あくまであくまっ!   作:逢生 藍

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七話

 お姉さんについて行ってお屋敷を出ると、街の中だった。

 この辺りは、お屋敷がいくつも並んでるみたい。

 

 質の良い魂もいくつかあって、他にも契約の出番がありそうかも。

 

「早く、乗るのですわ。リズリリス」

「はーい」

 

 お姉さんに呼ばれて馬車に乗ると、馬車が走り出した。

 あたしはお姉さんに言われて、お姉さんにしか見えないようになっている。

 

「うふふふ。心躍りますわ」

 

 お姉さんはとっても楽しそう。今回も成功かな?

 

 馬車に乗っていると、お城の門の前に来た。

 御者をしていたおじさんが、門の前の人間さんに何か伝えてる。

 

 馬車の椅子に座って足をぶらぶらしていると、御者のおじさんが戻ってきた。

 

 馬車が進んでお城の前で止まったから、お姉さんと一緒に降りる。

 

「――ローゼシア!!」

 

 お城の中から、マントを羽織った男の人間さんが出てきた。

 走ってきて、そのままお姉さんを抱きしめた。

 

「ローゼシア!!」

「サリウスさま…」

 

 お姉さん、嬉しそう。魂が踊ってる。

 良かったね!

 

 マントの人間さんは、お姉さんを見つめたまま顔を近づけていく。

 

「…ボクハ、キミヲアイシテル」

「まあ! サリウスさまったら」

 

 頬を赤くしたお姉さんが、顔をぶんぶんと振っている。幸せそうだなあ。

 

「キミヲコンヤクハキナンテ、オロカナコトヲシテシマッタ。ユルシテクレルカイ?」

「勿論ですわ。あぁ…サリウスさま、愛してます」

「ボクモ、ダヨ」

 

 うーん。お姉さんの魂、とっても美味しそうになっていってる。

 

「殿下! お待ちください!!」

 

 今度は鎧を着た人間さんが、お城の中から出てきた。

 マントの人間さんとお姉さんの前まで来ると、口をパクパクしてる。お魚さんみたい。

 

「婚約者であるフィニカ・ヘーゲル様が突然に命を落とされたというのに、何をっ!! それに、登城していたヘーゲル子爵もですぞ!!」

「カンケイナイ、ドウデモイイ。ボクハ、ローゼシアヲ、アイシテル」

 

「うふふふふ、そういうことでしてよ?」

「サア、ローゼシア。チチギミトハハギミニ、ホウコクニイコウ」

「ええ!」

 

 お姉さんとマントの人間さんが、お城に入っていく。

 その場に座っちゃった鎧の人間さんの背中を撫でてあげる。んー。気づかない。

 

「何をしているの、リズリリス。行きますわよ?」

 

 お姉さん、まだ一緒に来て欲しいみたい。

 

「うん、おーっ!」

 

 拳を上に突き出してみると、前を歩くお姉さんもちっちゃく真似してくれた。

 なんだか楽しいね。

 

 

 ふよふよとお城の中をついて行ってたら、豪華な扉の前に来た。

 待っていると、扉の前にいた鎧の人が扉を開ける。

 

「サリウス第三王子とローゼシア・フランチェスカ侯爵令嬢のおなりです!」

 

 豪華な扉の向こうには、王冠を被ったおじさんと、ひらひらなドレスを着たおばさんがいた。

 どちらも質の良い魂だなあ。しかも、揺らぎがない。

 

「おう、よく来たな。我がドラ息子と、ローゼシア侯爵令嬢よ」

 

 王冠を被ったおじさんは立派なおひげ。柔らかそう。

 

「チチギミ。ボクハ、ローゼシアヲ、エラビマス! ローゼシアヲエラバナイナンテ、ボクハ、オロカデシタ…」

「――ふむ、つまりローゼシア・フランチェスカと結婚すると?…ローゼシア令嬢の気持ちは?」

「是非に」

 

 ずっとマントの人に抱きついて頬ずりしてたお姉さんは、即座に返事をした。

 

 おひげのおじさんがマントの人とお姉さんを見て、なんだか考えてるみたい。

 

「……ふむ。一時はどうなるかと思ったが、最後には侯爵令嬢を選ぶとは、やるではないか」

「ハイ。シンジツノアイニ、メザメマシタ」

 

 お姉さんとの結婚、なんだか歓迎されてるみたい。おひげのおじさんが、笑いだした。

 

「ワッハッハ! お前を僻地(へきち)へ飛ばすことにならなくて良かったわい!」

 

 ふむふむ。

 

「――侯爵には世話になってるからな。よろしく頼むぞ。これでローゼシア令嬢を泣かすなら、サリウスの子は見れんくなるかもな。ワッハッハッハ!」

「オマカセクダサイ。チチギミ、ハハギミ!」

 

「うふふふふふふふ」

 

 お姉さん、ずっと笑ってる。幸せになれたのかな。

 うん、次は七日後くらいかなあ?

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