【なのはEXCEEDS】 〜久瀬家の長女は、妹たちに内緒で魔導師やってます〜 作:三坂
どう考えても捌き切れる数でないのは間違いなく、このままではセツナどころか自分たちの命も危ないのは明白。
内心絶望と焦りを紛らせながら冷や汗を流していたアメヤだったが、ふと背中に背負っているものを思い出す。
ー…どうする…このままじゃジリ貧どころの話じゃ…ー
「…っそういえば…」
シイナ達には非常用の武器と伝えたもの、本来ならばこんなごく普通の侵略種じゃなくて魔人であろう男に対して使いたかったが迷ってる暇はない。
それに出来ればあのことは2人には知って欲しくなかったが、このままでは自分だけじゃなくて2人の妹の身すら護れなくなってしまう。
やるしかい…そう覚悟を決めたアメヤは背中に背負っていたものを取り出した。
ー…出来ればこんな侵略種じゃなくて例の魔人男に使いたかった、アレは手の内知られるとしんどいから…でも…今は迷ってる暇はない…!ー
「やるしか…ないか…よっと!」ガザっ
もちろんその様子はセツナとシイナの2人も目の当たりにしておりどうしたのかと尋ねるが、そのタイミングで侵略種が一斉に…なおかつ順番に襲いかかってきた。
「ねっ…姉さん!?それは一体…」
ガァァァァ!!
「ひっ…しーちゃん…!」
「ちっ!」
こうなっては聞くどころではなくなってしまうためシイナは舌打ちしつつもソードオフショットガンを構えて迎撃体制を取り…、最初に襲いかかってきた侵略種に向けて発砲しようとした矢先。
アメヤが非常用の武器を構えながら叫んだ矢先、突如として3人の周囲が激しい閃光に包まれた。
「…スマラグドス、セットアップ!」
『Staand by Ready set up.』
カッ!!
「なっ…まぶし…!?…っ!」
「あっあーちゃん…!?」
とはいえ侵略種にとっては軽い目くらまし程度だったらしく、一瞬怯みかけたもののそのままの勢いで襲いかかる。
…がその後にアメヤが発した言葉の直後に、またしても激しい閃光閃光が3人を包み込んだ。
当然侵略種側はこのタイミングでは攻撃をやめることはできないし、何より閃光ごときで怯むはずもなく力強い一撃を叩きつけていく。
「エンジェリック・ベール!!」
『最大出力、防御エリア構築します』
グァァァァ!!
ガコッ!!
だが何体もの侵略種によって激しい一撃を加えられたはずの閃光はびくともしないどころか、逆に強力な電流攻撃を発したことによって侵略種は返り討ちを喰らってしまい、そのまま明後日の方向に飛ばされてしまう。
『攻撃を検知、自己防衛プログラム…起動』
ビリリリリ!!
ガァァァァ!!?
ドサッ
周囲を包まれていた閃光がようやく晴れたことで直視こそ避けたものの、2人は多少影響は受けていたらしく、視界がぼやける中お互いの無事を確認しながら周囲を見渡す。
「せっ…セツナ大丈夫…?」
「なっ…なんとか……急に閃光に包まれるからびっくりして…」
「本当…急に何が…」
するとそこには先ほどまでなかったはずの緑色のシールドが自分たちを囲むように展開、その外には襲いかかろうとしてきた侵略種がまるで高電流のショートを食らったかのような焦げ具合で倒れていた。
一体何が…そう呟きながら姉に視線を向けたシイナはその姿を目の当たりにするや否や目を大きく見開く。
「えっ…うそ…襲ってきた侵略種が……」
「…なんか高電流のショート喰らったやられ方してる……、一体なにが…て……え…?」
そこには見慣れた姿はなく、白ベースにエメラルドグリーンのラインが入った、ボレロのような短いジャケットのトップス、黒いショートパンツの上から、白いミニスカートのような形の腰当てのボトムスに身を包んだアメヤが立っていた。
何がどうなって…そう思いながら唖然としているシイナの視線の先では、アメヤが手にしていたライフルの銃口を侵略種へと突きける。
ー…姉…さん?……でも私の知ってる姉さんの格好じゃ……ー
「…ふぅ…」スチャ
高電流が流れるシールドに囲まれてはいくら数の有利がある侵略種といえど迂闊に手を出すことはできない。
当然それを知っているためアメヤは落ち着いた表情で少し上空に狙いを定めると、発射と口にしつつトリガーを勢いよく引いた。
グルルル…
「発射」
するとライフルのトリガー上部に設置されたエメラルド風の宝石が緑色に光ったと思った矢先、その光が一気に銃口へ集結するかたちで集まっていく。
まるでトリガーを引いたことによってエネルギーが充電されたかのように銃口が濃い緑色で光った直後、銃口から銃声と共に一発の弾丸が放たれた。
カチッ
ダァァァァン!!!
その弾丸は展開したシールドを透過…は流石にできなかったらしく、そのまま粉砕しながら放たれた弾丸は侵略種の上空へと突き進む。
どんな攻撃かは分からないがシールドが消えた上に外したとなれば絶好のチャンス、そう踏んだ侵略種達は再び襲い掛かろうとしかけたのだが…
バリィィィン
ガァァァァ!!
だが直後に侵略種へ向けて飛来していた弾丸が空中で炸裂。
まるでクラスター爆弾(数個から数百個の小さな子弾を詰めた親弾(集束爆弾))のように激しい破裂音や引き裂くような音と共に分離した子弾が、雨のように降り注いだ。
パパパパパン!
バリバリバリ!
その後間髪入れずに他の方向から襲いかかろうとしてきた侵略種の空へ向けて先ほどと同様の弾を連続で発射、同様に上空で炸裂していき大量の子弾がばらまかれる。
カチッ
パァァン
パパパパパン!
バリバリバリ!
もちろん攻撃態勢に入っていた侵略種達は避ける素振り…いや上空から雨のように降り注ぐ子弾を避けるはずもなく、雨粒を浴びるように次々と直撃。
身体を欠損させたり出血しながらまるで壊れたブリキのおもちゃを連想させつつ、変なダンスを踊って次々と倒れていく。
ガガガガガ
ガァァァァ!!?
アメヤが姿を変えて発砲してからわずか1分、アレだけ群がっていた侵略種は見る影もなくあっという間に全滅していき、そこに残されているのは亡骸の山だけ。
呆気なく蹴りがついた光景に、シイナは唖然とした表情を浮かべたままソードオフショットガンを片手に立ち尽くしていた。
シュゥゥゥ…
「…嘘、アレだけいた侵略種が……こんなに呆気なく……」
ちなみに侵略種を全滅させた主であるアメヤは、空になった弾倉をリリース、弾がたっぷり入った弾倉を新しく装填しつつ軽いため息を零していく。
出来ればシイナ達には知られて欲しくなかったし、何よりこれであの魔人であろう男にはバレた、つまり最大能力を活かせる奇襲は使えない。
「…はぁ…」
ー出来れば2人には知られたくなかった…、それに…この能力は奇襲で輝くもの…、恐らく魔人であろうアイツには知られたから…恐らくしんどい戦いにはなるだろうな…ー
…とはいえ結果的にはアレだけいた侵略種を倒せたことでシイナとセツナを護れたため、その後はホッとした表情を浮かべる。
ー…まっでも…結果的には2人を護れたからそれはそれで良かった…かもー
その後2人に怪我がないことやこの姿について説明するために視線をそちらに向けかけた途端、何処からともなく憎しみで溢れた声が響き渡った。
ーとりあえず2人に怪我がないかとか…あとこの姿についてもきちんと話さないと…ー
「2人共、怪我とかは…」
「おまえ…よくもやってくれたな…?」
シイナは聞き覚えがあったらしくはっとした表情を浮かべるとセツナを護るかたちでソードオフショットガンを構えていく。
もちろんアメヤもその声に反応していき、銃口をそちらに向けながら声のした方向に視線を向けると、そこにはインターホン越しで見たあの大男の姿が…
「!?」ザッ
ーこの声…(バッ)やっぱり…!ー
事前にシイナから聞いていた通り男の左腕は無数の触手がうようよしながら生えてきており、その表情は邪魔をしてくれたアメヤに対して憎しみの雰囲気を全開にしていた。
そのガキを喰らう前にまずはお前から食べてやる…!そう言い放った大男は、弾かれたように飛び出して襲いかかっていく。
ー話には聞いてたけど…本当に触手が生えてるんだ……、それにあの表情ー
「まあいい、そのガキ(セツナ)を喰らう前にまずは……お前からだ!!」ダッ
アレだけあった距離はあっという間に縮められてしまい、反撃する余裕が出来なかったアメヤは咄嗟に2人を突き飛ばすと、シールドを展開して防御態勢をとる。
「ちっ…!2人共ごめん!」
ガッ
「きゃ!?」
「姉…さん!?」
「スマラグドス!エンジェリック・ベール!!最大出力!!」
『了解、最大出力』
直後迷うことなく突っ込んできた魔人の大男は速度を落とすことなくシールドで激しく衝突、その威力は凄まじく周囲に衝撃波が一気に広がるレベル。
当然スマラグドスは攻撃を検知したことで自己防衛プログラムを起動、侵略種を呆気なく倒した高電流が大男にも襲っていく。
ガギィィィィン!!
「う…ぐ…!」
ー衝撃波が……アイツ…本気だ…!ー
『攻撃を検知、自己防衛プログラム起動します』
もちろん大男にも効果はあったらしく、苦しそうな声を上げながら苦し藻掻き始めており、これなら反撃がいける…そう思ったアメヤは、スマラグドスに近距離射撃モードを指示。
ビリリリ!!
「うがぁぁぁ!!?」
ーよしっ!効いてる…!これなら!
「スマラグドス!ハート・バースト用意!」
『了解近距離射撃モードへ移行します』
…が大男がうめき声を上げながら触手になっていない右手を大きく振りかざすと、勢いよくシールドを殴りつけていく。
とはいえシールド自体そう簡単に破れるものではないため、無駄な足掻きを…と内心そう思っていたアメヤだったが、…その考えは直後大きく崩れてしまう。
『ゔがぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!』ガギィィン!!
ーへっ無駄な足掻きよ!このシールドが簡単に破れる訳が……ー
ピキピキという音と共に魔人の大男が右手で殴りつけた箇所を中心にシールド全体にヒビが広がっていき、これには流石のアメヤも嘘…という表情になる。
ピキピキ
ー嘘…シールドにヒビが…ー
今まで一度も破られたことのなかったシールド、それがヒビが全体に広がると共に、まるでガラスが地面に落ちて割れるかのような音を響かせながらあっという間に粉砕していく。
バリィィィン!!
「…っ!!」
ーじょーだんでしょ!?なんで触手じゃない方の右手にシールド破壊されてんの!?ー
しかし大男が振りかざした右手は勢いが留まるどころを知らず、アメヤの顔面目掛けて一直線に拳が突っ込んできた。
もちろんそれに気づいたアメヤは咄嗟に顔の絵へ両手をクロスさせ、対ショック姿勢を取る。
ー…!やばこのままじゃ…くそっ!ーガバッ
当然シールドを破った攻撃をそれだけで防げるはずがない。
拳がガードをした手に当たると共に受け流せなかったアメヤはそのまま明後日の方向に飛ばされいき、瓦礫の山に派手に突っ込み、轟音と共に激しい土煙に覆われた。
ガッ!
「ぐっ!?…」
ガシャァァァァンン!!
その光景を目の当たりにしたシイナは思わず彼女の名前を叫ぶが、それに答える形か機械音声と共に弾かれたように土煙からアメヤが飛び出し、今度は逆に自分から大男の方へと接近していく。
「姉さん!!」
『バレット・アクセル、最大出力』
「っ!」バッ
もちろん大男も触手を使い接近を止めようと試みるも早すぎる動きに全然追いついておらず、あっという間に懐へと近づかれてしまう。
「ふんっ!」
ドス!ドス!
「っと…!」
ここまで近づければ…そう思いながら先ほど突き飛ばされる前にやろうとしていたこと、ハート・バーストを叫びながら銃剣を男の胸元に勢いよく突き立てる。
ーここまで近づければ…!!アレをやるには充分!ー
『ハート・バースト!用意!!』
『了解、ハート・バーストエネルギー充電開始』
当然銃剣を突き立てただけでは魔人である大男には対したダメージではない。
…がそれはアメヤも充分に分かっており、スマラグドスのエネルギー充電完了という機械音声と共に発射!と叫びながらトリガーを勢いよく引いた。
「その程度でオレが死ぬとでも、懐に入った時点でおまえの負けだ」
「…へっその程度でやられないのはわかってんのよ!本命はこっち!」
『ハート・バースト エネルギー充電完了。発射指示を』
「ハート・バースト!発射ぁ!!」カチッ
直後先ほど侵略種たちに向けて放ったクラスター風の弾丸とは比べものにならない一筋の光条と共に圧縮された光の塊(エネルギー弾)が飛び出し、大男の胸元を貫…
……抜かなかった
キィィィ
ドキューン
「どうよ……これ………え?……」
これには流石に想定外な光景だったのか、トリガーを引きながらもアメヤは唖然とした表情で見上げていく。
それとは対照的に大男は不適な笑みを浮かべながら、まるで自分には到底及ばない弱者を見下しつつ、彼女が放ったエネルギー弾を強靭な肉体で受け止め続けていくのであった。
「嘘……なん……で……」
「……」ニヤ
久瀬アメヤ
年齢:19際
モデルキャラ:東雲椎名(Sレイマリチャンネルオリジナルキャラクターより)
セツナとシイナの姉、身長がシイナより低いため知らない人に観られたらシイナの妹き見られるが、れっきとした長女であり、家族間の関係も良好。
普段は本土で国連災害対策本部の職員として働いており、仕送りをしつつ、時たま2人の暮らす実家に帰ってきている。
そんな彼女だが、実際は国連災害対策本部で活動する魔導師。銃剣付きのライフルであるデバイス『スマラグドス』を活用した遠・中・近距離戦闘に加え、シールドを活用した防御戦闘を得意としている。
魔導師ランクは時空管理局や国連調査機関EXCEEDSではBに相当、バランスの取れたタイプではあるものの威力にかけ、魔人などの強力な侵略種相手だと奇襲でなければ効力を得られないらしい。
ちなみに魔導師をやっていることは2人には秘密にしているらしい。
(尚魔導師に変身したモデルは、アニメ「ViVid Strike!」の主人公フーカ・レヴェントンより)