異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~   作:日月 幾人

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拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです


ep.18 決闘!~剣と魔法-戦士VS魔法使いⅠ

 魔法使いが先導しオレと観衆(ギャラリー)が連れて来られたのは、冒険者組合(ギルド)の敷地内にある訓練場だ。

 

 

 四方が高い壁で覆われており、的に使っていると思しき草臥(くたび)れた案山子(かかし)や、壊れた武具が錆び付いたまま放置されている。

 

 平らに踏み固められた土は、芝生より安価で手入れが楽な分、クッション性が乏しく、乾燥しているせいで風が吹く度に土埃が舞っていた。

 

 飾り気など皆無で、ひたすらに実用性のみ追求されたそこは、ルネサンス風やらバロック風やら、こちらの世界の古い西洋建築を楽しんでいるオレにして、何気ない民家や町並みに感動しているオレにしても、面白味のない空間だった。 

 

 

「ルールは簡単。時間は無制限。先に決定打を加えるか、相手に降参をさせたほうが勝者だ」

 

 魔法使いが、これより執り行われる決闘の概要を述べた。

 

 相対するオレは決闘用に渡された長剣(ロングソード)を手に持ち、その握り心地を確かめながら問う。

 

「オレが勝ったら、組合に加盟させてもらえるってことで、いいんですよね?」

 

 長剣は訓練用で刃が潰されており、剣としての機能は損なわれている。

 

 主なスペックは――

 

 筋力補正D+ 斬撃+1 刺突+2 打撃+4 重量D+ 付与:耐久値+

 

 ――といったところか。

 

 軽薄男が持っていた観賞用とは違い、こちらは作りが頑丈だ。

 

 鈍器として振り下ろせば十分に殺傷能力があり、頭部などの急所を狙った攻撃や刺突は避けたほうがよさそうだ。

 

組合長(ギルドマスター)に確認したところ二つ返事だったよ。もしも単騎で魔法使い(メイジ)(くだ)す逸材が現れたとしたら、それを逃す手はないからな。だが、それもこの私に勝つことができたらの話だ」

 

 一方で、魔法使いは魔法の出力を極力抑えて戦ってくれるそうだ。

 

 これは決闘とはいえ、あくまでも模擬試合であり命を奪うのは御法度(ごはっと)

 

 万が一を想定して、回復魔法が使える魔法使い(正確には神官(クレリック)というらしい)が救護班として控えている。

 

「英雄(たん)に憧れ、そうありたいと冒険者を志す……君のように己の力量を過信している新人は珍しくない。そういった青二才が無謀な戦に身を投じる前に、鼻っ柱を圧し折ってやるのも先導者たる務め」

 

 魔法使いは仏頂面を一層険しくしてそう呟くと、静かに杖を構え臨戦(りんせん)態勢を取る。

 

(おぉ、まさしく魔法使いが持っていそうな杖だ……!)

 

 魔法使いが装備しているのは、呪符が巻き付けてある捻じれた枝。

 

 身に(まと)うダークカラーのローブも相まり、そのいかにもな立ち姿にオレは感動する。

 

(おっと、見惚(みと)れている場合じゃないな)

 

 対戦相手に見倣(みなら)いオレも長剣を構える。

 

 上段。

 

 中段。

 

 下段。

 

 切っ先を向けて(かすみ)の構え。

 

 剣術についてまるっきりの素人は、それぞれの型がもたらす効果と、戦況における最適解がわからず、せわしなく構えを変える。

 

(うーん……この構えのほうが、カッコイイか? いや、それとも……こうか? 痛ッ! おー怖っ、刃先が当たったよ……!)

 

 遮二無二(しゃにむに)振り下ろした大鬼(オーガ)戦を除いて、ちゃんと長物を扱う経験など、おそらく小学生の時分に傘でチャンバラごっこをしたくらいだろう。

 

 いち現代人が剣を手に持っているシチュエーションは、どうにも慣れない違和感がある。

 

(コスプレでもしてる気分だ……学生服じゃなく、現地人の服を着ていてよかったぜ……)

 

 

 色々試した結果、剣を正中線に位置する正眼の構えを取る。

 

 素人でも剣が振るいやすい、もっともスタンダードであろうポーズに落ち着いたのだった。

 




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