【なのはEXCEEDS】 〜久瀬家の長女は、妹たちに内緒で魔導師やってます〜 作:三坂
バリィィィン
ガァァァァ
「きゃぁぁぁ!?」
何処からともなくリビングの窓ガラスを破壊して侵入してきた侵略種は、迷うことなくガンケースを手に持っていたセツナ目掛けて突進してきた。
がその前に間髪入れずにアメヤが横槍を入れるかたちで猟銃の硬い持ち手部分で勢いよく殴打して、侵略種を突き飛ばしていく。
「おらっ!」ゴッ!
ガァァァァ!?
だが流石にアメヤより大きい侵略種ということもあって突き飛ばされてもよろける程度で立ち直ると、脅威度で狙いを変えたのか今度は彼女目掛けて襲い掛かろうとしてくる。
しかし一瞬体制を崩した間に銃口を侵略種に向けていたアメヤが、接近してきたことによってほぼゼロ距離に近い形でトリガーを勢いよく引いて発砲。
放たれた弾丸はそのまま頭部を貫通するかたちで貫き、急所を撃たれたことで襲ってきた侵略種は倒れ込んだ。
ガァァァァ!!
「っと…!」
カチッ
ダァァァァン!!
ガァァァァ!!?
その後完全に死んだことを確認したアメヤは、空薬莢を排出しつつセツナに怪我はないか確認していき、姉のおかげで襲われずに済んだ彼女も大丈夫だと答えなながらお礼を述べていく。
するとセツナの悲鳴を聞いて慌てて戻ってきたのか、ソードオフショットガンを手にしたシイナがリビングへと戻ってきた。
「…ふぅ、セツナ怪我ない?」
「だ…大丈夫…。ありがとうあーちゃん」
「2人共大丈夫!?」
ソードオフショットガン手にしているということはやはり向こうでも何かあったな…、内心そう思いながらこっちは2人共怪我はしてないとアメヤは答える。
その隣では嫌な予感がしたからということで、ガンケースを取り出したセツナがシイナにそれを手渡していく。
ーソードオフショットガンを持ってるってことは…やっぱ何かあったな…ー
「こっちは2人共大丈夫…!怪我はしてない」
「あっしーちゃん…、なんか怖い感じしてたから…念のため武器と弾を…」
「流石セツナ…!」
それからアメヤが何があったのかと尋ねると、左腕から触手が突然生えてきた人間のような妙な奴が襲ってきたと答えていき、ここは危険だから安全な場所に避難する旨を告げる。
…がアメヤはそれを聞くとまさか災害対策本部で仕事していた際に噂に聞く程度だった魔人に侵略された人間の特徴にそっくりなことに気づく。
「ってか外で何があったのシイナ」
「分かんない、妙なのが襲ってきて…なんか左腕から触手みたいなのが生えた…」
ー触手…?…まさか噂に聞いた魔人の力に犯された人間ってやつ?ー
だがそんなことを考える前に2人が安全な場所を動き出したのを横目に、アメヤはちょっと待ってと告げながらリビングに置いてあった自身のキャリーケースをオープン。
「ひとまず安全な場所に避難するよ、2人共」
ーって考える余裕もないか…なら…ー
「ごめん2人共ちょっと待ってて!すぐ戻るから、…っと」ガコッ
中の専用ケースに入っていた折りたたまれていたものを取り出すと2人の元に戻って再び合流。
安全な場所を見つめるのとあの男から逃げるために駆け足で山道に向かいながら住み慣れた家を後にしていく。
「えっと…確か…あった!これこれ…!ごめんお待たせ、行こう!」
移動している間にもシイナがアメヤが取り出しし組み立てたものに視線を向けながら、それは一体何なのかと尋ねてきた。
があまり話したくないものなのか、仕事で使ってる非常用の護身用武器だと適当な理由をアメヤ明かしていき、話題を変えるように電話を試みているセツナに話しかける。
「ってか姉さん、それ何?キャリーケースからさっき取り出した奴」
「えっ!?あーこれ?仕事で使ってる非常用の護身用武器!…ところでセツナっ!電話繋がりそう?」
しかし返ってきた返答はあまり芳しいものではなく、先ほどから何度もかけ続けている地元警察は一向に出る気配が感じられない。
「駄目…!!全然繋がらない…!」
こんな肝心な時に…!と悪態をつくアメヤに対してそうなった以上仕方ないので自分達でセツナを護るよ!と告げていき、アメヤもやむを得ないか…と腹をくくっていく。
「あーもう!なんでホラー映画みたいなシチュになってんのよ…!」
「ならしょうがないでしょ…!私と姉さんでセツナを護ってなんとかするよ!」
「りょーかい!腹くくるしかなさそうね…!!」
その直後森から何処からともなく先ほどセツナとアメヤの2人を襲った侵略種が二体ほど出現、3人目掛けて勢いよく襲いかかる。
…が来ることは予想していた2人はそれぞれソードオフショットガンとボルトアクション式の猟銃で反撃、的確な射撃を連続で喰らった侵略種はあっけなく衝撃で吹き飛ばされた。
ガァァァァ!!
「…!姉さん!」
「あいよっ!こっちは任せといて!」
パァン
パシュ
グシャァ
国連災害対策本部の職員として働いてる割にはやけに銃の扱いに慣れてるんだね…!とその様子をみながらシイナが尋ねていき、アメヤが一応緊急時に備えてそういった訓練をしてるからね…!と答えていく。
「やけに姉さん銃の扱い慣れてるんだね…!!」
「これでも緊急時に備えてそういった訓練してあるからね…!腐っても国連災害対策本部の職員ですから…!」
そうこうしているうちに家から飛び出してから走り続けること数分、3人は籠城に使えそうな廃ショッピングモールに滑り込む。
かつては島のシンボルとして多くの人が訪れていたショッピングモールだが、侵略種の災害発生によって多くの人が島を離れたことで、営業難なって数十年前に廃業。
今はもう賑わっていた頃の面影は一切残されておらず、朝よりも更に空の雲が濃くなってきたことで薄暗くなってきたことも相まって不気味な雰囲気を醸し出していた。
そんなショッピングモールを利用する多くの車がかつてたくさん止まっていた駐車場、今はもう数台の放置車しか残されていない所の一角。
こちらも放棄されるかたちで停められているセダンの後ろ側では、セツナをトランクに隠しつつ2人が弾の装填を行っていた。
「とりあえずセツナはここに隠れてて、私とアメヤがそばにいてセツナを護るから」
しかしそうなるとシイナとアメヤの身に危険が及ぶことは間違いなく、セツナがでも…!と心配そうに2人を呼び止める。
だが2人は自分たちのことは大丈夫だと告げて、侵略種なんてパパーっとやっつけてくるからそれが終わったら一緒にさんで帰ろうと約束していく。
「でもしーちゃん…あーちゃんが…!」
「大丈夫大丈夫♪しーちゃんとあーちゃん強いんだから、侵略種なんてパパーってやっつけて一緒に3人で家に帰ろっ」
「そうそう、私なんかがここでくたばるわけないって!だって2人を養わないといけないんだから!」
その言葉を聞いたセツナもうん!と力強い返答を返していき、それを確認しつつセツナは車のトランクをゆっくりと降ろした。
「…だから安心してセツナ、私たちは絶対セツナを護るから…!」
「…うん!」
ガコッ
同時刻、3人を追う形で廃ショッピングモールの地下駐車場へとやってきた恐竜の化石みたいな侵略種は唸り声を上げながら複数体で行方を探しながら奥の方へと歩みを進める。
そんな侵略種の進路上、左右の柱に隠れる形で左側にシイナ、右側にアメヤがスタンバイする形で身を潜めていた。
グルルル…
「……」
「……」
ギリギリまで引きつけると先手を切る形で遠距離武器であるボルトアクションライフルを持っていたアメヤが横たわる形で飛び出すと、すかさずトリガーを引いて発砲。
放たれた初弾は迷うことなく侵略種の顔面に命中し、被弾した侵略種の1匹は抜け殻のように地面へと倒れ込む。
「っ…!」
ザッ!
パァン!
すかさず空薬莢を排出しつつ新しい弾を薬室にぶち込むと即座に2発目を発砲、もちろんこの放たれた弾丸もまたしても侵略種の顔面に命中していき2体目も倒れてしまう。
しかし侵略種側もやられっぱなしという訳にはいかず、アメヤが打ちまくっている前方以外、四方八方から次々と姿を現すと彼女に向けて襲いかかる。
カラン!
パァン
ガァァァァ!?
だがそれを予想していたのかすかさずカバーに入るかたちでシイナも姿を現すとボルトアクションライフルよりも早い感覚でソードオフショットガンを発砲。
近距離での威力ならライフルにも負けない火力を活かしつつ、次々と侵略種をバッタバタと倒していく。
「…っ!!」
パァン
だが当然侵略種側もやられっぱなしという訳にはいかず、隣でシイナによって倒されたトカゲ型の仲間を横目に恐竜の化石みたいな侵略種がタイミングを見計らいシイナの背後から飛びかかるように襲ってきた。
しかしそれに気づいたアメヤがすかさず狙いを変更して発砲、妹に襲う前にすかさず仕留めて返り討ちにしていく。
パァンパァンパァン
グルルル
ガァァァァ!
「させるかっ…!」
パァン
ナイス援護…!とその様子をみたシイナが称賛のコメントを送っていくが、双方ともかなり息切れが目立ってきており、相変わらず軽い数の暴力で来られる現状ではジリ貧になるのも時間の問題とも言える。
とはいえ打つ手を止めれば襲われるのは容易に想像がつくため、2人は必死な表情を浮かべながら侵略種を倒し続けていた。
パァンパァン!!
「はぁ…はぁ…!っ!」
ー数が…くそっ今のところは大丈夫だけど…このままじゃジリ貧に…ー
だがそれによって一瞬反応が遅れてしまったお陰で、背後から襲いかかってきた侵略種に左後ろの方を引っかかれ、軽く出血して負傷してしまう。
思わず一瞬眉をひそめたものの、すかさずシイナが姉を襲った侵略種をゼロ距離ショットガンで吹き飛ばし、呆気なく制圧した。
ガァァァァ
ガリッ!
「あ゙…が…!?」
「このっ!姉さんに手を出すな!!」
ダァン!!
その後頬に煤を被りつつも最終的になんとか全部の侵略種を倒した2人は、息切れをしながらも立ち上がり、周囲の安全確認もほどほどにセツナの元へと戻る。
「はぁ…はぁ…ひとまず…これで全部……姉さん…怪我の具合とか…大丈夫…?」
「これぐらい…はぁ…なら…はぁ…、全然…はぁ…平気…」
「そっか……とりあえずセツナの何処に戻ろう…か」
「そう…ね」
その後セツナが隠れている放置車のトランクを開けると彼女が出迎え、シイナがひとまず襲ってきた侵略種は全部倒したと伝えつつ、
まだいるかもしれない気がすると話していき、別の場所に避難するよと告げ、彼女を連れて再び移動を開始していく。
「しーちゃん!あーちゃん!」
「ほとんど倒したけど…まだいる気がする…別の場所に隠れよう」
「うん…!」
薄暗い雲から雨が降り始めたのと同時刻、地下駐車場を後にした3人はショッピングモール二階のエスカレーター付近の机をバリケードに転用しつつ、シイナとアメヤが周囲を警戒していた。
とはいえ侵略種の多くは倒したため残るはあの触手を生やしていた謎の大男のみ…、ではあるのだが奇妙なことを出会った時に言っていたな…とシイナが呟く。
「最初に家に来た人間の姿をしてたやつ…後はアイツだけだと思うんだけど…」
「人間の…姿?」
「うん、…なんか妙なことを言ってた気が……」
妙なこと?首を傾げながら尋ねたアメヤに対して、シイナはその大男が寄越せと言いながら襲ってきたこと説明していく。
それを聞いた彼女も道理で来たときに外で暴れるような衝撃音がしてたわけか…と納得の表情を浮かべる。
がその話を聞いていたセツナがふと唇を引き締めるような素振りを見せたことに、2人は気づくことはなかった。
「妙なこと?」
「なんか寄越せとかなんとかかんとか…」
(回想)
『なぁ…!お前も魔人だろ!!寄越せっ!!』
「……っ」
しかしアメヤからすればその男も確かに気にはなるものの、それよりも先ほど襲ってきた侵略種が何処から湧いて出てきたのかが気になって仕方ないらしい。
元々島にいた侵略種は指で数える程度、しかし今回出現した奴は地下駐車場の個体だけでも島で普段確認出来る数をゆうに超えている。
まさか泳いできた訳じゃないあるまい…とシイナはそんなことを呟くが、どのみちなんの前触れもなくこうなっている以上、普通でないことが起こっているのは間違いない。
「けどそれよりも気になるのがあの侵略種の数よ」
「あー確かに…あの数どっから湧いてきたのか…まさか本土から泳いできた訳…じゃないよね」
「それは分かんないけど…、けど何の前触れもなく現れるってことは……」
だがそんなことを話しているとセツナが不安そうな表情を浮かべていたため、シイナが心配しなくても侵略種なんて全部自分たちがやっつけるから!と安心させるように宥める。
「…!大丈夫だよ、侵略種なんてしーちゃんとあーちゃんでやっつけちゃうんだから!」
「そうそうっ♪」
「うん…」
その後安全な場所を求め、シャッターが降ろされかつてのにぎわいすら感じさせない廊下を再び歩いていた3人。
…が角を曲がった先の突き当たりから無数の侵略種がこちらにやってくるのが影で確認出来た。
当然そうなればこのルートは使えないため、見つかるまえに別ルートに退避しようと後ろへと下がっていく。
コツ…コツ
(うめき声)
「…まだあんなに…あっちは駄目だ、別のルートに」
「ええっ…セツナ、下がるよ」
「…っ、うん」
その後難なく先ほどまでいたホールに下がってきた…のだが正面からとは別のうめき声が耳に飛び込んできたため、3人は声がした方向に慌てて視線を向ける。
すると先ほどまで自分たちが隠れていて、安全だったはずのエスカレーター側の方に佇ずむおびただしい数の侵略種が…。
「…っひ」
「…!?」
「なっ…」
ーい…いつの間に…ー
いやそれだけじゃない、ショッピングモールのありとあらゆる通路から先ほど相手した数とは比べものにならないほどの侵略種が相次いで姿を現しており、気づけば360度退路を断たれるかたちで囲まれていくのであった。
「ねっ…姉さん…これ……」
「…えぇ…、完全に囲まれた…」