お姉さんについて行ってお屋敷を出ると、街の中だった。
この辺りは、お屋敷がいくつも並んでるみたい。
質の良い魂もいくつかあって、他にも契約の出番がありそうかも。
「早く、乗るのですわ。リズリリス」
「はーい」
お姉さんに呼ばれて馬車に乗ると、馬車が走り出した。
あたしはお姉さんに言われて、お姉さんにしか見えないようになっている。
「うふふふ。心躍りますわ」
お姉さんはとっても楽しそう。今回も成功かな?
馬車に乗っていると、お城の門の前に来た。
御者をしていたおじさんが、門の前の人間さんに何か伝えてる。
馬車の椅子に座って足をぶらぶらしていると、御者のおじさんが戻ってきた。
馬車が進んでお城の前で止まったから、お姉さんと一緒に降りる。
「――ローゼシア!!」
お城の中から、マントを羽織った男の人間さんが出てきた。
走ってきて、そのままお姉さんを抱きしめた。
「ローゼシア!!」
「サリウスさま…」
お姉さん、嬉しそう。魂が踊ってる。
良かったね!
マントの人間さんは、お姉さんを見つめたまま顔を近づけていく。
「…ボクハ、キミヲアイシテル」
「まあ! サリウスさまったら」
頬を赤くしたお姉さんが、顔をぶんぶんと振っている。幸せそうだなあ。
「キミヲコンヤクハキナンテ、オロカナコトヲシテシマッタ。ユルシテクレルカイ?」
「勿論ですわ。あぁ…サリウスさま、愛してます」
「ボクモ、ダヨ」
うーん。お姉さんの魂、とっても美味しそうになっていってる。
「殿下! お待ちください!!」
今度は鎧を着た人間さんが、お城の中から出てきた。
マントの人間さんとお姉さんの前まで来ると、口をパクパクしてる。お魚さんみたい。
「婚約者であるフィニカ・ヘーゲル様が突然に命を落とされたというのに、何をっ!! それに、登城していたヘーゲル子爵もですぞ!!」
「カンケイナイ、ドウデモイイ。ボクハ、ローゼシアヲ、アイシテル」
「うふふふふ、そういうことでしてよ?」
「サア、ローゼシア。チチギミトハハギミニ、ホウコクニイコウ」
「ええ!」
お姉さんとマントの人間さんが、お城に入っていく。
その場に座っちゃった鎧の人間さんの背中を撫でてあげる。んー。気づかない。
「何をしているの、リズリリス。行きますわよ?」
お姉さん、まだ一緒に来て欲しいみたい。
「うん、おーっ!」
拳を上に突き出してみると、前を歩くお姉さんもちっちゃく真似してくれた。
なんだか楽しいね。
ふよふよとお城の中をついて行ってたら、豪華な扉の前に来た。
待っていると、扉の前にいた鎧の人が扉を開ける。
「サリウス第三王子とローゼシア・フランチェスカ侯爵令嬢のおなりです!」
豪華な扉の向こうには、王冠を被ったおじさんと、ひらひらなドレスを着たおばさんがいた。
どちらも質の良い魂だなあ。しかも、揺らぎがない。
「おう、よく来たな。我がドラ息子と、ローゼシア侯爵令嬢よ」
王冠を被ったおじさんは立派なおひげ。柔らかそう。
「チチギミ。ボクハ、ローゼシアヲ、エラビマス! ローゼシアヲエラバナイナンテ、ボクハ、オロカデシタ…」
「――ふむ、つまりローゼシア・フランチェスカと結婚すると?…ローゼシア令嬢の気持ちは?」
「是非に」
ずっとマントの人に抱きついて頬ずりしてたお姉さんは、即座に返事をした。
おひげのおじさんがマントの人とお姉さんを見て、なんだか考えてるみたい。
「……ふむ。一時はどうなるかと思ったが、最後には侯爵令嬢を選ぶとは、やるではないか」
「ハイ。シンジツノアイニ、メザメマシタ」
お姉さんとの結婚、なんだか歓迎されてるみたい。おひげのおじさんが、笑いだした。
「ワッハッハ! お前を
ふむふむ。
「――侯爵には世話になってるからな。よろしく頼むぞ。これでローゼシア令嬢を泣かすなら、サリウスの子は見れんくなるかもな。ワッハッハッハ!」
「オマカセクダサイ。チチギミ、ハハギミ!」
「うふふふふふふふ」
お姉さん、ずっと笑ってる。幸せになれたのかな。
うん、次は七日後くらいかなあ?