創造主の幻想入り   作:ゆうれん

13 / 14
一章 第11話 紅魔の館に託す少女と、竹林の熱き天才薬師

「ーーというわけなんです! 私の不調のせいで、世界の次元に大穴を開けちゃって、みんなをバラバラに落としてしまいました!」

 

 戦闘が一段落した紅魔館のテラスで、甘露は煤だらけのポーカーフェイスのまま、身振り手振りを交えてレミリアとフランに事情を説明していた。人見知りのはずだが、ここぞとばかりに持ち前のハイテンションで誤魔化し、押し切る構えである。

 

「なるほどねえ。つまり、私の可愛いメモリアは、あんたのやらかしに巻き込まれた迷子ってわけね」

 

 レミリアは紅茶を優雅にすすりながら、隣で記憶を取り戻してちょこんと座っている小さな少女――メモリアをチラリと見た。メモリアは「本当に迷惑をかけちゃってごめん……」と小さくなって恐縮している。

 

「えー、モフモフもう終わり? もっと遊ぼうよー!」

「フランちゃん、また今度高テンションで遊びに来ますから! それでですね……メモリア、本当なら今すぐ連れて帰りたいのですが、私の出力がまだボロボロで……」

 

 甘露が耳をシュンと垂らし、二本の尻尾を悲しげに揺らす。すると、後ろでのんびりお茶菓子を勝手に食べていた主様が、顔の「れ」の紙をペラペラさせながら口を挟んだ。

 

「あー、それならメモリアはここに置いていけば? レミリアも気に入ってるみたいだし、甘露のそのボロボロな不調ポーカーフェイスじゃ、全員引き連れて竹林行くのしんどいでしょ。僕が保証するよ、ここ安全」

「主様が言うなら……。メモリア、ここで大人しくお茶会をして待っていてくれますか?」

「ええ、喜んで! 甘露おねえちゃん、主様、他のみんなの救出をよろしくおねがいします!」

 

 メモリアは小さな手でガッツポーズを作り、可愛らしく微笑んだ。こうして、紅魔館の温かい保護のもとにメモリアを預けた一行は、次なる迷子――医学の天才『レムフィル』が落ちたという「迷いの竹林」へと向かうことになった。

 

 * * *

 

 鬱蒼と生い茂る、どこまでも緑が続く「迷いの竹林」。

 その奥深くにひっそりと佇む学び舎――永遠亭に、甘露、主様、霊夢、魔理沙の4人が到着した。

 白玉楼や紅魔館での前例がある。甘露は「今度はどんな大戦闘が起きているのでしょう……!」と内心でバタバタとパニックになりつつも、顔は完璧なポーカーフェイスを張り付けて、永遠亭の門を勢いよく潜り抜けた。

 

 しかし、そこで一行が目にしたのは、金属音でも爆発音でもなく――楽しげに笑い合う『熱い医療トーク』の声だった。

 

「ふふ、違うわレムフィル。その細胞組織の結合に対して、我が永遠亭の秘薬をナノ単位で組み込むなら、因果の歪みによる拒絶反応を先に処理しないとダメよ」

「あはは! なるほど、実に見事なアプローチですね永琳さん! ですが、私の世界の医療コードを応用すれば、その拒絶反応すらも事前にデータとして書き換え消去できるんです。これ、私たちの医学が融合したら究極の特効薬が作れちゃいますよ!」

 

 永遠亭の診察室。

 そこでは、月の天才頭脳である八意永琳と、甘露の世界から落ちてきた医学の天才レムフィルが、机の上にたくさんの薬品や書類を並べ、とても気さくに、そして目を輝かせながら熱く語り合っていた。

 

「……は?」

 

 甘露のポーカーフェイスが、あまりの平和さとシュールさに本日何度目かの完全崩壊を起こす。耳はぽかんと横に寝て、尻尾の動きも完全に停止していた。

 

「なによこれ。異変でも何でもないじゃない」

「おいおい、あの気難しい永琳が、外の世界の生き物とすっかりマブダチになってるぜ。ウケるな」

 

 霊夢が頭を押さえ、魔理沙がニヤニヤと笑う。主様に至っては「あー、レムフィルじゃん。相変わらず楽しそうに医学のトークしてて元気そうだねー」と、顔の「れ」の紙を揺らしながら手を振っている。

 

「レ、レムフィル……! 無事なのは何よりですが……何をしているんですかぁぁぁ!?」

 

 甘露が高テンションなツッコミの声を響かせると、気さくに笑っていたレムフィルがこちらを振り返り、嬉しそうに手を挙げた。

 

「あ、甘露! それに主様も! いやあ、私はこの幻想郷の偉大なる医師である永琳さんと、命のデータに関するディスカッションをしていたところなんです!本当に彼女の知識は素晴らしいです!」

「あら、お客様かしら。丁度いいわ、この子の持ってきた外の世界の医学理論、とても興味深くてね。私、まだこの子を帰したくないのだけれど?」

 

 永琳がフフッと楽しそうに微笑む。

 どうやら、白玉楼や紅魔館とは全く違い、ここは「天才同士の共鳴」によって一瞬で気の合う医療仲間になっていたらしい。

 創造主・甘露の心配をよそに、迷いの竹林での迷子捜索は、これ以上ないほど平和的で、知的な熱気に包まれているのだった。




ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!ゆうれんです。

創造主の幻想入り 第11話、どうでしたか?
ようやくここで、レムフィルと永凛の医学での絡みができましたー!
次回は、最後の白玉楼のれもんの回収です!お楽しみに!

面白いと思ってくださった方は、ぜひお気軽に感想(コメント)や評価、お気に入り登録をよろしくお願いします!
次回、第12話の更新でお会いしましょう!

次回タイトル予告 冥界の団子と、背中の小さな檸檬
次回更新予定 11/6 17:50
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。