【なのはEXGV】 〜久瀬家の長女は、魔導師やってます〜   作:三坂

5 / 6
第5話 反撃

 

 

 

 渾身の一発を防がれた…そのショックは計り知れないだろう、もちろんそれを知っている大男は不適な笑みを浮かべたまま右手で首を絞めながら持ち上げようとする。

 当然ショックのあまり逃げる素振りすら見せなかったアメヤは、苦しそうな表情を見せながらも無防備に持ち上げていく。

 

 

「…ふっ」

「あ…が…!…?」

 

 

 このままではアメヤがやられる…そう思ったセツナがシイナにそう告げようとしかけたものの、その前に彼女が飛び出すほうが早かった。

 

 

「あーちゃん…!しーちゃんあーちゃんg…」

「…!!」ダッ

 

 

 アメヤを離せ…!と叫びながらソードオフショットガンを構えながらシイナは大男との距離を一気に詰める、家での戦闘の際に近距離なら効果があったのは確認済み。

 倒せなくても彼女を助けるには充分過ぎるぐらいであり、あっという間に懐に潜り込むと近距離での射撃を試みる。

 

 

「姉さんを……離せっ!!」ダッ

ー家で出会った時近距離ならショットガンで効果はあった…!倒せなくても…姉さんを助けるのは充分!ー

 

 

 …がそれも予想していたのか手持ち無沙汰の触手をシイナに差し向けると、接近してきた彼女を勢いよく引っ叩く形で振り払った。

 当然反撃された際の対応を考えていなかったシイナはもろに触手の攻撃を喰らい、呆気なくふっとばされてしまう。

 

 

「ふんっ」

ブンッ

「なっ…!?がっ…!?!」ドス

 

 

 飛ばされたシイナがシャッターに激しく叩きつけられたのを確認しつつ、男はアメヤに視線を向けていきまずはお前から…と呟く。

 その後自身の胸元を大きく引き裂くように開くと、人一人を食べるには充分の口を出現させた。

 

 

ガシャァァァァ

「しーちゃん!!」

「ふんっ、約束通りまずはお前からだ」

「あ…が……」

パキィ…、ピシ、シ…

ニュル、ジュブ…

 

 

 このままでは姉どころか自分も食べられ、シイナだって無事に済まないのは確か…そう思っていたセツナだったが今の自分ではどうすることも出来ない。

 食べられるしかないのか…そう思い避けやらない現実から目をそらした直後、何処からともなく声が聞こえてきた。

 

 

ー…このままじゃ…あーちゃんだけじゃなくて…しーちゃんや私も……、でも私にはどうすることも…ー

「…っ!」

『覚えてない?』

「…?」

 

 

 その後目を開くとそこは自分が先ほどまでいたショッピングモールではなく暗闇に炎が立ち込める場所であり、声のした方に視線を向けるとそこには一人の少女が立っていた。

 服装こそ自分に似ているものの、髪型はまるで炎に宿された妖精みたいなオーラを醸し出しており、セツナに対してもう一度呼びかける。

 

 

「……」

『ねぇ、覚えてない?』

 

 

 もちろん彼女のことは他人とは思えないものの記憶にないため言葉を詰まらせたセツナに対して、少女は自分がそうするように願ったから…と話していく。

 

 

『…そうだよね、私がそう願ったから…』

 

 

 その後自分たち…いや私には2つの道があると告げると、1つはアメヤやシイナは死んでしまうものの隠している嘘がバレずに済む道

 

 

『私には2つの道がある』

「……」

『1つ、しーちゃんやあーちゃんは助けられずに死んじゃうけど…嘘がバレずに済む道』

 

 

 そしてもう1つは2人に嘘がバレて嫌われてしまい、二度と会えなくなってしまうかもしれないが、2人を救うことが出来る道。

 その2つを告げたセツナ(?)はどうする?とセツナへと尋ねる。

 

 

『そしてもう1つ、しーちゃんやあーちゃんに嫌われて二度と会えなくなっちゃうかもしれないけど…しーちゃんとあーちゃんは助けられる道』

「……っ」

「どうする?」

 

 

 だがセツナにとって迷うような選択肢ではなく、そんなの決まってる…!と言わんばかりの口調で、嫌われてもいいから2人を助ける道を選ぶ!と答えていく。

 

 

「…っ!!そんなの…決まってる…!!嫌われたっていい!!しーちゃんとあーちゃんを…助ける!!」

 

 

 するとその選択肢を待っていたのか髪色が炎に包まれたセツナ(?)は一瞬笑みを浮かべると、すぐに真剣な目つきになっていき、これから話すことをよく聞いてほしい…とそう口にし、セツナも軽く頷いた。

 

 

『…そういってくれると信じてた、……ならこれから言う事は…よく聞いてほしい…』

「…」コクッ

 

 

 今ここで自身の隠していた力を解放すれば2人は確かに助けられる…が、だとしてもあの襲ってきた大男を倒すには力が不完全でコントロール出来ない可能性も充分にあり得るため、倒せないらしい。

 もちろんそれでは助けることが出来ないため、どうにかならないのか…と尋ねたセツナに対して、とあることをすればあの大男を完全体な状態で倒せるとセツナ(?)は答える。

 

 

『今ここで力を解放すれば2人は助けられる…、でも私のこの力は不完全体…コントロールができないから倒すことができない。だから力を封印してたの』

「でっでも!それじゃしーちゃんたちを…!!」

『だからあることをする必要がある、そうすればあの魔人を倒せるよ』

 

 

 それはなんなのか…と聞いたセツナに対して、一間空けるかたちでシイナにこの力を預け倒してもらうことであの魔人を倒せると答えていく。

 だがそれをするとシイナは魔人としての力を受け継がれるかわりにセツナは魔人の力を失い永遠に一般人として生きるという代償を得てしまうとか…

 

 

「それは…」

『それはね、しーちゃんにこの力を受け継ぐの。あの子は魔人の力を手に入れても健全なままでいられる上に、能力を最大限活かせた状態であの魔人には確実に勝てるポテンシャルを秘めてる』

「…でもそれって」 

『そう、それをしたらしーちゃんは魔人としての道を…セツナは今度こそ本当のごく普通の人として…つまり2人は正反対の道を歩むことになる』

「……正反対の」

 

 

 もちろん本人と話してそれでオッケーなら問題ないのだが、残念ながら今それを話している猶予はない。

 つまり相手の許可なく勝手に魔人の力を受け継ぐ…ということであり、それをシイナが良しとしなければ本当にガチで嫌われてしまうどころか…恨まれてしまう可能性が充分あり得てしまう。

 

 

『でも今それを話し合ってる余裕はない、だから説明をするのは力を受け継いだ後になる。…つまり』

「相手の許可なく…勝手に入れ替える…だよね」

『そう、もしそれをすれば嫌われるどころか一生恨まれてちゃうかもね』

「……」 

 

 

 確かにそうかもしれない…魔人の能力を隠してたどころか緊急時だからといって普通の人としての生活をほぼ奪うような行いをすれば誰だってそうなる、…だがここで迷っていればそれこそ誰も助けられない。

 

 少しためらいを見せたものの、セツナは覚悟を決めた表情でやろう…!とセツナ(?)に答えていき、それを聞いた彼女も笑みを浮かべるとそのまま炎が消えるように姿を消し去っていくのであった。

 

 

「…やろう、こんなところで迷ってたら…誰も救えないし…!誰も笑顔になれない…!」

『そっか…、わかった、やろう』スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっ……」

 

 

 セツナがセツナ(?)と話している間、魔人の大男によって吹き飛ばされたシイナは朦朧とする意識の中なんとか瓦礫の山から這い出てきていた。

 明らかに最初出会った時と違う…そう実感させられながら、首を絞められつつ食べられそうになっている姉を見て思わず歯ぎしりをさせていく。

 

 

ー明らかに最初出会った時とは全然違う……、…いっ…くそっこのままじゃ姉さんが…ー

 

 

 いやそれだけじゃなくアメヤが食べられた後は間違いなくセツナや自分もターゲットになるのは確実、…だが対抗するほどの力を自分達は持ち合わせていない。

 このまま見ることしかできないのか…、そんな無力さを感じながら見つめていると何処からともなく声が聞こえてくる。

 

 

ーいや姉さんだけじゃない…私やセツナだって……ー

「……このまま見てることしか…できない…のか…」

『しーちゃん、この力…貴方に預ける』

「……え?」

 

 

 すると両手がまるで焼け焦げたみたいに一瞬どす黒くなり、直後オレンジ色の炎色に包まれていく。

 髪の色も例外ではなくオレンジ色の炎に包まれるが、熱いというものは一切なく、まるで優しく包まれ力がみなぎってくるような感覚をシイナは感じていた。

 

 

「今の声……っ、コレって……なんか力が湧いて着て……」

 

 

 その後今度は聞き慣れた声がハッキリと聞こえてきたため、はっとした表情を浮かべるとシイナはそちらに視線を向けると、そこにはセツナが立っており真剣な目つきで頷いていた。

 

 

「しーちゃん!」

「その声…セツナ?」

「……」(頷く)

 

 

 相変わらずよく分からないが、今ならあの大男を倒せる気がする…そう思ったシイナは声を張り上げながら弾かれたように突進していく。

 

 

ー相変わらずよく分からない…けど今ならアイツを……よしっ!ー

「はぁぁぁ!!」

 

 

 もちろん大男もそれに気づいてそちらに視線を向けていくが、先ほどとは比べものにならない速度のためあっという間に接近を許し、そのまま土手っ腹に強烈なグーパンチを喰らう。

 すると殴った箇所から炎の衝撃波が伝わっていき、男の土手っ腹を貫通するかたちで炎が勢いよく貫くと、大男は勢いよく飛ばされた。

 

 

「うぉぉぉぉ!!?」

 

 

 その際首を絞めながら食べようとしていたアメヤを反射的に離していき、長いこと首を絞められていたことで意識が朦朧と仕掛けている彼女はふらつきながら倒れかけるものの、シイナに咄嗟に支えられたことで事なきを得る。

 

 

「っ…ぁ…」

「っと…姉さん…ごめん、遅くなって」

「しい…な……」

 

 

 それからそっと地面に寝かせると、大男を突き飛ばした右手を見つめながら一瞬セツナに視線を向けていき、この力が彼女から受け継がれたものだということに気づいた。

 ありがとう…内心そう思いながら視線をみあげると、心臓部分を貫かれたはずの大男が立ち上がりながらまさか力を得たのか…と口にしていく。

 

 

「…ここで休んでて、すぐ戻るから…」

「……っ…」

ー……セツナ…、まだよくわからないけど…ありがとう…ちゃんと受け取ったからー

「まさか…お前…あの魔人の力を」

 

 

 その後苦しそうなうめき声を上げながら大男は先ほどよりも更に身体を大きくさせていき、貫かれた箇所を修復しながら狙っていた能力を取られたことに対して怒りを露にする。

 

 

「人間がぁぁ…ぐぅぉぉぉ…!!あの魔人の力をぉぉぉ!!」

 

 

 しかしシイナは怯むことなく更に大きくなった魔人の大男を見上げると、セツナに託されたこの力で一緒にコイツをぶっ倒そう…!と宣言していく。

 

 

「…セツナ、セツナに託されたこの力…約束通り…一緒にコイツを!ぶっ倒そう…!!」

 

 

 すると全身が炎に激しく包まれいき、大男も一瞬怯んだもののすぐにその力を奪おうと先ほどとは比べものにならない両手を使った触手攻撃でシイナへと襲いかかっていく。

 

 

「ソイツをぉぉ!!寄越せぇぇぇ!!うぉぉぉお!!」 

 

 

 しかしシイナはその攻撃を軽々しく交わしながら距離を取っていき、ホルスターからソードオフショットガン二丁を取り出して射撃態勢を整える。

 すると大男の声と共にアメヤがアレだけ殲滅したはずの侵略種がわらわらと現れていき、セツナやアメヤに目もくれずシイナへと襲いかかる。

 

 

「ざっけんな!!」バッ!ガッ

「ちっ!こい!!」

キュルルガァァ!

 

 

 だがシイナは迷わずトリガーを引いて連続発砲、銃弾よりも倍の威力を持つ火炎弾に侵略種が耐えられるはずもなく、四方八方から襲いかかってきた侵略種の大群はあっという間に再び全滅。

 

 

「…!!」

ダダダン!!

ドゴォバゴォーン!!

ガァァァァ!!?

 

 

 とはいえそれで魔人の大男が諦めるはずもなく、自分の持てる全ての力をフル活用し苦しそうな声を上げながら更に身体を大きくさせていき、形ももはや人間だったものとは思えないほどに変形させていく。

 

 

「ヴァぁぁぁ!!寄越せぇぇ!!」

 

 

 その後シイナの周囲を取り囲むように凸凹した物体が展開しつつ、先ほどアメヤを食べようとした口を再びお腹の部分から広げながら雄叫びをあげる。

 しかしシイナは怯むどころかいつの間にか組み立てていた対物ライフルを構えると魔人の大男お腹目掛けて乱射する形で発砲した。

 

 

「ゔぁぁぁぁぁ!!!」

カチッ

ダァンダァンダァン!!

 

 

 魔人としての能力でパワーアップした対物ライフル弾は、外しようのない大きさに距離ということもあって迷うことなく次々と命中。

 今度は流石の大男も耐えきれなかったのか命中するたびに炎に全体がどんどん包まれていき、とどめの一撃を喰らったことで限界を超えたのか、ド派手に爆発四散。

 

 

カチッ

ダァァァァン!!

「うがぁぁぁ!!?」

ちゅどーん

 

 

 まるで戦術核を喰らったかのような衝撃波を発しながら、ショッピングモールの屋根や窓といったありとあらゆる場所を吹き飛ばすように貫いていき、天高くまで炎の渦を突き上げるのであった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。