異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~ 作:日月 幾人
魔法使いが先導しオレと
四方が高い壁で覆われており、的に使っていると思しき
平らに踏み固められた土は、芝生より安価で手入れが楽な分、クッション性が乏しく、乾燥しているせいで風が吹く度に土埃が舞っていた。
飾り気など皆無で、ひたすらに実用性のみ追求されたそこは、ルネサンス風やらバロック風やら、こちらの世界の古い西洋建築を楽しんでいるオレにして、何気ない民家や町並みに感動しているオレにしても、面白味のない空間だった。
「ルールは簡単。時間は無制限。先に決定打を加えるか、相手に降参をさせたほうが勝者だ」
魔法使いが、これより執り行われる決闘の概要を述べた。
相対するオレは決闘用に渡された
「オレが勝ったら、組合に加盟させてもらえるってことで、いいんですよね?」
長剣は訓練用で刃が潰されており、剣としての機能は損なわれている。
主なスペックは――
筋力補正D+ 斬撃+1 刺突+2 打撃+4 重量D+ 付与:耐久値+
――といったところか。
軽薄男が持っていた観賞用とは違い、こちらは作りが頑丈だ。
鈍器として振り下ろせば十分に殺傷能力があり、頭部などの急所を狙った攻撃や刺突は避けたほうがよさそうだ。
「
一方で、魔法使いは魔法の出力を極力抑えて戦ってくれるそうだ。
これは決闘とはいえ、あくまでも模擬試合であり命を奪うのは
万が一を想定して、回復魔法が使える魔法使い(正確には
「英雄
魔法使いは仏頂面を一層険しくしてそう呟くと、静かに杖を構え
(おぉ、まさしく魔法使いが持っていそうな杖だ……!)
魔法使いが装備しているのは、呪符が巻き付けてある捻じれた枝。
身に
(おっと、
対戦相手に
上段。
中段。
下段。
切っ先を向けて
剣術についてまるっきりの素人は、それぞれの型がもたらす効果と、戦況における最適解がわからず、せわしなく構えを変える。
(うーん……この構えのほうが、カッコイイか? いや、それとも……こうか? 痛ッ! おー怖っ、刃先が当たったよ……!)
いち現代人が剣を手に持っているシチュエーションは、どうにも慣れない違和感がある。
(コスプレでもしてる気分だ……学生服じゃなく、現地人の服を着ていてよかったぜ……)
色々試した結果、剣を正中線に位置する正眼の構えを取る。
素人でも剣が振るいやすい、もっともスタンダードであろうポーズに落ち着いたのだった。
ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます