力など与えられはしなかった。つまり、絶望した者には形振りを構わぬ最強の力が与えられる世界において、中途半端に希望を捨てきれなかった彼には、何も与えられなかったのだ。
弱い。醜い。角も折れている。番もいない。
それでも、肥大化したプライドと歪んだ希望だけは一欠片も摩耗していなかった。だからこそ、彼は「それでも俺はあの雌に選ばれるはずだ」という、非常に危うく狂気じみた精神状態のまま、長い長い旅の果てに竜の都へと辿り着いた。
◆
そして今、彼の視界に映っているのは――自分が角を折った、あの雌だ。しかし、彼の歪みきった認識のフィルターは、目の前の凄まじい現実を何も捉えてはいなかった。彼のなかで彼女は「俺が惨めに傷つけて捨てた雌」ではなく、「今でも俺を愛し、待ち続けてくれている雌」のままなのだから。
だからこそ、彼女の隣に泰然と君臨する、圧倒的な威厳を放つレウスの姿を見た瞬間、雄のなかの歪んだ論理が、最悪の形で結実した。
「……お前が、俺の雌を奪ったのか」
事実としては、完全に逆であった。彼女は雄に理不尽に角を折られ、心をずたずたに引き裂かれた後、絶望の彷徨の果てにレウスと出会った。
そこで初めて「身体の一部ではなく、自分自身」を正しく評価してくれる温もりに触れ、自らの意志で彼の番になることを望んだのだ。今や、そのお腹にはレウスとの愛の結晶まで宿している。レウスは彼女を「寝取った間男」などでは断じてなく、地獄の底から彼女を救い上げた、かけがえのない恩竜であり最愛の夫だった。
だが、この雄の脳内では『俺が先だった』『あいつは俺に求愛した』『なら、あの雌は最初から俺のものだったはずだ』という、あまりにも身勝手な独占欲だけが暴走していた。何より、かつて自分の手が彼女の角をへし折ったという都合の悪い事実には完璧に蓋をし、自分を「愛されるはずの悲劇の雄」だと思い込んでいるのだ。
「――俺の雌だと? 違うな」
その妄想の毒を孕んだ言葉を聞いた瞬間、リオレウスの双眸が、ふたたび全てを焼き尽くす太陽のごとき黄金の輝きを放った。
レウスが激怒したのは、見当違いな因縁をつけられたからではない。己が命を懸けて守ると誓った、愛おしい家族を――「誰かの所有物」のように貶められたからだ。
「あいつはお前の所有物なんかじゃない。俺の対等な番であり、俺がこの命を懸けて守る、大切な家族だ…!」
地響きのようなレウスの咆哮が、竜の都の静寂をつんざき、圧倒的な圧となって場を圧した。単なる雄同士の嫉妬ではない。家族の尊厳を汚された番としての苛烈な怒り。
この雄は、レウスという絶対的な存在を何一つ知らなかった。いや、たとえ知っていたとしても、今の彼の目には何も見えてはいなかった。
肥大化した妄想の希望だけが、彼の視界を、理性を、完全に遮っていたからである。
目の前にいるのが、決して刃を交えてはならないこの地の「王」であるということ。そして、その絶望的なまでの圧倒的な力の差というものを、この雄は理解できない。いや、理解しようとすらしていなかった。
自分を一方的な被害者だと思い込み、歪んだプライドを剥き出しにした雄は、激しい咆哮とともにレウスへ向かって無謀な攻撃を仕掛けるのだった。
大きくバックステップで距離を取ると、再び咆哮をあげ、その全身に鬼火を纏わせた。レウスに向かい、地を削るような急加速で突進しながら、周囲に爆発性の鬼火ガスを撒き散らしていく。そのまま円を描くように縦横無尽に荒野を駆け回った後、溜めたエネルギーを爆発させるように勢いよく上空へと飛び上がった。
そして、眼下のレウスを目がけて急降下し、その身に宿したすべての鬼火を大地ごと爆発させる。
「大鬼火怨み返し――!!」
轟音と共に、凄まじい紫の爆炎と土煙が荒野を包み込んだ。周囲に衝撃波が吹き荒れる。自らのすべてを賭した、妄執の一撃。
しかし―― 吹き荒れる爆煙がゆっくりと晴れていく。その先にいたレウスの姿は、煤一筋すら浴びていない、完全なる無傷のままだった。
レウスはただ、大きな翼を盾のように静かに広げ、その背後にいる彼女を庇いながら、そこに毅然と立ち尽くしていた。黄金の眼差しを、哀れな雄へと向けたまま、微動だにしていなかったのだ。
マガイマガドの雄は、自身の全力の一撃がまったく通じなかったという現実を前にしても、なおその目を曇らせ続けた。
――今のは、ただ打ち所が良かっただけの、ただの偶然だ!
歪みきった脳内での解釈を終えると、彼は焦燥を打ち消すように、二撃目、三撃目と無謀な連撃を繰り出した。爪を振るい、尾刃を叩きつけ、爆縮を伴う鬼火の波を何度もリオレウスへと浴びせる。
しかし、そのすべてが強靭な甲殻と広げられた一対の巨翼によって冷酷に弾き返された。
レウスが静かに、地響きを立てて一歩前へと踏み出す。
その圧倒的な質量と威圧感に、雄の肉体は本能的な恐怖を感じ、微かにすくみ上がっていた。だが、「俺はこいつに負けるわけにはいかない」という肥大化したプライドが、その恐怖を絶対に認めさせようとはしなかった。
なぜなら、ここで敗北を認めるということは、同時に「あの雌をこいつに完全に奪われた」ということまで認めることになってしまうからだ。だから彼は、自らを騙すように戦い続ける。
そのあまりにも惨めで、泥臭い執念の姿を背後から見つめているうちに、彼女の頭のなかの、ずっと深い場所に眠っていた古い記憶の檻が、かすかに音を立てて開いた。
半分、失われた頭部の角。泥の中に転がり、足蹴にされたあの夜の情景。目の前で狂ったように牙を剥いている、みすぼらしく不格好に歪んだ雄の顔。
「……待って……あなた……あの時の……?」
私が記憶の底から搾り出すようにそう呟いた瞬間、雄の双眸に、これ以上ないほどの狂喜の光が宿った。
「そうだ! やっと見つけた! 迎えに来たんだ、お前を……!」
「……私は、あなたを待ってなんかいない」
雄の言葉を、彼女は一瞬の迷いもなく、冷徹に突き放した。
そのやり取りの間も、リオレウスの胸の奥からはドクン、ドクンと激しい怒りの鼓動が鳴り響き、イライラが頂点へと達しつつあった。しかし、妊娠している彼女の体と心を最優先にする彼は、彼女の目の前で暴力を振るうまいと、必死に怒りを抑え込んで攻撃をせずに守り続けていた。
「いい加減にしろ……こいつはお前の番じゃない……!」
レウスが低く押し殺した声で警告する。だが、その言葉こそが、雄のなかの最も醜い逆鱗に触れた。
「黙れ! そいつは俺のなんだよ! 俺のもとに、戻るべきなんだよ……!!」
現実を何一つ見ようとしない、亡霊の絶叫が荒野に虚しく響き渡るのだった。
雄は再び、すべてを巻き戻そうとするかのように「大鬼火怨み返し」を仕掛けるために上空へと飛び上がり、狂気とともにこちらへ急降下してきた。
レウスはその軌道とタイミングを見極める。 彼は急降下してくる雄に向かって、空中を滑らかに一回転する。その強靭な尾による、苛烈にして美しいサマーソルトが、突っ込んできた雄の顎へ容赦なく叩き込まれた。
レウスにとっては、ブレスで焼き殺していないだけ、まだ手加減をしてやったという程度。しかし、この雄にとってそれは致命的なほどに重い一撃だった。
バキバキと凄まじい衝撃音が鳴り響き、雄の身体は上空へと無様に吹き飛んだ。やがて、糸を切られた人形のように地面へと激しく落下し、激しい土煙をあげる。
肋骨にはヒビが入り、骨が数本叩き折られた。血を吐きながら、それでも雄は、ガクガクと震える四肢を踏み締めて立ち上がる。
「……まだだ……俺は……まだ、終わってない……!」
そこにあるのは、肉体的な強さなどではない。醜いプライドだけで、彼は辛うじてその身を支えていた。そして、なおも這うようにして、彼女を求める。
傍から見れば、それは絶対に勝ち目のない強大な敵に立ち向かい、かつて愛した雌を取り返そうとする、泥塗れの『悲劇の勇姿』に見えるのかもしれなかった。
しかし――この場においては…己がしでかした暴虐の過去に完璧に蓋をし、目の前にある本物の幸福を踏みにじろうとするその姿は、あまりにも身勝手で、醜く、そして滑稽な悪あがきにしか映らなかった。
それを、少し離れた陰から静かに見守っていたハンターが、呆れたように小さく呟く。
「小説のタネとしては、最高なんだけどな……」
その滑稽な舞台の幕を引くために、彼女はレウスの背後から、ゆっくりと一歩を踏み出し、雄の元へと近づいていった。
彼女の接近に気づいた瞬間、雄の血走った目が、まるで奇跡でも目撃したかのようにギラギラと歓喜に輝きだした。
「……来てくれたのか……!そうだ……そうだよな…やっぱり……俺を選んで、くれるんだよな……!?」
痛々しいほどに、哀れなほどに、彼にはもう彼女の本当の顔が、何一つとして見えてはいなかった。
自分が見たい、自分を今でも愛して待っている都合の良い幻影の彼女しか、彼の壊れた脳髄には映っていないのだ。
雄に向けられるその冷たい、ゴミを見るかのような侮蔑の目も。
彼女の大切な家族を傷つけられようとしたことへの、激しい怒りも。
そして、この雄という存在を完全に拒絶し、上書きしたという強い決意も。
この雄には、何一つとして届かない。
歓喜で、希望で、その濁った目をキラキラと輝かせる。皮肉にも。最後の最期までこの雄を支え続け、彼を怨嗟から遠ざけたあの眩しい『希望』という名の妄執が、彼の目を、現実を、完全に眩ませていたからに他ならなかった。
◆
視界の先で、かつて私を泥に塗れさせた雄が、必死に私を呼んでいる。
その光景は、あの日――私が彼の前で這いつくばったあの夜と、まるで綺麗に逆転していた。
あの時、私は彼に必死に迫った。今は、彼が私に必死に迫っている。
あの時、私は親愛を込めて喉を鳴らした。今は、彼が血を吐きながら歪んだ愛を叫んでいる。
あの時、私は彼の隣を求めた。今は、彼が私の隣を求めている。
私はこの竜の都で、誰からも拒絶されない本物の温かさを知り、新しい未来を自分の手で掴み取った。
彼は、ただ失ったちっぽけな自尊心を取り戻すためだけに、過去にみっともなくしがみついている。
私は、命を懸けて守ってくれる愛する夫と、可愛い子どもたちに囲まれて、最高に幸せだ。
彼は、すべてを失って泥の中を哀れに這いずり、最低で不幸だ。
……いや、ひとつだけ。たったひとつだけ、私たちには「同じもの」があった。
半分だけ失われ、無残に欠けた角。それだけは、彼と私とで、全く同じ形状をしていた。 そう気づいた瞬間、私の全身を、これまでに経験したことのないほどの激しい拒絶感が襲った。
……嫌だ。
……気持ち悪い。
こんな、自分のことしか考えていない醜く卑劣な雄と、私の身体のほんの一部であっても「同じ」部分があるなんて、ただそれだけで虫唾が走る。耐えられない。
身体の芯からゾワゾワと鳥肌が立ち、猛烈な寒気が全身の甲殻を駆け巡る。今すぐ私の世界から、視界から、完璧に消し去りたかった。
だから……私は彼に向かって、静かに足を進めた。
私が一歩近づけば近づくほど、彼が叫び続ける歪んだ愛の言葉は、大きく、生々しく私の耳に響く。もう黙ってほしい。その醜い口を、今すぐ閉じてほしい。
けれど……これほど長い時間をかけて私を必死に探し回り、自分に都合のいい妄想を膨らませてきたのだ。自業自得とはいえ、どこまでも哀れなあなたに、最期に相応しい夢だけは見せてあげる。
私は彼のすぐ目の前に立ち、まるで彼の求愛を受け入れるかのように、じっとその姿を見つめた。彼の目が、狂おしいほどの歓喜と眩しい希望で、今にも弾けそうなほどキラキラと輝きだす。
「一つ聞きたいことがあるの」
私は低く、 地を這うような声で紡ぎ出した。その声音に、目の前の雄は浅ましくも鼻を鳴らす。
「なんだ!なんでも聞いてくれ!」
煩い……気色悪い……ただその声を聴くだけで甲殻が、嫌悪感で 逆立ちそうになる。かつて私に 度し難い酷い仕打ちを与えたこの雄に、その歪んだ執着を向けられていること自体が、 私にとっては吐き気を催すほどの苦痛だった。
しかし、私は自らの怒りを奥底へと押し殺し、 妖艶さを演じる。
「私のお腹には……レウスの子ども達がいるの。それでも、あなたは私を愛してくれるの?」
――屈辱だわ……!こんな、 矜持も 欠片もない雄に向かって、 『あなたは私を愛してくれるの?』などと囁く羽目になるなんて……!
この言葉は雄の独占欲を激しく揺さぶるための猛毒だった。案の定、雄の瞳に醜悪な支配欲がぎらぎらと燃え上がる。
「関係ないさ! 勿論お前を愛するに決まってる! 一つ残らず俺が上書きしてみせるから!」
私は感情を完全に消し去った瞳で哀れな獲物を見つめるように 問いかけた。
「どうやって……上書きするつもり?」
「決まってるさ! 」
あなたの答えは分かりきっているわ。けれど…言質は必要だから…聞かせなさい…。
「そんなガキどもなんか全部殺して、俺のガキを産めばいい!」
その言葉が口から飛び出た瞬間、私の内側ですべての ピースが 噛み合った。期待通りの最低な答え。この雄は 何一つ 変わっていない。 救いようのない傲慢。だからこそ、憐れみも、 躊躇いも、 これで 一切 必要なくなった。
「……良かったわ。 その言葉が聞けて」
これで、もう……。あなたという過去の呪縛と、完全に未練もなく決別できる。私の最愛の夫を侮辱し、私の大切なお腹の子ども達を「殺す」と言い放ったのだから。
彼はまだ、自分が受け入れられるのだと信じ込み、歓喜に顔を歪ませていた。
私は前脚を高々と振り上げた。胸の奥から湧き上がる怒りを、 殺意を、 積年の恨みを、 何もかもを力へと変えていく。
私の体から吹き出す鬼火が、 禍々しい紫の輝きを増して爆発した。その輝きの中で、私は振り上げた前脚を――あの雄の頭部へと叩きつけた。
バキィィッ!!!
凄絶な音を立てて、 残されたもう片方の兜角が根元からへし折れ、地面へと転がり落ちる。
「……え……?」
驚愕に目を見開く雄を見下ろす。
「これで、あなたに見せる夢はおしまいよ」
この雄の中ではOOS『お前が,俺を,好きなんだ!』という思い込みでここまで探し回ってきています。なので、こいつのなかでは自分は彼女を迎えに来た王子様なんですよ。
こいつには本当の意味での絶望がない。だから怨嗟響めくマガイマガド『には』なれない。
両方の角が折られた。しかも折った相手は自分が求め続けた雌。希望の光にさえ拒絶された…。
執事と正妃を地獄に落とすならどれが良い?
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空飛ぶイビルジョー
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レウスが連れてきた怨嗟童貞マガド
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何故か死んでない混沌ゴア
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レウスにボコられ、八つ当たり中のネギ