何やら神に喧嘩を売った雪国に転生したらしい 作:てきとーでいこう
最後に仕上げようとしたら詰め込みすぎちゃって時間過ぎちゃいました。
【傀儡】サンドローネの配下からスヴェトロレドフカの状況を聞き、『お茶菓子』の例も兼ねて急いで向かった俺たちはその駅からとんでもない物を見た。
一部の支柱が重量に耐えられず落下したせいで設備がものすごい方向に傾いている。
このまま支柱が落ちていけば設備そのものが落下しかねない。
「確かに危険な状況ね。幸い壊れているのはまだ一台だけ。報告によれば、今回閉じ込められた人たちはあっちに固まってみるみたいよ」
サンドローネの視線を追うと、そこには洞窟の入り口があった。
あそらくはあの中だ。
「助けに行ってくる」
「ええ。ワタシは他の設備の様子を確認しにいくわ。ついでに周囲の人間を避難させておく」
「頼む。行くぞ旅人」
サンドローネと軽く会話を交わした後、洞窟の方へ向かって降りていく。
できるだけ急いで降りて行き洞窟の入り口に差し掛かったところで背後から声をかけられた。
「これ以上奥へ進んではいけません。現在危険な魔物が活動しています。大変危険ですので、早くここから離れてください」
振り返るとこれまた雪国には不適切そうなバレエ服を着た少女が立っていた。
この国の一部の人間はここが寒いってことをわかっているのだろうか。
サンドローネはまだ機械だから納得できるけどさ。
「人を助けに来た。サンドローネと一緒に」
「スネージナヤ・グラードからの支援でしたのね。私はオデット──よろしくお願いいたします」
オデット……そういやバイト先のコロレフスキー劇場のバレエ担当が同じ名前だった気がする。
この人もバレエ服着てるし。
……って考えてる暇はないか。
「時間が惜しい。何か情報はあるか?」
「洞窟内に閉じ込められているのは全部で5人。魔物のタイプも位置も不明です」
「……それだけ?」
「はい」
ここまで情報少ないのかよ。
いや、この短時間で要救助者の人数がわかってるだけマシか。
時間がないので会話はそこそこにして洞窟内に入る。
ところどころで魔物の声が聞こえたり──なんだったら襲ってきたりしたが旅人とオデットの活躍もあり大きな出来事もなく奥に進むことができた。
……俺?
俺は銃で遠距離攻撃できるからはぐれたやつだったり隠れてるやつの処理をしていた。
開けた場所に出ると現在進行形で採掘者が魔物に襲われていた。
「魔物はひどく気が立っています。いつ攻撃を初めてもおかしくありません……急ぎましょう!」
急ぎ広場に降りるとそこには小柄な魔物が一体いた。
小さいからよく動くし銃も当たりにくい。
「ここは2人に任せた。俺は先に避難させる」
「わかった」
「お願いします」
2人に断りを入れて戦場から少し離れ、恐れている避難者の元へ向かう。
「おし、もう大丈夫だ」
「た、助かりました!」
「そんなこと言ってる場合じゃないぞ。ここは危険だ早く避難するぞ。道中の魔物は全部片付けたから道は安全だ。それに──」
戦闘している2人を見る。
特段苦戦している様子もない。
なんか魔物は大きくなっているがそのヘイトは完全に2人に向いている。
俺たちは眼中にないはずだ。
「魔物はアイツらに夢中だからな。今がチャンスだ」
「わ、わかりました! みんな、こっちよ」
警戒しながらも5人を安全な場所まで送り届け、2人の元へ戻ると既に戦いは終わり会話をしていた。
「やっぱ俺はいらなかったか」
「救助者への誘導、感謝いたします」
「別にいいよ。時間もなかったしな。また魔物があの道に来るかもしれない。できるだけ安全な方がいいだろう。つってもさっきの高台のところまでだけどな」
「それだけでも十分でしょう。用事も終わったことですし帰りましょうか」
そうオデットが提案した時、旅人が待ったをかける。
近くを見ると何やら星のようなものが空中を浮いていた。
なんだ、これ。
星反応を起こした時に出てくるやつにどこか似ているような気もする。
俺がそんなことを考えている間にも旅人はその星に向かって手を伸ばした。
するとその星は立派な剣へと姿を変え、旅人の手元に収まる。
「それは──?」
「わからない……」
旅人とオデットが会話を交わした直後、洞窟全体が揺れる。
大勢がこちらに一気に詰め寄ってきているような、そんな地響き。
「仲間のようです」
「負けはしないだろうが洞窟が持たねぇぞ」
俺の言葉が正しいことを証明するかのように洞窟の天井が崩れ始め、氷柱が落ちてくる。
「あそこへ、早く!」
オデットの言葉を合図に俺たち3人は走り出した。
前方に落ちてくる障害物を旅人が剣で切り裂きながら道を作る。
そしてその勢いのまま2人は落ちてきた氷柱を足場に飛び移りながら崖の上へと移動していく。
すげぇなアイツら。
とはいってもあの氷柱と氷柱の間じゃ3人目の俺は無理そうだな。
だったら……
氷柱への飛び移りを諦め、俺は壁へと向かう。
そして風元素の力を纏い、壁を走る。
目の前に降ってきた氷には銃弾を浴びせて破壊しながら壁を走りながらゴールを目指す。
「うっわなんだそれ。すごっ」
移動中に見たオデットの舞のような氷のかわし方に思わずそう呟きながら旅人が出してくれた岩に着地する。
「助かった」
「ありがとう。急ぎましょう」
後ろを見ると執念深く追いかけてくる魔物の姿。
1匹2匹じゃない。
結構な人数が来ている。
出口を目指し走りながら俺は銃の照準を魔物に向けて発砲する。
まともな体勢で撃っていないことと、そもそもショットガンの射程外、障害物が降ってきていることもありほとんど命中しなかったが牽制にはなったはずだ。
「おまけだ。コイツでもくらっとけ」
出口を通るタイミングで体を反転し、しっかりと魔物に照準を合わせて発砲。
洞窟の入り口が崩れる──その最後に弾が魔物に的中か倒れるのが見えた。
「人数に問題はなし。全員救助出来ましたわ。洞窟の入り口にも警告の看板を設置し誰も近づかないように来ておきました」
洞窟から脱出し、スヴェトロレドフカの上層までもだって来た俺たちは一息ついていた。
「救助した人たちが話を広めてくれるだろうし大丈夫そうだな」
「なかなかの腕前ですのね。まだお二人のお名前を伺っていませんでしたけれども」
「私は旅人。冒険者だよ」
「俺はプリシェレ。腕前っていっても俺は旅人と違ってまともに戦ってないけどな」
「いえ、あなたの手助けもあってスムーズに救助できましたわ。お二人の名前、覚えておきます。改めてよろしくお願いしますわ」
それではまた、とオデットと別れようとした時、サンドローネが帰ってきた。
「救援は成功したようね。アナタたちに任せて正解だったわ」
「ご期待に応えられて何よりだよ」
ここで俺が失敗したら俺をファデュイに紹介した【隊長】に申し訳ないし、成功してよかった。
「公演のために来たの? オデット」
「いいえ、ファデュイの任務です。ちょうど近くにおりましたもので、崩れる音が聞こえたのです」
「公演?」
「自己紹介してなかったみたいね。ふふっ、オデットはスネージナヤ・グラードで大きな注目を集める
スネージナヤ・グラードのトップバレリーナ、それにオデットという名前。
もしかして、と思ってたけどやっぱりか。
「コロレフスキー劇場の、だよな。どっかで聞いたことあると思ってたが俺のバイト先じゃねぇか」
「やはり、あなたがアリョーシャの言っていた助っ人ですのね」
「なに? あなたたち知り合いなの?」
サンドローネの意外そうな質問に答える。
「いや、全く? なんなら今知り合ったばっかりだ。先に名前だけ知っていた感じだな。まさかこんなところで会うと思わなかったが」
「えぇ、全くです」
「彼女は大スターであると同時にとても将来性のあるファデュイてもある。【淑女】の称号を受け継ぐ可能性が最も高いとされているわ」
大スターで普段から忙しいだろうにそれに加えてファデュイもあるのか。
多忙なんてレベルじゃねぇぞ。
ちゃんと休んでるのか?
まだあったばかりだが結構自分厳しそうな印象があるけど。
「オデットは……かつてロザリンが最も買っていた部下の1人だった。戦闘時のみのこなしもロザリンから教わったのよ」
「……【傀儡】様。身に余るお言葉を頂戴し、恐縮です」
なるほど。
俺と同様に執行官直々に鍛えられていたわけだ。
そりゃ強いわけだ。
俺がそんなことを考えていると視界にふと思案顔の旅人が映る。
……待てよ?
【淑女】って言ったよな。
ってことは稲妻でのことを考えたら直接というわけではないが間接的に……
「……どうりで腕が立つわけだね」
気まずいな……これ。
サンドローネも知っているだろうし、原作知識持ちの俺と実際に対峙した旅人も無論知ってる。
唯一知らないのはオデットか。
こりゃ大変なことになったぞ。
「【傀儡】様のほうの進捗はいかがですか?」
だがそんなことを知らないオデットはそうサンドローネに質問する。
「同じく完璧よ。設備の補強はもう終わったわ。プロンニアがいない分、確かに少し時間がかかるけれど……ふん、結果は変わらないわ。たとえ魔物が引き起こした大雪が後3ヶ月続いたとしてもこれらの設備が押し潰れることはもうないはずよ」
さすがはあんな超高性能なプロンニアを作り出されたサンドローネ。
技術は確かなようだ。
「さて、解決したことだし、ワタシたちも吹雪の中に留まっている必要はないわね」
「これからここはどうなるの?」
「スネージナヤ・グラードから人が調査にきて補償の案を出すことになるわ。はぁ、設備の故障となると今回はワタシも報告書を書くハメになりそうね」
【富者】パンタローネを通して予算を確定、【雄鶏】プルチネッラを通して案を固める。
互いに言い争って納得したら実行だそうだ。
こういうのはまさに政治って感じがするな。
「ま、早くて半月、遅ければ2ヶ月以上かかるでしょうね」
「その間、あの人たちはただ待つしかないの?」
「仕方ないわ。執務室には似たような報告書が山のように積まれているんだもの」
「……」
「ぼーとしてないでスネージナヤ・グラードに戻るわよ」
何やら考えていたような旅人にそう言い、俺たちはスネージナヤ・グラードへと戻っていった。
◇
スネージナヤ・グラードに戻り、冒険者協会本部近くを歩いている時、近くの通り道から見たことのある人物がやってきた。
「あら? 評議会で注目のタルタリヤ議員じゃない」
「ハハッ、たったいま『名士』たちの質問責めから抜け出してきたところなんだ。からかわないでくれよ」
サンドローネの皮肉混じりの冗談にタルタリヤはそう答える。
「やぁ、相棒……久しぶりだね。俺を探しに来てくれたことは聞いてるよ。嬉しいサプライズだ。それからオデットも、こんにちは。スヴェトロレドフカからの帰りかな。解決したかい?」
「順調でした」
「それはよかった。……ところで君は? 見覚えがなくてね」
「議会でお疲れのアナタにいいことを教えてあげるわ。彼女はいつぞや【隊長】がお茶会で言っていた子よ」
「へぇ?」
サンドローネの言葉を聞いたタルタリヤの表情が変わる。
「……確かに強そうだ。【隊長】の話も聞きたいし、議会での疲れの発散がてら今度手合わせしてくれないかい?」
「お断りします」
「ハハッ、そりゃ残念。……っと、ここで話すのも何だし、移動しようか」
俺はあんたみたいに戦闘狂じゃないんでね。
そりゃ自分の身を守るためには鍛えるし戦いはするけど娯楽目的で戦うわけじゃないんだわ。
冒険者協会本部近くのひらけた場所で話を続ける。
「アナタのほうはどう? 何か変わったことは?」
「相変わらずさ。『厳冬計画』の継続に反対する声が高まっている。これまでの対策じゃ、もう持ち堪えられそうにないね。模擬投票の結果は全く楽観視できない。あのプルチネッラの爺さんが珍しくヒゲを震わせて怒っていたよ」
「それは……相当まずいわね。めったなことじゃ、そんな姿は見せなもの」
さっきまでの雰囲気とは打って変わり、真剣な様子でタルタリヤとサンドローネが政治の話を始める。
やめてくれ。
俺はこの国の政治そこまで詳しくないからちんぷんかんぷんなんだ。
『厳冬計画』がエネルギーを集めるための節約計画ってことぐらいしか知らんぞ俺は。
前に新聞で暇つぶしがてら調べてみようと思ったが途中でギブアップしちまったしな。
そんなことを考えていると旅人が意を決したように口を開いた。
「ごめん、どうしても聞きたいことがあって。少し失礼かもしれないけど言ってもいいかな?」
「ん? もちろんだよ」
タルタリヤに許可を取って、間を開けてから旅人はその言葉を口に出す。
「二人ともまだ『厳冬計画』に反対する声にどう対応するか悩んでるみたいだけど……一体『厳冬計画』の目的は何なの? 君たちまで一般人たちの側に立とうとしないなんて」
旅人の言葉を聞いた俺含めた4人は一斉に黙る。
だが、その内心は全く持って静かじゃない。
「(さすがは俺が見込んだ相棒だ、言ってくれるね。ハハッ、面白い)」
「(はぁ!? ワタシが一般人の側に立っていないって、どういうことよ!?)」
「(執行官に対してこんな口がきけるなんて……何者?)」
沈黙を破ったのはサンドローネだった。
「ワタシたちを問い詰めようっての?」
今にも怒り出しそうなサンドローネを抑えながらタルタリヤが説明を始める。
「落ち着け、サンドローネ。ここは俺から説明させてくれ。俺も気持ちはわかるから。実際、俺の立場は君にすごく近い。評議会で直接、反対票を投じてないってだけで──そんなことをしたら、陛下が俺を許さないだろうからね」
「執行官は女皇陛下直属の配下なんだろ? そんな彼ら彼女らが女皇陛下自ら進める『厳冬計画』に反対できるわけがないんじゃないか? っ、すみません。口を挟んでしまって」
「いや、いいんだ。実際その通りだからね。ファデュイ武装部隊の隊員の多くはスネージナヤ・グラード以外の小さな街の出身だ。俺は彼らのために声をあげている以上、彼らに責任を持つ必要がある。そういう場所の状況は君も見たことがあるだろう。俺はモレペソク出身なんだけど、そこの状況もあまり良くない」
「もっと気になってきた」
そこからタルタリヤとサンドローネの説明が始まる。
多くの問題を引き起こしているように見える『厳冬計画』がスネージナヤ民のための計画であること。
実際問題を起こしているが白黒はっきりしてある問題ばかりじゃない以上、受け入れる代償であること。
とはいえその代償をそのまま放ったらかしにするのではなく小さくするために心血を注いでいること。
「ごめん。少し感情的になってた。でも女皇が何をしているかについては……」
「それについては……俺たちをあまり困らさないでくれ」
陛下の動機に納得できなければ支持するのは難しいのはわかってる、とタルタリヤは言う。
「陛下は今魔物討伐のために軍を率いて遠征している。魔物を倒してくだればエネルギー危機もだいぶ和らぐはずだ。長年の計画ばかりに目を取られているように見えても民のために自ら魔物を討伐しようとしてある。民を取るに足らない存在だとしたらこんなことする必要はないだろう?」
「ずいぶん口がうまくなったね」
「ハハッ、全部本心だよ。決して綺麗事なんかじゃない。そういうのは今日の評議会でとっくに使い果たしてしまったからね
「けれど私は冒険者さんの考えも十分理解できますわ」
ここで今まで黙っていたオデットが口を出す。
「お二人のお考えと行動がとても的確ですが、評議会の中には立場に縛られて本心に背く選択をしてしまった方も多くいらっしゃいます。たとえ身分高き方々の反感を買おうとも心にある是非をはっきりと口にしようとなさるのはとても尊い行いだと思います」
「親しいからっていうのが大きいかも」
「ふっ、そうね。素性をよく知っている相手じゃなければワタシたちもここまで説明してあげないわ」
うーん、やっぱこれ俺いちゃダメじゃない?
信頼の成せる結果でしょ、これ。
あって数時間の俺が聞いちゃダメな内容じゃない?
そんなことを考えているとき、オデットが地雷ともいえる質問を口に出す。
「失礼ですが、冒険者さんは何か別の身分をお持ちなのですか? お二人とも親しげに談笑されるなんて」
「ん? 言ってなかったのか?」
「どう紹介しろっていうのよ! ……あえて他人の傷口をえぐるような趣味、ないもの」
これにはサンドローネもこの様子である。
「お名前は耳にしたことがありますが、活躍については存じ上げず……その、いけないことを聞いてしまいましたか?」
ここまで来ては話題は避けられないと考えたタルタリヤはオデットに旅人の行動を伝え始めた。
モンドでの龍災の解決、離月ではタルタリヤとの駆け引き、そして稲妻での──
「御前試合で、ロザリンに勝ったんだ」
「あっ」
「悪いわね。どうせそんなに関わらないと思っていたから、言う必要はないと思って……」
「構いません、もう随分と前のことですし……ええ、大丈夫です」
サンドローネの言葉にあまり耳を貸さず、オデットは劇団の稽古を理由に帰ってしまった。
それを見届けた後、サンドローネが口を開く。
「前にアナタに言ったでしょう? 彼女はロザリンが一番買っていた部下だったって。でもあの2人の関係は決して良くなかったのよ。ロザリンは友達の少ないヤツだったから……でも人の差というのは大抵のわだかまりを解消してしまうものなのよね」
「気に病むことはないさ。彼女の言った通り、過去のことだからね。オデットとロザリンは性格が全然違うから……少し時間をあげよう。自分で立ち直ると思うよ」
そんな2人の慰めとも受け取れる言葉に、旅人は静かに返事を返した。
「あれ、そういえばおチビちゃんは? 姿が見えないけど」
ここで暗い雰囲気を変えよと思ったのか、タルタリヤが話題を変える。
「体調不良よ。セラーガーデン・レストランで休んでいるの。発つ時にちゃんと看病を2人手配してあるわ」
「そうだったのか。大変だね。トーニャの小さい頃を思い出すよ。あいつも冷たい風がダメでいつも病気にかかっていたな……でもトーニャは本当にいい子で誰かが看病に来ると絶対に笑顔を見せて泣き言ひとつ言わないんだ。おチビちゃんもきっといい子にしてるんだろうね、ハハッ」
執行官2人に心配されるとはな。
やっぱりパイモンもこれまで出会ってきた人たちにとっては大事な仲間なんだ。
一国の上層部が心配するレベルだぞパイモン。
これで役に立っていないってんならだれが役に立つんだよ。
「君の方は人手が足りないんだろ? 俺が頼りになる部下を呼んで交代させるよ。おチビちゃんがゆっくり休めるようにするから。遠慮はいらない。君にはやりたいことがあるんだろう? 安心してやるといい」
タルタリヤは笑顔を見せて、旅人にそういう。
最後にちょっときた皮肉を混ぜながら。
「そういえばスネージナヤなら来た時【道化】に会った」
「あら、彼にあったのね?」
「確か俺が見つけた廃棄された駅だったか?」
「そう。彼はパイモンを知ってるみたいだからもう一度会って詳しく聞きたいんだけど……」
「俺もてっきり彼はここ最近ずっとグルポフにいて南の方には行っていないと思っていたよ」
「なるほど、わかった」
そして執行官の2人は互いに用事があるため、ここらで解散となった。
なったのだが、帰り際でタルタリヤが足を止めて俺に話しかけてきた。
「そうそう、君。やっぱり今度手合わせしてくれないかい? 息抜きも大事だろう?」
「……いいですよ。話を聞いていて本当に大変そうなので」
「ハハッ助かるよ」
その言葉はいつもの軽口に聞こえるようでどこか本心のようにも聞こえた。
……やっぱり執行官に仕事を回しすぎなのでは?
この最近特に忙しいっていうのもあるんだろうけどもうちょっと休暇がいるのではないだろうか。
「……それでどうするんだ? 俺はそろそろ獲物を売りに行くが。もう案内はいらないだろう。まさかここまで濃い内容になるとは思わなかったけど」
「スヴェトロレドフカを助ける方法はないかな」
「お前まだそれ考えてるのか? 俺はもうあの洞窟の一件で十分だと思うけどな。……っても俺は基本スレトモロスクとスネージナヤ・グラードしか行き来してなくて他の街に詳しくなくてな。いろんなとこ出入りしているアリョーシャに聞いたほうがいい。俺の行く先にいるだろうし一緒に来るか?」
「うん」
「了解だ。多分いつものところだろうし、案内する」
そう言い俺たちは次の目的地に向かって歩き出した。