マシュとレフに案内されて会議に参加した明久と立華の二人。明久はなんとか眠気を堪えながらカルデアの現責任者、オルガマリー・アニムスフィアの話を聞いていたが、横から気になる吐息を聞いて見てみたら、立華が寝ていた。
明久は慌てて立華を起こそうとしたが、気付けば目の前に怒りの表情を浮かべたオルガマリーの姿が有った。
「出ていきなさい!!」
そして立華に巻き込まれる形で、明久も部屋の外に放り出された。
すると明久は、ジト目で立華を睨み
「藤丸さん……?」
「正直、申し訳ないと思っています……」
明久の言葉に、立華は正座して神妙な面持ちで謝罪した。
すると立華は、立ち上がり
「藤丸じゃあまるで男みたいだから、立華って呼んで」
「分かった。僕も明久って呼んで」
そう言いながら、二人は軽く握手した。
そこに、扉が開いてマシュが現れて
「あ、お二人共。まだ近くに居ましたね」
と明久達に声を掛けた。
「あれ、マシュ?」
「どうしたの?」
「オルガマリー所長に頼まれまして、お二人を自室に案内する事になりました。着いてきてください」
マシュの先導に従い、明久達は続いた。
このカルデア基地は、かなり高い山に建設されているという話で、途中見た窓からは外は猛吹雪だった。
だったのだが、明久は嫌な予感がしていた。
それはさておき、マシュの案内で明久と立華の部屋に到着した。
どうやら隣同士の部屋のようだ。
因みに、明久が一番端の部屋らしい。
「それでは私は、コフィンルームに戻りますね。最初のグループなので」
「うん。分かった」
「頑張ってね!」
「はい、ありがとうございます」
そうしてマシュと別れて、一先ず明久の部屋に入った二人が見たのは、イスに腰掛け、ケーキを食べている白衣を着た緩い雰囲気の男性だった。
「どうやって入ったんだ、君達!? ここはボクのサボりスペースだぞ!?」
「えぇー……」
「サボりって言い切ったよ、このダメ大人……」
立華は呆然とし、明久は思わずそんな事をのたまった。
「えっと……この部屋が僕の部屋って聞いたんですが……」
「え、そうなの?」
明久の言葉を聞いた男性は、グルリと部屋を見回して、段ボールが複数置いてある事に気付いて
「あ、本当だ。荷物が置いてあるよ……あーあ……ボクの貴重なサボりスペースが……」
「ダメな大人だ……」
再度、容赦ない言葉が明久の口からもれ出た。
すると男性は、食べ終わったらしく皿を机に置き
「まあ、とりあえず自己紹介しとこうかな。ボクの名前はロマニ・アーキマン。このカルデアの医療セクションの責任者だ。皆からは、ドクターかドクター・ロマンって呼ばれるね」
と軽く自己紹介してきた。
「責任者がサボっていいのかな……」
「やはりダメ大人か……」
「厳しくない?」
明久と立華の言葉に、ロマニは肩を落とした。
しかし、気を取り直したのか
「それより君達は?」
「あ、僕は吉井明久って言います」
「私は藤丸立華です」
ロマニの質問の意図を察して、二人は軽く名乗った。すると、ロマニは頷き
「吉井くんに藤丸くんだね。だけど、この時間はブリーフィング中じゃないのかい? どうしたんだい?」
「えっと、確かに参加してたんですが……」
「私が寝てしまって……放り出されました」
「ああ、入った際のレイシフト試験で脳に負荷が掛かったのかな? レイシフトは慣れないと、かなり疲れるからね」
立華の話を聞いたロマニは、即座に原因を特定していた。
「レフさんも同じ事を言ってました」
「レフにも会ってたのか。さて、ボクはそろそろ医務室に一旦……」
ロマニが皿を持って立ち上がった時、ロマニの腕にある機器が鳴った。
「はい、ロマニ・アーキマンだよ」
『ロマニか? 済まないが、コフィンルームに来て、Aグループ以外のマスター候補者達に鎮静剤を投与してくれないか? 高い緊張状態が確認された』
ロマニが操作すると、レフの声が聞こえた。
「分かった。今から行くよ」
『頼む。医務室からならば、3分位だろ? 早めに投与してくれ』
そこで通信が途切れ、ロマニは立ち上がった。
「ここ、医務室じゃないですよね……」
「コフィンルームまで、最低でも五分は掛かりますよね?」
「ま、まあ、多少の遅刻は見逃してくれるさ……」
ロマニはドアに歩み寄ると、振り向き
「それじゃあボクは、コフィンルームに行ってくるね。君達は部屋で大人しくしてるように」
と言って、ドアを開けて出ようとした。その直後、轟音と共に部屋が大きく揺れた。
「な、なに!?」
「今のは……」
立華は驚き、ロマニは周囲を見回した。
部屋の辺りでは、何も起きていない。だが、明久は冷静に
「今の爆発……施設の破壊が目的……?」
と段ボールから、2つのケースを取り出し、腰の左側と右太ももに装着。更に細長いケースを肩に担いだ。
そして、既に駆け出していたロマニと立華を追いかけた。
そして、コフィンルームの入り口に到着したのだが、コフィンルームは惨憺たる有様だった。
炎に巻かれ、壁や天井が崩落し、更に根幹設備のカルデアスが真っ赤に染まっていた。
「酷い……生存者は……」
ロマニはコフィンルームに入ろうとしたが、その時
『メインジェネレーターに異常発生。カルデアスの維持に支障が出ます。サブジェネレーターを起動してください。繰り返します。メインジェネレーターに異常発生』
と機械音声で放送が聞こえた。
「マズイ!! 君達は避難するんだ! ボクはサブジェネレーターを起動してくる!!」
ロマニはそう言って、来た道を戻っていった。
明久はそれを見送るが、立華はコフィンルームの中を見て
「マシュ……!」
と駆け出した。
どうやら、マシュを探したいらしい。明久も僅かに遅れて、立華を追った。
走りながら明久は、コフィンルームを確認した。
レイシフトに使うコフィンは壊れ、これからレイシフトしようとしていたマスター候補者達は全員が負傷していて、更に準備に奔走していただろうスタッフ達も倒れ伏していた。
その時
「マシュ!」
立華がマシュを見つけた。
マシュは崩れた壁に挟まれていて、明久は一目で致命傷と気付いた。
「あ……先……輩……」
「マシュ……! 待ってて、今……!」
立華はマシュを助けようとするが、明らかに人が持ち上げられる重量ではない。
「先……輩……手を……」
マシュが意識朦朧としながらも、立華の方に手を伸ばしてきた。明久も立華の隣に膝立ちになり、立華と一緒にマシュの手を優しく包んだ。
それにマシュが微笑んだ時
『2017年より先の人理が確認出来ません。繰り返します。2017年より先の人理が確認出来ません。これより、レイシフトを開始します……コフィン内のマスター候補者達の体調が規定値を満たしていません……マスター候補者2名、コフィンルーム内に確認しました。これより、特異点Fにレイシフトを開始します……5……4……3……2……1……レイシフト、スタート』
機械音声が流れ、明久達の
R18にするかしないか
-
する
-
しない