「 お前だな、朽木の乳を揉んでいたのは? 」
「 ・・・なんでさ。 」
毎晩朽木ルキアのバストアップに尽力する日々を送る悟のもとに、その人物は現れた。
黒い頭髪に、何故か筋骨隆々な裸に『 志波 』と書かれた褌を巻いた姿で腕を組んで、凄まじい存在感を醸し出している。
変態であった。いうまでもなく、変態であった。
瀞霊廷のど真ん中で下着姿とかいう、常軌を逸している様相は、やはり五大貴族というのは変人の集まりなのかと尸魂界の権力者たちのアタマの中を疑いたくなるものだった。
そして、悟はやはり正常なのだろう。
「 変態だ!変態がいるぞ!! 」
「 あれは、志波副隊長か!? 」
「 とうとうご乱心になられたのか・・・! 」
「 みんなの人気者ですな、志波副隊長。日々のご活躍、お聞きしております。
奥様とも円満でおられるようで。
・・・何処でそのことを? 」
「 いやなに、最近朽木がやけに色気立っていてなぁ、心なしか胸もでてきたものだから、男を知ったものかと思っていたら、あいつが八番隊舎、それもお前のところに毎夜通いつめていると聴いてな。 」
「 それで吾輩になにようで?
まさか吉良副隊長と同じことを・・・ 」
「 違う!オレはそんな野暮なことはしない!
朽木とのことを言いふらすつもりもない。
ただ・・・ 」
「 ただ? 」
嫌な予感がしていた。まるで蜘蛛男の第六感のように。
そして、それはものの見事に命中する。
「 お前に清音の乳も揉んでもらおうと思っただけだ。 」
「 ・・・は? 」
突然だされた聞き覚えのない、しかしそれでいて、何処かで似たようなのを聞いたような感じの名前をだされて、悟は困惑した。
「 どなたです、その方? 」
「 お前が不慮の事故で乳を揉んだ虎徹勇音の妹だ。
うちの三席でもある。
姉に似ないでナイチチでな。
それもあいつ自身が気にしている。
朽木の乳がでてき始めたものだから、よりいっそう気になるようになってなぁ、お前にどうにかしてもらおうと思ったんだ。」
「 ご自分でなさっては? 」
「 知ってるだろう、オレには妻がいる。この世でただ一人愛した女だ。つい昨夜も都に、オレの捩花の手入れをしてもらっていた! 」
「 そうですか。仲睦まじいようで。 」
確かによく見れば、海燕の股間の斬魄刀は気分がいいらしく、褌の真ん中部分がモッコリしていた。
あの分ではちんポジもベストな箇所に収まっているだろう。
この褌一丁の男も一応嫁持ちであることは、ルキアから聞かされていた悟であるが、そんな格好で瀞霊廷内を歩き回るくらいなんだから、自分で揉めよと思わざるを得なかった。
「 待てぇ、海燕ッッ!! 」
「 !?この声は! 」
だが、そんなことを考えている暇はなかった。
さらなる変態が姿を現したからだ。
「 叔父貴・・・! 」
「 そいつはちっせぇのばかり揉まされそうになっている。朽木みたいな性癖にしちゃならねぇ!
うちの松本の乳を揉ませて、健全な道を歩ませるべきだ!
お前もそう思うだろう、冬獅郎? 」
「 ・・・へぇ。そうなんじゃないですかね。 」
海燕と似た感じの顔。筋肉質な裸体に『志波』の褌。
後にヒゲゴリラの愛称で知られることとなるこの男、志波一心。現十番隊隊長である彼のその姿は、海燕と並び立つことで、仁王像を思わせた。
そしてそのすぐ隣には、今にも死にそうな生気のない顔で立つ、似た格好の、銀髪の少年。
悟はその姿を、見間違えるはずがなかった。
「 冬獅郎・・・! 」
「 ・・・お前はなにも見なかった。そういうことにしてくれ。 」
懇願する霊術院時代の学友の頼みに、悟はコクリコクリと頭を縦に振った。
「 というわけでだ悟!叔父貴とそこの可哀想な奴は置いておいて、清音の奴をどうにか・・・ 」
「 いんや!お前は松本のを揉むべきだ! 」
「 なにを言っている!清音の乳をだな・・・ 」
「 だぁから!ないもんばっかモミモミしたってしょうがねぇだろ!?ここはいっぺんあるやつのを揉んでこいつの男をだ・・・ 」
「 松本はそもそも市丸に惚れてただろうが! 」
「 いんや!あれは惚れてないね!
あんな細目で女を殴ってそうな奴のなにがいいんだ! 」
「 知らねぇのか叔父貴!アイツらは同じ区画の出身なんだぞ!? 」
「 そうだったのか・・・だがそんなことはどうだっていい。市丸の奴は奥手すぎるんだよ。ここは一発若い奴に松本の乳をだな・・・ 」
「 いいや、清音がいいね! 」
海燕と一心は、人目など気にせずに、悟のどっちの女の乳を揉ませるかで揉めていた。
乳揉みで、揉めていた。
そんなまるで思春期の学生のような内容の言い合いに、周囲の者たちは唖然としていた。
何故、志波家の二人が、こんなくだらない言い争いを、裸でしているのだ?と。
そして、それで一番割を食っている男が一人。
いうまでもなく、日番谷である。
一心に強制されたのか、同じく褌一丁で、彼の隣に立たされている。
どうにかして助けてやりたかった悟であるが、彼らの目的が自分である上、日番谷に近づけば、一心にガードされてしまい、おそらく松本副隊長の乳を触ることになってしまうだろう。
先日の事もあってそんなことは、ルキアだけでもう腹一杯な彼は、これ以上女人の乳に振り回されたくなかった。
というか、こんな姿で瀞霊廷を跋扈する珍獣たちと接点があるなどと思われたくもない。
「 許せ、冬獅郎・・・! 」
悟はそそくさとその場を逃げる他なかった。
「 知らない。吾輩はなにも知らない・・・! 」
朽木白哉といい、志波家といい、どうして貴族連中はこうも可笑しい奴らばかりなんだと思わざるを得ない悟であった。
後日、海燕と一心が隠密機動によって捕縛され、蛆虫の巣送りになった後に復帰するのだが、それはまた別の話。
檜佐木悟
被害者。志波家の変態たちに目をつけられる。
日番谷冬獅郎
被害者その2。一心によって、ほぼ裸で瀞霊廷を歩かされる。
志波家のバカ二人。
後のチャンイチのオヤジと従兄弟。褌一丁でなに食わぬ顔で街中を出歩く。
悟に女の乳を揉ませようとする。
松本乱菊
またしても何も知らずに、自分の胸をもまれそうになっていた。