担いだ神輿が重すぎる!   作:ノコギリヘッド

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 特に策略なんてないけどその場の勢いで誤魔化す展開好き


俺の負担が重すぎる

 

 

 はい、よーいスタート〜。

 ゴングは無いが会議開始だ。

 王達は円卓を囲み俺は後ろで立ってるだけ。

 本来なら別室で他の国の高官とお話しなのだが事態が事態、そんなものは無い。

 と言うかそもそも空間は王片の所有者以外立ち入り禁止、俺が入れているのが可笑しい話だ。確かに名はあるが権利はないんだぞ?

 そこを何故か俺は許されているんだが…許されるからと言ってここに居たいとはならねーよな。

 

 さて、俺は基本空気とは言えもしもには備えないといけない。ここは一つ本日集まった王達のプロフィールを軽く思い返すか…。

 

 

「…たはァ…、結局俺が話さねーとお前らは会話も始められねーのか?えぇ?」

 

 

 円卓の上座から大雑把そうな男の声が響く。一際大きな椅子に座る茶髪の赤メッシュ、王と呼ぶにはワイルドな服装の一見粗暴な若きムキムキ大男こそ、巨人達の王。

 古くは巨神達の血筋を引くと言われた種族、その中でも人型である巨人種の母を持つ次男であり、実質的な長男『ギラード』。

 巨人なので本来かなりデカくなるところを、魔王の血筋が大男レベルに抑え込んでいる…が、その力は強大。聞くところによると山の巨人の拳を指先で受け止めたとか。

 

 

「で、…誰が殺ったんだ?」

 

 

 空気がキンッキンに冷え、その場の全員…あ、俺以外な、俺を除いて全員が殺気立つ。俺は殺気なんて出せないぞ?そんなの出したら殺されるからいつだって平常心だ。

 

 

「ま、名乗り出る訳ねーか。なぁ?デウポリア。」

 

「……そうですね。野心を燃やせど野心に飲まれるほど愚かな者は、少なくともこの場には居ないでしょう。そこまで血の盛る者など…。」

 

 

 ギラードの右隣に座る細身眼鏡で深海色の髪と瞳を持つ冷酷そうなインテリ男こそ三男…?の『デウポリア』。

 煮え切らないのは種族的に…まぁ良い。

 兎に角人魚とか魚人とか…海魔種の母を持ち、今は陸上にいるからパッと見人間だが、海に戻れば彼が大洋を統べる王たるかを知れるだろうな。

 俺は一生知りたくないけど。

 

 因みにギラードの左隣は空席、死んだからな。ナムナム。

 

 

「…ほう?それは私に言っているのか?」

 

 

 デウポリアの意味深な視線に噛み付くはハスキーな女声。

 艶やかな長い銀髪、碧色の瞳、苛立たしげに歪められた口から垣間見る牙、腰より上の辺りから生える蝙蝠の様な翼…絵に描いたような吸血鬼だな。

 帝国仕草な軍服に身を包む彼女の名を『ルーファス』…四女だ。

 高身長なモデル体型で肉付きも良く何よりおっぱいが大きい。

 血肉を欲する喰魔種に属する吸血鬼の母を持ち、そして何よりその母は『真祖』…最強かな?

 気高く気品ある彼女だが、割と致命的な弱味がある。…こんな秘密知りたくなかった…。

 

 

「私は貴様が普段から魚臭くジメジメと動いてる事を知っている。とうとうその日が来たとばかり思って居たが…。もしくは、粗暴な兄上が一時の感情のままに捻り潰してしまったともな。」

 

「まあ待ちなよルーファス。ギラードが見かけに寄らず理性的なのは知ってるでしょ?」

 

「そうだよー!挑発に乗っても意味ないなーい。」

 

 

 苛立つルーファスを諌める二つの声、双子の兄妹『イルベス』と『サキベス』…五男五女な淫魔の双子だ。

 まぁ言わずとも性魔種に属する母を持っている訳だな。

 

 女くってそうな男の方が兄のイルベス、蒼髪に青目、ルーファス同様の位置から薄青の翼膜を持つ小振りな翼と、艶のある角と尻尾を持ち、物腰柔らかな雰囲気が特徴で女くってそう。

 男くってそうな女の方が妹のサキベス、兄同様の位置から薄桃の翼膜を持つ小振りな翼と、艶のある角と尻尾。持ち、ハートが浮かぶ瞳に桃色の髪、甘え上手な雰囲気で男くってそう。

 あ、おっぱいは大きい。

 

 

「性魔が珍しくまともな事を言っているわ。明日は鉄の雨が降る様ね。」

 

「むー!堅物ちゃんまたそんなこと言ってるー。」

 

「まぁまぁ…。」

 

「そんなんだから実質長女の癖に未だ処女なんだよー?」

 

「ッ!、しょっ!処女はこの話に関係ないでしょッ!?穢らわしいッ!」

 

 

 淫魔兄妹に拒絶反応を示す、翡翠色の瞳と爽やかな黄緑の髪を持ちこの中では一番前時代的な服装のいかにも高潔そうな女性こそ、所謂エルフとかそこら辺の精霊種の母を持つ三女『エルシーラ』

 プライドだけなら吸血鬼並みだが精霊種は“高潔”なので絶対に認めようとはしない。

 無駄にプライド高いし新しい物は嫌いな筋金入りの懐古厨ですっごく面倒くさい種族だが、根っこは素朴で純粋、付き合ってみると中々可愛い。

 それに何より人喰いの習慣が全く無いのも高評価。

 ちなみにおっぱいは小さめ。

 

 

「相変わらず叩けば鳴る女だな。で、コクヨウちゃんよ?さっきから仏頂面だか話す事はねーのか?」

 

「………。」

 

 

 返事は無い。さっきからずっと同じ表情で固まっている。

 …はい、ダメみたいですね。なんとコクヨウ様は…コミュ障!なんですねぇ〜ふざけんじゃねぇよ。

 

 

「…ほら、お前の番だ何か言う事あるだろ。」

 

 

 気を使ったのかギラードがコクヨウにもう一度話を振る。

 因みにギラード、普通に人格者だったりする。これもコクヨウの生い立ち的にコミュ障なのを少なからずギラードが理解しているからこそ、こうやって話す機会を与えているのだ。

 

 

「………。」

 

 

 知ってた。ま、ここで黙るのが我らが王であり…魔人種を束ねる王でもある。終わったな、一番マシな選択肢でこれかよ。

 あ、おっぱいは…はい。

 

 他にも魔と天と龍と獣が居る。蛇は…もういいか。

 

 龍と獣は各国に満遍なく存在しているせいで国と呼べる共同体を持っておらずそれに加えて…。

 獣種は10寄れば最強、100寄れば最弱なんて言われるイタリア人みたいな種族だし、龍種は個人主義…個龍主義…?を極め過ぎて纏まれない。

 魔と天は悪魔と天使だな。

 悪魔は排他的で自分から孤立してて、天使は宗教キツくて周りからハブられてる。

 ただ、この場には居ないがこの場を見ている事は確かだ。

 

 で、獣と龍なんだけど、獣はまじで行方不明。問題は龍で…いや、考えないでおこう、うん。

 

 

 

「…はぁ、こっちはこっちで鳴りもしねー。おいヒューム、オメーから何か喋れる事はねーのか?」

 

 

 ぼぼぼぼ僕!?あ〜えーと…。

 

 

「誰が殺ったか、と言うか質問に対しては少なくとも我らではないとお答えさせて頂きます。それと…犯人探しも良いですが一先ず彼の国の行く末を考えることもするべきでは?」

 

「………成る程な、相変わらず先を見る男だ。」

 

 

 だろ?今は引退も視野に入れて活動して居ます。

 てかデウポリアが珍しくデレた。俺はこの現状にデレポリアと名付けた訳だが皆はどう思う?

 

 

「はいはーい!どうせなら言い出しっぺの法則で〜…ヒューム君に決めてもらうのが良いと思いまーす!」

 

 

 この淫乱ピンク何を急に言ってるの!?1発分からせて…ができないのが辛いな。このメンツだと一番小さくがそれでも俺よりは上。

 

 …下手にデカいと辺に目立つから別にこれでいいし?俺はただ従者として一歩後ろを歩き陰に潜む…それが出来れば百点満点な訳ねーだろぶっ殺すぞッ!?(豹変)身長欲しいに決まってるだろッ!(血涙)

 

 

「そうだね、僕もヒュームの案を聞いてみたいかな。」

 

 

 ナンダァテメェ?キンタマ捥ぎ取るぞッ!?

 

 

「ふーん…私からは意見はないわ。ヒュームの意見…面白いものが見れそうね。」

 

「いいだろう、誰が彼の国を統治するか…面白いものが見れそうだ。」

 

 

 ……な、なんで…。コ、コクヨウ様!我が愛する御姉様!どうか私に慈悲を…ッ!

 

 

「……(おろおろ…)」

 

「……(期待の眼差し)」

 

 

 はぇーつっかえ!これが我等の王ですか…(絶望)

 俺の言葉=お前の言葉やぞ!?ちったぁ危機感持て!そのコミュ障も治せ!

 …ぐぬ…ええい!もうどうなでもなれ!

 

 

「……これは一つの“意見”ですが…誰が統治するかに拘る場合、それはギラード様と提示させて頂きます。」

 

 

 何名か眉を顰めたが意見は許さない!立て続けに俺が先手を取る!隙を見せるな!

 

 

「両国間の友好度合いから見て不可能では無いと判断したので提示しました。少なくとも他国に編入するよりかはスムーズでしょうし、何よりギラード様の保護下に入るとなれば彼の国の民もひとまずの安寧を得られるでしょう。が、これはあまりにもリスクが高い話です。」

 

「…ほう、俺に蛇の統治は難しいと?」

 

「少し違います。“誰にとっても難しい”が正しいです。歴史上他種族を無理矢理配合しようとして失敗し、それを繰り返した結果が『魔王による緩やかな連邦統治』なのです。また、庇護に入れるとは言え長く続ければ反発も出るでしょう、そうなればせっかくの友好も台無しです。」

 

 

 庇護を施す受けるの関係はつまり、強者が弱者に手を差し伸べる構図だ。この上下関係を爬蛇の種族は短期的ならまだしも長期的には絶対受け入れない。

 

 無理に強固な纏まりを作ると絶対に支配階層が産まれる。それを解決するための手段こそ、以前政治体制だったんだよ。着かず離れずの距離感って言うべきか?

 んで魔王にはその匙加減が委ねられていた。

 

 

「そこで二つ目の案…現状維持。」

 

「ふっ、ヒュームもお手上げと言うことか?」

 

 

 ルーファスちゃんさ、なんでそんな俺を高く買っているの?そんな価値ないから売ったほうがいいよ。

 

 

「第一に、ガーバク様はどことも戦争を続けておらず、また別に戦争に負けては居ません。あくまでも“個人的な争いの中で死亡”したのです。」

 

 

 戦争に負けたのなら多少の不条理はしょうがない。休戦中で相手が不戦勝になるのも仕方ない。が、ガーバクは現実別に誰とも戦争をしてない。

 仲の悪い国は居てもそれ止まり。んで個人的に勝手に戦ってなんか負けて死んだ。そこで特に関係ない俺らが領土分割について話し合うなんて…

 

 

「まるで火事場泥棒ではありませんか?」

 

 

 …円卓が静まり返る。

 俺は幸い謎の信頼を得ている、つまりコイツらは今深読みをしている最中…。

 最終的には感情論、穴だらけでチンケな提案だ。だが穴を突かれなければ問題は無い、有耶無耶にして後は丸投げすればいい話だ。

 て事で話題変えまーす。論点のすり替えはレスバの常識やぞ!?

 

 

「そもそも今が異常事態、王が消えても代わりの王が立つだけです。玉座争いには脱落しますが、彼の国自体は前に戻るだけですので。…“もしもに備えて頂き”対応をするのが賢明かと。」

 

 

 明確には言わなかったがみんなわかってるだろう。もし自分が脱落した場合、自分達が行った行動がどう自分達に跳ね返ってくるかを。余計な圧は掛けない方がいい。

 

 

「…そもそも何故“国同士の争い”に発展しているのでしょうか?」

 

「「「「「「「…ッ!?」」」」」」」

 

「決めるべきは魔王です。誰が魔王と言う個に相応しいかの争いのはずです。が、今やその話は種族全体、国力まで拡大し、“どの種族が上か”を決めようとする争いにまで発展して居ますがおかしい話です。決めるべきは魔王です。崩れたこの体制を立て直し存続させるための闘いであり、支配種族を決める争いではありません。」

 

 

 なのに何故こんな話が大きくなってるのか?そんなの分かりきってる。

 皆んな誰だって、誰かを支配したいんだ。こきつかって、優越感に浸って、楽して欲を満たして…魔王はそれを防止する為に存在しているのだ。

 あらゆる血筋を取り込み、複雑化させ“みんなの王”を作り上げる。その中で発言権を高める為に誰が隣に座るかを争っている訳だが、だとしても絶対者はただ一つだ。

 

 

「ではヒューム、貴様はこの争いをどう鎮めるべきだと言いたいのだ?」

 

 

 知らねーよエルシーラ。いっその事いっぺん腹括ってバトルロワイヤル開いてタイマンすれば良いんじゃねーの?

 …あれ?そうすれば良くね?『戦争とかしょうもないからもう主導者同士がボクシングで決めろ』的なネタもあるしな。

 

 

「この際戦ってみては?」

 

「「「「「「…はぁッ!?」」」」」」

 

「……!?!?(弟!?何を言っているのか分かって!?)」

 

「例えばこれより半年後、ランダムな対戦相手を組み勝ち上がるトーナメント形式で戦う…でしたり、総当たりで一番勝った者が…とか。とにかく初心に振り返り今一度、『王を決める』戦いをするのです。戦争による戦勝国を決めるのではなく。」

 

 

 再び沈黙が流れる…が、そこに殺気はない。むしろ皆割とありでは?と本気で検討している表情だ。ノリと勢いで大ペラ回りしちゃったけど作戦成功か?

 

 …というか多分みんなこうしたかったんだと思う。ただ上に立つ者として動いて行くうちに身動きが取れなくなったんだ。余りにも重い、国家を背負ってしまったから。だから自分が出る=国家が動く=戦争の方程式が出来上がってしまい、知っていてもそれして誰も口に出さなかった。それを言えば背負った物を捨てることになるから。

 

 深く考え過ぎ?まぁこいつらの後ろには腹黒い奴らが幾らでもいる。世知辛いね、いつの間にか彼等彼女等は道具になっていたーなんて線もあり得る話だ。

 

 反応は如何に?少なくもこの場でヒューム君解体ショーが始まる訳ではなさそう?

 

 




 実は不器用で引っ込み思案な末っ子コクヨウ様
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