異世界日記 ~魔法適正ゼロの現代人は 脳筋スキルで無双する~   作:日月 幾人

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拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら幸いです


ep.8 リザルト画面だ連打連打

 遅れること数秒後。頭部を失った胴体が、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる。

 

 

 ――――そして大鬼は絶命した。

 

 オレが放った渾身の一撃は、大鬼の顔面を捉え頭蓋を破砕したのだった。

 

(うえぇ……や、やり過ぎだ……)

 

 想像以上にグロテスクな結果にげんなりする。

 

 怪物の返り血に塗れている姿は、とてもじゃないが少女を救ったスーパーなヒーローとは言い難い。

 

「~なる清流よ。彼の者の穢れを(すす)ぎ浄化したまへ――」

 

 後方に控えていた少女が、祝詞(のりと)めいた言葉を呟いたかと思うと、どこからともなく発生した水流が、オレの頭上から降り注ぎ返り血を洗い流した。

 

「ップハァ! 驚いた……君がやったのか、どんな手品だ?」

 

「えっ、手品? 普通にミズマホウですけれど……」

 

 ミズマホウ――まほう――魔法。たぶん、この認識で正しいはず。

 

 馴染みがあるようで、日常的には使わない単語であり、フィクションにおいてお約束のそれだ。

 

 普通なら驚いたり懐疑的になったりするところだが、怪物が跋扈(ばっこ)する世界ならさもありなんといったところか。

 

 それに、実際に使うところを目の当たりにしては、存在を認めざるを得ない。

 

(というか、この子はこの惨状を見ても平然としてるのな……)

 

 清楚な印象の少女が、大鬼の無残な死体を前にして、悲鳴を上げるどころか顔色ひとつ変えないでいるのは意外だ。

 

 戦争。

 

 流行り病。

 

 家畜の処理。

 

 時代背景から想定して、きっと死が身近にある世界だから、そこに住まう者として、ある程度グロ耐性でもあるのだろうか。

 

 一方、その手のことにナイーブな現代人が、平然とは言わないまでも取り乱さずに済んでいるのは、やはり現実味のないこの状況を、どこか他人事のように俯瞰(ふかん)しているからだ。

 

(――は?)

 

 そのとき、不意に頭の中で軽快なファンファーレが鳴り響く。

 

 続いて機械的な音声が能力成長(レベルアップ)を告げ、視界の隅に半透明のタブが表示されると、状態画面(ステータス)や獲得技能(スキル)などといった、どこかで見聞きしたことのあるようなワードが列挙された。

 

(いや、いやいや、まさかそんな……冗談だろ? これじゃまるで…………)

 

 ひどく既視感のある展開に鼻白む。

 

 意識が消失する前、最後の光景は交通事故。

 

 未知の世界で目覚め、そして手に入れたのはチート能力。

 

 それはいつか見た、いくつもの物語の設定に酷似している。

 

 

 そう。この展開はまるで異世界転――――。




ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます
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