異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~ 作:日月ゆう
「――ハッ! 気を付けろ! 何か向かって来ているぞ!」
それからしばらくして、またしても唐突にジョニィが警鐘を鳴らす。
「…………よく見えないな」
ジョニィが指差す方向。街道の先に注目すると、かろうじて豆粒大の影が確認できる。
「て、て敵襲だ! か、か構えろ!」
やはり、ジョニィだけは敏感に不穏な気配を感じ取っているようで、震える手で腰に下げている
「……あれは見たところ旅人だな。我々の町に向かっているのだろう」
距離が近くなるにつれて対象の姿が明らかになると、ドロシーはそのように判断する。
「や、野党じゃねえのか?」
ジョニィの疑問にオレも同調する。
対象はボロを
「
「それってつまり、賊とわかったときは襲われてるってことだろ? んな無茶な……」
有事のさい、後手に回るのはルールを守る者の常であり弱みか。その点、破る者は気楽でいい。
「迂回するってのはどうだろう?」
不安に思うくらいなら、このまま街道のど真ん中を直進して、かち合うのは避けるべきだ。
「街道を外れるのはそれこそ危険だ。視界や足下が悪く、敵の奇襲への対応が遅れるし、それが狙いという線だってあり得る。敢えて野党の一人が不審者然とした姿を晒し、それに怯えて迂回する獲物を、周辺で潜んでいた仲間が襲う……というふうにな」
(そういう企みもあるのか……まるで、魚の追い込み漁みたいだな)
ドロシーは杖を逆さまに持ち、攻撃の意思がないことを示す。
それから、離れた旅人からも見えるように片手を
(何かの合図か? ……おっ、向こうも返してきた)
「行くぞ。くれぐれも警戒は怠るな」
ひとまず互いに戦闘の意思がない、という確認が取れたらしい。一行は止めていた歩を進める。
「……一応訊くけど、どれくらい信用できるんだ?」
「絶対の保証なんてないさ。相手の胸三寸で状況は変わる」
「だよな……」
衛兵の詰所が点在しているとはいえ、やはり人里離れた法の届きにくい街道だ。邪な考えを持つ輩も増える。
「現状における数の利は、こちらにある。精々伏兵がいないことを祈ろうじゃないか」
「た、旅人だろ? 不吉なこと言うなよ……」
「あらゆる最悪を想定していれば、いざというとき臨機応変に動ける。冒険の心得だ」
旅人との距離が表情が判るほど縮まり、一行に緊張が走る――――。
◇◇◇
果たして正体不明の旅人との接触は、拍子抜けするくらい何事もなく終える。
「
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