異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~ 作:日月ゆう
一行は目的地である△△山脈の
マティルダは
「思ってたんと違う」
早々に見張りを放棄したジョニィが、地面に寝転び天を仰ぎながら呟いた。
「急にどうした?」
オレは麓周辺を見渡して安全を確認しつつ、退屈を紛らわせるためにジョニィの愚痴に耳を傾ける。
「冒険つったらワクワクするもんだろ? それなのによぉ……これまでに出くわした奴らときたら……掃いて捨てるほどいる
ジョニィは、ここまでの道程で
(オレにとっては物珍しいけどなぁ……)
現地人からすれば、村の周辺で見かける野生動物くらいの感覚でも、異世界人のオレからすると、
「そいつらだってドロシーの魔法で一捻りだし、さっきの追い剥ぎなんざ、その名を聞いただけで一目散に逃げ出しちまいやがった。俺様が活躍する暇もねぇ」
今のところ、事務仕事のみならず戦闘面においても、活躍しているのはリーダーのドロシーただ一人だ。
オレたちは完全に置いてけぼりの傍観者。頭数だけの
例えるなら、オンラインRPGゲームで、若葉マークのプレイヤーが上級者プレイヤーに
フィールドで
全国の冒険を夢見る少年代表として、ジョニィの不満は分からなくもない。
「だあああ! どこにいるんだ! 英雄に封じられた魔王! 千年生きた
緑が茂るのどかな麓に、ジョニィによる魂の叫びがこだまする。
「それらが実在するのならば、
ドロシーは薬学の知識もあるそうで、護衛も兼ねて薬草採集を手伝っており、隣に居るマティルダに頭を下げた。
「別に構いませんのよ。
(盗賊はダメなのに魔王や竜は平気なのか。恐怖の基準がわからない……)
お嬢様にしてみれば、暗殺や身代金目当ての誘拐などを企てる悪党は、魔王よりよっぽど身近に潜む脅威だからか。
(その辺の捉え方は、三者三様だな)
「ちぇ、夢がねぇなぁ、つまんねー……」
不貞腐れているジョニィは、枕元に生えている雑草を引き千切ると空に向かって散らす。
「得てして現実なんてそんなものさ。誰しも歴史書に刻まれる
「認めねぇ……農家の三男坊舐めんなよ……」
(選ばれし者か……)
魔法使いや貴族のご令嬢といった、物語の登場人物でもあるような彼らが、現実がどうこうと所帯じみた話をしているのが、なんとも奇妙だった。
どんなイベント事も、繰り返せばただの日常になる。
やはり彼らからしたら、剣よ魔法よという世界が生まれながらの日常なのだ。
(逆に皆を現代世界に連れて行ったら、そこが煌びやかな舞台に映るのかもしれないな)
「さてと、こんなところだろう。そろそろ帰るとしよう」
薬草で籠が一杯になり、女性陣が採集を切り上げると、男性陣の見張りの任も解かれる。
つつがなく目的が達成されて、オレはすっかり気を緩めていた。
しかし、"帰るまでが遠足"とは言ったもので、事態が急変したのはそんな時だった。
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