異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~ 作:日月 幾人
遅れること数秒後。頭部を失った胴体が、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる。
――――そして大鬼は絶命した。
オレが放った渾身の一撃は、大鬼の顔面を捉え頭蓋を破砕したのだった。
(うえぇ……や、やり過ぎだ……)
想像以上にグロテスクな結果にげんなりする。
怪物の返り血に塗れている姿は、とてもじゃないが少女を救ったスーパーなヒーローとは言い難い。
「~なる清流よ。彼の者の穢れを
後方に控えていた少女が、
「ップハァ! 驚いた……君がやったのか、どんな手品だ?」
「えっ、手品? 普通にミズマホウですけれど……」
ミズマホウ――まほう――魔法。たぶん、この認識で正しいはず。
馴染みがあるようで、日常的には使わない単語であり、フィクションにおいてお約束のそれだ。
普通なら驚いたり懐疑的になったりするところだが、怪物が
それに、実際に使うところを目の当たりにしては、存在を認めざるを得ない。
(というか、この子はこの惨状を見ても平然としてるのな……)
清楚な印象の少女が、大鬼の無残な死体を前にして、悲鳴を上げるどころか顔色ひとつ変えないでいるのは意外だ。
戦争。
流行り病。
家畜の処理。
時代背景から想定して、きっと死が身近にある世界だから、そこに住まう者として、ある程度グロ耐性でもあるのだろうか。
一方、その手のことにナイーブな現代人が、平然とは言わないまでも取り乱さずに済んでいるのは、やはり現実味のないこの状況を、どこか他人事のように
(――は?)
そのとき、不意に頭の中で軽快なファンファーレが鳴り響く。
続いて機械的な音声が
(いや、いやいや、まさかそんな……冗談だろ? これじゃまるで…………)
ひどく既視感のある展開に鼻白む。
意識が消失する前、最後の光景は交通事故。
未知の世界で目覚め、そして手に入れたのはチート能力。
それはいつか見た、いくつもの物語の設定に酷似している。
そう。この展開はまるで異世界転――――。
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