バカが駆け抜ける人理修復   作:京勇樹

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合流

 

 

 

「……ここは……」

 

気付けば立華は燃え盛る街中に居た。

街灯に貼ってあるボードからは、日本だとは分かるが、火災が原因か分からないが、何処かは分からないでいた。

 

「あれ、マシュ……明久くん……?」

 

そして立華は、自身が単独だと気付いた。

とりあえず移動しようと考えた立華は、今居る場所。川辺から移動しようとした。その時、背後から足音が聞こえて

 

「あ、明久くん?」

 

と振り向いた。その先に居たのは、刃毀れした剣を持つ骸骨だった。

逃げようと考え、立華は走ろうと振り向いたが、その先にも同じ骸骨が槍を持っていた。

 

「挟まれた……!」

 

マズイと思いながら、立華は後退りして、ジリジリと川に追い込まれていく。何とか生き延びようと考え続けていた立華だったが、背中に街灯が当たり、諦めかけた。その時

 

「マシュ!」

 

「はい!!」

 

川の上にあった橋から、聞き覚えのある声がして、人影が二人飛び降りてきた。

その飛び降りた二人は、それぞれ先頭の骸骨を一撃で撃破し

 

「風刃・裂破!!」

 

「はあぁぁ!!」

 

明久は腰のケースから札を取り出して投擲し攻擊、マシュは両手で持っている大きな盾を使って次々と骸骨を撃破した。

 

「立華、大丈夫!?」

 

「ご無事ですか!?」

 

瞬く間に骸骨達を撃破した二人は、立華の無事を確認した。

 

「う、うん。私は大丈夫……それよりマシュ! 確か、致命傷だった筈……」

 

立華の記憶では、瓦礫に下半身を押し潰されて、その命は風前の灯火だった筈。しかし今のマシュは、黒い鎧に大きな盾を持って平然としている。

 

「はい、それなのですが……」

 

マシュが説明しようとした時、何処からか悲鳴が聞こえた。

 

「他の人が居る!?」

 

「行こう! 今の感じから、そう離れてない! マシュ、立華を!」

 

明久はそう言いながら、新しい札を数枚取り出すと空中に投げた。

 

「はい!」

 

「わぁ!?」

 

マシュは軽々と立華を横抱きにして、立ち上がった。その時

 

「見つけた! こっちだ!」

 

と明久は一気に駆け出した。

ほぼ同時刻

 

「はぁはぁはぁ! な、なんなのよ! なんで、私がこんな目に!?」

 

オルガマリー・アニムスフィアが、悪態を吐きながら走っていた。その後ろには、明久達が交戦した骸骨が大量に群れていた。

しかし、オルガマリーが履いているのは、走るのには向いていないピンヒール。しかも路面のアスファルトは砕け、そこかしこに大小様々な瓦礫が転がっている。

 

「うあっ!?」

 

オルガマリーは瓦礫に足を取られ、転んでしまった。

 

「もう!」

 

オルガマリーは焦りながらも、魔術回路を起動させて、ガンドで骸骨達の迎撃を始めた。

ガンドが当ると、骸骨は崩れる。しかし骸骨達は、止まらず進撃してくる。

 

「このままなら……!」

 

何とかなる。オルガマリーがそう思った時、頭上で何か崩れる音が聞こえて見上げると、大きな瓦礫を乗り越えて更に数体の骸骨が現れた。

 

「上から!?」

 

オルガマリーは急いで上から攻めてくる骸骨を撃破していくが

 

(間に合わない!?)

 

上からもだが、元々追っていた骸骨達の内の一体が、槍を投げようと構えた。そんな時

 

「雷帝招来!!」

 

オルガマリーの頭上を雷が奔り、上から来ていた骸骨は消滅。そして、飛来していた槍は

 

「はあぁぁぁ!!」

 

オルガマリーの横を駆け抜けて前に出たマシュが、その盾で弾き、骸骨達と戦闘を開始した。

 

「え、マシュ……デミサーヴァント化してる……?」

 

「大丈夫ですか! って、所長!?」

 

オルガマリーがマシュの姿に呆然としていると、立華と明久がオルガマリーと合流した。

そして、瞬く間に骸骨を撃滅したマシュが戻り

 

「所長、立てますか?」

 

と立華がオルガマリーに手を差し伸べた。

 

「ありがとう……」

 

立華に助けられて立ち上がるオルガマリー。すると明久が何か聞こうとしたが、そのタイミングでオルガマリーが手首に装着している通信機が鳴った。

 

『良かった! 通信が繋がった!』

 

「ロマニ! 何で貴方がその席に座っているのよ!」

 

『うぇっ!? 所長!? 生きてるんですか!?』

 

オルガマリーが叱責すると、ロマニは驚いていた。

 

「どういう意味よ!! それより、レフはどうしたの!?」

 

『……レフは爆発の中心地点に居たらしく……爆発の被害から察するに、生存は絶望的かと……』

 

「そんな……」

 

ロマニからの報告に、オルガマリーは悲痛な表情を浮かべた。

 

『管制室も被害を受け、無事なスタッフは約20名……とりあえず急ぎ仮復旧し、何とか通信を繋げました……それと、マスター候補者達ですが、ほぼ全員が瀕死の重傷で……』

 

「な……急いで冷凍睡眠状態へ移行しなさい! 今ならまだ間に合う筈です!!」

 

『あっ! その機能があったか! 急ぎ対処します! 少々お待ちください!』

 

オルガマリーの指示を受けて、ロマニの姿が通信画面から消えた。それを見ながらオルガマリーは

 

「ほぼ全員が瀕死の重傷だなんて……! 生きてさえいれば、国連や魔術師協会や各家になんとでも言い訳出来る……!」

 

と一生懸命な様子で、呟いていた。

すると、指示と対処が終わったのか、ロマニが姿を現して

 

『何とか間に合いました。処置が出来るまで、マスター候補者達は冷凍睡眠状態で保管します』

 

「ええ……ひとまずはそれで良いわ……ロマニ、マシュを検査してくれる?」

 

『え…………こ、この数値は……!? デミサーヴァント化が、成功している!? なんで!?』

 

オルガマリーの指示を受けて、ロマニはマシュを簡易的にスキャンし、機器に表示されているデータを見て驚愕していた。

 

「デミサーヴァント……?」

 

ロマニの言葉に、立華は首を傾げた。

一応寝てしまう前に聞いていた説明で、サーヴァントというのは過去の偉人、伝説の英雄達の魂を使役している、というのは覚えていたからだ。

 

「半分人間、半分英霊……オルガマリー所長、なんでこんな人道に悖る所業を……? 人理を守る為とは言え……」

 

「分かってるわよ! 私だって、つい最近知ったのよ! 先代がそんな事をしていたなんて!!」

 

明久の言葉に、オルガマリーは半狂乱になりながら答えた。

そこからは、 ロマニが説明した。

先代所長であり、オルガマリーの親。マリスビリー・アニムスフィアはサーヴァントを不安定と感じた。

サーヴァントは兵器と考えたマリスビリーだったが、兵器にしては人間味があり過ぎて、時にはマスターの指示すら拒否する。それでは、兵器としては扱い難い。

そう考えたマリスビリーは、扱いやすいサーヴァントとしてデミサーヴァントを考案した。

現代人を依り代として、サーヴァントを憑依。または力を与えようと。

しかし、召喚したサーヴァント達は殆どが拒否し、座へと帰った。

だがその中で一騎だけ、協力して、マシュに憑依した。しかしそのサーヴァントがどの様な英霊か、能力かは不明。それだけでなく、今まで能力の発露は無かった。

その結果から、マリスビリーはデミサーヴァント計画を打ち切りにし、マシュをマスター候補者として採用したという。

 

「私はそれを、カルデアの運営を先代から引き継いだ後に知ったのよ! そこからは、もう調べるのが怖かった……誰かに……マシュに復讐されるんじゃないかって……」

 

オルガマリーは半ば泣きながら、心中を吐露した。

すると、まだ良く分かっていない立華が

 

「ねえ、明久くん……デミサーヴァントが何でダメなの?」

 

と小声で明久に問い掛けた。

 

「まず、体の強度が段違いだね……現代人の体の強度が1としたら、昔の英雄達は平気で100や1000を超える……次に魂の情報量は、現代人が10。英雄達は万に優に届く……何より、一つの体に2人分の魂……立華に分かりやすく言うと、自転車に無理矢理ジェットエンジン積んだらどうなる?」

 

「いや、それは……」

 

立華は思わず言い淀んだ。

そんなの、火を見るより結果は明らかだからだ。

 

「オルガマリー所長……私は恨みなんてありません」

 

「嘘よ……」

 

「嘘ではありません。そもそも私は、カルデア以外を知りません……」

 

マシュのその言葉で、明久は気付いた。

 

「そうか、マシュ……君はホムンクルスなんだね……?」

 

「……はい、その通りです。吉井先輩」

 

「なるほど……通りで魔力に少し違和感があった訳だ……デミサーヴァントになる事を前提にしたのなら、納得出来る」

 

明久が納得した様子で呟いていると、何かに気付いた様子のオルガマリーが

 

「……待って。貴方、一般人の筈よ? 何者?」

 

と明久を睨んだ。

すると明久も

 

「まあ、事ここに至っては仕方ないか……」

 

と言って、懐から青い布製の御守りより一回り大きい物を取り出した。それには、五芒星と炎が重なった意匠が刺繍されていた。

 

「天皇家直属秘匿部署。陰陽寮・焔。近接戦闘専門部隊。検非違使(けびいし)第10部隊隊長の吉井明久です」

 

明久はそう名乗った。

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