担いだ神輿が重すぎる! 作:ノコギリヘッド
「………どうした?」
「いえ、お気になさらず。私はただその勇ましい横顔に見惚れていただけですので。」
「……こう言う気分だったんだな…そりゃ籠るか?」
「…?それは…。」
「こっちの話だ。そうだ、何か飲み物を持って来てくれ。」
「かしこまりました。」
一礼、背を向ける。
やはり何もかもが計算通り。あの耄碌老害、怪しい動きをしていたこと自体は把握していましたが、伊達に長生きもしていない。老獪と言うべきでしょうか、確証に至るまでには行かず報告は留めておきました
「と言うのは建前で、本当は“面白い事”を…あばよくば気を引けるかと考えて、敢えて報告は辞めていましたが…。」
やはりと言うべきか、私が何をするまでもなく把握、その上対策まで考えそして実行してしまう。
確認の為にちょっと強請って試してみましたが、怒られてしまいましたし、それにまるで私が試されている気分でしたが…悪くありませんでした、寧ろその調子で…。何でもありません。
…時折り見せる間の抜けた態度も計算の内なのでしょうか?となれば私の内心も、全て看破している?それなら何故泳がしているのでしょうか?
私は…。
「今回の一件、いかなる手段で盗聴されているかわからない最中、“不測の事態”とまで言わせ、数多さえその身を危険に晒すと言う失態を致しました。…本来ならば相当の罰が待っている筈なのですが…。」
優しい優しい私の主様はそれを致しません。残念ながら、えぇとても、ひじょーー!に残念ながら。
いけない主の典型例でございます、下し甲斐がありません。
そして一番いけないのは…。
「それをわかって、敢えて放置している点…でしょうか…?」
あぁいけませんいけませんそれはとてもいけません!そんな事をされては理解せ欲が振り切れてしまいます…♡
「ただでさえ最近は構ってくれなくて寂しい思いをしていると言うのに…。」
そんな焦らしを受けて仕舞えば私は…爆発してしまうかも知れません。
「…ですがそれ以前に。」
罪には罰を、失態には報いを、そうしなければならないのです。本来甘やかすなど言語道断、この場面に与える優しさほど体に悪い
そうでなければ勘違いをしてしまうのです。…丁度私の様に、何をやっても相手は反撃をして来ない…己以下の弱者であると。別にその地位から引き摺り下ろし踏み躙っても構わない存在であると。
「だからこそ“躾”をしなければならないのですよ…?」
とまぁ、色々思い耽りましたが別にいいのです。態と報連相を怠り、意図を汲み取らず、危険に晒し、罰を求める。そしてその態ともバレているとしても。
「…問題はあの破廉恥クイーン…ッ。貧相な体のくせに性欲だけは立派に主張しやがって…ッ。……こほん。」
そう…入室した時感じたあの執拗な魔力……ッ!
可哀想に…哀れにも日々窶れて行くあの方を見るのは心苦しい…。かれこれ長い付き合いになりますが笑っている姿を見た事がない程です。
…あんの性欲クイーンは事あるごとにパワハラとセクハラを続けている!何とも羨ま…じゃ無くて…如何わしい!
私だって…私だって…ッ!
「……っ。」
体が震え思わず左眼を抑える。今はもうなんとも無い、けれどなんともあった日、毎日欠かさず取り替えて付けてくれた眼帯。私を著しく狂わせてしまった優しさに思い縋り、なけなしの理性が恩にしがみつく。
そうしなければ…私は…。
「…屈服する様を上から見たい…♡。」
何をするにもされるがまま、全てを肯定して犯し貪りたい…。“上”に立つ貴方をその席から引き摺り下ろし、踏み躙り従わせあらゆる全てを支配して破壊したい…そんな衝動を我慢して我慢して…。
「大体どっちつかずなあの立ち振る舞いが行けません…♡あんなのもう誘っていますよね?挑発していますよね?」
あんなにも聡明な者を屈服させることができたならどんなに心地良い事か?あんなにも脆弱な存在に理不尽を与えられるならばどんなに気持ちがいいことか…?大恩すら踏み倒して襲われて…絶望する貴方はさぞ美しいのでしょう…。
それは今までのどんな下剋よりも気持ちいいコトである事に違いはありません間違いありません。
「…そう、全部貴方様のせいですよ…?」
これもそれも全部貴方様のせい。残酷にも私の様などうしようもない歪んだ反骨を甘やかしても、なんのいい事もありやしないのに…。
私の言葉なんて聞かなければいいのに、律儀に応じて皮肉やタメ口、本来許されない態度ですら許してしまう。
あぁわかっているの、理性ではわかっているの。貴方様は私の自立を期待してるって、だから明確な上下をつける事がないって、わかっている。
けれどこれは分かっていないのでしょう…それは私にとって死刑宣告も同然。私はもうとっくに壊れているのです。…誰かに飼われないと生きていけなくて、そしていつかは飼い主を下す事を悦びとしている、どうしようもない変態だと言う事を…。
あぁ…。早く、早く…私に上下を躾けなければ…それもただ躾けるのではありません、もう中身が出ちゃうくらいハードなプレイで理解せ無いと…。
「いつか喉笛を噛みちぎられてしまいますよ…♡」
勿論比喩、噛みちぎりなんてしない。ただ監禁して全身に歯形を付けて子供が100越えるまで軟体ナメクジ交尾を続けるだけの精子タンクになってもらうだけ。そんな普遍的で我慢のし難い欲望と本能を抑えていると言うのに…ッ!なのにあの貧乳は…ッ!
「………はぁ…それは私もですが…。」
溺れる様な嫉妬、無限に渇く羨望、衝動的な本能、それらが混ざり合ってできた黒い気持ちが湧き出るものの、なんか一気に萎えてしまった。
…やはり劣悪な幼少期が災いしたのでしょうか…?…これはますます私の主様に愛していただいてこの貧しき心をたわわに実らせて貰わなければなりませんね。でなければ私が貴方をぶっ愛します。揉ませます。
「そうなれば善は急げですね。」
日夜ハードワーク漬けでここ最近は明らかに生気がない。この調子では子供どころか
そうならばやはり攻めるべきなのか?あの方も私から下剋の圧を感じ取れば屈服に動くかもしれない…?
「…おお、時間をかけた分かこのココア、前より美味しいな。教えてからまだ3回目だと言うのに流石だな。」
「お褒めに預かり光栄でございます。」
あぁ褒め言葉さいこぉ…。欲を言えばもっと高圧的に言って下さると被支配欲が刺激されて尚且つ支配欲が抑えられるのですが…。
何ならその調子で私の首に鎖を巻いて四足歩行を強制していただきココアを叩きつけてヘソ天を命じて欲しい所。何ならそこから⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎を出させたそれを舐めさせそのまま⚫︎⚫︎⚫︎を…。
…こほん、ともあれそうでなければ私の心は変わりませんよ?このまま放置すると言うのなら仕方ありません。ここは私が貴方にヘソ天を命じて…。
「…もうこんな時間か…。丁度ひと段落着いた事だ、この辺りでお開きとしよう。」
「はい、本日はお疲れ様でした。」
「…そうだ、最近遅くまでこの部屋の掃除をしているらしいが…程々にしておけよ。」
ガチャン。
…さてと、“掃除”をしますか。
「ぐふふ…ずっと握ってたペン…ずっと座ってた椅子…口をつけたカップ…。」
これらを回収もとい掃除…そしてメインディッシュは…!
「使い古した枕!」
古くなるのを虎視眈々と狙い遂に先日交換の名目で手に入れた至宝!
本当ならば匂いと気配が充満したこの部屋が良いのですが、注意されてしまったのでこれを自室に持ち帰って…ぐふ…ぐふ…くふへへへへへ…。
今日はどんなシチュエーションにしようかしら…♡
あ"〜昂りがッ!昂りが♡
もういっそここで…いや流石に…でももう…♡
「相対する理性と本能が私をぐちゃぐちゃにする〜♡ぐぅ…頭がおかしくなっちゃうそう…♡」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…ふぃ…風呂は最高だイデッ!?」
反射的に足を引いたから大事には至らなかった。何を踏んだのかとまじまじと見つめればそれは鉄の破片…。
「……あ〜。」
俺はこの正体を知っている。まだあったのかと“鎖の破片”を拾いつつあの大事件を思い出す。
「出張中、急用で帰って部屋に寄ったら謎にシルバが全裸に鎖巻きとか言う正気を疑う格好で練り歩いてて…。目と目があった瞬間そのまま鎖を自爆パージ、本人も塵になって消えたあの事件…。」
普通に考えて大事件なんだけど、翌日も調子を崩さずいつも通りに対応してた俺を誰か褒めて欲しい。
てかマジで何がしたかったんだ?終始無言で爆発オチ…マジで何がしたかったんだ?
「普通に顔がいいからやめて欲しい。」
距離感が近いのはあね…ボスで慣れてるが、それはそれ。ただでさえ距離感が近いし、思わず勘違いしそうになる発言も連発するし…。何だよ同衾って、何だよ混浴って誘ってんのか?
シルバの中ではこの距離感が普通なんだろうから我慢したけどな。いやー種族が多いと価値観も多様。触らぬ神に祟りなし、ハードルは上げるに越してことはない。
てか常時性欲オーバーフローで一周回って常時賢者モードなのにここからもう一周回ったら…もう、全自動絶頂マシーンになっちゃうね間違いない。
あと俺の私物がよく消えるのなんなの?シルバを買う前から起きてるから関係ないと思うけど…でもシルバが来てから頻度が上がった気がする。
「そう言えば怨霊は結局治ったんかな?」
購入当初は色んな意味で酷かった。曰く付きで制御不能の戦闘奴隷。
一つ、左目から際限なく怨嗟の涙を流し続け、あたり構わず呪い散らす。
二つ、初めは忠実だが、日が経つごとに命令を聞かなくなり最終的には…。
ずっと俺の後ろをついてくる訳だけど普通に命の危険を感じた。死ぬわボケ!凄惨たる呪殺を受けるの確定でしょ!?てか何奴隷のくせに反抗上等とか思想がアカ過ぎる!
そして調べれば調べるほど頭の痛くなる壮絶な過去。何?『白洞谷』にひっそりと暮らす希少種族で、それを奴隷狩りに一族郎党皆殺しにされその中で生き残った一人?ごめん奴隷狩りカス過ぎん?
そんでその時の怨念だとかをシルバが一気に背負っていて、いつ爆発してもおかしく無い?
本人の戦闘力が高いのもあって呪戦奴隷として運用してたから摩耗して使い物にならなくなったし、最近は“躾”を厭わない反骨が強くなって手に負えない…クソ摑まされてて草。
もう俺は供養の事しか考えられなかった。
怨念さえ解除すれば何とかなると藁にもすがる思いだった…。それに主従関係の日は浅く、まだ言う事を聞いてくれる内に解決したかったのもある。
少ない暇を使ってシルバ連れて白洞谷に直行、道中怪現象のオンパレード、シルバもくすくす笑い始めるし…。もうね、顔色だけならシルバよりも悪かったと思う。
現場についてからは散らばる遺骨を全力回収、魂に安らぎを与えると言われる壺(滅茶苦茶高い)に入れ、特注の墓石をおっ立て、そこから三日三晩鎮魂を願った。もう必死だった、呪殺されるくらいなら三日三晩鎮魂祈祷の方がマシだもん。
「信じられない話怨嗟の涙は流れなくなったし、基本虚無顔か不気味な薄ら笑いの二択だったシルバも、今や色んな表情を見せてくれるし距離感もなんか友達みたいなところがあって癒しでもある。…やっぱり気持ちだな。」
トントンッ!
「あ…ん"ッ、なんだ。(『あいー^^』って返事する所だったあぶね…)」
「コクヨウ様がお呼びです!至急“六号室”へッ!!」
「………わかった…。」
引きこもったと思ったら呼び出し?しかも六号…秘匿性の高い話をする為の会議室じゃん…。
仕事は今夜も寝かせてくれないらしい…。モテる男は辛いね(血涙)
潜在的ドSで支配欲もあるけどでもやっぱりMな性癖がキツめの奴隷プレイ(両刀可)なメイドお姉さん…ファイ!