闘魂、発売されましたね。デッドプールが好きですが、ゴーストライダーがカッコよかった。(小並感)
藍染惣右助の反乱より、数えて30と数年前。
護廷十三隊。3界の一つ、尸魂界に本拠地を構える"死神"の組織。
その、八番隊隊舎。
「 参ったねぇ、これはどうも。 」
八番隊隊長、享楽春水。死神のユニフォームである死覇装の上に隊長羽織と、女物の着物を羽織った渋い印象を受ける男は困惑していた。
その原因は、新しく隊に迎えた、新人の隊士だ。
「 参った?吾輩、なにかしましたか? 」
そう問いかけたその男は、死神と呼ぶにはどうも風変わりであった。それは春水も同じだが、彼の場合それに輪をかけて可笑しかった。
「 いやぁ、キミ自身がなにか粗相をしたってわけじゃないんだ。ただ・・・ 」
「 ただ? 」
「 どうして、骸骨の仮面なんか被ってるんだろうって気になっちゃって。 」
享楽の指摘通り、その新人隊士は白い髑髏の頭面、さらに付け加えれば、死覇装の上に旧日本軍風のマントをしていた。今度の世代は並々ならぬ才覚を持ったものが多いと聞かされてはいたが、こうまであからさまに変わり種な者もそうはいないだろうと感じていた。
「 これが気になりますか? 」
「 気にならない人はそんなにいないと思うよ? 」
「 これは吾輩のアイデンティティということでここは一つ・・・ 」
「 いや流石に一般隊士、それもご新規さんが我を出し過ぎるのはちょっとって人も多いと思うよ? 」
「 全くもってその通りである! 」
大声が隊舎全体に響き渡る。享楽と向かい合っている新人隊士の後ろにいつの間にか立っていた男の声だ。
「 霊術院でどうだったかは知らぬが、貴様、PAD見調子に乗りすぎである! 」
円乗寺辰房。八番隊三席副官補佐。後に霊圧が消える旅禍にパンチ一発で霊圧を消されることで知られる高身長に三つ編みに死覇装の上の方をはだけさせてきているという、反応に困る身なりをした男だ。
「 貴方も、だいぶ我を前面に出していらしておられるようで。先進的ですなぁ、男が三つ編みとは。
吾輩、顔を出すのも恥じてしまいます故、仮面のバリエーションを増やすくらいが手一杯で到底真似ができません。 」
「 我の髪型はどうでも良かろう!肝心なのは貴様だ貴様!! 」
「 ん?貴方は吾輩を好いておられると? 」
「 円乗寺くんそんな趣向があったんだね。 」
「 違う!我は男色趣味など持っていない!
我が言いたいのはだな、新入りの身である貴様はもう少し慎ましやかにあるべきだということだ。
そのような格好をしていては、八番隊のメンツにだって関わりかねん。 」
「 その通りです! 」
円乗寺に続いてその場に現れたのは、黒髪に眼鏡をした女性。
享楽の副官だ。
「 七緒ちゃん。 」
「 隊長、このどこの誰ともつかない方にそんな格好をさせるべきではありません。これを許していたら、総隊長にどやされ、八番隊全体が軽んじられる事だってあり得ますよ! 」
「 然り然り!( 便乗 ) 」
この新人隊士はそんな大ごとなのか?と半ば疑問に思っていた。
自分の着けているマントは隊長羽織ではない。下には死覇装も着用している。
問題はないはずだ。少なくとも彼の主観では、の話だが。
「 伊勢副隊長、でよろしいですね?吾輩のこの身なりによって隊が軽視されるとはつまり・・・ 」
「 そのままの意味ですよ。席官でもない隊士が、こんな風紀を乱すような格好をしていたら、他の隊から口々に『 貴公らは隊士の教育の方はどうなっておるのだ? 』だとか、
『 貴様ら、恥を知れ! 』だとか『 兄らは浅はかすぎる 』だとかと批判の的になると言っているのです! 」
「 では、円乗寺三席は良いのですか?如何に席官といえども、こんなわけの分からない格好のほうが問題だと思いますが。 」
「 わ、我は良いのだ!三席だし!強いし! 」
強いし。最後のこの一言は、さも強ければ
「 では、吾輩が強ければ、不足は無いということでよろしいのですね? 」
「 ・・・! 」
「 勝てると思っているのか?我に。 」
「 でなければ、そんな話題振りませんよ。
隊長、道場をお借りしても・・・ 」
「 いや、瀞霊廷の外れを決闘の場としよう。
それならば、斬魄刀も振るえよう。 」
「 ちょっと円乗寺三席!相手は新人ですよ?いくらなんでも・・・ 」
「 いや、良いんじゃないかな? 」
「 隊長!? 」
「 許しもでた!これで決まりだ!よいな、新人? 」
「 構いません。吾輩も丁度運動したかったところですので。
・・・なぁ、"空即是式" 」
「 なっ!? 」
白色の生地を翻して見える、斬魄刀。それは多くの隊士が腰にさしている浅打ではなかった。
黒い漆を塗ったような、白鞘。そこに右手を置き、指に握られ刀が抜かれる。
その刃もまた、まるで雪のように白い。
白と黒、死神にとって神聖な二つの色を有したその斬魄刀は、何処か神秘的に思えた。
「 い、いつから始解を・・・ま、まさか!? 」
「 気づいたかい七緒ちゃん。彼はさっきからずっとあの状態を保っていたんだ。
誰にも、自分が始解を解放しているとは悟らせずに。 」
「 その通りです享楽隊長。
・・・それと、三席。やはりここで死合いましょう。
吾輩、手間をかけるのはあまり好きではありませんので。 」
「 なんだと?その物言い、まるで我が取るに足らんように聞こえるぞ。 」
「 そうでしょうか?吾輩はただ、一つのことに幾つも手順を踏むのは面倒だと感じただけです。
早いところ仕事を覚えたいですし、三席との死合いは八番隊の仕事ではありませんしね。 」
「 貴様・・・! 」
円乗寺には、その言葉がこの上ない侮辱に聞こえた。まるで己を大したことのない相手だと言っているように聞こえてならなかった。
大剣豪円乗寺辰房の誇りが、まったく気づきもされないうちに踏み躙られている。そんなふうに、感じられてならなかった。
故に、この男に殺意を抱き、今にも斬りかかろうとするのは、想像するに容易い。
「 おのれ貴様許さぬ!
『 乱舞せよ 』、崩山・・・!? 」
始解を発動するが、それが振るわれることはなかった。
斬魄刀が変化した瞬間、一瞬のうちに切り捨てられ、その大柄な体格が地に伏したからだ。
「 失礼しました、円乗寺三席。貴方の名声も常々お聞きしておりました。
貴方には、なんの非もない。ただ・・・ 」
「 思っていたより、隙が有りすぎただけだ。 」
「 な、なにが起こって・・・ 」
「 思ってたより凄いね、彼。あの一瞬のうちに、円乗寺君が反応できない速度で刃を通したんだ。
それに見てよ、あれ。 」
「 な、なんと・・・!? 」
新人隊士の手に握られていたのは、斬魄刀ではなかった。
長い柄に、反りのある刀身。
薙刀である。斬魄刀そのものは、鞘に収まっていた。
「 あ、貴方、それは・・・ 」
「 流魂街七十六区画、逆骨。 」
「 え? 」
「 霊術院に入る前、あそこで色々ありましてね。
これは、その時に得た物です。何の変哲もない、ただの妖刀ですよ。 」
「 ただの妖刀って・・・いやそれよりもそんなもの何処から・・・ 」
「 簡単ですよ。 」
鞘にしまった斬魄刀を再び抜いて、横に一閃する。
なにもない空に、また別の空間が"顕れた"。
「 これが、吾輩の始解です。物をこの隙間の中に好きに出し入れできる。結構便利なんですよ?
薙刀のほかにも、西洋の剣やら盾やら弓やらもありますし、使えますよ。 」
その"隙間"の中に薙刀を納めて、ほかの武器を見せるその隊士に、享楽は何処か懐かしいものを感じていた。
彼が円乗寺を下す一瞬に放った、あの"雲を切り裂く"ような一閃。
幼い頃のことが、もう既に喪われてしまった"あの人"のことが、回帰されるようであった。
もしかして、とふと思った彼は、その隊士にこう尋ねる。
「
男、もとい檜佐木悟は答える。
「 ・・・遥か地の底の底、とだけ言っておきます。 」
檜佐木悟
69の弟。長いこと行方不明になっていたが突然現れ、妖術やら呪術やらが跋扈して治安が荒れ放題になっていた逆骨を平定するという偉業を成して、霊術院に入り、護廷十三隊八番隊に入隊した。
それ以前は一体何処にいたのかは、直接的には語りたがらない。
斬拳走鬼がどれも高水準である。流石に鬼道は七緒ちゃんに負けるが。
死覇装にマントに髑髏マスクとある意味八番隊らしいキワモノファッションが特徴。
霊術院での呼び名は、"ザタスクマスター"。
一人称は、吾輩。
円乗寺辰房
チャドに霊圧を消される男。それ以前に新人の隊士にも、霊圧を消されていた。
伊勢七緒
八番隊副隊長。鬼道だけで副隊長になった人だが、常時開放型とばかりに斬魄刀を常に始解にしている悟に驚かされる。
享楽春水
八番隊隊長。悟の薙刀捌きに、趣向を決定づけた大昔の初恋の人を垣間見てしまう。