烙印者 Prequel ~空白の1ページ~   作:日月ゆう

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拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです


ep.6 蒼天直下

 やがて、絶叫マシーンを遥かに(しの)ぐ、長いようで短い地獄の時間が終わる。

 

 

 さながら、天から降り注ぐ一筋の雷鳴が如く、轟音(ごうおん)をとどろかせ大地に落下。

 

 オレの脚が地面深くまで突き刺さり、高圧電流を食らったみたいな痺れが、足の裏から背骨を通って脳天まで突き抜けた。

 

「ぅ、ぐぎぎぃ…………ッ!」

 

 想像を絶する衝撃に一瞬悶絶しかける。

 

 歯が砕けんばかりに食いしばり、膝を限界まで曲げることで衝撃を逃がす。逃がす。逃がす。

 

(…………た、耐え、た……? ――信じられない! 耐え抜いたぞ!)

 

「――ハッ! おい君、大丈夫か!?」

 

 自身の生存を喜んだのも束の間、少女の安否が気掛かりだ。

 

 精一杯踏ん張って、抱えている少女を落とさずに済んだものの、オレを通してかなりの衝撃が伝わってしまったはずだ。

 

 馬鹿みたいに強靭(きょうじん)な肉体を持つ。そんなオレはともかくとして、普通の人間では到底耐えられそうにない衝撃だ。

 

 生存は絶望的だろう。

 

「ごめん……こんなはずじゃなかったんだ……」

 

 慙愧(ざんき)に堪えず、オレの口から意味のない謝罪の言葉が零れた。

 

 怪物から少女を守ろうとした。

 

 けれど、よりにもよって、自分の手で死なせてしまうだなんて思いもよらなかった。

 

「………………」

 

 だけど、これがオレの行動がもたらした結果だというのなら、目を背けていては駄目だ。

 

 まだ温もりが残る少女の亡骸を、恐る恐る確認する。

 

「あ、ありがとう……」

 

 すると、物言わぬ亡骸から想定外の返事が上がった。

 

 高高度からオレと一緒に落下した少女は、驚くべきことに生きていたのだ。

 

「無事なのか!?」

 

「このペンダントのおかげですわ」

 

 少女が首に下げている一粒の宝石が煌めく。

 

 いわく、そのペンダントは聖なる力を宿した魔道具なるもので、女神ナンチャラの加護により、日に一度だけ死亡に至る運命を覆せるらしい。

 

「え、あぁ……そう…………」

 

(聖なる魔道具? 何を言ってるんだ?)

 

 少女の説明は突っ込みどころ満載だったが、とにかく体は何ともないということなので、ひとまず保留にするとして……そんなことよりも、はっきりとさせておきたいことが他にある。

 

「そんなことよりも! あなたすごいのね! 先ほどの剣技といい、今の飛翔といい、まるで英雄(たん)に聞く伝説の戦士のような身のこなしですわ!」

 

 そう。それは、ずばりオレ自身の並外れた身体能力についてだ。

 

 原生林を楽々踏破した体力。

 

 平原を駆け抜けた走力。

 

 大鬼の腕を両断した膂力(りょりょく)

 

 天高く飛翔した瞬発力。

 

 どれをとっても、もはやオレの知る人類の限界を超越しており、また少女が興奮気味に称賛するのを鑑みるに、この世界の基準からも逸脱していることが予想される。

 

 試しに肘を曲げ上腕二頭筋にこぶを作る。膨大な力が満ち溢れてくる……ような気がした。

 

 

 ともあれ、この世界において、オレはスーパーヒーローのような超人の領域に立っているのかもしれない。




ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます
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