異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~   作:日月ゆう

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拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです


ep.21 決着!~剣と魔法-戦士VS魔法使い

「参った。と言いたいところだが……レフェリー、どう思う?」

 

 剣を突き付けられているのにも関わらず、魔法使いは余裕の態度を崩さない。勝敗の判定を仰ぐとレフェリーは首を左右に振る。

 

『ふざけんな!』

 

『まだやれるだろ!』

 

『こんなんアリか!? 納得いかねぇ!』

 

『クソが! 金返せ!』

 

『続行だ、続行!』

 

 試合を取り囲む観衆(ギャラリー)から、一斉に野次が飛ぶ。

 

「――だそうだ。残念だったな?」

 

「なっ!? な……んで…………!」

 

 勝敗は火を見るより明らかなのに、どうして正しい判定が下されない。

 

 オレの態度が悪かったから?

 

 それとも、異邦人だから?

 

 もしくは、権力者の男爵に贔屓(ひいき)されているからか?

 

 だから、組合(ギルド)の身内で結託して気に食わない新人いびりか?

 

 この決闘の場は、端からそのつもりで設けられたのか?

 

 頭の中でいくつもの疑念が浮かび、じわじわと暗澹(あんたん)とした感情に飲まれてゆく。

 

 

 

「よく見たまえ。どうやら、運命の女神モィラィは私に微笑(ほほえ)んでいるようだ」

 

「え――あ……ああっ!?」

 

 ここで、オレが勝利を得られなかった本当の理由が判明する。

 

 自分が不当な扱いを受けていると考えたのは、とんだ被害妄想だったようだ。

 

(ちくしょう、またかよ!)

 

 荒っぽい扱いが祟ったのか、ここ一番というときに振り上げた長剣(ロングソード)が刀身の中程からポッキリと折れている。

 

 どうやら並みの武器では、オレの怪力に耐えられないらしい。

 

 折れた一方の行方を捜し地面を見下ろすと、そこには刀身が突き刺さっていた。 

 

「あー……これは……」

 

「さあ! 試合続行といこうか!」

 

「ちょ、ちょっとタイム! 替えの剣を――!」

 

 オレは両手でTの字を作り、試合の一時中断を提案する。

 

「甘い! 最初に言っただろう、実戦形式であると! 敵前で待ったなど通用するか!」

 

 身を(ひるがえ)して距離を開けた魔法使いが杖を構える。

 

「不測の事態に対応するのも模擬試合のうち……さあ、降参するなら今のうちだぞ!」

 

 そして、無慈悲にも再び詠唱を始める。

 

 次に発動させた魔法は、お得意の火球〈ファイアボール〉――ではなく、召喚魔法だった。

 

 地面から生えてきた泥人形が、緩慢な動作でオレに迫りプレッシャーをかけてくる。

 

「くっ、ここまでなのか……!」

 

 降参の言葉が喉元まで出かかったところで、はたと気づく。

 

 そもそも論、試合を通じて実力を示せばいいのだから、別に武器がなくともいいのではないだろうか。

 

 観察眼(サーチ)スキルによると、泥人形〈ゴーレムLVⅡ〉は大した強さではなく、素手でも余裕で倒せそうだ。

 

(……やむをえん。提示された決闘の趣旨からはズレるだろうが、このまま負けを認めて引き下がるよりかは――)

 

 

「ぅおぉぉーい! 余所者ぉぉ! こいつを使ぇぇぇぇ!」

 

 オレが拳を固め泥人形〈ゴーレムLVⅡ〉を見据えたその時、観衆の中から身を乗り出した軽薄男が声を上げる。

 

(あいつ、どうして……)

 

 折れた長剣の代わりに使えと、ご自慢の模造刀を投げて寄こした。

 

「させるものか!」

 

 魔法使いが新たな魔法を発動させる――より先に、オレは飛びかかる。

 

 空中で模造刀をキャッチ。

 

 鞘から抜き放つと障害となる泥人形〈ゴーレムLVⅡ〉を打ち砕く。

 

 そして、着地と同時に魔法使いの喉元に切っ先を突き付けた。 

 

 この間、僅か0.99秒の早業だ。

 

「不測の事態もなんとやら、だろ? 降参するなら今のうちだぞ」

 

「……ふっ、そうだな。降参するよ――――私の負けだ」

 

「勝負あり!」

 

 

 オレがしたり顔を浮かべると、魔法使いは諦めたように微笑(ほほえ)み、レフェリーが高らかに決着を宣言した。




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