あれから七日が経った。幸せになってるし、そろそろ告知に行こうかな。
ふよふよと、お姉さんのいるお屋敷に向かう。
お姉さんはどこかなあ。んー。
こっちの部屋にお姉さんの魂、見つけた!
でも、同じお部屋の中には、人間さんの魂がたくさん。パーティ中かな?お邪魔しちゃうかも。
右手だけを実体化して、扉を開けて中に入ってみた。
「魂の回収の告知に来たよー!」
およ?鎧を着た人間さんたちがたくさんいる。
でも、お姉さんもいる。隣にいる人間さんは、上に何も着ていない。裸だ!
「――来たわね、リズリリス! 構えなさい、兵士たち!」
あれれ。銀の剣を持った鎧の人たちが、あたしを囲んでくる。
この銀の剣、祝福を受けてるみたい。危ないなあ。
「んー。抵抗するの?」
「当たり前じゃない! ほら、見なさい?サリウスさまの背中。……振り向いてくださる?」
「ウン、ローゼシアノ、イウコトナラ」
裸の人間さん、よく見るとマントの人間さんだ。
後ろを向いたもうマントじゃない人の背中には、ローゼシアちゃまラブって書いてある。
うーん。掘ってある?
「痛そうだね」
「とっても素敵、ですわよね。わたくしが死ぬまではサリウスさまはわたくしのもの。――それなら、リズリリス。あなたが死ねばいいのよ!! 兵士たち、行きなさい!――悪魔を殺せ!!」
「オオォ!」
祝福を受けた銀の剣を構える鎧の人たちが、あたしに向かってくる。
「そっかあ。契約
契約権限での魂の強制
空間のポケット、黒い穴の中からあたしは黒鎌を取り出した。グンと刃を伸ばす。
あたし目がけて振られた銀の剣を、躱して、と。
「ほいっ」
鎧の人間さんに鎌を突き刺して引き抜くと、魂が抜けだした。他の剣を躱して、鎌の先っぽに刺さった魂を見てみる。
「おおー」
うん、悪くはないかな。
「よーし、どんどん行くよ!」
鎧の人間さんから魂を抜き取っていると、いつの間にか、残りはお姉さんだけになっていた。
大量だね!
「いっぱいお仕事できた!…それに、良かったあ。そろそろ魔界に送る分の魂も必要だったんだ」
「な、なな…」
「ローゼシア、ダイジョウブダヨ」
お姉さんは裸の人間さんに抱きついて震えている。魂が縮んでいってるなあ。
早めに回収しなきゃ。
「じゃあ次は、お姉さんの魂を徴収するね?」
鎌を突き刺して、お姉さんの魂を抜き出した。
さっそく、鎌の先に刺さってた魂を取り外していく。鎧の人間さんたちの魂はポケットにしまっておいて、と。
お姉さんの魂、綺麗だったのに濁ってドロドロしちゃってるなあ。ねばつくような温かさ?
幸せは感じてたみたいだけど、早めに回収すべきだったかも。
「いただきまーす。…あーむ」
一口食べてみる。甘いけど、もったりした甘さだ。
うーん。あんまり美味しくない。ドロドロしてるし、甘いのに苦いよぅ。人間さんって、難しい。
「ここは…僕は……」
んー?裸の人間さんが元に戻ったみたい。顔が白くなっていく。
「あああ、あああああ…!――オェェッ」
うわあ。床に吐いてる。背中、
「……ハァ…ォエッ……ハ。――こいつ!」
なんか、床に倒れてるお姉さんを蹴飛ばしてる。あたしが持ってるこの魂のほうが、綺麗だったお姉さんなのになあ。
「――お、お前が、僕に魔法をかけたのか! この悪魔!!」
「うん? 悪魔だよー!」
あんまり美味しくないけれど、残すのもマナーが良くないので、残ったお姉さんの魂を食べていく。
「あ、あ、この野郎! こっちを見ろ!!」
床に落ちてた銀の剣を拾った裸の人間さんが、あたしに切っ先を向けた。
契約の出番かなー?
でも、魂は燃え上がりそうで燃え上がらない。震えてる。…質も、あんまりかも。うん。
「ごめんね…? あなたの魂、あたしは好みじゃないから契約できないよー。じゃあね!」
「待て!――待て!!」
ふよふよと浮かんで、部屋の扉から外へ出る。
甘くてふわふわなのを食べたかったんだけど、今回は、失敗しちゃったなあ。
人間さん、なんでえ…。
そうだ。忘れないうちに、ゲートで鎧の人たちの魂を魔界へ送らなきゃ。よし、これでいいね!
次こそ、甘くてふわふわな魂を食べるぞー!
そしてあたしは、おーっと片手を上に突き上げた。