異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~ 作:日月ゆう
「参った。と言いたいところだが……レフェリー、どう思う?」
剣を突き付けられているのにも関わらず、魔法使いは余裕の態度を崩さない。勝敗の判定を仰ぐとレフェリーは首を左右に振る。
『ふざけんな!』
『まだやれるだろ!』
『こんなんアリか!? 納得いかねぇ!』
『クソが! 金返せ!』
『続行だ、続行!』
試合を取り囲む
「――だそうだ。残念だったな?」
「なっ!? な……んで…………!」
勝敗は火を見るより明らかなのに、どうして正しい判定が下されない。
オレの態度が悪かったから?
それとも、異邦人だから?
もしくは、権力者の男爵に
だから、
この決闘の場は、端からそのつもりで設けられたのか?
頭の中でいくつもの疑念が浮かび、じわじわと
「よく見たまえ。どうやら、運命の女神モィラィは私に
「え――あ……ああっ!?」
ここで、オレが勝利を得られなかった本当の理由が判明する。
自分が不当な扱いを受けていると考えたのは、とんだ被害妄想だったようだ。
(ちくしょう、またかよ!)
荒っぽい扱いが祟ったのか、ここ一番というときに振り上げた
どうやら並みの武器では、オレの怪力に耐えられないらしい。
折れた一方の行方を捜し地面を見下ろすと、そこには刀身が突き刺さっていた。
「あー……これは……」
「さあ! 試合続行といこうか!」
「ちょ、ちょっとタイム! 替えの剣を――!」
オレは両手でTの字を作り、試合の一時中断を提案する。
「甘い! 最初に言っただろう、実戦形式であると! 敵前で待ったなど通用するか!」
身を
「不測の事態に対応するのも模擬試合のうち……さあ、降参するなら今のうちだぞ!」
そして、無慈悲にも再び詠唱を始める。
次に発動させた魔法は、お得意の火球〈ファイアボール〉――ではなく、召喚魔法だった。
地面から生えてきた泥人形が、緩慢な動作でオレに迫りプレッシャーをかけてくる。
「くっ、ここまでなのか……!」
降参の言葉が喉元まで出かかったところで、はたと気づく。
そもそも論、試合を通じて実力を示せばいいのだから、別に武器がなくともいいのではないだろうか。
(……やむをえん。提示された決闘の趣旨からはズレるだろうが、このまま負けを認めて引き下がるよりかは――)
「ぅおぉぉーい! 余所者ぉぉ! こいつを使ぇぇぇぇ!」
オレが拳を固め泥人形〈ゴーレムLVⅡ〉を見据えたその時、観衆の中から身を乗り出した軽薄男が声を上げる。
(あいつ、どうして……)
折れた長剣の代わりに使えと、ご自慢の模造刀を投げて寄こした。
「させるものか!」
魔法使いが新たな魔法を発動させる――より先に、オレは飛びかかる。
空中で模造刀をキャッチ。
鞘から抜き放つと障害となる泥人形〈ゴーレムLVⅡ〉を打ち砕く。
そして、着地と同時に魔法使いの喉元に切っ先を突き付けた。
この間、僅か0.99秒の早業だ。
「不測の事態もなんとやら、だろ? 降参するなら今のうちだぞ」
「……ふっ、そうだな。降参するよ――――私の負けだ」
「勝負あり!」
オレがしたり顔を浮かべると、魔法使いは諦めたように
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