異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~ 作:日月ゆう
「やー! 本日は絶好の冒険日和だな!」
「心躍りますわね! 歌い出したい気分!」
「まったく、君たちは……遊びじゃないんだぞ」
「どうしてこうなった……」
遠足前の小学生さながらにはしゃいでいるのは、ジョニィとマティルダの二名。
対照的に気落ちしているのは、引率の先生ことドロシーとオレの二名。
計四名プラス一頭の即席
プラス一頭とは、マティルダお嬢様が騎乗する山羊のような鹿のような馬(?)のことだ。
こいつがなかなかにスケベなオスで、飼い主であるマティルダに懐くのは言うに及ばず。ドロシーにも鼻を擦り付けたりして甘えるくせに、男性陣には態度を豹変させ、素っ気ないどころか好戦的になりやがる。
そのことにむかっ腹を立て、
そんな馬鹿山羊(仮称)をジョニィは警戒しつつ、マティルダの側を歩きナンパ男よろしく、しつこく自分を売り込んでいる。
「だから言ってやったのさ……お前たち、文句があるならこのジョニィ様を倒してからにしな――ってな! 一斉に襲い来る悪党! あわや大惨事と思いきや、俺様は
「はあ、そうですのね」
真偽のほどがだいぶ怪しい武勇伝に、マティルダは気のない感じで
「ジョニィ、お前は後列だろう。前に出過ぎだ……やれやれ、先が思いやられるよ……」
「なんか、ごめんな……」
ドロシーには、
「貴族からの依頼自体は、さして珍しくはない。単身で同行を希望されるのは
「大丈夫、なのかなぁ……」
この世界の住人はどうも楽観的というか、
魔物や野党が
人間ひとりの命が軽く、だからこそ重要なのは目の前にある今この瞬間であり、いちいち立ち止まって悩んでいる暇などないのだろう。
国や風土が違えば国民性も異なる、そんな当たり前の話。
(逆に彼らからすれば、オレは七面倒くさい奴なのかもな)
そういったことを考え込んでいると、頬を
「これは…………やっぱり、凄いな……!」
果てしなく続く空となだらかな地平線。
小高い丘から見下ろす圧巻の光景に心を奪われ、直面している不安など
こうして町の外に出るのは二度目。
以前は遭難という非常事態の最中で、悠長に景色を楽しむ余裕などはなかったのだが、冒険者となった今、世界はまた違った輝きを見せてくれる。
映画やゲームで見た、どんな景色よりも臨場感がある一大パノラマ。
あの広大な世界で、この身ひとつ生きてゆく。
オレは、大地に冒険の第一歩を刻んだのだった。
ご高覧いただき ありがとうございました 次回から冒険開始です