-----System startup------
Synchronization Rate---15%
Core utilization---35%
Startup sequence……
…failed---
Reconstruction sequence---
…start---
magic accuracy…45%
Restart the build system---
…Succcess
Synchronization rate increased by 45%
Synchronization Rate---60%
Core utilization---95%
----Type:α…No.K-1
Main system startup-・・・・・
Independent survival function activated
【---Welcome, new order---】
【name/-----immortal・■■■】
意識が…浮かび上がる…この身体に変わってから
既に百年と少し…見た目の年齢のみが変わらんとは
つくづく、この肉体の異常性が浮き彫りになる
木の枝を支えに眠っていた身体を起こし
落ちるように地へと両脚を付かせ
そのまま、近くの滝がある湖に向かって歩き
どういう技術か知らんが一瞬で裸になれるため
その技術で裸になったまま沐浴を行い身体を清め
意味が有るのか分からない、更に言うならば
俺が、かの"神"に見られているのかすら分からない
だが、それでも行う事に意味があると想い演武を送る
コレが、いつも通りのルーティンワークであり
数十年で染み付いた基礎的な動きでもある。
祈りと演武を終わらせた為、湖から出ると
直ぐに肉体が乾き切る為、そのまま服を出現させる
周りは森になっているがコンクリートが垣間見える
以前まで、人間が住んでいた場と思える物も存在する
だが、その光景は"地上"全域に存在しているのだ
そう俺の知っている世界はとうの昔に滅んでしまった
それは人類同士のエゴによって滅んだ結果では無い
人類が絶滅の窮地に置いたたされる存在…
地球上にてあってはならない異物、外から現れた脅威
その外敵を、人類は"ラプチャー"と呼んだ
だが名称なぞ、人類が勝手につける識別タグであるだけ
奴らにとって、奴ら自身が何なのかは分からない事だ
だが、俺は知っていた、人類が名前をつける前から。
ラプチャーと呼ばれる存在を"俺"だけは知っていた
何せ、俺がこの"身体"の"中身"になる前まで
俺は、この世界の住人ではなく、単なる観測者
又は、ゲームプレイヤーでしか無かったのだから
この世界がどうなるか等は知っていて当然だった
俺は俗に言う"転生者"と呼ばれる者なのだ
それも大いなる力を与えられた者だったのだ
だから、最初はラプチャーを殺し回っていた
あの様な悲惨な結末を迎えない為に、人類が
生き残り、そして繁栄を築く為に、俺は人身御供
もしくは…生贄と言われるだろう行為を冒した
だが、俺の頑張りなぞ、たかが知れていた事だ
どれだけ人を救おうが、どれだけ人に施そうが
どれだけ人を護ろうが、どれだけ人に嫌われようが
数日もすれば皆が息をする事もない屍へと変わる
単独では…何も成し遂げられなかったのだ
だから国と手を結んだ、世界と手を結んだ
だが、それすら徒労に終わり、今はもう手を結んだ
者たちは皆、屍の山の1つへと変貌を遂げてしまった
全ては当人の努力不足、全ては当人の力不足
全ては俺が仕出かした意味の無い行為でしか無かった
所詮、俺の知る世界の遥か昔であったとしても
俺が成し得た行為は、そこに至るまでのほんの僅かな
猶予を産むのみという結果に終わってしまった
今世で初の挫折を味わったのは、ここだっただろう
俺の身に宿りし力は本当に偉大だ、原典が使えば
この状況からですら人類を救いあげてしまうだろう
だが、俺には、その様な精神は無かった数十年間
寝る事も、休む事も、食事を取るという行為すら
投げ捨てたとしても、結局は精神が耐えられなかった
凡人は、何処まで行っても凡人でしかないのだ。
救えた人類は凡そ、総人口の20%程度だろうか
だが、裏を返せば救えなかった人類は80%なのだ
失敗の連続を重ね、俺一人のみが戦場に生き続けた
俺の背中を護ると豪語した男は無惨にもラプチャーに
胴体を貫かれ、引き裂かれ、最後は手榴弾で相討ちとなった
俺に花をくれた皆はラプチャーの襲撃によって…消えた
俺の背中に憧れ、兵となった青年は幼き少女を助ける為
その身を犠牲に特攻を強硬し、少女共々死亡した
俺が護り続けた都市は大規模な襲撃により俺の手では
間に合わない事を悟った為、住民の総意と決意により
後の世界を守る為に囮となり俺の手によって消え去った
全て、俺が居たから起こった出来事であり
俺が居なければ皆が生き残れていた可能性がある
そう断言できる結末を辿り続けていた
何度も自身を殺そうと思った、何度も自身を呪った
この身に宿った炎を持って自身を燃え尽きさせようと
何度も試した…だが、死ぬ事も、傷付く事もなく
俺は生き続ける事となった…だから戦い続けた
その結果が今の状況と言えるのだろう。
だからこそ、俺は自ら人類の生存権から離れ
この様に辺鄙ではあるがラプチャーが蔓延る場にて
ラプチャーを殺し続ける巡礼を行っている
人類の生存権には既に"プロトタイプ"が居るのだ
俺が居なくとも、数十年ならば彼女が動く
だから俺は彼女が負担にならないよう
彼女が生存権から出る理由を与えられないよう
ラプチャーを殺し続けていたのだ…
そう、思っていたのだがな…
「おはよう、水浴びの気分はどう?昨日は良く眠れたかしら?」
何故か、俺の目の前には"彼女"が居るのだ
最初に生まれた人類が誇る希望であり象徴
勝利の女神であり、人類が反旗を翻した証
対ラプチャー戦用に開発された女性型ヒューマノイド。
脳髄以外のすべてを人工的な部品に置き換えており
まさしく人間を超越した身体能力を発揮する存在
NIKKE・個体名:リリーバイス
辿ればフェアリーテイルモデルの試作型であり
後々、生まれてくる量産型ニケの始祖でもある
「あぁ、問題はない」
「もう!それだけじゃ分からないでしょ?貴方は口数が少な過ぎて良く勘違いされやすいのよ?」
「分かっている、だが癖だ、お前には関係無い」
「ほら!それよそれ!もう数十年物の癖だから治せないし、私が居れば人類は生存出来るから、俺には関わらないでシェルターを護っていてくれば良い、だから私には関係無いを略さないの!本当に何時もいつも、貴方は!」
「…すまない」
そう、俺は何の因果か口数が少ない
原典通りと言えば聞こえが良いが理由は有る
コレは元より、人との関わりを持たなければ
誰も俺を見向きもせず、誰も俺の足跡を辿らない
誰も俺のような馬鹿者にならないと思った為
言葉を減らし続けて行った成れの果てなのだ
…杜撰な考え方で反吐が出そうになるが
ソレでも、コレが一種の防衛本能なのだろう
「はぁ…もう良いわ、説教ばっかじゃ貴方に申し訳が立たなくなるもの…人類を百年間孤独に護り続けた世界の大英雄、そんな貴方を皆は放っておけないの、だからお願い、帰りましょう?私達の帰る場所に」
「駄目だ、お前だけでも帰れ」
「もぉぉぉぉ!!!本当に喋らなさ過ぎ!」
すまない…だが俺は帰れないんだ
ラプチャーを殺し続けなければ皆が危ない
それを分かって欲しい、リリーバイス
お前が居れば、シェルターは護られる
だから、お前1人だけでも帰ってくれ頼む
「…分かったわ、だけど、必ず月に1回は連絡を頂戴、貴方に何かあれば私達は心から頼れる支柱を失い瓦解するわ、貴方が居なければ皆、それほど脆い事を、そこまで人類にさせてしまった事を覚えておいて」
「了解した、必ず」
「はいはい、それじゃあ私は帰るから…必ず生きていてね。」
俺はリリーバイスに頭だけを下げ、走り去る
彼女が本気を出せば、走る程度の俺には追い付く
だが、それはしない、彼女は本気を出せば出すほど
その寿命を削り続ける事となるのだから
何度も元凶を殺そうと元凶の居る場まで飛ぼうとした
だが、その度にラプチャーは活性化を起こそうとし
人類を殺し切るため動こうとする、俺の行く手を阻む為
多量のラプチャーをけしかけてくる、酷い場合は
リリーバイスすら動く事態に発展すると考えた為
俺は"奴"を殺しに行くことすら叶わないのだ…
あぁ、本当に俺には決断力という物が欠如している
人類の為ならばリリーバイスを犠牲にしてでも
クイーンを殺し切れば良い、そうすれば人類は
平穏なる生活を徐々に取り戻して行けるのだから
だが、リリーバイスという個人と繋がりを持ってしまった
関わりを持ってしまった、彼女の心境を知ってしまった
そんな彼女を俺は見捨てる事が出来なかったのだ…
だから、こんな中途半端な状況に落とし込んでしまった
俺という抑止力が生き続ければ人類は死ぬ事は無く
リリーバイスという個人が長く生きる事が出来る
それこそニケなのだ、数百年は生きられるだろう
だが、裏を返せば、偽りの平和を作っただけに過ぎない
いつ、ラプチャーの総攻撃が行われるのかが分からない
いつ、"奴"が動き出すのかすら分からない状態を作ってしまった
やはり、俺は屑でしかないのだから
何が英雄だ、何が救世主だ、そんなもの
俺には決して当てはまらない事だ
俺は彼女の好意に気付いている、それはそうだ
幼き彼女を救い上げたのは紛れも無く俺なのだ
やってしまったとしか思えない、彼女と関わりを
持つ事を恐れていたのに何をしているのか…
そんな自身に恨み妬み等の憎悪を向け続ける
そんな彼女の心に淀みを作り続ける自身の行為に反吐が出る
人類の心に歪みを産ませ続ける自身の存在に嫌悪を示す
何処まで行っても俺は皆が言う英雄などではない
俺は…俺は、ただの人類悪でしか無いのだ
ならば…人類よ、償わせてくれ、施させてくれ
世界よ、俺を…罪を被る咎人で居らせてくれ
だからどうか、まだ俺に空を飛ばせてくれ
「…行っちゃったわね、また」
遠くなっていき数秒もせずに見えなくなった背中を
見続け、そして見えなくなった時にポツリと溢す
何時も通りであり、何時もとは違う感覚
自身の身を削り心を削り魂すら削る程の英雄
凡そ100年前から現れたラプチャーに対する
原初の切り札であり唯一の対抗手段だった個人
今はニケが居るから唯一では無くなったけど
私達、ニケが生まれるまでの間、人類を護り続け
そして見事に果たしたのは紛れも無く彼なのだ
何処までも強く、勝利の象徴として存在する英傑
愚直に、だが、驕ること無く進み続ける救世主
誰かが言った、世界が選び挙げた 施しの大英雄だと
だけど私は知っている、私以外にも知っている人は
沢山居たのだろうけど、既にそれは過去の話
今は自由に外の探索を許されている私だけが知っている
外に出て、彼を探し、連れ帰る事を命令されている
私だからこそ、知り続けている何気ないけど特別な事
英雄と崇められた彼は本当は普通の男の人だということを
誰かを助ける事が出来た時に、彼は必ず顔を綻ばせる
誰かを守れなかった時には、誰よりも悲しみ続ける
誰かから感謝を伝えられれば、彼は必ず喜んでくれる
誰かが危険に晒されているならば誰よりも怒りを覚える
数十年も見ていれば彼の内心なんて手に取るように分かる
今も、ずーっと、ずーっと私の事を考えているのだろう
人類の事を考えているのだろう、そして私という枷が
彼を縛り続けている事も、ずっと前から知っている
私は彼を除けば人類最強だと自信を持って言える
だって、勝利の女神なのだから、負ける通りが無い
だけど、私でも無限に湧いてくると錯覚してしまう
ラプチャーには敵わない、そこまで稼働時間が持たない
全力を出さなくても勝てるとは言え人類を護れない
私一人だけ逃げるとなれば簡単に出来てしまうけど
私は皆を置いていくなんて出来なかった…
彼はそこまで見通している、経験の差かしらね?
まぁ、だからこそ、私と合わなければ
私を認識していなかったら、彼は一人で解決する筈だった
妥協案として現在の総人口の90%を見捨て元凶を破壊する
その手筈で人類は早くても数年前には戦争は終結していた
だけど、私が…あの時、助けられた時から募らせた想い
それが理性すら追い越して、彼に会うために動いてしまった
それが私の最初の罪だったと私は思っている。
「今、思い返せば本当に酷い行動よね…既に背負い続け傷だらけの背中に更に背負わせてしまったのだもの。」
だから彼は私を捨て置くことも人類を捨てる事も
何方も出来ず、今も自身を削り続けながら独りで戦う
私も加勢はしたいけど、彼との土俵が違いすぎて
逆に足手まといにしかならないからこそ加勢出来ない
一度は彼を追い続けた時はあったけど…無理だったわ
確か、昔の偉人がこう言っていたわね。
"憧れは理解から最も遠い感情でしかない"ってね。
その言葉を酷く痛感したわ、そう、皆が憧れてしまった
理解を示そうとしなかった、出来なかったのよ。
皆、彼ほど強くなかったから…力では無く心の方でね。
「コレが人類が冒した最初で最後の大罪だと理解しているわ、貴方を百年間孤独に戦わせ、私達は施された甘い汁を飲み続け、貴方に総てを押し付け続けたのだもの貴方以外なら人類を見捨てる事に走っていたでしょうね、私でもそうしたかもしれないわ。だけど貴方だけは諦めず動き続けている…だから、自身を責めないで、自身を罪人だと罰さないで、自身を英雄ではない者と卑下しないで…貴方は本当に立派なのだから。」
あの日から凡そ数ヶ月後の事だった
俺は人生で初、肉体に自傷以外で傷が付いた
都市を襲った量を遥かに、質はそれ以上
まさに俺を殺す為だけに生み出されたラプチャー
だが、俺は死ぬ事なぞ無く、殺し続けられた
理由は単純だ、俺が死ぬ事なぞ無いのだから
軒並み見た事も無い、記憶に無いラプチャー
恐らく、俺を殺す為だけに"奴"が生み出した傑作
まず、ロード級を陽動や囮として使用しながら
タイラント級を前衛の壁兼スタミナ削り役とし
タイラント級を凌ぐ程の火力を有する敵による
超広範囲攻撃を続けられたとて、俺は死なない
死ぬ事を許されない男に誰が勝てるのだろうか?
だからこそ、全てを薙ぎ払い、突き払った
「その結果が、コレでは誰も浮かばれない」
周りは酷く荒れ果てていた、焼き払われた森林
蒸発した湖、元の形を保っていない平原跡地
そして積もりに積もった金属屑の塊共
辺り一面に広がるオイルと火の海
まさに地獄と言って差し支えない状態だろう
今の俺を見れば誰もが恐怖してしまうだろう
血とオイルに濡れた男なぞ狂気の産物だ
だが、この程度は絶え間ない襲撃に比べれば
精神的に楽ではあったのだろう、まだ疲れは無い
そして遥か先には、此方に向かってくるラプチャー
軒並みロード級に分類されるだろう奴らだ
先程よりは遥かに楽であり余裕を持てるだろう
だから俺は…
「戦い続ける事が、使命だ」
100年前より愛用す槍を構え、地面を蹴り走り出す
此方に気付いたラプチャーは一斉掃射を開始するが
既に遅い、その場から軽く跳躍しただけで
奴らをゆうに越し、空高く舞い登る
奴らに意思があるかどうかは分からない…だが
だからこそ、この一撃を持って殺し切る
槍を引き伸ばすように構え自身に宿りし力を
存分に注いでやる、準備は既に終えている
「
原典ならば核爆発と同等の破壊能力を持つ
コレを俺は"半分"程度の威力で扱う事が出来る
そう半分なのだ、何処まで行っても英雄の影法師
その半分、つまり贋作の贋作と言っていいだろう
理由は分かっている、俺が太陽神の子では無いからだ
まだ数百年は稼働出来る算段ではあるが並の人間では
既に寿命を通り越しているが、良く持っている方…
否、持たせ続けた事は奇跡と言っても差支えはない
だが100年と少しの間に決着を付けたいと思っている
狙うは先の先にある未来、人類を救う為の鍵を持つ
彼が産まれた時…その時に"奴"は降りてくる
その時を待ち、今はこの肉体に同調を続けるのだ
技を磨き、力を磨き、武を磨き続けるのだ
そう考えている内に灼熱と爆発によって
ラプチャーは殲滅され、灰塵と化している
あぁ、何時もコレだ…俺は戦う事しか存在理由は無い
俺が戦った後には利用価値がある物なぞ何も残らない
誰かを護る事も、誰かを救う事も、誰かを包む事も
誰かに愛を与える事も、誰かに幸せを分け与える事も
何も出来ない、唯の兵器…これではニケの方が遥かに
人間らしいではないか…
「あぁ、そうだ、俺は人間では無い…影法師を更に模倣した贋作なのだ、世界に遣わされた使役物なのだ、ならば…世界が選んだのならば、俺は役目を果たし続けるのみ」
ニケでは無い、さりとて人間では無い
ニケとは遥かに違う製造方法で生み出された
自身ですら分からないアンノウン
だが使命と義理は必ず果たさなければならない
俺を人間として受け入れてくれた彼等の為にも
この命が燃え尽きようと、戦い続けるのみ
大地に深々と突き刺さった黄金の槍を拾い上げ
この短時間で使用した魔力を回復する
力の源の魔力供給源である主は居ない為
地脈から湧き上がる魔力を体内に貯蔵していく。
リリーバイスが、この数ヶ月間来ていなかった為
察しは着いている、人類は反抗の為に動き出す
つまり第1段階が始まる、ならば、向かわなければ
必ず、"彼女"は俺を狙ってくるハズだ
この世界に居てはならない異物であり
"奴"が自身の持つ切り札の内、最高の物の場に
ノコノコと現れる俺を狙わない訳が無い
だが筋書きだけは変わらせる事は出来ない
俺は何処まで行っても偽典であり贋作なのだ
だが少しは変えることが出来る
まだ回復し切ってはいないが
それでは間に合わないことは分かっていた
だからこそ、即座に行動を移した事が幸いした
肉体から放出した魔力によって超高高度を
ジェット機の様な速度で飛び出し向かう
目指す場は軌道エレベーターのみ
「指揮官、宇宙服の着方は問題ありませんよね?」
「あぁ、宇宙服を着られると思うと昨日から、ずっとワクワクして眠れなかった」
リリーバイスの言葉に対して私は思った事
そしてコレから起こるだろう事を伏せて答える
確かに人類を救うという目的を果たせるならば
命を預けられる、この6人ならば大丈夫だ…
そう思わなければ耐えられない、私は指揮官だ
こいつらを絶対に見捨てるなんて出来ないが
男の私なんて、クイーンに見られただけで
死んでしまうかもしれない…だが、耐える
私はこいつらに命を託しているが逆でもある
「んぁっ…眩しって…なんだ、あれ?」
レッドフードの言葉と共に彼女が指差す
方向に全員が目を向けると、そこには人影がある
「新種のデコイでしょうか?」
「いえ、制空権は既にラプチャーが持っている様な物です」
「では、アレは何だと言うのかね?」
私は眩しさで判断が遅れた事を後悔した
あぁ、ここで判断が遅れていなければな…
だが、直ぐに指示を出せた事は良かった物だ
「アレは…シンデレラ…!全員!ハイド!」
私は近くの岩陰に瞬時に飛び込む
他の皆もそれぞれが隠れられたが
その行動も間違いであったかもしれない
瞬間、無数のレーザービームが
私達に向かって降り注いできた。
「な、なんだコレ!?全部ビームかよ!行きなりだな!!!」
「この岩や瓦礫程度では防ぎきれません!ラプンツェルッ!!!」
ドロシーが叫び、ラプンツェルが
黄金色のリングを展開していくと
降り注ぐビームが曲がり続けていくが
しかし、一向に収まる気配を見せない!
「「第二波が来るぞ!(来ます!)」」
ラプンツェルが更に維持の為に力を加える
だが足りない、圧倒的質量の差に押されている!
レッドフードやドロシーにスノーホワイトが
狙撃を試みるが全てシンデレラのガラスの靴によって
完璧に防がれ跳ね返される、どう足掻いても無理だ
「ディストーションリング、もう生成できません!出力不足です!第三波には耐えられません!」
「ならば、私が斬る!」
「ふざけたこと言わないで、みんなしっかりつかまって!」
紅蓮が刀を構えようとしたが
リリスがそれを制止して退却の準備を試みている
あぁ、私達は何の成果も得られないまま敗走するのか
呆然と、その言葉が脳裏を過ぎ去った時
突如、私の横を誰かが通り過ぎ全員の前に躍り出た
白い肌と白髪、青い瞳、整い過ぎてニケと間違える程の美顔
近寄り難い雰囲気を放つ鋭い眼光に、見た者は
必ず覚えるだろうと言える金色の鎧に身を包んだ青年。
それを覆い隠すようにくすんだ灰色の外套に身を隠し
片手に持つ黄金の槍は威圧感すら感じる程の逸品
その姿を私は知っている、嫌、今、ここにいる全員が
彼の事を知っている、人類が生存出来ている理由であり
この決戦の場に居ない事をどれ程、悔やまれたか分からない
それ程までに突出し続けている現人類最初の勝利の象徴
「全員、動かず俺の後ろに居ろ」
彼は金色の鎧を腕を組むようにして前に出すと
私達に降り注いでいたレーザービームを全て逸らし
果てには、どのような技術によって生み出されたのか
全く分からない、赤雷を思わせる不可思議な槍のような
"ナニカ"を何十本も出現させシンデレラに投擲する
シンデレラは何とか避けた物の、大きな爆発と共に
地面に叩き付けられる結果となった
そう、たった一撃で俺達を撤退まで追い込まんとした
シンデレラを墜落させたのだ
「はぁ…焦ったのが損になっちゃったわね。」
リリーバイスは溜息を吐きながら彼を見る
その目は嬉しくもあり、少し安心感もあった
「まさかっ…!」
ドロシーは両手で口元を隠して言う
それはそうだろう、彼女は彼の英雄譚
それを酷く気に入っているのだから
「そんな事がある筈が無いッ!」
紅蓮はこの事態に戸惑いながらも否定する
それはそうだ、ゴッデス部隊と言えど
彼から見れば私達は人間でしかない
そんな唯の人間を助け続ける道理なぞ
彼にある筈が無いのだから。
「もしかして…あの伝説の…っ!」
スノーホワイトは目を輝かせながら彼を見る
彼女もまた彼の伝説を気に入っており
いつか伝説の様な武器を作る事も密かに
考えていたのだから無理もないだろう
「ラプチャーから人類を救い続けた!」
ラプンツェルは杖を抱きしめながら言う
彼女は別の神を信仰しているだろうが
彼は言ってしまえば現人神の様な物だ
それも現人類を救い続けた唯一の人間
となれば感激するのは必然と言える
「あんたは!」
レッドフードは彼に指を指したまま
嬉しそうに言う、多分、知っているのだろう
彼女は田舎から出てきたと言っていたからな
もしかしたら何処かで施しを続けていた
彼に救われた1人なのかもしれない
そして今、私達は彼に救われた
人類がラプチャーによって危険に晒された時を同じく
ラプチャーを狩り続け、人類の生存権を奪取した者
人類が地下に籠ること無く地上で抵抗を続けられる
その唯一の希望であり、象徴、勝利の女神達の雛形
この男を目指したからこそ、私達が居るのだ
彼の名は
「「「「「「「施しの大英雄、カルナ!?」」」」」」」
彼は真顔のまま、私達に顔を向けた
見間違いなんかじゃない、あの英雄が
今、私達の目の前に居るんだ!
間に合った為、何とかなっただろう
ここに至るまでに制空権を奪取していた
ラプチャー共は
一網打尽と言える程度には殲滅を行った
コレでゴッデス部隊を軒並み帰らせれる
そう思い振り向くと、唯一深めの関係性はある
リリーバイスからはヤレヤレと言った表情
だが内情は結局、俺に頼ってしまった
自身らの不甲斐なさを感じている感情と
助けられた嬉しさを感じている。
ピンク髪で土一つ付いていない白のドレスを
着込んだ、何処と無く令嬢を思わせるニケ
ドロシーからは希望を感じさせられる
彼女を助けた等は今回が初めてなのだが
何故、俺はそこまで希望の目を向けられる?
くすんだ銀髪で黒を基調とし所々に
赤色が使用されている近接戦闘用の服を
着こなし、赤色の刀身が特徴的な刀を握る
見るからに戦闘狂と分かるニケ
紅蓮からは、焦燥と怒りに救いを感じた
特殊改良量産個体Aで構成されている部隊
つまり彼女が以前所属していた部隊が
危機に瀕していた時、彼女らでは敵わぬ
ラプチャーを一撃によって破壊した時が
彼女との初邂逅ではあったのだが
やはり、恨まれているのだろう。
彼女が1番大変な時期、俺は戦いに明け暮れ
ラプチャーの総数を3%減少させていたのだ
結局は、その行為自体が徒労であったがな…
リリーバイスに良く似た銀髪が特徴的で
一見すればリリーバイスの妹の様に感じ
ポンチョの様な白色の外套を着ており
多数の銃火器を扱う事が可能なニケ
スノーホワイトからは憧れ等の入り交じった
特別な感情を受け取る事が出来た
ドロシーと同様、助けた事も見た事も無い
少女から向けられる、コレは何なのだろうか
この中では1番目立つかもしれない金髪と
女性の聖職者が良く着用している修道服
それに良く似た物だが同じではない
だが、それでも彼女からは心身深さを感じる
護る事と救う事を両立する珍しきニケ
ラプンツェルからは感激を大きく感じ取る
彼女は、俺を通して神を幻視して居るのか?
分からない、だが、それが救いになるのなら
俺は気にする事は何も無い
赤色の長髪と装飾の角が特徴的であり
赤いマフラー、赤いコートに加え
露出の多さという点に目を瞑れば
昔で言う所のライダースーツを思わせ
彼女の名前の一部を感じさせる赤色が
特徴的であり、大型の対物ライフルを扱うニケ
レッドフードからは感激や安心感を感じ取る
俺がラプチャー被害にあいかけていた集落を
助けた時に1度だけ出会っていたのだろう
あの小さな少女が、この様になるとは
やはり世界は不可思議に塗れている。
そして最後に立派な軍服と軍帽を身にまとい
サングラスをかけた男、その目の奥には
情熱と少しばかりの恐怖に、それを塗り潰す程の
憧れを感じ取った、あぁ、彼が指揮官なのだな
とは言え、既に俺はガス欠もいい所なのだ
ここまで全力で魔力放出による移動を続けた事
梵天よ、地を覆えを連発しまくったのだからな
それに、ここは地脈も霊脈も存在していない為
魔力回復源が無いような物、つまり全力戦闘では
梵天よ、我を呪えすらマトモに使えずに消耗戦へと
なってしまう、それは不味い
「すまない、俺は使えん、全員、奴が動けん今、撤退する」
俺の声にハッとしたリリーバイスと指揮官
その両名が直ぐさま行動を開始した
「レッドフード!スノーホワイト!2人は撤退の援護をしつつ後退!」
「紅蓮!ドロシー!2人は限界が近いラプンツェルを抱えながら撤退の準備!私は指揮官を抱えて走るから!」
「「了解!」」
「「分かりました!(了解したぞ)」」
全員がそれぞれの動きをしている
今は無駄な魔力消費はしていられん
使えるのは梵天よ、地を覆えに加え
俺が誇る最強無敵の鎧であり肉体
ラプンツェルは既に限界近くであり
力を使い過ぎれば撤退も厳しい
ならば梵天よ、地を覆えを控え
彼女の代わりとして防御に周り続けるのが堅実
「俺が殿を務める、行け」
俺達の周りに集まり出したラプチャー共
恐らく"奴"が使える駒の中で取り回しが良く
尚且つ総合力を加味して現状最高戦力である
シンデレラを失いたくは無いのだろう
シンデレラが撤退するまでの足がかり兼
俺という存在を殺せる機会かもしれない
そう考えての援軍と受け取った
やはり奴はリリーバイスを狙っている訳ではない
狙っているのは俺の肉体なのだろう。
飛びかかってくるセルフレス級や
サーヴァント級は槍を持ってして薙ぎ払う
この程度の物量ならば槍裁きのみで何とかなる
俺の後方、つまり撤退を開始している彼女ら
其方に向かった場合は魔力で練り上げた雷槍にて
範囲的に攻撃し取り零しはスノーホワイトと
レッドフードが全て打ち払ってくれる
これ程、楽な戦闘は過去には無かった
あぁ…コレが、背中を預けるという事か
そしてゴッデス部隊の撤退は恙無く完了した
総数で言うならば100は優に超えるラプチャー
それを一機残らず殲滅した事は評価出来る
だが、万全のゴッデス部隊、量産型ニケ100機以上
大量の長距離兵器が投入された奴の討伐作戦。
ラプチャーを倒し切った為損耗率をかなり抑える事こそ
叶ったが、この作戦は失敗に終わった。
そして、人類連合軍は地下にアークと呼ばれる
人類最後の生存権へと人類を移すことを決定した
人類はラプチャーに敗北したのだ。
悲壮感に包まれたまま、全員が勝利の翼号
そのメインフロアに位置する司令室に集まった
ただし、1人の男を除いてという副題が付くがな
俺は言わば乱入者でしかない、つまりこうして
1人寂しく甲板で見張りをしているだけだ
俺は結末を知っているからこそ悲壮感は無い
あるのはどれ程の人間を助けられたかでしか無い
何処までも人間性を捨てきった自分の感性に
嫌気はさすが、もう数十年も同じ事を繰り返し
続けた結果、あまり、それは感じなくなった
慣れではない、どちらかと言えば諦めだろう
長年使い古した外套が風によって靡き続ける
だが、その程度で聞き逃す程、俺は甘くない
「…それで、行くのか」
「うぉっ!?ちょ、客人のお前が何で甲板になんか居るんだよ!客室行け!客室!」
甲板の先で空の景色を眺めていれば
後ろの甲板から内部に出入り可能の扉が開き
そこからレッドフードが出てきた…
だが、その第一声はどうかと思うのだが
「…場所が分からなかった、それに俺が居て良い場では無い」
「うっ…そっか、みんな忙しくて案内も出来てなかったもんな、悪ぃ」
「気にし過ぎだ」
「…もしかして、会話下手かお前?」
バレたか、いや、下手ではある
だが、お前ほどでは無いと思うが
「いや、お前のその口数の少なさに比べたら、あたしの方が百万倍はお喋りだが!?」
「確かにそうだな、だがレッドフード、お前は後悔は無いのか?本当に良いのか?」
「…はぁ、何でも見通す目って逸話は本当なんだな、あたしの考えを一発で当てやがったよ、あぁ、良いのさ、あたしはもう決めたんだ…それに、あいつらにあたしの無様な死に様なんざ見せたくねぇ、皆の泣いた顔が脳裏に焼き付いたまま死にたくねぇ…スノーが泣いたまま私に銃口を突き付ける光景なんて更にごめんだ」
「そうか、ならば俺は何も言わん、だが、お前の旅路に良い結果が生まれることを祈る」
「…サンキュー、じゃあ、あたし行くわ!…最後に憧れだったあんたに会えて良かったよ…あの時、偶然だろうけどあたし達の故郷を守って避難させてくれた事、まだ感謝してる。」
「礼には及ばん、俺は成すべき事を成しているだけだ」
「へへっ、そう言われると少しは気が楽になるってもんさ…じゃあな、あたしの憧れた勇者さん、また会えたら、あんたの好きな曲とか教えてくれよ。」
レッドフードは、そう言うと甲板から内部に戻る
最後に、この甲板から見える景色を眺めたかったのだろう
死に場所を選び、そこで満足に逝く事は難しい
だが彼女は、それを叶えに行こうとしたのだ
それが間違いであり、かげがえのない時間を
浪費し、仲間との最後の時間を短くするなぞ
そんな先の未来を考えられる程、今の人間は強くない
そして俺はそれを止める事なぞ出来る権利は無い
何処まで行っても俺は屑でしか無いのだから
英雄の志は誰かが受け継ぐのだろうか?