何やら神に喧嘩を売った雪国に転生したらしい   作:てきとーでいこう

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スタレはクライマックス、原神は最初からフルスロットル。
一体どうすればいいんだ……!

ちなみにみなさんは限定星5なに交換します?
作者は今タルタリヤが熱いです。


お茶会

 

 

 スネージナヤ・グラードにある人気店の『灯のビブリオチェーカ』。

 そこの一席に3人の人物が集っていた。

 

 1人はファデュイ執行官【傀儡】サンドローネ。

 もう1人そして数多の国を旅し、各国……いや、世界の危機を何度も救ってきた異邦の旅人。

 そして最後に俺である。

 

「注文したわ。全部ワタシのおすすめだけど問題ないわよね?」

 

 席に着くなり有無を言わさず注文したサンドローネに旅人は文句を言わず、任せた。

 ちなみに俺には発言権はない。

 さっさと帰りたいです。

 帰らせてください【傀儡】様。

 

 つか頼んだのって全部パフェかよ。

 雪国だぞここ。

 

「話を戻すわ。ワタシの推測が間違っていなければアナタがタルタリヤを探しているのは情報を引き出したかったよね?」

「うん、その通りだよ。でもいなかった。忙しかったの?」

「当ててみて?」

 

 旅人の質問にサンドローネはイタズラを仕掛けるみたく、そう返した。

 

「また誰かと喧嘩の約束でもしたの?」

 

 予想通りの答えだったのかサンドローネは面白そうに笑い、そして訂正した。

 タルタリヤ議(・)員(・)を甘く見ている、と。

 

「議員?」

「皇都評議会──聞いたことくらいはあるでしょう。今、アイツは次の議会に向けての必要な準備をしているところよ。『厳冬計画』を延期すべきか、それについて議論することになっているわ」

「議員……全然イメージできない……」

 

 サンドローネの説明に旅人は信じられないと目を丸くする。

 そこに関しては俺も同意見かもな。

 今じゃ慣れたが最初知った時は俺の知っているイメージと違いすぎて同じ名前の別人なんじゃないかって思ってしまったくらいだ。

 

「──事の発端は【隊長】カピターノがナタへ向かう前に【道化】ピエロにとある手紙を残していったことだったわ」

「っ!」

 

 【隊長】?

 タルタリヤにまで【隊長】が?

 ナタに行く前ってことは目的の目の前って状況か。

 

「そこには彼の部下の今後の配置が全員分記されていた……中でも中枢の人材はすべてタルタリヤの部下として割り当てられていたの」

 

 その時すでに帰らない覚悟を決めていたのだろう、とサンドローネは言う。

 そしてその視線を俺に向けて問う。

 

「【隊長】と面識があるアナタなら少しはわかるんじゃない?」

「……私はファデュイというわけではないのでそちらの事情には詳しくないですが……」

「そういうことを聞いているんじゃないの。それと敬語はやめなさい。アナタは私の配下ではないしファデュイですらないのだから。あとさっきの旅人との態度が違いすぎてなんか気持ち悪いわ」

 

 いや酷くないか。

 気持ち悪いって……アンタが目上の人だから敬語使ってるんだよ。

 ……まぁそっちがいいって言うならそうさせてもらうけど。

 

「……そうか。わかった。とは言ってもさっき言った通りだ。俺は事情はさほど知らない。ファデュイじゃないからな。ナタ現地に行ったわけでもないし一般人の俺に執行官が情報を漏らすわけにも行かないだろう」

 

 まぁ実際は結構……というかガッツリ知ってるし【隊長】もそれを察していた感じはするがな。

 

「とはいえ俺と最後に話した時はもう面倒は見れない的なことを言われたな。俺も薄々【隊長】が遠い場所に行ってしまうような雰囲気は感じて少しネガティブになっていたくらいだ。逆にそれを察されて俺の目的を果たしに行くだけだ、って励まされちまったがな」

「そう。彼らしいわね」

「プリシェレは【隊長】とどういった関係なの?」

「……まぁ知り合いって感じだな。行軍中にたまたま目に止まったらしくて。そこからだな。俺のことなんか後でもいいだろ。話が逸れてるぞ」

 

 そりゃそっちからしたら聞きなるだろうがな。

 俺もそっちの話気になるだよ。

 

「……それもそうね。話を戻すけど、ピエロは部下の配置に関してナタの一件が終わるまで公表しなかったわ」

「どうしてタルタリヤなの?」

「ふふっ、あの時のタルタリヤと全く同じ顔をしてるわね。『なんで俺なんだ?』って。カピターノは無口で心の内を明かさないからタルタリヤは自分のことなんか眼中にないって思ってたんでしょうね」

 

 ……ああ、そういえば前に執行官のことについて聞いた時に若い奴に有望な奴がいるって言ってたな。

 誰だろうと思ってたけどタルタリヤのことだったか。

 

「でもカピターノはワタシのお茶会に参加する日、時々タルタリヤを連れてきていたわ。若いアイツを買っているのは一目瞭然だった。お茶会常連のアルレッキーノやロザリンも分かっていたわ。……コロンビーナは多分こういうことはわからなかったでしょうから除外ね」

 

 うん、まぁ確かにコロンビーナがこういう難しい……というか相手の考えを探る政治的なやつが得意なイメージはないな。

 そんなことよりも勘とか感覚で相手の本質をついてくる感じがするし。

 

「それにアナタのことも話していたわよ。ファデュイではないが有望な奴がいるって。たびたびタルタリヤが反応していたからきっと目を付けられているわよ」

 

 マジで?

 【隊長】に褒められるのは嬉しいけどタルタリヤに目をつけられた。

 今は議員をやってるけど多分戦鬪狂ぶりは治ってないだろうし後々が大変そうだ。

 バレないようにすればいいか。

 

 ……なんかフラグが立ったような気がするが気のせいということにしておこう、うん。

 

「だから離月での一件ではカピターノは珍しく激怒していたのよ。ワタシからは話しづらいからこのことは直接タルタリヤに聞いてちょうだい。とにかく、ピエロがこの残された手紙を取り出すまでタルタリヤはずっとカピターノを誤解していたのかもしれないわね」

 

 まぁその気持ちもわからなくはないか。

 無口な人って何考えてるかわかりにくいから誤解しやすいしな。

 週一特訓とかいう超贅沢をしてもらった俺とは違って執行官の仕事があるからそこまで一緒じゃないタルタリヤにとっては余計にそうだろうし。

 

「カピターノはタルタリヤはまだ未熟だけど高いポテンシャルを秘めていてさらにファデュイには極めて稀な資質──純粋さを持っていると考えていたのよ」

「それは確かに……」

「その点だけでいえばあの2人は確かに似ていたかもね」

 

 相手にはどこまでもまっすぐで誠心誠意戦う隊長と戦いとなれば正面から全力を尽くすタルタリヤ。

 確かにどちらも卑怯な手を使うというイメージはないな。

 相手を無理やりやらせる、というよりはうまく策を練っていくタイプだ。

 タルタリヤでの璃月でのやつは例外としてだけど。

 

「でもカピターノが彼に諸々を託したのには他にも理由もあったと思う。アイツは自分が離れれば配下の精鋭部隊が他の執行官から狙われることに気づいていた」

 

 何せ執行官第一位の精鋭だもんな。

 そりゃ喉から手が出るほど欲しいに決まっている。

 コントロール下における戦力は多いに越したことはないしな。

 

「1番直接的に恩恵を受けるのは【雄鶏】プルチネッラと【富者】パンタローネね。人員を山分けすればアイツらの勢力はさらに拡大して──もはや敵なしになる」

 

 政治と金か。

 正直どっちもよくわからんのよな。

 【富者】パンタローネはナド・クライの魔神任務で出てきたから多少はわかるけどさ。

 それ以外はなんとも。

 

 強いていうなら2人の仲が良くないってことくらいか。

 政治家と銀行家って明らか相性悪いもんな。

 まぁ俺の2人のイメージはYouTubeに載ってたコロンビーナが2人の間を往復してクソパンタローネっていう動画で固まってしまっているんだが。

 

「なぜカピターノがピエロの手紙を渡すことにしたのか、もうわかるでしょ?」

「【道化】が勢力の均衡を保てるように」

「そう。勢力の均衡を保つために、ピエロはいずれかの執行官の力を引き上げる必要があった。タルタリヤは最適な人選だったってわけ」

「俺もあまり政治には詳しくないが【公子】の支援者っていうか背後には【富者】率いる北国銀行がついていなかったか?」

「あらずっと黙っていると思っていたから意外ね」

「政治とかそういう話は苦手なんだよ。こうやって噛み砕いて話してくれればわかるが遠回しな言い方ばっかりの議会じゃ何言ってんだって感じだ」

 

 この知識もゲームとしての知識だしな。

 この世界での政治関連なんざ配達員時代の名残で新聞を読むことくらいだぞ。

 

「アナタのいうとおりタルタリヤのバックには長い間北国銀行がついたいたけれど、アイツとパンタローネは根っこから違う価値観の持ち主なの。さすがはカピターノ。タルタリヤを選んだのは正解だったわ。普通の人がこんな局面に立たされたら火炙りにされているとしか考えなかったでしょうね」

 

 やべぇなさっきから【隊長】株また上がってるぞ。

 話題に出るたびに株上がるってなんなんだあの人。

 戦闘ができて政治ができて人格面も最高?

 なんだこの人類の完成系とも言える人は。

 

「カピターノとの関係を否定してパンタローネとの『友情』を維持しながらプルチネッラの支持を得る。普通に考えればそれが最善策のはずだから」

「そんな内部情報を話して大丈夫?」

「ふっ……こういう『お茶菓子』があってこそ美味しくお茶を飲めるというものでしょう?」

「随分と物騒な『お茶菓子』だな」

「うるさいわよ。というかアナタついさっきまでとは随分と態度が違うじゃない」

「俺は一歩目はなかなか足が出ないが一度踏み出すと吹っ切れてどうにかなるタイプなんだ」

 

 サンドローネとの会話にも慣れた。

 もともと【隊長】とも話してたしな。

 あといちいち気にしてたら俺の胃がもたない。

 

「はぁ、まぁいいわ。ともかくこんな情報は内部情報でもなんでもないわ。ゴシップ記者でも捕まえてくればワタシが話すよりよっぽど面白おかしく語ってくれるでしょうね。皇都評議会で議会を一度見てみれば勢力間の表立った争いや裏側がアナタにもわかるわよ。アナタもこれを機に政治を学んでみたらどう?」

「行っても快適な時間になる未来が見えるから遠慮しておく」

 

 学校の授業でさえ眠くて仕方なかったんだ。

 これがゲームのストーリーなら興味を持って聞けるだろうが現実となるとそこまで夢中にはなれん。

 

「評議会で発言権を持つものだけが政策を自分の有利な方向へと導けるの。あそこに立っている一人一人が集団の縮図というわけ」

 

 パンタローネは金融業界、タルタリヤはファデュイの兵士、そしてサンドローネ自身は技術者や研究員の代表。

 そして議会の中央に立つプルチネッラは政治を代表してあるという。

 

「政治の代表ってだけでどれだけ力があるか想像に難くないな」

「ええ。アイツは全てに関わっている。何事もアイツを避けては通れないし本人もあらゆる問題に対して調和の案を持っている。それこそが女皇陛下が最も評価しているアイツの能力ね」

「なるほど……」

「さて、これだけ話してあげたんだから次はアナタがワタシの質問に答える番よ」

 

 ここにて両者の立場が逆転する。

 ここで俺はサンドローネは最近の近況とかスネージナヤはどうとかあとは俺の想像もつかないような高度な質問とか、そう言ったことを聞くと思っていた。

 だが実際に質問されたのは全く別のものだった。

 

「価値のある情報を聞きたいならワタシでも良かったはずよ。なのにどうして1番に会いに行くのがタルタリヤだったわけ?」

 

 うん。

 何か思ってたのと違う。

 こんなの執行官としての質問じゃない。

 一個人としてのそう、いわばこれは──

 

「もしかして、焼きもち?」

「はぁ? 何を言い出すの、あり得ないから!」

 

 ツンデレかな?

 ツンデレだわ。

 前からそんな気質はあったけどここまでデレるのはなかなかないんじゃないだろうか。

 長いツン期間を終えてデレ期間に入ったか。

 

 俺がそんなことを考えている間にもサンドローネは思考をしていたのか何やら考えついたようだ。

 

「なんだかわかってきた気がするわ。ナド・クライを出る際コロンビーナにワタシからの伝言を聞いたはず。立場に気をつけて、みたいな言葉よ。まさかアナタ、それを気にしてワタシを訪ねてこなかったの?」

「そうじゃないと失礼かなって」

 

 旅人の言葉に思わず立ち上がり「あのねぇ!」と声を上げながらも自分で納得してサンドローネは席に座る。

 

「ともかく……これくらいのちょっとした手助けはできるわ。これならはそんなに遠慮しないでちょうだい」

「……俺は何を見せられているんだ」

「っ! アナタねぇ!」

「すまん、声に出てしまった」

 

 いやでもだってこれ百合じゃない?

 完全に恋人とかの距離感じゃん。

 それを目の前でこうも見せつけられると……ねぇ?

 

 そんなことを思っているとサンドローネの部下らしき人が近づいてきた。

 

「【傀儡】様」

「なあに、今は休憩時間よ! 書類の提出なら机に置いておきなさい、後で見て置くか……」

「休憩中のところお邪魔してしまい申し訳ありません。しかし、本当に緊急事態でして」

「はぁ、緊急緊急、また緊急? 言ったでしょ、レールの修理と氷の運搬は緊急とは呼ばないって」

 

 うんざりしたようにサンドローネは言う。

 その様子から相当数あったことが伺える。

 やっぱ執行官って大変なんだな。

 もしかしたらナド・クライにいた時の方が仕事してないんじゃない?

 いやまぁそこはそこでレリルとかドットーレがいたからとんでもなかったけどさ。

 純粋な仕事って面で見れば多分帰ってきてからの方が仕事してそう。

 

「スヴェトロレドフカの設備に至急メンテナンスが必要なのです。大雪の積雪によって長期に亘り耐荷重をオーバーしていたのが原因だと思われるのですが──一台の支柱が折れて落下し、眠っていた魔獣を目覚めさせてしまいました。多くの採氷作業員が、その魔獣によって近くの氷の洞窟に閉じ込められています」

 

 マジか。

 それはちょっと……いやだいぶ不味くないか。

 救急隊はもう向かっているのか?

 

「ちょうど現場付近にいたオデットの小隊がすでに救助活動を始めていますが救助要員もエンジニアも圧倒的に足りていません」

「……仕方ないわ、お茶会はお開きね。ワタシ1人でどうにかできると思うから任せてちょうだい」

「私も行きたいけどパイモンにすぐ帰るって言っちゃった」

「あら、それ本気で言ってるの?」

 

 旅人の言葉にサンドローネは驚いたようにいう。

 

「『お茶菓子』をもらったお礼もしたいし危機を見逃したくはない」

「ふっ、礼には礼をってことね。パイモンの方は部下を向かわせるわ。アナタが出かけることも伝えさせる。緊急事態だもの理解してくれるはずよ。アナタは経験豊富で実力も申し分ない。アナタ以上に頼りになる助っ人なんて他に思いつかないわ」

「ありがとう。じゃあ、そうしよう」

「それで? アナタはどうするの?」

 

 旅人との会話を終えたサンドローネはこちらに視線を向ける。

 

「この状況でじゃあ任せた、俺は帰るって言えるほど俺は空気を読めないわけじゃねぇよ。それに旅人が『お茶菓子』の礼で動くなら俺ももらった以上動かないとな。ご相伴に預かっちまったし」

「ふふっ、いい心がけね。じゃあ行きましょう。アナタは今書いた通りよ。人を連れてセラーガーデン・レストランにいって彼の部屋をワタシたちが戻るまで見張りなさい」

 

 方針が決まったらサンドローネは部下に素早く指示を出していく。

 

「もしパイモンに何かあったら、ただじゃおかないわよ」

 

 無論、釘を刺すのも忘れずに。

 

 

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