あくまであくまっ!   作:逢生 藍

11 / 14
十一話

 あたしが魂の回収の告知をしようとすると、リボンちゃんも時期が分かってたみたい。

 お友だちってすごいなあ。

 

「うん、そろそろ回収だよ。五日後に魂の回収をするよ」

「そうなんだ。――うん。もう、いいよ。わたし、いまとっても幸せ」

 

 ふわふわな魂のリボンちゃんが、ふわふわに笑っている。

 でも、ちょっぴり早とちりしてるのかな。可愛いなあ。

 

「んっとね。まだ告知だけだよ?」

「ううん。いまね、わたしがこれまで生きてきたなかで、いっちばん幸せなんだ。だから、いまがいいの」

 

 早とちりじゃなかったみたい?

 

 そっかあ。それなら、今日が良い日なのかな。

 リボンちゃんの瞳にも魂にも、揺らぎはない。うん、そうなのかも。

 

「じゃあ、今から回収することにするよ?」

「うん。…リズちゃんはわたしの魂を回収したら、食べるんだよね」

 

 リボンちゃんはあたしの目をまっすぐ見ている。

 まだ子どもだけれど、ちゃんと悪魔のあたしのことを理解してくれてるみたい。すごいなあ。

 

「そうだよー?」

「なら、いいかな。おいしく食べてね?……最後に、ぎゅっとしてほしいな」

 

 あたしに向かって両腕を広げるリボンちゃんを抱きしめてあげた。とっても素敵な契約者さんだ。

 

「リズちゃん」

「んー?」

 

「…ううん、なんでもない。――わたしの魂を食べるのがリズちゃんでよかった」

 

 魂から甘い香りが漂ってくる。今のリボンちゃん、今までで一番美味しそう。

 

 抱きしめたまま、リボンちゃんの胸に手を当てる。

 

「それじゃあ、魂をもらうね?」

「どうぞ。…リズちゃん、大好き。ありがとう」

 

 あたしは魂を抜き取った。

 

 とっても綺麗な魂だ。ふわふわで柔らかくて、温かい光が漏れてる。

 最初に契約を渋ったあたしが、間違ってたみたい。人間さんって難しい。

 

 口に近づけてみると、甘い香り。

 

「いただきます。…あむ」

 

 食べると、幸せが溢れてきた。

 

「…甘くてふわふわだあ。とろとろでぽかぽかで、美味しいー!」

 

 でも、ちょっとだけしょっぱいかも。なんだろ、もう少し遊んでも良かったなあ。

 

 

「よし、出来た!」

 

 白いお花畑の中で、あたしはお花の冠を二つ完成させた。

 うん、とっても上手に出来たかも。何度か教えてもらったから、上手くなったなあ。

 

 花の冠の一つをリボンちゃんの身体の、頭に載せてあげる。

 もう一つはあたしの頭の上に載せた。

 

 とっても可愛いお花の冠を教えてもらったし、魂もとっても美味しかった。嬉しいな。

 

 あたしは、お花畑に倒れたリボンちゃんの抜け殻をそっと撫でてみた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。