海軍本部マリンフォード――元帥執務室。
重苦しい緊張感が立ち込める部屋に、海軍のトップたちが集められていた。
スクリーンに映し出されたのは、空からの強襲によって押し潰され、ドロドロに熔解し、サイコロ状に細切れにされて全滅した3隻の大型軍艦の無惨な惨状だった。
「報告を頼む」
海軍元帥コングの重厚な声が室内に低く響く。
「は……! 昨日『偉大なる航路』にて、ロジャー海賊団を追跡中だった特命艦隊3隻が全滅いたしました! 混乱する生存者の証言、および遠方からの観察記録によりますと……攻撃を行ったのはロジャー本人でも、冥王レイリーでもありません。たった一人の『新人』です!」
周囲に控える中将たちが一斉にざわめいた。
「なに……!? たった一人の新人に軍艦3隻が全滅させられたというのか!?」
「その者は上空から……巨大な漆黒の龍となって飛来したとのことです! 空中からの超高質量で1隻目を一瞬で押し潰し、続く2隻目を未知の超高熱の炎で一瞬にして熔解! さらに人の姿に戻り、背負った大太刀のような長刀から解き放たれた神速の連続一閃により、旗艦を細切れにして沈めた模様です……!」
「完全龍化の質量攻撃に炎、見切れぬほどの神速の剣術だと……!?」
中将たちが絶句する中、バリバリと仙べいを噛み砕く音が響いた。
「ぶわっはっはっはっはっ!! 龍になって空から降ってきただと? 面白ぇ奴が入ったなぁロジャーの船も!」
「ふざけている場合か、ガープ!」
腕を組んでいた大将センゴクが、噛み砕く音を立てるガープを鋭い目つきで一喝する。
「ロジャーの船にそのような怪物が加わったとなれば、世界政府としても放置できん。リュウリュウの実の幻獣種か、あるいはそれ以上の天災……放置すればいずれ手に負えなくなるぞ」
「うむ……若者たちの指導にも影響が出かねん危険な存在だな」
大将ゼファーが腕を組み、厳格な面持ちで深々と頷く。
「単身で軍艦3隻を絶望的な速度で全滅させる戦闘力と、その圧倒的な破壊力……なによりロジャーの狂気に拍車をかけかねん存在だ。容赦は不要だぞ、コング元帥」
海軍最高幹部たちの言葉を受け、中央の椅子に腰掛けたコング元帥が、太い指で机をトントンと叩いた。
「……初頭手配としては異例中の異例だが、奴の単身での脅威度、そして恐るべき剣威を鑑み、ただちに世界中に手配書を回す」
コング元帥の手によって、一枚の手配書が机の中央に叩きつけられた。
「**懸賞金は3億ベリー**(300,000,000-)だ!!」
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数日後――オーロ・ジャクソン号。
「おい!! 世界経済新聞が届いたぞ――ッ!!」
新聞鳥から紙面を受け取ったバギーが、甲板で声をひっくり返した。
折り込まれていた一枚の「WANTED」と書かれた紙を広げ、目玉が飛び出さんばかりに驚いている。
「な、なんだバギー? 新聞か?」
シャンクスが覗き込むと、そこには漆黒の長刀『政宗』を構え、人獣型のミラの写真が大きく印刷されていた。
「懸賞金……**3億ベリー**……!?」
シャンクスが叫ぶと、甲板にいた船員が一斉に集まってきた。
「おいおいマジかよ! 初めて手配書が載って、いきなり3億か!?」
「空から龍になって降ってきて、軍艦3隻を一瞬で全滅させたんだ、当然だろ!」
「がははは! 新入りが速攻で大物になっちまったなぁ!」
ギャバンやレイリーも面白そうに手配書を覗き込む。
バレットは腕を組み、「ふん……初手配で3億か。少しは手応えのある賞金額になったじゃねぇか」とニヤリと鼻を鳴らした。
そして、船長室から出てきたロジャーが手配書をひったくると、爆笑した。
「わっはっはっは! 見ろよミラ! 最高の男前だな! 初手配で3億とは、コングのじじいも腰を抜かしたに違いねぇ!」
「3億……」
ミラは手配書を受け取り、自分の名前と金額を静かに見つめた。
「たった3億か。俺の真の力……そして黒龍の進化の片鱗すら見せていないというのに、海軍の評価も甘いものだな」
「わははは! 強気で結構! 3億になろうが何になろうが、お前は俺たちの仲間だ! 野郎ども、ミラの懸賞金3億突破を祝って、今日も宴だァ――!!」
「「「おーっ!!!」」」
またしても始まった宴の騒ぎの中、ミラは手配書を懐に収め、背の『政宗』の柄に手を置いた。
(海軍本部に世界政府……俺の力がさらに進化し、黒龍の真の姿を現した時、お前たちがどれほど絶望するか楽しみだ)
ミラの瞳に黄金の光が宿る。
こうして「黒龍のミラ」の名は、初手配3億ベリーという伝説的な破格の金額とともに、世界中に轟くこととなったのだった。