担いだ神輿が重すぎる! 作:ノコギリヘッド
最近忙しいので毎日投稿はそろそろ出来なくなります…。
「コクヨウ様…何故未だにこの様な目も当てられない食べ方を続けているのでしょうか?私が注意した事、覚えてますか?」
心底下に見る…普段なら絶対にあり得ない、軽視と侮りの籠った冷たい瞳に見つめられる…♡
覚えていない筈がありません!あの一言は私の中でも上位のフレーズ…出したが今日だけでもうかなり順位を落としてしまいました…♡
「は、はひ…『上に立つ者として示しがつく様、然るべき態度を心掛けてください。私が何を言わんとするか…分からないなどと言うことはありませんね?』…と…手掴みで食べている私の目の前で言っていました…。」
「気持ち悪い程に背景共々完璧なエミュが出来る程度にはそう覚えておきながら、何故出来ないのです?」
イ、インフレがっ!深海に降り注ぐマリンスノーの如く供給不足だった概念が、大雪の如く降り注いでいます!このままで
…私の矜持が叫んでいます!こんな簡単に負けてはいけませんと…そして何より…夢にまで見たこのシチュエーションを堪能せずに終わるなどあり得ません!!!
「え…えとあ…背徳が心地よく…そ、それにプライベートなら…ッ!」
「貴女にプライベートはありません。貴女のスケジュールはわたしが管理しています。よって、私の管理のもとに…お前のプライベートは無い。」
「〜〜ッ♡!?」
わ、私の負けていいです…♡
「大体、日頃から私のプライベートを粉砕して置きながらよくぬけぬけと本人の前で語れますね?頭おかしいんですか?おかしいんでしたねこんな状況で犬みたいに座って息を荒げてる…飛んだ変態魔人ですからね?」
「は、はひ…♡私はどうしようもない変態魔人です…ですから私の弟私のヒューム…♡こんな変態魔人に然るべき処遇を…♡」
「気持ち悪い…片角折られたからこんな事になったのでしょうか?それなら…。」
「…あッ!♡」
乱雑に私の片角を持ち、グイと顔を寄せる。触れられた時点で気絶しそうだったのに、そのままハンドルみたいに動かされていきなり顔はすぐ横に来て…昇天する気分です…。
「…この角へし折ったら元に戻りますか?」
「あ…ああ…ぁッ♡」
お…折ってください…そして完全に貴方の物だと私に刻みつけ、そして今までの貴方に対する無礼を精算するように…私をぜひ責め立て…。
「……あれ?そう言えばそもそもどうしてわたしはコクヨウ様の部屋に居るのでしょうか?…ッ!?う"む"ッ!?〜〜〜〜ッ!」
「あぁ何処に行くのですか!?吐瀉程度私がこの身で受け止めますのに!」
急に顔を真っ青にし頬を膨らませたかと思えば見た事ない速さで部屋を飛び出してしまった…。
状況から見るに、この夢のような時間は彼がお酒を飲んだ事に起因するとすれば…呑み過ぎで吐きそうになったのでしょう。……気にすることはなかったと言うのに…寧ろ…。
「……流石にハードプレイが過ぎますか?でもゆくゆくはして欲しいですが………。」
丁度、未熟な子が親の吐き戻しを食べる様に…最終的には私をゴミ箱にして欲しいですね。そして時折思い出すのです、過去自身がどれだけ高位な存在だったのかを、その転落の様を反芻し…♡
片角に手を当てる。まるでハンドルのように乱雑に握られ頭を振られ…もしかしたらそのまま愛しの弟の立派な弟を突っ込まれるのかと期待した節もありましたが…全ては夢の如し…ですが…こればかりはどうしようもありませんね。
そしてこれもどうしようとありません。半ば本能ですから…。
「吐きそうになり涙目の貴方を見てしまうとやはりどうしても…。」
虐めたくなってしまいますね…♡
………
……
…
「当日になってしまいました…。」
結局なにも有効な手立てを打ち出せず、自分でも呆れ返るほどの無能ムーブで幕を閉じたこの一週間。
…そもそも私頭良くありませんし?ヒューム様に買って頂くために出来る女ムーブを貫いて来ましたが、3歳で虐殺喰らってそこからずっと戦場育ちですよ?寧ろ良く立ち直った方だと思います。
…が、それでは足りなかったと言う事でもあります。
「……失礼致します、本日は…。」
「だから知らないですって…ッ。…あ、シルバ!丁度いいところに…!コクヨウ様がこのお酒の出所を吐けと朝からしつこく困っているところに良く!シルバ、この酒は何処で入手した何と言う酒だ?」
「………ッ!?の、飲んだのですか!?」
「…ま、まぁな、昨日少しな。」
「き、記憶は!?飲んだあと何をしていたか記憶は!?」
「お、覚えてないが?気づいた時には自分の部屋だったから…ずっと自分の部屋にいたんじゃないか?」
そんな筈がない、ある訳がないでなければこの淫乱スケベクイーンが雌の顔をしていない!!
すんすんお"ぇ"!…臭う…臭う!コイツ…ッ。
ふぅ、落ち着きましょう。見たところ一線は超えてないようですし。
……ガッテム!こうなるのでしたらずっと見張っておくべきでしたッ!
「……シルバ?どうした?お前らしくもない百面相だが…。」
「成る程…シルバ、着いてきなさい。」
「え?」
「は?」
「“今後”に関わる話ですよ?それともこのまま荷物を纏めて消えますか?」
…『性格が豹変する特殊なお酒』なんて馬鹿正直に話せば幻滅不可避…嫌な相手にバレましたね…。
はぁ、こうなれば仕方ありません、話に付き合うとしますか…。
「分かりました。」
「ヒューム、この件はここで終わりとします、仕事に戻りなさい。」
「は、はぁ…。」
心の底から何が何だか分かっていないその表情も愛おしい…それにヒューム様がその様な表情をされるのは非常に稀、これは脳内カメラで秒間1万連写の鬼記録!
…ふぅ、頭が爆発しそうです。丁度先程ゴミ見たいな情報を取り入れてしまったのでこれを削除しまして…。
ガチャン
「では、単刀直入に言います。あのお酒の出所を吐きなさい。そうすれば…解雇の件は無しとしましょう。」
「…本当ですか?」
「はい。口約束とて約束。私は言葉を違えません。必要ならば誓約書も作りますか?」
「……いえ、言質で充分です。……では、話す前に一つ質問に答えていただいてもよろしいですか?」
「何でしょうか?」
「……どんな感じでした?」
「……っ!…それは……。…♡」
「…ッ!」
ムキィーーーッ!メス!メス過ぎる!何だこの卑しいメスは!?羨まし過ぎる!!!羨ましいですヒューム様!何故!?何故この女なのですか!?私もメスにして下さいよ!何の為に自分磨きしてると思ってるんですか!?
「もう結構です。責められて悦ぶ変態の感想などどうでもいいので。」
「…それはお互い様でしょう?あの様に豹変したヒュームに、責められたかったのは貴女も同じでしょう?」
「…くっ。」
「………。」
「………。」
この時、不思議なことが起きた。
M志望のSとS志望のM、愛する男を取り合う仲、正しく犬猿の仲とも言える二人の間に、少なからず同じ様な性的嗜好を持っていると言うかなり深めの共通点が発生した事により…なんと…僅かとは言え仲間意識が芽生え始めたのだ…ッ!
その意識は互いに妥協を産む。
「私の弟には常に害虫の目が向けられています。が、残念ながら四六時中彼を守ることは…今の私には出来ません。…貴女は一応それなりに対応できた実績があります。ここは一つどうでしょうか?手を、組みませんか?」
向けられた手、握れば愛する人を独占する事を叶える事は非常に難しくなるだろう…が、握らなければ触れることすら困難な間柄にもなってしまう。
…私は…握った。
「……ふふ、そう、それで良いのです。」
せいぜい笑ってろ、今は使われてあげますが、勝つのはこの私だけッ!
………
……
…
「……なんか凄くやらかした気がする。」
出て行く二人を見送り改めて振り返ってみるが…やはり記憶は戻って来ない。酒についてボスが問い詰めたと言う事は、確定で何かしらやらかしてると言う事、ただ肝心の内容を聞けていない。理由は怖いから。
ま、ただ誰も咎めないから多分然程何もやらかしてないのだろう、ならセーフだな!
「そんな事よりも潜入作戦第二弾!」
ギラードの弱点、出力を出し過ぎると自滅する。
今までそんなそぶりすら見たことなかったのは、アイツが全力を出すというシチュエーションが無かったからだろうな、化け物め。
…だが、コクヨウなら何とかするだろ。
「残るはデウポリアとルーファス、ドスケベ兄妹、エルシーラか…。」
デウポリアなんだが…水中都市とかどう潜入しろと?どうせ火属性弱点だろ?なら別によくね?
ルーファスは嫌過ぎる。ルーファスが、と言うのもあるがそもそも人喰いランドに行きたいかって話、死ぬわ。
ドスケベは…まだマシか?……いや割と結末はルーファスと同じ道を辿るんだろうな。アイツら亜種みたいなもんだし、血肉を食うか精を食うかの違いだし。
「ほなエルシーラか?」
彼女は頭が硬い。てか種族自体頭が硬くプライドもそれなりにあるし、他種族に対する見下しもトップレベルだ。あいつらの常套文句は『野蛮』だ。
「本当にそう思う、人食うとか野蛮極まりねーぜ!」
ま、人喰い習慣も無くなりつつあるけどな。あれだ、今の日本は犬食わないだろ?そう言う感じ。今でも食ってるのはそれこそルーファスやドスケベくらいだ。
「じゃあエルシーラか…。」
コンコン…
「…っと…入れ。」
入って来たのは諜報機関所属の魔人の男、名前は…。」
「どうしたゲラー?」
「名前を…いえ、一つ耳に入れて頂きたい情報がありまして…。」
報告書に上げないと言うことは、記録を残したく無い…それくらいの情報ということか。
「王片の所有者、『ルーファス』率いる喰魔種連合国家が、人間達に攻め入る計画を立てている可能性が浮上しました。」
…成る程…。ヤバいじゃん。
「……それは…確かか。」
「可能性の話しです。が…彼の国には…。」
「……“化け物”が動き出したのか?」
「……兆候があります。奴らが大事を成すには我々の思う以上に大量の血肉が重要ですが、今の選択肢で取れるその供給先となれば…。」
ヤバい、ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいッ!それはダメだ攻めさせたら本当に終わる!!それに絶対他にも飛び火するし!
「化け物退治の為のコストを人間で強制徴収しようとしているのか。…無謀な…ッ。」
…化け物退治どころじゃ無い!その化け物以上の化け物だぞ!?
「……これは我が国の総力戦研究所に計算を依頼した結果なのですが、彼の国と人間が衝突した場合、彼の国が勝てる見込みは…。」
…だってそうだ、だってこの世界の人間は…ッ。
「一割を切ります…。」
今でこそアレだが、それでもかつて魔王率いる全種族連合を相手にしておきながら、引き分けに持ち込んだ実績持ちの種族なんだからな…。
因みに、コクヨウちゃんはどれだけ堕ちても嗜虐嗜好は絶対に残ります。なのでどんなに支配しても隙を見せた瞬間全自動で逆に喰われるのでやはりSMプレイの真の支配者はMなんだなって。