神が消えし世界で   作:綾式

2 / 3
続けての投稿です。ストーリーを考えるのは面白いですが文章にするのは大変ですね。


森に住まうもの

 月が完全に覆い隠され、月光の届かぬ深き闇に包まれた森を、ひとつの小さな火の灯りが突き進んでいた。その火に照らされ進むものは、皮できたフードを深く被り顔がみえない。だが、まるで何かを探すように左右を見渡しながら歩いていた。

 やがてその人物は何かをみつけ、灯りを地面に置き、それを拾い上げた。

 

「おぉ…。ついにみつけた。これが、予言の…」

 

 まるで、この世で一番大切なものをみつけたように拾い上げたものを、ゆっくりと覆うように抱きしめていた人物は、すぐにハッと左右を見渡し素早く懐にしまい込むと、地面の灯りを拾い上げ、逃げるようにその場を立ち去っていった。その様子を闇の中で木々の枝に止まり見ていたカラスは羽を広げ、一鳴きするとその場から飛び去っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「セイッ‼」「ヤァッ‼」と威勢のある声が、森の中に連続して響いていた。声の響く森の中に、ぽっかりと空いた少し広めの空間に、木々で頑丈に作られた小屋が一軒あった。その小屋のそばに丸太に布を被せただけの人形に対し、両手で剣を振るう一人の人物があった。

 その人物は普通の容姿とは違い、かなり小さい。まるで童のような見た目であり、人の身体の腰ぐらいまでの身長しかなかった。布で縫われた上が白で下が黒の服を着ており、上半身の首回りを覆うように革で作られた外套を身につけていた。髪は白髪で長く、それを後ろで一つに纏めているだけの簡単なもので、激しく動いても問題ないようにしているようだ。

 やがて、ひと段落したのか、剣を振るうのを止めた人物に対し、後ろから声を掛けるものがいた。

 

「そろそろよかろう。それまでにしたら良いのではないか。」

 

その声に反応して、剣を振るっていた人物は、声の方向に振り返った。

 

「おはようございます、長老。」

 

そう長老と呼ばれた人物は苦笑交じりの声で、

 

「長老と呼ばれるようなものではない。確かに、この森の直ぐそばに住んでいる村の者の中では一番老いているが、ただ老いてしまっただけの老人よ。」

 

そう言いながら老人は白いひげを撫でながら続けて、

 

「それにしても、だいぶ様になってきたではないか。ユール。もう一人前の戦士となってきたか」

 

ユールはその声に首を横に振る。

 

「まだまだ未熟です。それに、一番軽いショートソードだけでは魔獣を全然倒せません。魔獣を倒すためにも、もっと力をつけて重い武器を持てるようにならなくては。それに…」

 

そう言ったあと、ユールは下を向きながら

「私は周りの人よりも小さいニスです。ヒューマンやドワーフのように力が強いわけでもなく、エルフィンのようにルーンに強い適性があるわけではない。森の奥深くで暮らすのが普通のニスなのです。ですので…」

 

そう言うと伏せていた顔を、老人に向け、手に持っていた剣を強く握りしめて。

 

「普通の人よりもより多く、しっかりとした鍛錬が必要なのです。」

 

まるで鍛冶台のように、重く堅い決意の表情を浮かべながら老人に対し、ユールは話した。その後、何かに気づいたようにユールは老人に話した。

 

「ところで長老。なにか用があってここにいらしたのでは」

 

そうユールが老人に尋ねると、老人は思い出したような表情をして、ユールに話し出した。

 

「うむ。これから村の動ける衆で、村のそばに新たに現れた魔獣を撃退することになっての。ユールもどうかと思ってな。参加するかの有無の確認に来たのだよ。どうかね」

 

そう言った老人に対しユールは、

 

「はい、喜んで。参加させていただきます。今から支度をして村の方に向かいますね。しかし、」

 

と、返事を返すと続けて疑問を言うように老人に対し

 

「また新たな魔獣ですか。つい先日も撃退したはずですが。同じ個体ですか」

 

と質問を投げかけた。それに対し老人は首を振り、

 

「いや、先日の魔獣とは別の個体だと発見したものは報告してきておる。だが油断はできん。いつ手出しできんような強大な魔獣が襲い来てもよいように、準備はしておかねば。」

 

そう老人は答えると、森の外にある村の方に身体を向け、

 

「ではな、ユール。先に村に戻って村の衆にユールも来ることを伝えておく。村の広場で集合でよいな」

 

と、言い終わると村に向けて歩き出した。ユールはそれを見ながら、

 

「わかりました。長老。」

 

と返事をし、ユールも自分の小屋へ戻っていった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。