【なのはEXGV】 〜久瀬家の長女は、魔導師やってます〜 作:三坂
国連調査機関 エクシーズに協力することになってから一ヶ月、久瀬家の生活は今までとは比べものにならないぐらい大きな変化を受けていた。
まずシイナはセツナから受け継いだ魔人としての能力を活かして国連調査機関 エクシーズのメンバーとしてなのはやフェイトのフォローを受けながら侵略種などの駆除を行うために、装備のアップデートや訓練を開始。
そしてアメヤは魔導師の能力アップデートを行いつつ国連調査機関 エクシーズが撤退した後の後詰めとして新設された国連災害対策本部 特別捜査隊(Special Investigative Unit (SIU))に転属
魔人関連の事故、事件の対応を行う国連専門の警察として政府機関などから独立した組織で活動していくことに。
最後にセツナは、シイナやアメヤと共にエクシーズが用意した家庭菜園などができる一軒家で暮らしながら、本土の学校に転校、魔人としてではなくごく普通の人間として人生をスタートさせた。
「バイバイー、またねーセツナ!」
「うん!バイバイ!」
新たな転校先の小学校での生活から半月、新しくできた友達と別れを告げたセツナは上機嫌な表情を浮かべながら校門を後にしていく。
ソ名護幹線道路沿いの歩道を歩いていたセツナだったが、学校近くの路肩に停車している見慣れた灰色のセダン(スバル BN前期型 レガシィB4)を目の当たりにすると、満面の笑みを浮かべて駆け寄る。
「〜♪あっ!」スタタ
その近くには私服姿にSIUのワッペンをつけたアメヤが寄りかかって、駆け寄ってくるセツナの姿に気づくとおかえりーとしゃがみながら出迎えていく。
もちろんセツナもただいまー!と告げながらしゃがんだアメヤの胸元に飛び込み、妹らしい表情を見せながら相変わらず精一杯甘えてきた。
「あっセツナー、おかえりー」
「あーちゃんただいまー♪」ギュー
普段は特別捜査隊として活動しているアメヤだが、空いた時間があればこうしてセツナの送迎に積極的に出迎えているらしい。
仕事中に公私混同するな…と言われそうだが、案外特別捜査隊自体激務ということもあって、こういったことは職場全体でルーズなのだとか…
そんなこんな話しているうちにアメヤは、家まで送るためにセツナを助手席に乗せると、自身は運転席に乗り込みながらシートベルトを締めていき、ギアをドライブに入れながら車を発進させていくのであった。
「んじゃ帰ろっか!今日はシイナも家に帰ってくるみたいだし」
「ほんとっ!?じゃあ美味しい料理作ってあげないとー!」
そしてその日の夜、新しい久瀬家のキッチン兼リビングでは楽しそうな声が聞こえてきた。
「セツナどう?学校、馴染めた?」
「うん!みんな優しくて友達たくさんできちゃった…!」
「流石セツナー、ってかシイナ仕事のほうはどう?」
アメヤは前からそうだが、シイナも国連の仕事をするようになってからというもの。
前みたいに2人でも揃わない日が出来てしまうが、こうして揃う日は美味しそうな晩御飯を囲む形で食べながら、直近はどうかなどの報告や会話などをしっかり行うように心がけているらしい。
「まあぼちぼちー、明日いよいよ実戦で侵略種駆除に出動していく予定。まあなのはちゃんもフォローしてくれるから心配はないかな、姉さんは?」
「私は今のとこ順調ー。忙しいけど福利厚生は充実してるし、自由も結構効くからセツナの送迎もできてるしっ」
もちろん話している内容はそれだけじゃなく、今度の休みの日が会えば何処に行くかなどの話題でも盛り上がっており、あの日と変わらない日常を出来る限り送っていた。
「あっ今度休み合う日あったらさ、買い物行かない?私セツナ連れていきたい場所があるんだー」
「ほんと!?わーい♪行く行く!」
「いいねー、っても侵略種関連の災害って日付選べないからなぁ…いつ合う日があるか…」汗
「まあそのへんはどうにかなるでしょ、同じ国連?で部署も近い職場何だし」
とまあそんなことを話しているうちに夕食を食べ終えた三人は楽しげな雑談を交わしながら片付けを済ませていると、このあとお風呂に入って上がってからゲームをしないか?とアメヤが提案していく。
どうやらセツナを迎えに行った送迎の帰る途中で寄ったお店で、三人で楽しめそうなゲームを見つけたらしい。
「ご馳走さまー、あっこのあとお風呂から上がったらゲームしない?今日帰りにセツナといいのを見つけて買ったの」
「いいねー!やろやろ!あっでもセツナ宿題は?」
「もう終わらせた!三人でやりたいから♪」
もちろんせっかく三人揃ったわけなのでやらないという選択肢はシイナにはなく、なら早速やるためにさっさとお風呂に入ってやろう!と笑みを浮かべながら意気込む。
…がだからといって髪の手入れはお粗末に出来ないというもので、セツナからダメだしを食らうと渋々はーいと返事を返していく。
「よーし!ならお風呂入ったらやろうか…!!ささっとでちゃおう!」
「あっゲームしたいからって適当に髪の手入れしちゃ駄目だからね、私がちゃーんと手入れしてあげるから!」
「むむ……はーい…」
その後お皿などの片付けを終えてお風呂で髪や身体をしっかり洗って上がった三人は、アメヤが中心となって2人の髪を丁寧に時間をかけて乾かしていく。
「ほーい、こんなもんかな?次はセツナねー」
「はーい♪」
「んもー、ほんとセツナ私の時より妹してるんだから…」
それが終わるといよいよ三人は買ってきたカセットやゲーム機を使って、仲良く身内での対戦ゲームを楽しむことに。
離島にいた際はゲーム機を気軽に買える環境ではなかったため、娯楽といったら畑や生き物の管理が多かった。
もちろん今もそれは変わらないが、本土ということもあって気軽に買い物が出来るようになってからというもの、趣味の幅が広くなったのは間違いないだろう。
「よっと!なんか難しいなこれ…!あっやべ!?」
「しーちゃん下手すぎー、それもう三回目だよー?」
「だって難しいんだもんこれー、ってあ姉さんに先こされた!?」
「ふふー♪いただきー♪」
その間にも三人は寝るまでの間、存分にゲームを楽しみながら貴重なプライベートの時間を楽しんで過ごしていくのであった。
翌朝
瑞穂 水守区都心部
紙谷町ダイナー「Pomegranate」にて
「すみませんー、郵便持ってきたんですけど…」
紙谷町に構えるダイナー、「Pomegranate」。ごく普通の料理店として知られるこのお店に、いつものように郵便を届けに来た郵便屋さんであったが、なかなか裏口から出てこないスタッフに違和感を覚えていた。
ーおかしい…いつもなら掛け声かけたら出てくるのに…ー
開店時刻まではまだ時間があるとはいえ、それでもこの時間ならもうスタッフが出勤して開店準備を進めているはず。
…おかしいそう思った郵便屋の男性はお店のドアノブに手をかけたのだが、鍵がかかってないことに気づく。
ガコッ
ー…開いてる?普通なら鍵がかかって…ー
その後恐る恐る店内を覗き込んだ男性だったが、目の前に広がっている光景を目の当たりにした瞬間言葉を失った。
「すみませんー、郵便をお届けにk…!?」
店内…裏口から繋がる電気のついてない厨房には恐らく開店準備を進めていたであろうシェフ達が無惨にもバラバラ遺体として放棄されていた。
明らかに普通じゃない…そう思った男性は慌ててスマホを取り出すと、おぼつかない手で110番に電話をかけていく。
「なっ…これは……、警察!?警察に電話しないと!!」
それと同時刻、セツナを学校へ送り届けて仕事に向かっていたアメヤのインカムに、オペレーターを担当する涼宮朱音から無線が飛び込んでくる。
「いってらっしゃーい」
「行ってきまーす!」
「(ピリリ)はーい、アメヤです」
『朱音です、SIUに出動要請が入りました』
どうやら近くのダイナーでバラバラ遺体が発見されたらしく、尚且つそれが魔人に襲われた可能性が高いということで警察から出動要請を受けた旨を伝えてきた。
『紙谷町に構えるダイナー、「Pomegranate」でバラバラ遺体が発見され、その遺体が魔人による襲撃が高いとのことで警察から出動要請が入りました』
『紙谷町…こっからすぐそこか』
もちろん近くならいかないという選択肢はないため、すぐに行く旨を伝えると、オペレーターの朱音からSIU本部からも一人向かわせる返答が返ってくる。
…どうやらそこ以外でも恐らく魔人と思しき事件が複数件確認されているらしく、隊員のほとんどはその対応に追われているらしい。
『りょーかい、すぐにいくわ』
『お願いします、他にも一人向かわせるので』
『ほーい、ちなみにほかの人は?』
『…実は現在魔人関連らしき事件が各所で確認されており、その対応に』
事情を把握したアメヤはなら仕方ないか…と割り切りながら一旦車を路肩に寄せていき、助手席の足元から赤色灯を取り出すと慣れた手つきで運転席屋根の上に装着。
その後真ん中のパネルを操作して赤色灯を点灯させると、同時にサイレンを吹鳴させながら発進。緊急走行にて現場へと向かっていくのであった。
『りょーかい、なら仕方ないか。んじゃ今から行くから切るね、何かあれば連絡する』
『はい』ピッ
「さてと…赤色灯はっと…、これか。後は屋根に乗せてサイレンをっと!」
ウゥぅぅぅぅ!!
セツナが通う小学校からさほど遠くない商店街通り、多種多様なお店が立ち並ぶ中、ダイナー「Pomegranate」では物々しい雰囲気に包まれていた。
お店には規制線が張られており、警察官によって立ち入りが制限、店内では鑑識などが忙しく行き交っていく。
そんな警察官を横目に現場へと到着したアメヤは、車を適当な路肩に寄せてから降りていくと、特徴的なサイレンとと共に1台の白バイがやってくる。
「よっと…、ここがそのダイナー」ボムッ
キュィィィィィン!!
「ん?」
収納スペースに特別捜査隊(SIU)と書かれた白バイに乗っめていた少女、霧野ユキはヘルメットを取り金髪ショートヘアを揺らしながら織り立つと、アメヤと言葉を交わしていく。
キキッ
「っと…、お疲れさまですー。アメヤさん」ガコッ
「お疲れ、ユキさん」
アメヤと同じ特別捜査隊に所属するユキは、唯一の白バイ班としてカーチェイスなどの追跡を担当。元々警察の白バイてして活動していたため、優れたドライビングテクニックを持ち合わせているらしい。
そんなことを話しているうちに合流した2人は慣れた足取りで現場となっているダイナーへと足を運んでいくのであった。
「お疲れ様ですアメヤさん、んじゃいきましょうか」
「ええっ、そうしましょうか」
それと同時刻水守区の港地区にある倉庫群で唯一出入り口のシャッターが開いていて、アメヤが乗っていた覆面と同じセダンが止まっている建物の中には一人の少女が…
春田寧々(はるた ねね)、ピンク髪のサイドテールが特徴的な彼女が見つめている視線の先には、凍りついた黒服集団にボロボロの金庫が佇んでいた。
「…なんか倉庫開いてたから覗いてみたのはいいけど…、なにこれ…」
まあ考える間もなく魔人に襲われたのは容易に想像がつく…だが問題はその襲撃理由だ。
金庫が徹底的に破壊され近くには何かの薬品が燃やされた後があることから、襲撃した魔人の目的は強盗…というわけでもなさそうだ。
ーまあ魔人に襲撃されたんだろうけど…、単なる強盗…って訳じゃなさそうかも…なんか中身であろう薬品がそこで燃やされてるしー
既に特別捜査隊や警察には連絡をしているため、ひとまず応援が到着するのを待つだけ…なのだがふと足元に転がっているものに寧々は気づく。
ーとりあえず連絡はしたから後は応援が来るのを待つだけ……ってん?これは……ー
見た目は緑色の液体が入った注射器であり、一見すれば違法薬物を接収するものと思えるが、どうやら寧々は見覚えがあるらしい。
ー…緑色の液体が入った注射器……っ!まさかコレ…!?ー
その後入り口が破壊されたクソデカ金庫に視線を向け、周りを見渡したユキは何かに気づいたのかなるほど…と納得の表情を浮かべながら、足元に転がっていた注射器をハンカチでつつみ込みながら拾っていく。
ー…ってことは…、なるほど…この襲撃事件…何か裏がありそうね…ー
直後連絡した応援の車両のサイレンが聞こえてきたためハンカチでつつみ込んだ注射器をポケットに突っ込みながら、何食わぬ顔を見せながら寧々は倉庫出入り口の方へと向かっていくのであった。
ウゥぅぅぅぅ
ーよし…、これは帰ったら調べないと…恐らく…今回各所で発生してる襲撃事件と何か関係ありそうだしー
登場人物
涼宮朱音(すずみや あかね)
年齢:19歳
性別:女性
モデルキャラ:博麗霊夢(東方Project はるか様立ち絵より)
国連災害対策本部 特別捜査隊(Special Investigative Unit (SIU))に所属するオペレーター、元若手ハッカーだったがその技量をはやての目に留まり、ホワイトハッカーとして活動しつつ通信指令としてサポートを行っている。
霧野ユキ(きりの ゆき)
年齢:22歳
性別:女性
モデルキャラ:ユキ(東方Project はるか様立ち絵より)
元警察白バイ隊で現特別捜査隊の追跡班、元白バイということもあって優れたドライビングテクニックを持ち合わせている。
尚メンバーでは最年長ということもあって、特別捜査隊のリーダーも兼任している。
春田寧々(はるた ねね)
年齢:21歳
性別:女性
モデルキャラ:IV号戦車F2型(かにぢる様 擬人化キャラより)
特別捜査隊所属の一人、元は科捜研として活動していたが現場でのやり方にすれ違いを感じてきた際に、はやてからオファーを受け、特別捜査隊として活動することに。
科捜研では優秀だったこともあって、証拠品の鑑定はもちろん、エクシーズの活動にも大いに役立っている。
国連災害対策本部 特別捜査隊(Special Investigative Unit (SIU))
はやてが設立した組織、国連調査機関 エクシーズが撤退した後詰めとして組織され、元警察官やハッカーなど、役職に問わず優秀な人材が集められているらしい。
尚警察や政府機関からは独立し、国連災害対策本部の指揮下で活動している。
尚激務だが以外にもルーズだったり…