ようこそすべてを見通す者(大嘘)のいる教室へ 作:くりってぃ
風が吹き、桜の花びらが舞い散る中。
僕こと
高度育成高等学校。
ここは今日から僕が通う、さらには生活することになる場所である。
全校生徒が寮で生活しているとは⋯この学校はなかなかどうしてスケールの大きなことをするよね。
ついでに…実にどうでもいいことだが、何回か繰り返して言ってみれば早口言葉としても成立してしまいそうな名前だよ。
「それにしても…。」
ほんとによう実世界に転生したんだなぁ。
前世で一、二を争うほどに好きだったライトノベル『ようこそ実力至上主義の教室へ』。
深みのある頭脳戦が特徴的なアニメ化もしていた大ヒット作の中へと、僕は転生したのだ。
無論、原作知識と少しばかりのチート付き。
いやぁ、僕を転生させてくれた太っ腹な神様に感謝だよ。
過去の話はさておき、僕がなにを言いたいのかっていうと…アレをやるしかないと思うんだ。
そう、すべてを知ってる強キャラムーブをね!!
さっきも言ったけど、よう実はハイレベルな頭脳戦が主軸となってくるがゆえに、暗躍という行動を取るキャラがかなりいる。
主人公なんて、一年生の時は暗躍しかしてないし。
まぁとにかく…暗躍とか普通は知らない秘密をすべて知っているような素振りを見せるのってさ、かっこいいじゃん。
強キャラたちを驚かせたり戦慄させるのって、めちゃくちゃ面白そうじゃん。
んじゃまぁ、レッツラゴーだぜ☆
✚✚✚×✚✚✚
僕がよう実の舞台に舞い降りて、一年が経った。
その間、原作イベントは一つたりとも起こらなかった。
なぜって?
そりゃあ主人公くんたちと違う学年だったからだよね。
いやぁ、同学年じゃないっていう可能性は、さすがの僕も考慮してなかったよ。
幸いと言うべきか、主人公くんたちとの学年は一つ違い。
そういうわけだから、いっさい関われないということはなかった。
そして今日、ついにこの学校へと主人公くんたちが入学してくる。
誰しもが待ちに待っていた、原作ストーリーが始まるというわけだね。
「で、南雲くん。一年生の中に、強そうだったり期待できそうな子はいた?」
「まだ誰とも話してないのに、分かるわけないだろ。お前はアホなのか、貴理。」
入学式を終えて教室へと戻ってきた僕は、前の席に座っている南雲雅くんに話しかける。
返ってきたのは辛辣な言葉。
学校の顔の一人である生徒会副会長がそんなことを言っちゃあダメじゃないか。
それに、僕のテストの成績は学年でもトップクラスだからね?
南雲くんよりも上だから。
「オーラ的なのは感じなかったの?この生徒からは強そうな気配がするぞみたいな風にさ。」
「お前の中で俺はどういう存在にされてんのか気になるなオイ。言っとくが、俺はオーラとか非科学的なものを感じ取るような戦闘民族じゃないんだよ。」
見るからにチャラチャラしてる南雲くんが非科学的って言うと…なんか似合わないなぁ。
「そういう貴理はどうなんだ?誰か強そうなヤツは見つけられたのか?」
「四人しかいないけど、見るからに強そうなのがいたよ。」
「へぇ、ソイツらの特徴はなんだ?」
んー…教えても問題はないけど、なんというかそれはつまらないよね。
「黙秘させてもらおっかな。」
唇に人差し指を当てて、しーっという行動を取る僕であった。